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読んだ本の感想あれこれ。
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6d72b2c9.jpg発行年月:1998年6月


少年は、音をなくした少女と出逢った。
たどたどしい二人の想いは
どこにゆくのだろう?


                    (本の帯文より)


5歳のとき、事故により聴力に障害を持つことになった少女・エイプリル。
言葉も上手く発せられないので、村の多くは、彼女のことを知能が低い子という先入観でみている。
父親も早くに亡くなり、貧しい暮らしの中、懸命に働く母親と暮らす日々。

親友のジョニ-は昼間、学校に行ってしまうので、エイプリルは一人で遊ぶのが日課。
川岸を走り、釣りをしたり、ボ-トに乗ったり、泳いだり。
彼女を見かけても声をかける者は居ない。
しかし、エイプリルにとっては、それは逆に好都合。
放っておいて貰える方が有難いと考えている。

しかし、そんな彼女の家のすぐ近くに、トニ-が母親と共に越して来た。

トニ-は、上流階級の家に育ったが、父親がほかの女の人と家を出て行ってしまった為、母親と無一文に等しい状態で、この村に来たのだった。

二人は、その後、意気投合して仲良くなる。
トニ-の母、バ-バラも、貧しいから、耳が不自由だからという理由で疎んだりせず、家事を手伝ってくれるエイプリルに自然と「ありがとう」と感謝できる人であった。

人に感謝される経験のなかったエイプリルにとって、どんなに嬉しい事であったか。

エイプリルには、誰にも言えない困りごとがあった。
エイプリルが上手く話せない事を言いことに、彼女に酷い事を強いる男たち。
彼女に非はないのに、加害者である彼らは、彼女の方に原因があるからそうなるように言いふらす。
それをそのまま受け入れる村人たち。
なんて、酷い!(怒)
エイプリルが気の毒で、胸が痛くなる場面もありました。

そんな生活の中で、トニ-の存在は、エイプリルにとっては、救いだったでしょう。
そして、トニ-もまた悩んでいることがあり、エイプリルの存在は救いだった。

二人は、お互いを必要とし、やがて恋?という状態になりますが、そのまま上手く事を運べるほど、大人ではない。
まだまだ、周りのおとなたちによって運命を左右されてしまう哀しさ。

でもラストは、二人とも今の自分の置かれた状態の中で、一生懸命、生きていくのだろうな~という光りが見えるような気がしました。
実際には、困難もあるのでしょうが。


エイプリルの最後の手紙でそれを感じました。


物語は1925年を舞台にしているそう。
少し、現代とは違う雰囲気も楽しめて、昔の文学作品を読んでいるようなかんじでした。

著者自身は1954年生まれだそうだから、新しい作品もまだまだ楽しめるかな?

結構、わたしの好きな作風だったので、ほかの作品も読んでみよう!と思います。


★★★★

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