発行年月:2017年7月
「消された島」をめぐる超弩級イヤミス!
東京オリンピック前夜の1964(昭和39)年、小笠原諸島にあった「祝言島」が噴火し、生き残った島民は青山のアパートに避難した。しかし後年、祝言島は"なかったこと"にされ、ネット上でも都市伝説になった。一方で、祝言島を撮ったドキュメンタリー映画が存在し、ノーカット版には恐ろしい映像が含まれていた。
2006年12月1日、東京で3人の人物が連続して殺され、未解決となっている「十二月一日連続殺人事件」。無関係と思われる3人の共通点が「祝言島」だった。半世紀を経て、"消された島"の禍々しい歴史が暴かれる――!!!
(小学館HPより)
タイトルと表紙の絵から、嫌な話だと想像できる。
真梨さんのイヤミス度は、期待度大なので・・・^^;
登場人物の相関図をメモしながら読んだので、よくわかったけど
そうじゃなかったら、頭のなか、ぐちゃぐちゃになりそう。
大学生(関東大学芸術部)の九重メイがスタイルリストの母親・サラからの
薦めでドキュメンタリー制作会社にアルバイトとして、あるテープのチェック
作業に関わり、「祝言島」という島に纏わる不可解なことの真相を探っていく。
メイ自身が「祝言島」に関わる人物だとわかった瞬間は、なんだかゾッとした。
登場人物たちが次々、繋がっていく元になっているのも「祝言島」。
かつて、そこで行われていたこと。
暗い歴史を持つ島のこと。
ロボトミー手術のことは、学生時代学んだので、それが関わっている
物語というのもなんだか怖かった。
ああ、嫌な話だった。
でも、また一気読みしちゃった。
そして、次回作もまた期待しちゃいます。
★★★
発行年月:2017年3月
余命、半年――。海老名亜希子は「お掃除コンシェルジュ」として活躍する人気エッセイスト、五十歳独身。歩道橋から落ちて救急車で運ばれ、その時の検査がきっかけで癌が見つかった。潔く〝死〟を受け入れた亜希子は、“有終の美”を飾るべく、梅屋百貨店の外商・薬王寺涼子とともに〝終活〟に勤しむ。元夫から譲られた三鷹のマンションの処分。元夫と結婚した妹との決着。そして、過去から突きつけられる数々の課題。亜希子は“無事に臨終”を迎えることができるのか!?人気ファッション誌「大人のおしゃれ手帖」大好評連載作品、待望の単行本化。カバーイラストは大人気イラストレーター・マツオヒロミさんでお届けします!
(宝島社HPより)
余命半年を宣告された亜希子。
終活に励む姿は、なんだか応援したくなり読んでいたけれど・・・
段々、単純な終活だけでは終わらない展開。
やはりイヤミスの真梨さん、最後の最後に期待に応えてくれました!
しかし、こんな最期は嫌だ。
自分の死後、身内が揉めればいいなんて思う関係にあったのは気の毒だとは
思うけれど・・・。
最期に罪まで犯していたとは・・・ビックリ!
お話としては、最初から最後まで面白く読めた。
★★★
発行年月:2017年3月
年をとることは、同じ相手と出会いなおすことだ
出会い、別れ、再会し、また別れ――。人は会うたびに知らない顔を見せ、立体的になる。人生の大切な場面が詰まった六つの物語。
(文藝春秋HPより)
6つのお話。
<出会いなおし>
<カブとセロリと塩昆布のサラダ>
<ママ>
<むすびめ>
<テールライト>
<青空>
<ママ>と<テールライト>は、SF?
まあ面白いけど、よく分からなかったなぁ~^^;
他4つは、それぞれ感動した。
表題作の<出会いなおし>はイラストレーターとして仕事を始めたとき知り合った
雑誌編集者の男性とその後、音信不通になっていたけれど、自身の個展のお知らせを
送ったら訪ねて来てくれたという話。
ずっと会っていなくても、お互いが信頼していた時間が過去にあったなら
また再び、いい関係を結び直せるんだなぁ~と思えた話。
<カブとセロリと・・・・>は設定がいい。
仕事帰りデパ地下で買った惣菜がカブじゃなくて大根だったことに違和感あり
問い合わせの電話をデパートにする女性の話。
デパ地下に寄る前に起きたちょっとしたアクシデントがちゃんと話を締めて
いたのもいい!
<むすびめ>は、小学校時代の同窓会に初めて参加した女性。
15年ぶりの再会。その当時の皆の思い出はテレビ番組の30人31脚に
エントリーし予選で敗退したこと。
クラス全員の共通の思い出話で盛り上がれるっていいなぁ~。
最後の話<青空>は、妻を亡くし9歳の息子との暮らしを続けていく自信が
なくなりかけていた夫を鼓舞するかのような出来事。
自信はそのうち徐々に出来て行くんじゃないかなぁ~?
6つの話、それぞれ人と再び巡り会う話で楽しかった♪
★★★★
発行年月:2016年9月
「死んでいく患者も、愛してあげてよ」 命の終りを真摯に見つめる現役医師による、感涙のデビューミステリ。 現代の終末期医療の在り方を問う、渾身の書き下ろし。 大学病院の総合診療科から、「むさし訪問クリニック」への“左遷"を命じられた37歳の水戸倫子。そこは、在宅で「最期」を迎える患者専門の訪問診療クリニックだった。命を助けるために医師になった倫子は、そこで様々な患者と出会い、治らない、死を待つだけの患者と向き合うことの無力感に苛まれる。けれども、いくつもの死と、その死に秘められた切なすぎる“謎"を通して、人生の最期の日々を穏やかに送れるよう手助けすることも、大切な医療ではないかと気づいていく。そして、脳梗塞の後遺症で、もう意志の疎通がはかれない父の最期について考え、苦しみ、逡巡しながらも、静かな決断を下す――。その「時」を、倫子と母親は、どう迎えるのか……?
(幻冬舎HPより)
現役の医師が書いたということで、先ず興味を惹かれた。
大学病院から看取りを主にするクリニックへの異動。
左遷されたと最初は、不服に感じた主人公の医師・水戸倫子。
クリニックの男性看護師・コースケとのコンビが良い感じ!
訪問する患者たちは、やがて死に至るのだけど、満足して亡くなっていく人が
殆ど。
奇跡が起きないという段階に来たら静かに痛みや苦痛だけを取り除いて貰って
安らかに逝きたいと思うのが大半の人の考え方でしょう。
最先端の医療を提供する病院も必要だけれど、これからは終末期医療も
もっと進歩して、最期を自分で選択できることが普通になればいいなと思う。
倫子の指導をしている大河内教授も素敵な医師でした!
こういう温かい気持ちで患者に接することが出来る医師に診て貰いたいものです。
患者さんの人間ドラマ的な部分も楽しめて、読み応えもありでした!
今後も医師としての視点を生かした物語を書いて欲しいな~。
★★★★
発行年月日:2017年3月
実弟・上山雅輔(昭和の喜劇王・古川ロッパの脚本家)の膨大な日記を読み解き、みすゞの童謡と生涯、二人の青春と愛憎、別れを、弟の目を通して描く、画期的伝記小説!
弟・上山雅輔(かみやま・がすけ)/脚本家・作詞家
大正デモクラシーにめざめ
「赤い鳥」と童謡を愛し
白秋、八十にあこがれ
みすゞの詩に、心ふるえる。
昭和モダンの東京
菊池寛の文藝春秋社で
古川ロッパのもと、働く。
みすゞは、自殺
雅輔は、自死遺族に
時代は、昭和の戦争へ。
弟の胸に残る
みすゞの瞳の輝き
忘れえぬ青春の日々……
(新潮社HPより)
以前、テレビで金子みずゞさんの生涯を描いたドラマをみました。
幼い頃、実の弟である雅輔さんは、母親の妹夫婦にもらわれて
本屋さんの跡取り息子として育てられるのだけど、本人は東京で
自分が文章で何かを作り上げる仕事をしたいと夢見て、父親・山上松蔵の反対を
押し切る形で上京。
脚本家・編集者としてある程度の成功を収める。
雅輔がみずゞと実の姉弟だということを周りの人がきちんと知らせないために
起きる数々のことが、二人をややこしくさせた感じが凄くする。
みずゞと雅輔の母親・ミチは妹の夫・松蔵の元に嫁ぎ、みずゞもそこで暮らす。
松蔵が実の弟とみすゞとの間に間違いがあってはいけないなどと勝手な心配を
しなければ、二人はただの仲良き姉弟として、心強い理解者として生きたはず。
みずゞが本屋の店員・宮田敬一と結婚したのも松蔵のそんな心配から。
敬一自身も雅輔との関係を少し疑っていたというところから
二人の夫婦としての絆はうまく結ばれずお互いが不幸。
色々なことが全部、うまく廻らず、なんだか哀しい。
みずゞはある日、突然、眠剤を大量に服用して自死してしまう。
その気持ちを想像すると本当に、辛い。
可愛い娘を遺してまで逝かなきゃいけないほどの絶望感みたいなものがあったのかと
思うと・・・(/_;)
読み終えて暫くは、なんだか、ボ~ッとした無力感に襲われた。
著者の時間をかけたであろう取材もあっての本書。
松本侑子さんのほかの書も読んでみたいと思う。
★★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;