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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2015年6月

何があっても、生きるのよ。戦火や不条理に襲われたとしても。3.11以降の日本で書かずにいられなかった渾身の大長篇。

関東大震災後の横浜に生まれた異母姉妹の慧子と蒼。ミッションスクール、ジャズ、ダンスなどのヨコハマ文化を楽しみ、恋を知る二人。しかし戦争の暗雲が港町を覆い尽くす。3・11以降の日本で書かずにいられなかった、戦争と平和、生きることの歓びと哀しみ。

                  (新潮社HPより)




お嬢様育ちの慧子。
同じ父親を持ちながら妾の子として生まれた蒼。

二人が出会うのは、昭和10年、10歳のとき。
慧子の母は病気で亡くなる前、妹の存在を話し、仲良くできるといいねと言う。
蒼の母もまた慧子に対してお嬢様と呼びながらも家に来たら温かく迎える。
それぞれの母親がとても大らかな気持ちの優しい人であることにホッとする。

慧子の母が亡くなり、父親は、蒼の母を正妻にするのかと思いきや
若い多恵という女性を妻に迎え、慧子には弟2人と妹が出来る。

時代は戦争に突入する時代。
そして関東大震災。

誰もが生きることに必死な時代。

横浜という舞台がその時代、どんな様子だったのかもわかった。


やがて、慧子も蒼も恋をして・・・・・
しかし、戦争で辛い別れがあって・・・・
それでも二人はずっとそばにいて、支え合って生きたんだなぁ~。


蒼の子どもたちや、慧子の弟や妹たち、みんなが親戚関係を大事にその後も
生きて来た様子が終盤の現在の様子でわかり温かい気持ちになった。


読み応えあり面白かった!


                       ★★★★
 
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発行年月:2015年7月

『漢方小説』から10年。新たな舞台は病院のカフェ。人々にそっと寄り添う空間で、醸し出される温かさが通奏低音ように流れる傑作。
総合病院のロビーにあるカフェ。「ここのコーヒーはカラダにいい」と繰り返す男や白衣のコートを着る医師は常連客だ。土日だけこの店でアルバイトをする主婦の亮子は、鳴かず飛ばずだけれど小説も書いている。自然酵母のパン職人の夫との間には子どもができない。子どもは望むけれど、がむしゃらに治療する気にはなれない。不妊は病気なんだろうか。実家の親の面倒で他人の世話をし続ける朝子は、介護人生に疲れ切っている。ついに夫の孝昭も難病に見舞われた。不満も満足も口にしないでわだかまりをかかえた中年夫婦。
「院内カフェ」に集う、人生の困難が否応なくおしよせる、ふた組の中年夫婦のこころと身体と病をえがく長編小説。

                  (朝日新聞出版HPより)



最初は短編連作?と思わせる。
病院内ロビー横に併設されているカフェに集まる人たちの話を順に描いていく。


カフェ定員の相田亮子は週末だけバイトしている主婦。
作家でもあり、夫はパン職人。

亮子と共にバイトで働く村上くんも飄々としていていい感じ。

カフェの客は、病院に入院中だったり通院中だったり、ドクターだったり・・・。

病院に入院が決まった藤森孝昭と妻の朝子、夫婦の関係が最初はギクシャクしていて
どうなるの?と思っていたら、最後は仲良くカフェに来店する関係になって
ホッとした。
良い夫婦だな~。


亮子と夫の関係も素敵だった。
お互いの気持ちをちゃんと伝えることって大事だね。
難しいことだけど。。。


クリスマスプレゼントとして1万円で皆に奢ったのは誰だったんだろ?

菅谷医師(カフェではデジゲント)見かけと違って優しい人だったから
彼かな?
一風変わった青年・ウルメにカフェを教えたのも菅谷医師だったし・・・。


病気を抱えた人たちが、ホッと出来るカフェっていいな。


                        ★★★
 



発行年月:2012年7月

そしてぼくは、何も何もできない。頑張ってモールス信号を覚えたって、まだ、空は燃えている――。

終戦のまさにその日の朝、焼け野原の東京から故郷広島に汽車で向かった「ぼく」。悲惨で過酷な戦争の現実から断絶された通信兵としての任務は、「ぼく」に虚無と絶望を与えるばかりだった――滅亡の淵で19歳の兵士が眺めたこの国とは。広島出身の著者が伯父の体験をもとに挑んだ、「あの戦争」。鬼気迫る中編小説。

                      (新潮社HPより)




著者が伯父の手記を元に書かれた物語だとか。

あとがきを読んで、著者がこの物語を書こうと思った気持ちが
よ~くわかりました。


戦争体験をした方の手記にしては、淡々としていて、残酷な場面とか
殆どない。

身長が152cmと小柄だったことで、戦地ではなく通信兵としての任務を
与えられ、日々通信機に向き合っていた。
そしてある日、ドイツのポツダムで連合軍が日本の無条件降伏を要求することに
合意したとする放送を受信。

その後、すぐに通信隊は解散。
通信機器などは壊して火の中に葬り、上官からそれぞれ故郷に帰れとの命を受ける。


そして、東京駅から始発(5時25分発)の汽車に乗り、故郷の広島まで
向かう著者の伯父。


汽車のなかで見た景色、汽車のなかで会話した母と子。
汽車を降りてみた故郷、そこで出会った家財道具らしきものを運ぶ姉妹。

戦争を終えて初めてこの国に起きたことが大変なことだと知ったかんじ。

今までの戦争体験記とは異なるものでしたが、読んでいるとやはり
尋常じゃない不安な気持ちが沸き起こって来て
こんな気持ちに実生活のなかでなることがないように・・・と祈りたくなります。


この作品を執筆中に3.11が起きたことも、何か不思議な巡り会わせの
ような気がします。

短い話ではありますが、やはり西川さんの書くものには
メッセージ性が強いように思います。


                         ★★★★★




発行年月:2015年2月


 「愛するべき日々に愛することを怠ったことの、代償は小さくない」

長年連れ添った妻・夏子を突然のバス事故で失った、人気作家の津村啓。
悲しさを“演じる”ことしかできなかった津村は、
同じ事故で母親を失った一家と出会い、はじめて夏子と向き合い始めるが…。

突然家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか。
人間の関係の幸福と不確かさを描いた感動の物語。

                     (文藝春秋HPより)



作家の衣笠幸男(さちお)・・・作家名は津村啓。
妻・夏子は友人の大宮ゆきと毎年恒例の旅行に出かけ、その先でバスが崖下に
転落の事故で亡くなった。
大宮ゆきも亡くなり、その家族(夫の陽一、小6の息子真平、4歳の灯)との
交流により、夏子の死を少しずつ受け入れて行く。


幸男は、妻との間に子どもはなく、夫婦の関係も冷めていた。
事故後、妻の携帯を開き、送信されずに残っていた自分宛てと思われる
メッセージにショックを受ける。
<もう愛していない。ひとかけらも。>
妻の死は哀しいけれど、泣いたことはなく日々が過ぎる。
そして、妻とともに亡くなった大宮ゆきの夫・陽一から連絡を貰い会う。


やがて、幸男は大宮家に出入りし、陽一の留守中の家の手伝いを買って出る。
子どもにどう接していいのか戸惑いながら、4歳の灯と過ごす場面は
微笑ましかった。

家族を亡くした者同士が支え合っているかんじだったけれど、やがて気持ちの
すれ違いが起きて、一旦は家族から離れる幸男。


幸男の気持ちの移り変わる様子が、見事に表現されていた。
妻が亡くなったことで、気づくこと。
これから自分がどう生きるか?

妻を亡くして、いろいろな人との接触があって、改めて妻のことを考えて
初めて涙する場面はジ~ンと来ました(/_;)。

よくある、立ち直り前を向いて歩きはじめましたという感じではない
もっと複雑な想いがあって、ああ、やっぱり巧いなぁ~と思いました。


大宮家も良い家族でした!
真平も灯も素直で可愛かったなぁ~。

感動の物語でした!



                          ★★★★★



発行年月:2005年1月


 
薬も、癒しも効かない、あなたに贈る処方箋。
みのり31歳、独身。元カレが結婚すると知ったその日から、原因不明の体調不良になった。行き着いた先は漢方診療所。悪戦苦闘する女性をそこはかとないユーモアで描く、あなたのための処方箋。第28回すばる文学賞受賞作。      

                    (集英社HPより)




表題の通り、漢方のお話満載。

主人公・みのりが医療機関を転々としながら、自分の症状をどれも「異常なし」と
片づけられてしまうことに絶望感を抱き、最後に随分、前に受診した漢方医の
ことを思い出し、その漢方診療所を訪ねることで症状が少しずつ
好転していくお話。

昔、受診したときの老医師は居なかったけれど、若い医師の診察を一度受け
信頼しようと思えたのは幸運だったなぁ~。

医者を信頼出来ないと、治療効果もうまく出ないってことはありそう。

みのりは、物書きの仕事をしているから、これって著者の実体験?
と思ってしまったけれど、実際どうなんだろ?
凄く詳しく漢方の話、東洋医学の物の考え方とか書かれていて
勉強にもなりました。


話のテンポも語り口調もよくて、読みやすい。
他の作品もまた読んでみたい。


                       ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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