街を走ることは街を知ること。新しい自分と出会うこと
人気作家3人によるNY、東京、パリの
シティマラソン・アンソロジー。
爆笑あり、切なさあり、爽快感ありの
豪華ヴァラエティ・ボックス
場所は違うけど、3人三様の走ることに関わるお話。
三浦さんの「純白のスタ-トライン」は
不動産会社勤務の阿部広和は、社長の命令で、ニュ-ヨ-クシティマラソンの場に向かう。
社長の娘がマラソンに出場するけど、その文通相手の外国人男性と接近しないかを見張るのが目的。
広和自身も学生時代は長距離選手だった過去がある。
あさのさんの「フィニッシュ・ゲ-ムから」は
スポ-ツシュ-ズメ-カ-勤務の南野悠斗は、高校時代は陸上でオリンピックも目指すほどの記録を持っていた。
が、怪我で走ることからは遠ざかっていた。
高校時代は、自分より記録は下だった友人・湊が東京マラソンに出場することを知る。
近藤さんの「金色の風」は
パリでの留学生活をスタ-トさせた夕(ユウ)。
実家の両親はバレエ教室を開いていて、自身も1年前まではバレエをしていた。
妹の朝美は17歳でドイツにバレエ留学中。
いつも愛犬とジョギングしている女性アンナと知り合い自分も街中を走り始める。
3つの話の主人公たちは、それぞれに挫折を味わっている。
しかし、ちょっとした偶然から走ることに関わり、今までの自分とは違う何かを得て前に進み出すようなかんじのお話でした。
どの話も良かった!
本の最後に、
本書収録の3作品は、株式会社アシックスが2008~10年にWEBサイト及びモバイルサイトで実施した期間限定キャンペ-ン「マラソン三都物語~42.195km先の私に会いに行く~」のために書き下ろされたもの
と説明がありました。
なるほど、こういう主旨で書かれた物語でしたか・・・納得しました!
この表紙絵もお話にピッタリで素敵!
短歌界の鬼才 穂村 弘と、女神 東 直子の二人が交互に詠んだ短歌と散文で、永遠の恋に墜ちる男女の姿を描ききる!
言葉でどこまで愛しあえるか?
その答えがここにある
(全日出版HPより)
東さんの小説は、何冊か読みどれもわたしの好みの作品でした!
でも短歌はどんなかんじなのかなぁ~?
と気になり、探したらコラボ作品があり、気になって読んでみました。
後ろのあとがきに、お二人の言葉がありましたが、メ-ルでお互いの歌を交換し合って作られたものだとか。
面白いことを考えるなぁ~。
短歌って、あまり馴染みがないけど、こうして1組の男女が偶然に出会い、お互いに好意を持ち、恋人になり、そして別れがくるというよくある恋愛パタ-ンを短歌で表現していくと、すごく馴染み易い!
どうなる?この二人は?なんて思いながら普通の恋愛小説のようにドキドキしながら進みました。
短い文に込められた気持ちは、読み手の想像力に委ねられ・・・・
あれこれ妄想しながら楽しみました(笑)
表題にある回転ドアは二人の出会いの場にあったもの。
二人の出会いの頃の歌が特にいいなぁ~(^^)
読んでいて楽しかった♪
四人の直木賞作家の書き下ろしアンソロジー。
井上荒野=ピエモンテ州(イタリア)、
江國香織=アレンテージョ地方(ポルトガル)、
角田光代=バスク地方(スペイン)、
森絵都=ブルターニュ地方(フランス)を舞台に描く「食と愛」の物語。
(ホ-ム社HPより)
NHK BSハイビジョン 「プレミアム8」 番組中ドラマの書き下ろし原作とか。
あ~見たかった!!
4人の作家さんが描く、ヨ-ロッパの田舎の雰囲気が素敵。
お話もそれぞれが良かった!
特に好きだったのは、最初の角田さんの話。
「神さまの庭」・・・・レストランを営む父親と、何かというと食事会と称して集まる親類たちに、辟易している主人公・アイノアの話。
母親が病に倒れ、その病状を知らせるときにも、食事会を開いた父が理解出来ない。
母親は一人病院のベッドで食事もままならず闘病生活を続けているのに、食事会なんて、まるでお祝いのようと。
母親はその後、亡くなり、家から遠ざかって生活をするアイノア。
でも、ある日、ふと気づく。
そして、理解出来ないと思っていた父親の事も見つめ直す。
そして、父のいる家に再び戻る。
井上さんの「理由」は、
主人公・アリダの夫は、30歳も年上で入院中。
夫と先妻の娘・エリヴィラは、自分と同い年。
夫とは生徒と高校の英語教師としての出会い。
過去のことを思い出しながら、現在のアリダの日常を描く。
杭が理由に似ているという言葉は、ちょっと、わたしには理解できなかったけど・・・^^;
3番目は、森さんの「ブルノワ-ル」
パリの二つ星レストランで修行中のジャンの元に絶交中の母親が危篤の連絡が入る。
母親との確執の原因は、先祖からの伝統的ル-ルに反発したため。
母親が亡くなったが、死の直前に「おまえを認めるときは、姿を変えて知らせる」の言葉通りの物をある日、見つける。
う~ん、これはジ~ンとする話でした。
ラストは江國さんの「アレンテ-ジョ」
男性二人が、3泊4日の旅行に出かけ、その先での出来事があれこれ。
男同士は恋人同士?
独特の雰囲気でしたが、明るいかんじで良かったかな?
4つのお話、それぞれに描かれる愛。そして食事の風景が印象的でした。
写真も白黒ですが綺麗でした!
当代一の女性作家、競艶
当代最高の女性作家8人が
腕によりをかけた絶品短篇小説集。
恋愛模様はもちろん、時代物からミステリー仕立てまで
超逸品ぞろい
(文藝春秋HPより)
なんという豪華なメンバ-でしょう!
髙村さんだけ、初めてかも?ですが、その他の方たちは、それぞれの個性をしっかり出した作品だったような気がしました。
江國さんの「蛾」は、結構切なかったけど、この世界観はキライじゃない。
「蛾」がキライだから、ちょっと怖かったけど・・・^^;
小川さんの「巨人の接待」は、ちょっとメルヘンの世界のような現実の世界から離れたかんじのお話で楽しかった。
川上さんの「天にまします吾らが父ヨ、世界人類ガ、幸福デ、ありますヨウニ!」は
大学時代から現在40代までの男女の交友関係を描いていて、こういう人たち、どっかに居そうだよな~なんて思いながら読んだ。
桐野さんの「告白」は
少し時代小説っぽく、そこに出てくる話は、昔ばなしの様だった。
でも、ちょっとブラックなところが桐野さんっぽい。
小地さんの「捨てる」は
とっさに一人引っ越しを決めてしまった主婦のはなし。
引っ越し業社の青年との恋?と思ったら違って・・・やや期待はずれだったけど・・・^^;
新しい一歩を踏み出したって事ね?
捨てたのは旦那ということですかね?
髙樹さんの「夕陽と珊瑚」は、
老人施設に入所の女性がかつての恋人の元に一緒に訪ねる話。
老いるって切ないけど、思い出は綺麗なまま残る?なんて美しい話と思いきや・・・・
あ~ビックリの展開でした。
髙村さんの「カワイイ、アナタ」は
ある警察官が退職した先輩警察官から聞いた話を思い出して語る話。
最後まで読んで、なるほど、そういうことでしたか?と納得した。
初めて読んだ作家さんだったけど、なかなか面白かった。
最後の林さんの「リハ-サル」は、
ちょっとエロイ。
今まで読んできた作品には、ちょっとここではない何処か他の場所の話のような物が多かったけど
すごく現実的なかんじで、読みながら何だかイヤだな~なんて苦笑したけど・・・
最後まで読むと、この「リハ-サル」の意味がわかって大笑いしちゃった。
こんな50代には、自分はなれないけどね~。
ま、兎に角、バラエティ-に富んでいて楽しめました。
「招待」してくれてありがとうございます!
というかんじです(^^)
★★★
発行年月:2009年8月
女たちは野心を抱き、
男は禁断の愛に落ちた
二人の直木賞作家と人気女優が奇跡のコラボ
それぞれが描く男女三人が、複雑に絡み合い、
嫉妬と野心、官能渦巻く恋愛小説
Caracteres
遠山響樹------石田衣良が描く男34歳、新進気鋭の作詞家。
エリカ-----------佐藤江梨子が描く女24歳、ダイヤの原石のような歌手の卵。
浅木季理子---唯川恵が描く女45歳、エステティシャンにして実業家。
響樹と季理子は長年の恋人同士。
だが、響樹は銀座で出会ったエリカと恋に落ちてしまう。
嫉妬と野心が渦巻く中、響樹と季理子は
エリカをスタ-ダムに押し上げようと企むが・・・。
コラボと思わなければ、まあ、話としてはよくある三角関係の話。
でも、三者三様にリレ-方式で書いたと考えると、なかなか面白くまとまっていて良かったかな?
作家の二人が上手いのは当たり前なので、置いといて・・・^^;
佐藤江梨子さんが結構、面白い文章書くのには、ちょっと驚いた!若く元々、良い素質を備えた女の子のようだったけど、最初は、まだちょっと垢抜けない、でもそこが初々しく可愛かったエリカが、磨かれてどんどん自信を持って、愛されてまたまた綺麗になって、どんどん野心が芽生え大胆になっていく様子が面白かった。
若いサトエリだから書けた文章かもなぁ~なんて思いながら読みました(^^)
サトエリちゃん、結構好きなので好意的に♪
で、結局、三人はどうなるの?
ラストは・・・・そういう終わり方ね・・・・ま、それもいいか?
と無難に終わったのがややつまらなかったかな?^^;
自分の年齢と近い季理子にやはり一番共感できて、カッコイイ大人の女性だな~と思った。
嫉妬をしてもビジネスは別と割り切ろうとするあたりの内心を思うと切なかったけど
身近な男性に逃げないのは偉かった!
「もし目の前に楽な道と辛い道があったら、辛い道を選ぶこと」
これはエリカにアドバイスした言葉だけど、自分自身もそうしていくのが凄いな。
ササ~ッと読めて、特に大きな感動とかはないけど、このコラボの試みはなかなか面白かったし
悪くなかった!
ほかにもこういうコラボ作品あったら、読んでみよう。
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;