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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2014年1月


 ふたつの才能が挑んだ
シナリオなしの真剣勝負。
全5幕。

「ないものを探してください」。
小川洋子の描く人物たちの依頼に、クラフト・エヴィング商會が応える。
ふたつの才能が真剣勝負で挑む、新しい小説のかたち

                   (筑摩書房HPより)


小川さんとクラフト・エヴィング商會が、コラボするとこんなに素敵な
芸術作品のような1冊ができるんですね~とただただ感動!

5つの探し物をクラフト・エヴィング商會に依頼する・・・注文書
そして、目当ての品を見つけて届けてくれる・・・納品書
それを受け取っての感想など・・・受領書


探し物は、皆、それに関係する小説がある。


<case1 人体欠視症治療薬   『たんぽぽ』川端康成>
<case2    バナナフィッシュの耳石   『バナナフィッシュにうってつけの日』J.Dサリンジャー>
<csse3    貧乏な叔母さん   『貧乏な叔母さんの話』村上春樹>
<case4     肺に咲く睡蓮   『うたかたの日々』ボリス・ヴィアン>
<csase5   冥途の落丁   『冥途』内田百聞>



どれも素敵でした。
小川さんの文章、クラフト・エヴィング商會の文章・・・・相乗効果でちょっと不思議で
ユーモアもある独特の世界観。
9年の年月を要して作られたと知り、納得です!!


一番好きだったのは、三番目の貧乏な叔母さん。
4歳の時から19年間いっしょに暮してきた郵便配達人だった祖父を亡くし、
悲しみにくれる日々のなか、突然、現れたおばさん。
「あなたは誰ですか?」の問いに、おばさんは「村上春樹氏の『貧乏な叔母さんの話』を読めば
わたしのことが書いてある」という。
そして突然、姿を消す。

郵便配達人という仕事だからこそ、過去と未来と現在を繋ぐ不思議なことも
納得できるオチ。
なんだかファンタジックなかんじで良かった!


最後の小川さんとクラフト・エヴイング商會のお二人との座談会のような
章も面白かった。

またいっしょに何か作って欲しいなぁ~。


                          ★★★★★

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発行年月:2013年5月

注目の作家たちが、隅田川近くの下町を舞台に、もうひとつの「東京ホタル」を描く。
温かな感動が広がる、極上のアンソロジー。

                 (ポプラ社HPより)


「東京ホタル」・・・2012年から毎年開催される。
隅田川に10万個のホタルに見立てた「いのり星」を流すイベント。

5人の作家さんが、ひとつのテーマ「東京ホタル」を元に書いた物語。


<はぐれホタル・・・・・中村 航>
大学の演劇サークルの同期生7人が仲間の結婚式で再会。
就職して3年。それぞれの近況報告。
章吾はその頃、つきあっていたサトミと三次会のあと、海に向かって歩く。
かつて約束していた事は「ホタルを見に行こう」


<蛍の光り・・・・・小路幸也>
東京で独り暮らしのおじいちゃんと同居が決まり、家族で引越すことになる。
おじいちゃんは昔、和食屋さんをやっていた。
そんなおじいちゃんのお話。
料理人になった経緯には、温かい人との繋がりがあった。


<夏のはじまりの満月・・・・・穂高 明>
電車のなかで偶然、再会したのは高校時代、仙台に住んでいたときの同級生。
彼女の話から懐かしい高校時代のことを、いろいろ思い出す。
震災で自分は東京に引っ越したが、あれから10年のときが過ぎていた。


<宙色三景・・・・・小松エメル>
東京ホタルのイベント見学のため隅田川を訪れた。
教師を定年退職し10年。
今日は、孫の清を連れてきた。
途中、清との会話に違和感を感じ、過去の父親とホタルを見に行った
ときの思い出が鮮やかに蘇る。


<ながれぼし・・・・・原田マハ>
流里は付き合って7年の志朗と妊娠を機に結婚することに。
二人で記念の旅行で鬼怒川温泉に行き、そこの宿の仲居であった母親と12年ぶりに
偶然、会う。
流里の両親は離婚し、流里は高校1年のときから父と暮らしてきた。
後日、改めて母親に会い、離婚のときの話を聞く。


どの話も短いけれど、ジ~ンと沁みるお話でした。
特に今回、初めて読んだ作家さん小松エメルさんの<宙色三景>が良かった!
三代に渡って繰り返される同じようなホタル見物の思い出話。
ちょっと不思議でファンタジックな雰囲気がよかったなぁ~。
ほかの作品も今度、読んでみよう。


実際の「東京ホタル」のイベントも機会があれば見てみたいなぁ~。


                      ★★★★






 



発行年月:2013年1月


忙しい日々の疲れも。苦い人生も。辛い体験も。
やさしい甘さが溶かします。



            (光文社HPより)

まえがき 坂木 司

空の春告げ鳥--------坂木 司
トマどら--------------日明 恵
チチとクズの国-----牧野 修
迷宮の松露-----------近藤史恵
融雪--------------------柴田よしき
糖質な彼女-----------木地雅映子
時じくの実の宮古へ---小川一水
古入道きたりて-----恒川光太郎
しりとり--------------北村 薫
甘き織姫--------------畠中 恵


塩をひとつまみ 坂木 司


まえがきに本書誕生の説明がありました。
坂木さんが好きな作家さんに和菓子をテ-マにした小説を書いていただいた作品集。

いろいろな和菓子が登場します。

最初の坂木さんのお話では、あの「和菓子のアン」の主人公・梅本杏子(アンちゃん)が
登場します♪
久しぶりのアンちゃん!
今回もちょっとしたお菓子にまつわる謎を解明していきました。


ここで初めて読んだ作家さんは 日明 恵と牧野修さん木地雅映子さん、小川一水さんかな?
畠中さんもお初かも?

どのお話もそれぞれ楽しめました。

恒川さんの<古入道きたりて>は、やはりちょっと怖かった。
戦場で語る以前、甘い夜船を食べたときの話。
夜船って??と思ったら、春は牡丹餅、秋はおはぎの夏に食べる同じもののことだそう。
本当?知らなかったなぁ~。
じゃ、冬に食べたらなんだろう??

和菓子のうんちくも満載のアンソロジ-でした♪

ほかの作家さんのリクエストに応えたアンソロジ-も読んでみたいな。


                            ★★★
51mqQ3C5TQL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年9月

人気作家二人がつむぐ話題の合作! 
小路幸也が兄の視点、宮下奈都が妹の視点で描く、
家族の「ひみつ」の物語。


                     (ポプラ社HPより)




由一とまどかを中心に描かれる温かい家族の物語でした♪
素敵な家族だなぁ~。

兄の由一は高校2年生。
バンド活動をし、作詞作曲に加えてヴォ-カルも担当。
将来はプロになれたら・・・という夢を持っているけれど、大学進学も頭の中に置いた堅実派。

妹・まどかは小学4年生。
家の隣が祖父の柔道場で、毎日練習に励んでいる活発な女の子。

二人の関係も素敵。
兄は妹が可愛くて仕方ないというかんじだし、妹は兄を自慢だと思っている。
そして二人の母親は料理上手で美人で明るい。

でも、母親には何か隠していることがある?と気づく二人。
そして段々とわかってくる母親の過去。

でもでも最後は円満解決!!


いろいろまだ謎はあるけど、ハッキリさせないでも良いと決めた由一とまどか。
優しいなぁ~。
由一のバンド<Double Spin Round>のその後も少し気になるけれど
きっと夢が実現するんだろうな。

実際の登場は殆どなかった家族の父親もきっと心が広い素敵な人なんだろう。

おかあさんとおとうさんの詳しい結婚までの経緯もサイドスト-リ-的な話で書いてくれたらいいんだけど・・・・。
何から何まで詮索しないほうがいいか?^^;


素敵なコラボ作品でした♪



 

★★★★

 
41BmY1fFoyL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年3月


伊坂幸太郎、山本幸久、中山智幸、真梨幸子、小路幸也。
ペンネームに「幸」が付く5人の作家が
幸せをテーマに書き下ろした短篇小説集。



                  (PHP研究所HPより)



どの話も面白かった。
幸せをテ-マにしているので、ほんわか温かい気持ちになれますが・・・・
初読みの真梨さんの作品 「ハッピ-エンドの掟」は、ちょっと異質でした。
幸せを妬む側の怖さが表われていた作品。

「Weather   伊坂幸太郎」
友人の結婚披露宴に招かれた男。
レストランでのカジュアルな形式での会場で、同じテ-ブルには新婦の友人たち。
彼女たちと会話をしながら、新郎新婦の様子を気にしている。
新婦は高校時代の元カノ。
披露宴のラストは感動でした!


「天使   山本幸久」
77歳の福子は、スリ師。
戦後間もないころは、家族を失った子どもが行き抜くには盗みをするしかなかった。
そして13歳のときに出会った一つ目金治にスリの技を伝授され、金治が亡くなるまで一緒に過ごした。
あるひ、ショッピングモ-ルでスリの手伝いをさせられている9歳の男の子・タカシと出会う。
タカシの姉・カホも母親の恋人にスリをさせられている。
二人のためにある行動に出る。
ラストはちょっと哀しいけど、ジ~ンとした。


「ふりだしにすすむ   中山智幸」
りりこは、突然、見知らぬ60過ぎの男から、名前を呼ばれ「ぼくはきみの生まれ変わり」と告げられる。
薄気味悪さを感じるが、再び男と会い、話をするうちに男のいうことを信じていく。
ラストは事に真相に気づき、そういう事だったのかぁ~!!
巧いなぁ~と感心。
良い話でした。


「ハッピ-エンドの掟 真梨幸子」
アイコは母子家庭。母親はホステス勤め。
貧しい暮らしいつもひとりぼっちだったが、母親が結婚を決め幸せな暮らしが出来そう。
それを見ている隣に住んでいた女の子がアイコに告げた言葉は、アイコを震撼させる。
怖いなぁ~この話。
ずっと幸せな話が続いていたのに・・・・・ゾ~ッ。
でもきらいじゃない(笑)


「幸せな死神   小路幸也」
バ-でお酒を飲んでいた帆奈は、隣の男性にあやまってウイスキ-をかけてしまった。
そしたら、その男性は自分のことを死神だという。
死神は人が死ぬのを看取るのが仕事で、それをずっと続けるのだという。
死神もこの仕事を始めて人間でいうところの95年だと。
人の誕生をみることがないという死神に帆奈はそれを見せてあげたいと思い、実現させる。
これも凄くよかった!!
やはり小路さんいいな~。
この話が一番すき。


巻末の解説も面白かった。
この本が出来上がるまでの経緯とか。
へ~なるほど~なんて最後まで楽しめました♪


★★★★★
 
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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