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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2019年8月

芸術にすべてを懸けた男たちの、罪と罰。
エンタメ界のフロントランナーが渾身の力で書き上げた、
慟哭のノンストップ・ミステリー!

「世界のホンダ」と崇められるカリスマ芸術監督率いるダンスカンパニー。
その新作公演三日前に、主役が消えた。
壮絶なしごきにも喰らいつき、すべてを舞台に捧げてきた男にいったい何があったのか。
“神”に選ばれ、己の限界を突破したいと願う表現者たちのとめどなき渇望。
その陰で踏みにじられてきた人間の声なき声……。様々な思いが錯綜し、激情はついに刃となって振るわれる。

『火のないところに煙は』で本屋大賞ノミネート。
『許されようとは思いません』続々重版中。
もっとも次作が待たれる作家の、実に2年ぶりの長篇大作!

                 (文藝春秋HPより)


なぜ、主役のダンサー藤谷誠は消えたのか?
その真相は最後にわかるのだけど、そこに至るまでの物語が
面白い。
バレエは全く知らないけれど、ダンサーたちの表現することへの努力が
凄い。
それを指導する誉田は、冷血なかんじでダンサーたちを極限まで
追いやる。
でも、そうしないと納得した表現が出来ないんだろうな。
表現者って凄い。


失踪した主役の代役には、尾上が選ばれ、厳しい練習の日々。
主役に選ばれた嬉しさより選ばれてしまったことでの苦しみの方が
大きいんじゃないか?大丈夫か?と読んでいて心配になる。
誉田の容赦ない指導。

もう一つの物語も同時に進行。
失踪した誠の弟(父親は違うのだけど)・藤谷豪の話。
父親がフランス人。画家であり、今回の「カイン」の舞台にも
豪の絵が使われる。

豪に振り回される恋人の皆元有美の語りで豪の人間関係が
わかっていくけど、なんだかよくわからない人物。


終盤、失踪していた誠が現れ、なぜ姿を消していたのかも
語られる。

表題の意味も・・・なるほどね。


最後に主役が現れて、代役として練習に励んでいた尾上が気の毒過ぎると
思ってたが、無駄にならなかったとわかったのは良かった。

誉田、冷たくて嫌な奴と思っていたけど案外、良い人だったのか?

なかなか面白かった!


                 ★★★★



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発行年月:2019年12月


月刊『なごみ』の連載(2017年7月〜2019年6月)「能楽ものがたり」をもとに加筆。能の曲目のストーリーを下敷きにした8編の時代小説集。「やま巡り─山姥」「小狐の剣─小鍛冶」「稚児桜─花月」「鮎─国栖」「猟師とその妻─善知鳥」「大臣の娘─雲雀山」「秋の扇─班女」「照日の鏡─葵上」。

                  (淡交社HPより)


能は、まったく知らないけれど、読みやすく、後で元の話を調べて読んだ。

人間の色々な感情を舞いで表現する様子を実際に見てみたいなぁ~。

やはり表題作の<稚児桜  -花月ー>が印象的だった。
親に売られてきた少年たちのなかでも花月は、その可憐さで稚児として
清水寺門前の者たちから特に可愛がられていた。
けれど、寺男や自分より年下の稚児たちには意地悪。

ある日、花月の父親らしい男が息子を引き取りたいと訪ねてくるが・・・


花月は、どんな思いで父親らしき男との別れを選んだんだろう。
切ない。
自分を捨てた親を今度は自分が捨てる。

そして同い年で稚児暮らしに全く馴染まない百合若を自分の代わりに
父親に引き合わせる企ては、なんとも賢い。

花月なら、きっと上手く世渡りしていくんだろうなぁ~。


澤田さんの短編集、面白かった!


                       ★★★★



発行年月:2019年3月


将門という男は、なぜかくも激しく不器用なのだ!音楽に取り憑かれ、「至誠の声」を求め旅に出た仁和寺の僧・寛朝。荒ぶる坂東の地で出会ったのは、古き法に背き、ならず者と謗られる人物だった――。土豪、傀儡女、群盗……やがて来たる武士の世を前に、混迷を生きる東国の人々。その野卑にして不羈な生き様に接し、都人はどんな音を見出すのか。父に疎まれ、梵唄の才で見返そうとする寛朝逆賊と呼ばれても、配下を守ろうとする将門下人の身にして、幻の琵琶を手にせんと策略を巡らす千歳「至誠の楽人」の名声を捨て、都から突然姿を消した是緒己の道を貫かんともがく男たちの衝突、東西の邂逅を、『若冲』『火定』の俊英が壮大なスケールで描き出す!

                     (中央公論新社HPより)


平将門の乱の時代背景に生きた男たちの不器用ながらに一生懸命さが
哀しく感動的だった。

主人公は22歳で京都から常陸国を目指す僧侶の寛朝。
従僕の千歳と共に・・・

寛朝は。己の梵唄を究めたく、一度耳にした朗詠に魅せられ、教えを乞いたいと
思う、豊原是緒の元へ。
千歳もまた是緒の琵琶に魅せられ自分の手にと思っている。

常陸国分寺に着く二人だが、是緒は心慶と名乗り、唄からは離れてしまっている。
そして琵琶はあやこという盲目の傀儡女に譲ったという。

寛朝は、やがて平将門と会う。
将門の娘・うそから慕われ、唄をうたう。

また将門と敵対する平貞盛とも寛朝は会う。
貞盛を慕う、傀儡女のリーダー的存在の如意も将門を酷く憎んでいる。


それぞれの気持ちを知る寛朝は、やがて乱世の渦中に巻き込まれることに。

戦いの場面は壮絶で、息苦しいほどの迫力だった。

寛朝が主人公だけど、一番、印象的だったのは、名声を捨て僧侶として己の
過ちを悔いながら生きた是緒(心慶)。
大切な琵琶をあげた、あやこを想う気持ち。
あやこの壮絶な最期は辛かった(/_;)。


読み応え満点の澤田さんの作品、次回も楽しみです!



                        ★★★★★




発行年月:2019年6月

気鋭の歴史作家が描き出す、聖武天皇の真実!756年、大仏建立など熱心に仏教政策を推進した首(聖武)太上天皇が崩御する。道祖王を皇太子にとの遺詔が残されるも、その言に疑いを持った前左大臣・橘諸兄の命を受け、中臣継麻呂と道鏡は、密かに亡き先帝の真意を探る。しかし、ゆかりの人々が語るのは、母君との尋常ならざる関係や隔たった夫婦のありよう、御仏への傾倒、迷走する政……と、死してなお謎多き先帝のふるまいや孤独に沈む横顔ばかりで――。伊坂幸太郎、朝井リョウをはじめとする人気8作家による競作企画【螺旋プロジェクト】の1冊としても話題!

                     (中央公論新社HPより)



巻頭の天皇家と藤原家の系図を何度も見て、なんとか読了。
名前が難しい^^;


聖武天皇が崩御してから、始まる、色々な人が語る天皇のこと。
藤原家と天皇家の両方の血を受け継いだ、聖武天皇。
ゆえに、藤原家の母・宮子(父は藤原鎌足)を忌避する。
が、死の直前、母の夢をみる。
母の血を忌避してはいたが、母への恋慕が見せた夢では?と自らも思う天皇。

なんだか哀しい。

死ぬまでそのことに心を砕き、仏教に傾倒していったのも心の安らぎを求めての
こと?


また聖武天皇の妻・光明子の苦悩も語られ、天皇の嫁ぐということは
次ぎの天皇を産む重責を負うことだというのも、また大変なこと。



こういうの読むと、一般庶民でよかったとつくづく思う。
今の天皇家の方達の姿も思い浮かべてしまった。



螺旋プロジェクト。
「海族」と「山族」の対立をテーマに色々な作家さんが書いていますが
今回は、国を治める山の如き皇族とその稜線を洗う海の如き藤原家を描いている
物語。


読むのが、なかなか大変だったけれど、聖武天皇について色々、学べました。



                        ★★★★
 



発行年月:2018年9月


 大きな人生なんてない。
ただ、小さな幸せがあるだけ――。


謎めいたマスターが旨い酒を出す、四つ木銀座にある風変わりな飲み屋「銀河食堂」。そこで常連客が語るのは、ささやかな人生を懸命に生きた無器用な人たちの、不思議で切ない物語。感涙の連作長篇。

ひとり静かに亡くなっていたお婆さんは、実は昭和の大スター・安斉美千代だった。愛した人を待ち続けた彼女に、死の1週間前に届いた手紙に書かれていたのは……。「ヲトメのヘロシ始末『初恋心中』」
2000枚のSPレコードから探し当てた「兄が最後に聴いた曲」に込められていたのは、あの戦争で飛び立った青年と妹の、真っ青な空の下の切ない別れの物語。「むふふの和夫始末『ぴい』」
ほか、「オヨヨのフトシ始末『七年目のガリバー』」「マジカのケンタロー始末『無器用な男』」「まさかのお恵始末『ちいさな幸せ』」「セロ弾きの豪酒」、全6篇。

                     (幻冬舎HPより)



銀河食堂・・・食堂と言っても居酒屋。
寡黙なマスターは毎日、店内にチェロを飾る。

常連客たちが毎夜、来店して色々な人の話をする。

主な客は
警察官のヒロシ(通称・ヘロシ)
蕎麦屋のテル
コンピューター管理会社勤務のブン

3人は、小学校時代の同級生。
そこに郵便局員の息子・フトシ(3人の少し後輩)
民生委員だった志野(通称・ガリバー)。


よく来る女性2人、恵子とさおり(2人も同じ小学校出身者)。


地元ならではの共通の話で、知らなかった者同士もすぐに親しくなるという
楽しい居酒屋。

話のなかには、結構、切ない人情話もあるけれど、語りが、さださんの独特な
言い回しなので、暗くならずにいい感じ。


最後の話は、寡黙なマスターの素顔が少しわかる話。

人の縁の不思議。

面白かった!


                       ★★★★

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