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読んだ本の感想あれこれ。
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51UZn9brltL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2013年1月


出口なし、人生も台なし! ローン地獄、建替え問題、娘の将来……「住」に翻弄される家族の真っ暗な現実を描く長篇小説。

バブル崩壊前夜、都心から1時間の分譲団地を購入した織部家。広大な敷地には緑があふれ、「ニュータウン」と持て囃されたが、築30年を越え、妻の頼子は理事会で建替え問題にかかわる。が、住民エゴで理事会は紛糾、娘の琴里は資産家の男とつきあい、一家は泥沼から脱出を試みるが……。社会問題を炙り出す気鋭の長篇エンターテインメント。

                                         (新潮社HPより)



織部家は前途多難・・・・うぅ~暗い話だ・・・・と冒頭から思った。
分譲団地の資産価値が急落し、住民の間で持ち上がった、建て替えにして新たな住民を呼び寄せようという意見が多く出てきた。

団地内の自治会役員になり、会合に出るたび、建て替え問題、賛成派、反対派の意見は平行線。
役員の一員である、織部頼子は、頭のなかで、建て替えされたら即、売ってしまうのもいいか?と考える。

その建て替え問題と平行して進む・織部家の長女・琴里(27歳)の話。
中学時代、同じ分譲住宅内に住んでいた同級生の坂本三起子と小川朋美。

3人で会う約束をしたが、朋美が来られず、三起子はイケメンの彼・黛環を連れてきた。
戸惑う琴里だが、ひょんなことから、黛とデ-トすることに・・・・そして三起子は別の男と海外へ行き、結婚したと後日、黛から聞く。
黛の実家は代々続く資産家でありことが判明。
黛は働かなくても、不動産を管理しているだけで食べていけるそう。

そして、黛からしつこく付きまとわれることになる琴里。
黛の本性が段々と分かってきて、お金持ちでも自由がないのは我慢できないと、別れを切り出す。
黛みたいな人が居たら、イヤだな。

悪い人じゃないかもしれないけど、自分を過大評価している姿が滑稽。
後半、黛の同級生から明かされた彼の本性を知って・・・ああ、なるほどね~と納得。

でも、その黛をうまく利用したのが朋美。
本性を見破ったうえで、それを利用して自分の夢を叶えてしまったのは、凄い!
マネできないけど、こういう選択もアリかな?


最初は、お先真っ暗な織部家だったけど、最後は、なんとか明るい展望も見えてきてホッ。
垣谷さんのお話は、最後にちょっと救われるから好き♪


★★★★


 
PR
31lm6cHA3hL__SX230_.jpg    発行年月:2013年1月

  
    芥川賞受賞! 75歳の「新人女性作家」鮮烈なデビュー作

    蓮實重彦・東京大学元総長の絶賛を浴び、
    「早稲田文学新人賞」を受賞した75歳「新人女性作家」の、
    若々しく成熟したデビュー作。


                          (文藝春秋HPより)



芥川賞受賞の表題作「abさんご」は、ひとりの子どもが成長するまでの話。
「昭和」の時代の懐かしいかんじが読んでいる間、心地いい。
内容は・・・・よくわからない。
大して重大なことが起きるわけでもなく・・・日常のひとコマひとコマを描いたようなかんじなので
ちょっとエッセイのようなかんじもした。
物語を楽しむよいうよりは、文章を愉しむというかんじで、こういう文章には、今まで出会わなかったので、
なんだか新鮮でした。

それに比べて・・・表題作のほかの3篇
「鞠」
「タミエの花」
「虹」
は、タミエという同一人物が主人公。
幼いころの話では、なんだか懐かしい遊びも出てきて微笑ましい。
けれど・・・最後の虹で明かされるタミエの告白には、ビックリ!!
全く想像しなかったラストでした。


ちょうど中ほどにある「なかがき」が、面白かった。

これがデビュ-作ということですが・・・ず~っと文章を書き続けて来た方なんですね。

好きか嫌いかを問われたら、割と好きな文章ですが
万人受けはし難いかも・・・・。



 

★★★



 
    
512jeNr8RUL__SX230_.jpg    発行年月:2012年4月
 


    温泉。それは地上最強のパワースポット。
    心も体もあったまる。
    わたしは、自分が凍えていたことに、気づく。

卒業したら、家は出る。
それ以外、未来は何も決まっていないけれど、人生なんとかなるんじゃないか。
わたしには、地上最強のパワースポットがある。

息が詰まるような日常にも、きっと風穴があく。
極上のガール・ミーツ・ボーイ・ストーリー!


                                       (光文社HPより)


お風呂大好き。
銭湯大好きの女子高校生・大島柚子。
友達がスィーツのお店に寄ろうと誘っても、お風呂に入りに行く日だから・・・と断って・・・・

小学校の時から一人で通っている銭湯・松の湯。
そこで会う、おばちゃん・平松さんとは仲良し。

最初から変わった設定。
銭湯・・・・懐かしいなぁ~。と思いながら読み始めたけど、途中から急展開。
お風呂以外のことは、どーでもよかった柚子の前に現れた男性・瀬田川福一。

短期間のうちに、どんどん二人の関係が急接近!
将来設計まで出来ちゃって・・・・・

うまく行き過ぎでしょ?と思ったけど、面白かったからいいでしょう。

あぁ~温泉に浸かりたくなってきたなぁ~('∀`)


                                       ★★★



61vWeP1u6qL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年10月

彼女の本当の名前とは何か?圧巻の物語世界

ふたつの小説が、フォークナーの「野性の棕櫚」のように、交互に語られていく。
第一の小説「彼女の本当の名前」は、崩壊してしまったあとの、近未来の世界で生き残ったふたりの十代の男女が主人公。少年の名前はオサム、少女は「ギギ」と少年から呼ばれている。彼女は言葉を話すことができないが、その分、感覚が優れている。ふたりは、「アトム」と呼ばれる煙草などの稀少品をほかの食べ物と交換するために、住処にしていたビルの廃墟から、「耕す人」が棲息する冬の山のなかへと分け入っていく。結局、「耕す人」は見つからず、ふたりは遭難するも、猟師の老人に命を助けられる。狩りに出て、食料を自足する生活。しかし、ある日、老人が熊との格闘の末、命を落とす。ふたりはさらに生き延びるために、小集落を訪れるが、ある理由から、都市部へ戻る決意をするが・・・。
 第二の小説「愛についてなお語るべきこと」は、旅先で消息を絶った息子・理を捜すためにタイの地を訪れた小説家・辻村に、一夜を共にした現地の謎の美女、そして彼女の同伴者の日本人カメラマンが絡み、ロード・ノベルのようにして話が進んでいく。しかし、ある日、原因不明のウィルスの猛威により、事態は急転する。
第一の小説は、第二の小説で描かれる世界が「Xデー」を迎えたあとの様子を描いているようにも読める。また、第二の小説で登場する小説家が、その後に描いた小説内小説のようなものとしても読むことができるなど、互いにリンクしています。


                                      (小学館HPより)


全く異なる二つの話が、少しずつリンクしていることに気づく。

1つ目の話は近未来の荒廃した世界を二人で行き抜く少年とギギの話。
少年の名前が「オサム」年齢は15歳くらい。


タイに行ったきり、音信不通の息子「理」を探してタイを訪れた小説家・辻村の話。


リンクしているけれど・・・・「オサム」と「理」は、同一人物ではないでしょう。
年齢からして・・・・。

それでも、少年が体験することと辻村が体験していくことは、どこか似ている。
出会っていく人々も。


表題は、「愛について、なお語るべきこと」だけれど、ストレ-トな恋愛小説ではなく
もっと大きな生きていくことに直結していくような「愛」について語られていたような気がした。

著者の哲学的な考えに基づいた物語のようにも感じた。


現代社会のなかに起きたテロ事件や新型インフルエンザの流行、原発事故などを想像させるようなものも出てきて、今の時代のあとが、ここでの少年とギギの暮らす世界を描いているのか?と考えるとちょっと怖くもなった。

やや難解だけれど、自分なりの解釈をしながら楽しめた作品です。


                                          ★★★★



 

41vZUsSvVvL__SX230_.jpg    発行年月:2012年7月


    裕福だった過去に執着する母と弟。
    家族から逃れたはずの奈津子だが、突然、夫が不治の病にかかる。
    だがそれは、奇跡のような幸運だった。
    夫とめぐる失われた過去への旅を描く著者最高傑作。


                             (河出書房新社HPより)




芥川賞受賞作品「冥土めぐり」と「99の接吻」の二編を収めた本書。

どちらも何か薄ら寒いような家族の物語でした。

「冥土めぐり」は、結婚後、四肢あ不自由になった夫・太一と共に、かつて両親と弟と訪れた高級リゾ-トホテルへ向かい、その旅を通して振り返る昔の家族のこと。
そしてこれからのこと。
元スチュワ-デスの母親と元一流企業の社員だった父親の結婚は、華やかな生活が続くと思われたけれど、やがて父親の発病と死を迎え、夢のような生活が一転するが、自分でその状況を何とかしようとはせず、娘の奈津子に頼りきり。
弟も似たようなかんじ。
理不尽な目に遭いながらも奈津子は淡々としている。
そして同じく突然の病で理不尽な生活を送ることになった太一と暮らし
太一自身は自分の状況に理不尽さを感じる風でもなくその日、その日を生きていることに気づく。
電動車椅子に乗れるようになったことを喜び買い物にも楽しく出かける。

本の解説にある奇跡のような幸福?
この状況をそう呼べるのには、何か悟りのような崇高な考え方が出来る人じゃないだろうか?

う~ん、なかなか深いかも。


もう1編の「99の接吻」の方が、幾らか理解できた。
3人の姉と母親と女ばかり5人で暮らしている末っ子・奈奈子の視点で語られる話。
奈奈子は姉たちを同様に愛していて、その姉たちが惹かれる違う町から越してきた「S」という男に
敵対心を抱きながら、姉たちと「S」の成り行きを観察している。

この家族もちょっと変わってる。
女同士でお酒を飲みながら性的な話題で盛り上がる。
母親もアッケラカンと経験談を語る・・・・・う~キモチワルイ。

ずっと仲良く女同士で暮らしていくのかな?


二編のお話それぞれが、似たようなイヤ~なかんじ。
文章はなかなか読みやすく、嫌なかんじなのに、ほかの作品もちょっと読んでみたくなる
不思議なかんじの読後感。


★★★
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