小説家・鈴木タマキは、今は故人となった、緑川未来男が残した私小説と言われる「無垢人」に登場する緑川の愛人とされる○子の謎を追いながら自身の小説「淫」を書き上げようとしている。
小説「OUT」から10年。
「OUT」は、読みました。
確か、お弁当工場に勤める主婦の一人が犯した殺人を、みなで切り刻んで処分する話。
映画化もされたけど、映像でそれをみる勇気なく、未だに見ていませんが・・・・^^;
小説の内容は衝撃的でしたが、面白かった。
その関連本かと最初、思って手に取りましたが、全く別の物語でした。
「IN」は、人間の内面の葛藤というか、外からは予測できない事柄を書いている?
物語には小説家が複数出てきます。
過去の作品「無垢人」で、自分の私小説(といわれる)作品を残した緑川未来男。
緑川の妻で専業主婦から、童話作家として世に知られることになる千代子。
○子も作家・三浦弓実だと言う話も出てきて、その三浦弓実を師事していた村上貞子も作家。
ほかにも・・・兎に角作家ばかりが登場してくる。
作家の周りには、こうも作家ばかりが集まるものなのか?
途中、少々、混乱しながらも・・・・話が面白いので読み進めました。
緑川の私小説とされる「無垢人」の○子は誰?を元に取材を重ねるタマキも妻子ある編集者・阿部青司と別れたり、よりを戻したりを繰り返す。
自身も夫と子どもが居るのに・・・。
緑川の「無垢人」に実名で登場する人たちとその複雑な関係。
タマキの私生活のW不倫の顛末。
両方を交互に読ませる小説で、なかなか興味深かったけど、少し疲れたかな?^^;
登場する人たち、それぞれがインパクト大の人たちでした。
しかし、これを読んで思った!
小説家の家族(特に妻や夫)、恋人って大変だな~。
私小説なんて言われる物が出ると周囲はそれが事実なのか偽りなのか、知りたがり、そこに実名を出された小説家の家族や恋人にも興味の対象が及ぶですから・・・・。
文中のタマキの言葉
<真実は、真実ではないからです。真実と思えたものを書いた時点で、それはフィクションになります。それを知っている作家は、真実と思えるものを魅力的に、そして面白くします。そのためには、真実に間違われるフィクションが必要なのです>
これ、すごく印象深かった!
桐野さんの持論かな?
小説家が小説家を書くこの小説、なかなか深いものがありました!
面白かった!!
★★★★
発行年月:2008年10月
パリに暮らす一人のおばあさん。
ユダヤ人のおばあさんが、過ぎ去った昔を思い出しながら現在の日常を静かに語る。
フランスで20年以上読み継がれている絵本を、長くパリで暮らしている女優の岸恵子さんが初めて翻訳。
大人のための上品な絵本。
表紙の絵は、少し暗い色調ですが、中の絵は可愛らしいです。
ユダヤ人の歴史をあまり知らないので、この主人公のおばあさんが若い頃、どれだけの苦労をしたのか想像するのは、難しいのですが、大変な想いをきっと沢山したことでしょう。
しかし、その悲惨だった頃に対して、誰かを恨むとか全くなく、老いて若い頃のようにいかない事も多いけど、それについても一切の愚痴を言わない。
すごく我慢しているのが見えたら、可哀相と思ってしまうのだけど、このおばあさんは、笑顔がとても素敵で幸せそうに見える。
老いるって、今の自分には、ちょっと怖いなという部分もあったけど、これを読んでいたら、なんだか、少し年を取っても別に幸せでなくなるわけではないのだし、明るく日々を過ごせたら、それで十分なんだなぁ~なんて感じました。
本の形もちょっと縦長で面白いです。
柔らかいタッチのイラストがまた本を一層、素敵にしてくれていて、でも、やはり岸さんの訳が素晴らしいからこそ、この本の良さが伝わってくるんでしょう。
最後の岸さんの あとがき の文も素晴らしい!!
女優さんとしてだけでなく、こんな素晴らしい才能もあったのですね。
今まで知らずにいました。
翻訳は過去にもお話があったそうですが、全て断っていたとか。
ただ、この絵本の訳は是非、やりたくて、OKしたのだそう。
岸さんは、他にもエッセイなど書かれているようなので、是非、岸さんの書かれた文章をもっと読んでみたい!と思いました。
この絵本はお薦めです!!
★★★★★
増加する若年齢層の自殺を防ぐため、
政府は青少年自殺抑制プロジェクト(YSC)を
立ち上げた。
しかし、そのYSCの実態は、実に恐ろしいもの。
小学生~中学生の子ども達には、人気の作家さんみたいですね。
我が家の娘たちもよく読んでいます。
何がいいのか?探りたくもあり、「お薦めがあったら教えて」と、この書を薦められ読みました。
が・・・・わたしには、正直、この作品は、得るものが無かった・・・苦笑。
子ども達が、面白いという意味は、なんとなくわかりましたが・・・。
話の題材は、なるほど、なかなか面白いと思います。
若年齢層の自殺を防止するための、プロジェクトYSC.
その実態は、実に残酷なものなのですが、まあ、そういうのも物語としては良しとしましょう。
しかし、なんとなく矛盾だらけなのです。
冒頭で、そのプロジェクトにより、自殺者減少の確かな効果が表れているとありますが、
この残酷なプロジェクトによって得られたものは、どう使われているのか?
そして、効果があると思われるのに、更にこのプロジェクトを続け、それにより新たな犠牲者を出すのは何のため?
どうも、その辺が、わたしには引っかかり、なんとか最後まで読み終えましたが、正直
「おもしろかった」とは思えませんでした。
しかし、この本の主人公たちと同年齢の子ども達が「おもしろかった」というには、やはり大人には解らない何か魅力があるのでしょうね~。
以前、読んだ「その時までサヨナラ」は、まあまあ楽しめるものだったので、あのような酷な部分もあるけど、何処かで救いのある物語なら、また読んでみたいな。
これは、あまりにも酷な部分ばかりで・・・・^^;
天明六年、江戸を襲った大雨の夜、甥の定次郎を何者かに殺された立原周乃介は、その原因を調べていくうちに、定次郎が米問屋柏木屋のことを探っていたことを知る。柏木屋の主人、仁三郎にはどうにも後ろ暗い過去がある。核心に迫る周乃介の周りで、不穏なことが多発するようになり--------。
鮮烈のデビュ-作、時代劇ミステリ-登場!
(本の帯文より)
北氏の書は、これで3冊目かな?
やはり時代小説の方がいいなぁ~。
話がわかりやすいので、容易に物語の世界に入り込めます。
最初から、何者かに殺される男の描写。
その殺された男の叔父にあたる男・周乃介が事件の真相と犯人を捜すミステリ-仕立て。
江戸の町の風景もすんなり頭に描写として浮かびます。
長屋暮らしの庶民。
歴史的背景としては田沼意次が罷免され、将軍・徳川家定が没する時。
そして、江戸の各地に起こった大水害。凶作による米価高騰。
そんな時代に庶民が受けた諸々も物語のなかで出てきます。
冒頭で殺された男・定次郎もそんな幕府の大きな変革に巻き込まれたよう。
定次郎と恋仲だった遊女の「沙羅」がなんとも不憫。
遊女になった経緯も、なんとも哀れ。
しかし、どこか落ち着いた品のある佇まい。
甥の定次郎と惹かれあった仲だが、甥の死の真相を追ううちに沙羅とも出会い、周乃介自身も沙羅に惹かれる。
そして、沙羅も。
最初は、定次郎の仇を討って欲しいと願っていたが、やがて周乃介が無事でいてくれる事を願うようになる。
そんな二人が、一時は幸せそうだったのが、少し救いだったかな?
沙羅もその瞬間はきっと幸せだったでしょう。
でも、切なかったなぁ~。
ラストはハラハラドキドキ。
この方の時代物は、やはり素敵!(まだ、これで時代物は2作目ですが・・・^^;)
これ、映像化しても十分、面白そう。
祗園祭宵山の一夜に繰り広げられる6つのお話。
お祭の賑わいのなか、読者も共に不思議な世界に迷い込む。
森見ワ-ルド全開の面白さ!
表紙の絵が、物語の雰囲気にピッタリ!
6つのお話は別々のようで、同じ祗園祭宵山という共通の時間に起こった話。
登場する人々も少なからず関係していて、繋がっている。
京都の祗園祭は、日本三大祭りにも数えられるものですが、実際に見たことはありません。
これを読むと、祭りの賑やかなかんじが目に浮かぶよう。
京都という土地柄もあり、森見氏の今までの物語にあった、どこか懐かしいような不思議な気分も味わえました。
先ず最初の話で、バレエ教室の帰り、幼い姉妹が迷い込む、別世界に連れ去られそうな不思議な体験。
その後も何やら不思議なものが登場。
超金魚だったり、宵山様など。
偽祗園祭りを作る計画の祗園祭司令部の仕業なのか?実際に起こっている出来事なのか?
グルグル時間も戻ったり、先に進んだり・・・・・
まるで、この物語自体が万華鏡のようでした。
楽しい!楽しい!
森見さんの今までの作品の中では、一番好きかも!
まだ森見作品は読んだ事ない方にもぜひぜひ、読んで欲しい!
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
