私はまだ“本当の自分”と出会っていない
女として人生が終わる前に性愛を極める恋がしてみたい。
35歳脚本家・高遠奈津の性の彷徨が問いかける
夫婦、男、自分自身
(文藝春秋HPより)
発売当初から話題の書でしたね。
図書館予約でも結構、待ちました。
表紙写真(?)に、まずはビックリ!
これは人前で読むときには膝に表紙を置いて読まなきゃ^^;
肝心のお話は、脚本家の奈津は元ドラマ制作に関わっていた夫・省吾と子どもは居ないが二人で仲良く暮らしていた。
今は家庭の雑事を全て引き受け、仕事に没頭出来るようにしてくれる夫には感謝しつつも奈津の書き進める脚本については、昔同様、一番にチェックし、厳しい評価を下すのが常で、それについて不満がある。
しかし、争い事を抱えるのがイヤで夫に管理され束縛されることに辟易しているのも関わらず、穏やかな夫婦関係を保とうとしている。
そんな葛藤のなかで、自身の師と尊敬する、演出家の志澤一狼太と会話(メ-ルが多いけど)するうちに、やはり自分はこのままではダメだ。
志澤に言われた
「穏やかな生活を続けるうちは、大した作品は生まれない」の通りなのでは?と
ついに夫に本音をぶつけ、夫の元を出奔。
それからの奈津は凄かったなぁ~。
志澤との性愛シ-ンもかなり激しかったけど、これは激しすぎて、逆に色っぽくなかった^^;
でも、その後、大学時代の先輩・岩井、元精神科医の僧侶・祥雲、俳優の大林
と次々に・・・・
村山さんの作品は、過去に数冊読みましたが、どちらかというと清純物語。
こういう作品は書かない人だと思っていたので、驚きです。
主人公の奈津は脚本家。
どうしても著者本人の経験によるもの?主人公=著者のイメ-ジを読み手は頭に浮かべてしまう。
そういう事を勿論、覚悟のうえでの作品なのだと思うと、その事に対して敬意さえ覚えてしまう。
奈津のように、次々と性愛を求める女性について、共感出来ないけど卑下する気持ちは全くないです。
奈津も自分自身のなかにある覚悟を持って行動している事ですから。
潔さみたいなものも感じました。
いや~恐れ入りましたというかんじです。
賛否両論ありそうですが、わたしはこの作品、すごく良いと思いました!
これからの作品も今まで以上に期待したい!
★★★★
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開業医として働く月川夏子は、大手出版社社長の智之と結婚して7年。
夫の前では、愛されるしっかり者の妻を、智之と亡き先妻との娘・りえの前ではおおらかな継母として頑張ってきた。
しかし、ある日、りえの親友の兄という青年・旬に出会い、自らの心の中を見つめ直すことになる。
読売新聞掲載小説
結構、厚い本でしたが、読み始めたら一気に読み終えました。
主人公の夏子は45歳。
先妻との娘・りえは大学院生で、婚約者がいる。
娘が婚約者と、最近仲良くなった女友だちとその兄を連れて家で家族が集まる場面からスタ-トする物語。
たわいもない楽しい会食のなかで、ちょっと変わった雰囲気を漂わせる娘の親友の兄・旬。
美しい容姿だが、どこか寂しげな影のようなものを感じる。
予想どおり、この物語はやがて、旬と夏子の関係に焦点が置かれて行くわけだけど、その周りの家族にもやや不穏な展開が・・・・。
旬という青年の育った生い立ちには、切ないものがあり、自分の中にどこか空虚感を抱いている。
夏子は、当初、そんな旬の様子に警戒感を持つが、言葉を交わすうち、自分のなかにある封じ込めていたような思いに気づかされた様子。
夫の亡くなった先妻と、その娘の存在。
自分の家庭でありながら、どこか自分の本当の居場所とは違うような違和感を時々、感じること。
そんな気持ちを旬には見透かされているような恐れ。
旬の起こす行動は、途中から異常なものになるけど、それも本人にとっては、切実な対処方法だったのか?と考えると、ちょっと母性本能を刺激されちゃう面もあったり・・・。
夏子と同年代のわたしには、彼女の行動などが理解出来るものであったので、最初から最後まで感情移入しちゃいました^^;
でも、今回のお話は、新聞の連載小説だったせいか、性描写はとても控えめ。
それもかえって良かった!
★★★★
地方都市の映画館でアルバイトを始めた恵介。そこで出会った映写技師の杉本ルカは、外に一歩も出ることなく映写室で生活しているらしい。バイト採用の条件は不可解な三つの約束を守ることだった。
一、ルカの過去について質問してはいけない。
二、ルカは月曜日になると神経質になるから、そっとしておくこと。
三、ルカとの恋愛は禁止。
(本の帯文より)
先日読んだ、「空をつかむまで」が良かったので、同じ著者のほかの作品も読みたくて、図書館の棚にあったのを借りてきました。
主人公の恵介は、教師になる夢を持つ、大学生だが、学費が払えなくなる事情により一時休学として学費を稼ぐためアルバイトを始める。
時給1500円という魅力的な金額で決めたアルバイトは、映画館の映写技師の手伝いをするものだった。
その映写技師は、自分と同じ年齢21歳のルカ。
他の従業員の話では、3年間、外に出ず、映写室で生活をしているのだとか。
彼女の過去には何が?疑問に思いつつも最初の約束項目にあるので、聞けず・・・。
映写技術を少しずつ学ぶ恵介。
ルカとの関係は、いろいろ指導してくれるルカに対しては「技師長」と呼び好意を持ちつつも節度ある態度の恵介。
その真面目で、人を思いやる気持ちの良さが心地よく、ルカも仕事面でも人間としても信頼をおくようになる。
そして、ルカも恵介に対して好意を抱く。
でも・・・そんな良い感じのところで、ルカを傷つけたウルシダレイジが登場。
この男が、嫌な人で・・・・
外見はモデル並で頭も悪くないそうですが・・・最低な人なのです。
思い出しても怒れる!
ちょっとワケ分からないうちに存在が薄くなったのは、嬉しいけど
「あれ?」って少々思いました。
執念深い奴なら、今後また現れるんじゃないかとドキドキしていたのに・・・。
ま、いいか?出てこられると腹立つし(笑)
ルカが最後、劇的な嬉しい変化を見せてくれたところは、感動でした!
恵介が言ったように
この人とだけはわかり合いたいと思って、必死に手を伸ばしたからこその行動なんでしょう。
ハッピ-エンドでよかった♪
★★★
東京でカメラマンとして活躍する弟。
実家に残り、家業と父親の世話に明け暮れる兄。
対照的な兄弟、だが二人じゃ互いを尊敬していた、あの事件が起きるまでは・・・。
著者、監督による同名映画『ゆれる』を自ら小説化した作品
(本の帯文より)
少し前に映画を先に観ています。
この本の表紙写真を観るだけで、映画でみたこの橋の上での情景が浮かんで来るよう。
小説は、映画とほぼ同じでしたが、真反対のような性格で、周囲にも子どもの頃の評価も
兄は細かい気遣いの出来る優しい人間。
弟はいたづらばかりしているヤンチャで乱暴者。
稼業のガソリンスタンドを継いだ兄とやりたい事を求めて東京に飛びだした弟。
何年も実家に戻らなかった弟だが、母親が亡くなり、法事で帰り、久しぶりに兄弟は顔を合わす。
兄弟それぞれに対する想いは昔と変わらず、お互いの今を、それぞれが認め尊敬もしている。
が・・・そこに第三者である幼なじみでもある智恵子が加わることにより、兄弟がそれぞれに抱く心の奥深くにあった物が動き出す。
兄がずっと自分の気持ちを押し殺して、いつも穏やかにいたのかと思うと、人って怖いな~なんて思ってしまう。
こういう人間に、気がある素振りの欠片でも見せるのは、危険だ。
そう思うと、美智子には気の毒だが、ちょっと非はあったのかも。
映画を見た時にも感じたけど、ラストは、一見明るいけど、なんとなく胸の奥がモヤモヤした読後感でした。
そういうラストもこの物語のラストとしては、ピッタリで、
映画もすごく良かったけど、小説も良いなと思わせてくれました。
★★★★
少年は、音をなくした少女と出逢った。
たどたどしい二人の想いは
どこにゆくのだろう?
(本の帯文より)
5歳のとき、事故により聴力に障害を持つことになった少女・エイプリル。
言葉も上手く発せられないので、村の多くは、彼女のことを知能が低い子という先入観でみている。
父親も早くに亡くなり、貧しい暮らしの中、懸命に働く母親と暮らす日々。
親友のジョニ-は昼間、学校に行ってしまうので、エイプリルは一人で遊ぶのが日課。
川岸を走り、釣りをしたり、ボ-トに乗ったり、泳いだり。
彼女を見かけても声をかける者は居ない。
しかし、エイプリルにとっては、それは逆に好都合。
放っておいて貰える方が有難いと考えている。
しかし、そんな彼女の家のすぐ近くに、トニ-が母親と共に越して来た。
トニ-は、上流階級の家に育ったが、父親がほかの女の人と家を出て行ってしまった為、母親と無一文に等しい状態で、この村に来たのだった。
二人は、その後、意気投合して仲良くなる。
トニ-の母、バ-バラも、貧しいから、耳が不自由だからという理由で疎んだりせず、家事を手伝ってくれるエイプリルに自然と「ありがとう」と感謝できる人であった。
人に感謝される経験のなかったエイプリルにとって、どんなに嬉しい事であったか。
エイプリルには、誰にも言えない困りごとがあった。
エイプリルが上手く話せない事を言いことに、彼女に酷い事を強いる男たち。
彼女に非はないのに、加害者である彼らは、彼女の方に原因があるからそうなるように言いふらす。
それをそのまま受け入れる村人たち。
なんて、酷い!(怒)
エイプリルが気の毒で、胸が痛くなる場面もありました。
そんな生活の中で、トニ-の存在は、エイプリルにとっては、救いだったでしょう。
そして、トニ-もまた悩んでいることがあり、エイプリルの存在は救いだった。
二人は、お互いを必要とし、やがて恋?という状態になりますが、そのまま上手く事を運べるほど、大人ではない。
まだまだ、周りのおとなたちによって運命を左右されてしまう哀しさ。
でもラストは、二人とも今の自分の置かれた状態の中で、一生懸命、生きていくのだろうな~という光りが見えるような気がしました。
実際には、困難もあるのでしょうが。
エイプリルの最後の手紙でそれを感じました。
物語は1925年を舞台にしているそう。
少し、現代とは違う雰囲気も楽しめて、昔の文学作品を読んでいるようなかんじでした。
著者自身は1954年生まれだそうだから、新しい作品もまだまだ楽しめるかな?
結構、わたしの好きな作風だったので、ほかの作品も読んでみよう!と思います。
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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