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読んだ本の感想あれこれ。
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23e66776.jpeg発行年月:2011年11月


演劇集団キャラメルボックスとのクロスオーバーから生まれた、物語の新しい光!

編集者の古川真也は、幼い頃から触れたものに残る記憶が見えた。ある日、同僚のカオルの父親が、20年ぶりに帰国する。彼はハリウッドで映画の仕事をしているはずだったが、真也に見えたものは――。表題作ほか、実際に上演された舞台に着想を得て執筆された「ヒア・カムズ・ザ・サン Parallel」。
有川浩が贈る、物語の新境地。


                                            (新潮社HPより)


面白い試みだな。
「ヒア・カムズ・ザ・サン」も「ヒア・カムズ・サン Parallel」も主な人物は同じ。

30歳の古川真也とその同僚の大場カオル。

主人公は真也かもしれないけど、カオルの父親との関係を描いている。
カオルの両親はカオルが幼い時に離婚していて、父親は渡米し、以後会っていなかった。

最初の話では、カオルの父親・白石晴男は事故で亡くなっている。
そして、脚本家として有名なHALはカオルの父親。
その代行者としてカオルの父と長年の親友でカオルの幼いころもよく知る榊宗一がHALの意志を継ぎ来日してカオルたちの前に現われる。


二番目の話では、カオルの父親・白石晴男がアメリカから20年ぶりに来日する。
自身はアメリカで有名な脚本家のHALだと言うが・・・・
実際は、離婚しアメリカンドリ-ムを夢見たが、上手く行かずに撮影現場の助手止まりだった。
撮影現場で女優を庇って大怪我をし、失明の危険もある身。
視力があるうちに娘に会いたいと思っての来日だった。


両方ともカオルを愛する人たちの想いが溢れる温かいお話だった!
物に触れることで、その所有者の想いを汲むことが出来るという特殊な能力を持った真也の行動や言葉にも感動。
祖母から言われた『自分の得のために能力を使ってはいけない』を意識しながら行動している姿は好感が持ててよかった。

カオルは沢山の人に愛されて幸せな女性だなぁ~。


同じような筋書きなのに、こんな風に違う話で、しかも感動させてくれるとは、有川さんって凄いな!


                                       ★★★★★
 
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51H3QZKKKJL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2003年7月


死体のにおい、戦場の音……。

戦争の本質は、今も昔も変わらない。

「ミスター・ネルソン」女の子はまばたきもせず、わたしをまっすぐに見つめると、たずねました。
それは、わたしにとって運命的な質問でした。
「あなたは、人を殺しましたか?」
だれかにおなかをなぐられたような感じがしました。
わたしの体はこわばり、重くなり、教室の床にめりこんでいくような気がしました。----本文より


                                      (講談社HPより)



衝撃的な表題!
著者のネルソン氏は、1965年18歳で海兵隊に志願し、沖縄で1ヶ月の訓練の後、ベトナムの戦場へ向かった。
19歳でベトナムから帰還するまでの体験を綴っている。

表題の質問「あなたは人を殺しましたか?」の質問は、帰還後、温かく迎えてくれると思っていた家族の反応に戸惑い、無気力になりホ-ムレスとなったネルソン氏。
そんな彼の前に、高校の同級生で小学校教師をしているダイアンが現われる。
彼女は、ネルソン氏に戦争の話を子どもたちにして欲しいと依頼。
そして、子ども達をまえにしたときに投げかけられた言葉。


ストレ-トなこの質問に対して、ネルソン氏は、何も飾らない言葉で答え、自らの意志で人を殺したことを子どもたちに話す。
ネルソン氏の話を聞いて、涙を流しながら優しく触れてくれた少女。
責めているのではなく、赦すわけでもなく、ネルソン氏の心の痛みに同調したのかな?
そんな少女の態度にネルソン氏も多少は救われたのかも。

戦争の恐ろしさは、今までもいろいろな書物で読んだけれど、ネルソン氏の話を読んで普通の感覚を持った人が戦場という場所では人間が持っている感情を麻痺されてしまうことが一番恐ろしいことだと思った。


ネルソン氏が言うように、日本には憲法第9条がある。
「戦争をしない」と謳っている憲法。
アメリカの支配下のなかで掲げられた条文かもしれないけど、この憲法はとても大切なものだと思った。

どこの国も攻めることをしない国ですと謳っているのだから・・・・・。

世界中の国がこのような意識で他の国に武力攻撃をしないことが守られたらいいのにな。

子どもが読んでもわかりやすい本です。
たくさんの子どもたちに読んで欲しい本だと思った!


                                        ★★★★★
 
 
51uDlWeUq-L__SX230_.jpg   発行年月:2012年1月


   
デザイン事務所で働くOL西野は上京して数年、東京での日々に流されるよう生きてきた。そんな日常の中で、ふと意識しだした年下デザイナー伊藤の存在。不器用な生き方の二人が恋を始めるのに必要なのは、今この瞬間のキス----(表題作)。さまざまなキスのシチュエーションを切りとって描く、温かくて切ない5つの物語。

                              (双葉社HPより)


いろいろな場面で生まれたキスまでの物語。

「フレンズ・キス」
幼馴染とのキスを思い出して、今も忘れずにどこかにその友のことを思う主人公。
今どうしてるかなぁ~と思う人の存在は誰にでもあるよね~?

「ガ-ルズ・キス」
高校の同級生同士がキス。でも二人は女子同士。
変ないやらしさは感じなかった。うん、こういうのもあり得る状況かも?

「パストディス・キス」
30代の同棲中の男女の関係。
元々は同じ会社勤務だったけど、その後女性が転職。
美味しい物を二人で食べているシ-ンがすごく幸せそうだった。

「イルミネ-ション・キス」
表題作。
年下の後輩と始まった関係。
料理が得意な彼氏・・・羨ましい^^;


「ハウスズバンド・キス」
妻が仕事を続けられるように、自らが専業主夫となった健太が格好良い!
新しい夫婦の形だな・・・。


どの話も素敵なキスの場面があって、ほんわか気分になれました。

パステル調の表紙も良いな。



 
★★★
514hNRNfGSL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年1月


それは真っ赤な贋作か、知られざる真作か? 傑作アートミステリー!

ニューヨーク近代美術館(MoMA)の学芸員ティム・ブラウンは、スイスの大邸宅でありえない絵を目にしていた。ルソーの名作『夢』とほとんど同じ構図、同じタッチ。持ち主の富豪は真贋を正しく判定した者に作品を譲ると告げる。好敵手(ライバル)は日本人研究者、早川織絵。リミットは七日間――。カンヴァスに塗り籠められた真実に迫る渾身の長編!


                                          (新潮社HPより)


マハさんの経歴(美術史を学び、ニュ-ヨ-ク近代美術館勤務の経験あり)を活かした、素晴らしい物語でした!!
今までのマハさんの作品のなかで一番かも!

美術に詳しいわけではないけど、アンリ・ルソ-の絵はとても好き。
表紙のこの絵も素敵だなぁ~(#^.^#)と本を開きました。
そして読み終えてみると、またさらに好きになりました。


主人公の早川織江とティムとの1枚の絵を巡るやり取りも良かったけど、途中に挟まれるルソ-の物語にも惹かれました。
ルソ-とピカソに親交があったなんて・・・。
この二組の絵画に賭ける情熱のようなものが、絵画知識が全くない、わたしにも伝わって来たのは、それを伝えようする著者の力量でしょう!


ルソ-は絵画の評価はイマイチで没後に価値があがった不運の画家のイメ-ジを持っていましたが、この物語によって決して不幸ではなかったのでは?なんてちょっと救いにも思えたのも良かった。


またこんな美術絡みの物語を読ませて欲しいなぁ~。


★★★★★


 
 
7d893c1d.jpeg   発行年月:2012年1月


   小劇団を主宰する大輔と瑞穂夫婦は、児童養護施設に暮らす小学生のひなたを週末だけ里親として預かることなった。天才的子役の才能を持つひなたをめぐり、瑞穂、大輔の三者三様の視点で、現代の新しい家族の在り方をコミカルに描く長編小説。



                              (朝日新聞出版HPより)



大輔・瑞穂の夫婦とひなたの関係が、ほのぼの。

施設で催されていた劇で主役を務めていた、ひなたの演技力に驚嘆して、週末里親に、ひなたを受け入れることに決めた大輔たち。
大輔が依頼人から頼まれた設定の通り、完璧な演技をするひなた。

病気の老人を見舞う孫娘を演じたり・・・・
そして、大輔の主宰する劇団の舞台にも立つようになる。

当初は、子どもの役者が欲しくて、ひなたを預かっていた大輔たちだったけれど、ひなた自身に愛情が沸いてくる。


瑞穂は、無性愛者という変わった設定で、大輔と夫婦ではあるけれど、夫婦という関係を築いていることで世間的に暮らしやすいからという割り切った考え方。

そこにひなたが入ることで、他人からみれば、子どもがいる家族。

ひなたには、母親が居るのだけど、育児放棄の末、施設で暮らすことになった為、母親に対しては嫌悪感しか抱いていない。

終盤、大輔の言った「・・・・俺と瑞穂とひなたは、3人のチ-ムなんです」という言葉はいい!
無理に家族になろうとしなくても、良い人間関係を築いているチームと思えば、ひなたも受け入れ易いでしょう。
10歳のひなたが、大輔夫婦と知り合い、今後も成長しながら、このチ-ムが継続していったら素敵だな。


シェークスピアを愛する大輔のせりふも面白かった♪


                                           ★★★
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