発行年月:2015年9月
作品の幅を広げ進化し続ける作家の最新作は大切な人との絆を感じる傑作短篇
どうか女の子の霊が現れますように。おばさんとその子が、会えますように。交通事故で亡くした子を待ちわびる母の願いは祈りになった――。辻村深月が”怖くて好きなものを全部入れて書いた”という本格怪談集。
(角川書店HPより)
怪談が13編。
夜読んだら怖かったのもありましたが・・・
大抵の話はソフトで良かった。
<十円参り>
<手紙の主>
<丘の上>
<殺したもの>
<スイッチ>
<私の町の占い師>
<やみあかご>
<だまだまマーク>
<マルとバツ>
<ナマハゲと私>
<タイムリミット>
<噂地図>
<七つのカップ>
一番怖かったのは・・・<やみあかご>
その場面を想像しながら怖すぎる。
夜泣きした赤ちゃんを他の部屋に連れて行き、一緒に遊んで
満足したであろう頃に元の部屋に戻ると・・・・
キャ~~思い出しても怖い!!
<ナマハゲと私>も怖かった。
元々、ナマハゲって怖いと思っていたので、この話はホラーです!!
なんでこんな風習あるんだろ?
絶対、実際には見たくない!
トラウマになっちゃう子どももいるんじゃないのかなぁ~?
最後の話<七つのカップ>は、目の前で小学生だった娘の事故を目撃した女性が
その事故現場の交差点付近にいつも立っている話。
この女性のことを気にかけた少女たちの優しさに感動した。
七つのカップがもたらした奇跡も感動的で
切ないけれど、良い話でした!
★★★★
発行年月:2015年2月
「愛するべき日々に愛することを怠ったことの、代償は小さくない」
長年連れ添った妻・夏子を突然のバス事故で失った、人気作家の津村啓。
悲しさを“演じる”ことしかできなかった津村は、
同じ事故で母親を失った一家と出会い、はじめて夏子と向き合い始めるが…。
突然家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか。
人間の関係の幸福と不確かさを描いた感動の物語。
(文藝春秋HPより)
作家の衣笠幸男(さちお)・・・作家名は津村啓。
妻・夏子は友人の大宮ゆきと毎年恒例の旅行に出かけ、その先でバスが崖下に
転落の事故で亡くなった。
大宮ゆきも亡くなり、その家族(夫の陽一、小6の息子真平、4歳の灯)との
交流により、夏子の死を少しずつ受け入れて行く。
幸男は、妻との間に子どもはなく、夫婦の関係も冷めていた。
事故後、妻の携帯を開き、送信されずに残っていた自分宛てと思われる
メッセージにショックを受ける。
<もう愛していない。ひとかけらも。>
妻の死は哀しいけれど、泣いたことはなく日々が過ぎる。
そして、妻とともに亡くなった大宮ゆきの夫・陽一から連絡を貰い会う。
やがて、幸男は大宮家に出入りし、陽一の留守中の家の手伝いを買って出る。
子どもにどう接していいのか戸惑いながら、4歳の灯と過ごす場面は
微笑ましかった。
家族を亡くした者同士が支え合っているかんじだったけれど、やがて気持ちの
すれ違いが起きて、一旦は家族から離れる幸男。
幸男の気持ちの移り変わる様子が、見事に表現されていた。
妻が亡くなったことで、気づくこと。
これから自分がどう生きるか?
妻を亡くして、いろいろな人との接触があって、改めて妻のことを考えて
初めて涙する場面はジ~ンと来ました(/_;)。
よくある、立ち直り前を向いて歩きはじめましたという感じではない
もっと複雑な想いがあって、ああ、やっぱり巧いなぁ~と思いました。
大宮家も良い家族でした!
真平も灯も素直で可愛かったなぁ~。
感動の物語でした!
★★★★★
発行年月:2014年10月
大災厄に見舞われた後、外来語も自動車もインターネットも無くなった鎖国状態の日本で、死を奪われた世代の老人義郎には、体が弱く美しい曾孫、無名をめぐる心配事が尽きない。やがて少年となった無名は「献灯使」として海外へ旅立つ運命に……。 原発事故後のいつかの「日本」を描いたデストピア文学の傑作!未曾有の“超現実”近未来小説集
(講談社HPより)
表題作が一番長い話ですが、5つの話が収録。
違う話ですが、全部、同じ世界観を色々な主人公たちで書いたかんじ。
恐ろしかったです。
原発事故後の日本がこんな風になったら・・・・と思うと。
表題作の<献灯使>は、100歳を優に超えた老人と暮らす曾孫の無名の話。
無名の母は、彼を産んだ3日後に息をひきとり、父親はそのショックからか
逃げだすように姿を消し行方知れず。
無名は優秀な子ども。
彼の能力を国際医学研究が分析し世界中の人々に役立てるため献灯使となることを
受け入れる。
彼のその後が気になるのだけど・・・その後の短編にその答えはあったのか???
その他の話
<韋駄天どこまでも>
<不死の鳥>
<彼岸>
<動物たちのバベル>
平成の時代がとっくに終わった時代の日本が描かれている。
それを読んでも不安になる。
著者は、ベルリン在住だとか。
なるほど・・・。
他所から見た今の日本の現状を憂い警告を示したものなのか?
★★★
発行年月:2015年9月
日本版「フランダースの犬」の誕生!
第二次世界大戦で両親をなくした少年、ツヨシ。
幼い彼の前に現れたのは、虐待同然に働かされ、捨てられた大型犬だった。
ツヨシはその犬に「ソラ」と名付け、家族同然に生活を共にし始める。
生まれて初めて平穏な日々を過ごすことになった犬が心に宿した、飼い主への感謝と愛。
しかし、別れのときは刻一刻と近づいてくる――。
「犬の愛」が最後に行きつくところとは、いったいどこなのか。
「フランダースの犬」へのオマージュとして描かれた、傑作長編小説。
(文藝春秋HPより)
途中まではまさに「日本版フランダースの犬」でした。
貧しいけれど、賢く心優しい少年ツヨシと犬のソラ。
そんな少年とソラに出会う裕福な家の少女・風砂子(ふさこ)。
哀しい結末は、おじいさんが亡くなってから・・・・と思って居たら・・・
そこからちょっと違う展開に。
ソラは少年を庇って命を落としましたが、少年はその後、少女の養父に学費を
援助してもらい、大学まで進学。
多くのことを学んで少年のときに夢見ていた
皆が平和で平等な暮らしができるような世の中にするために働くんだろうな~と
思って居たら・・・・・
ああ、それで「テルアビブ」ですか・・・。
なんだか切ないラストでした。
ちょっと後から調べたら、「テルアビブ空港乱射事件」は1972年でした。
その首謀者(日本赤軍の奥平)がツヨシということ?
でも、物語のツヨシには、ソラの声が聞こえたのだから、
引き返したんだと思いたい。
なかなか、凄い話でした。
★★★★
発行年月:2015年6月
日本はもう一度、焼け野原になるべきなのか?
経済の衰退した近未来の東京。
「満州国 の人間」を自称する謎の老人達が、
次々に凄惨なテロを仕掛け始めるが…。
(文藝春秋HPより)
凄いシビアな内容でビックリ!
実業家だったり、医者だったり、社会的地位も高い老人たちのグループが
国内で次々に引き起す残虐なテロ。
そのグループから「われわれの起こすことを記事にしてほしい」と言われ
彼らの行動を追うことになるセキグチ(54歳)。
元は大手出版社のフリーの記者だったが、急に仕事がなくなり、妻子は
アメリカへ渡ってしまう。
老人が集うコミュニティに出入りしていたカツラギ(20代女性)も
セキグチと共に、テロの行方を追う。
テロの内容が凄い。
爆発物による破壊、刈払樹による首切り、毒ガス・・・・・死傷者の数も
何百人という数。
その描写もグロかったりで、読み終えて就寝した日は悪夢を見ました^^;
彼らの父親たちのルーツが満州国とか、旧ドイツ軍の88ミリ対戦射砲を保持など
よくわからないけど、不安にさせる背景があって
現実にそんな老人たちが結束して暴走するなんてことないと思うけど
考えたら恐ろしい。
貧困生活を送る者がテロを起こすより、資金源のあるインテリ集団の起こす
テロは破壊力が違うだろうし・・・・。
フランスの多発テロが起きている今、読んでいるので、
日本でもテロが起きたら・・・・と考えて恐ろしくなった。
テロはいつ何処で起きても不思議じゃない世の中になってしまったのは
とても怖い。
物語終盤で、自分の行動に迷いが出たセキグチがカツラギのアドバイスもあり
元妻の由美子と連絡を取り状況を話し相談する場面に、別れても
今後、良い理解者にはなってくれそうじゃないかな?なんて少し
心温まる場面があって良かった。
内容的には、好みじゃないけど、まあまあ読み物としては楽しめた。
★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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