発行年月:2016年8月
これまでで一番愛おしい男を描いた――桐野夏生
自分はかなりのクラスに属する人間だ。
大手一流銀行の出身、出向先では常務の席も見えてきた。
実家には二百坪のお屋敷があり、十年来の愛人もいる。
そんな俺の人生の歪(ひず)みは、社長のセクハラ問題と、
あの女の出現から始まった――。
還暦、定年、老後――終わらない男”の姿を、
現代社会を活写し続ける著者が衝撃的に描き切る!
(講談社HPより)
還暦目前の薄井正明。
元銀行員で出向先の女性衣料製造小売り業の「OLIVE」が急成長し
そのまま役員として留まっている。
さらに上の地位にも昇りたいという野望も抱きつつ・・・・
まあ、よく居そうなかんじの男性像。
お金と地位にもある程度恵まれて、愛人との関係も保ちつつ
男だったら薄井みたいな暮らしぶりを羨ましく感じるんだろうなぁ~。
でも、妻が連れて来た夢で占う長峰栄子、そして会長の娘婿である社長のセクハラ問題
を穏便に済ませる仕事に関わっていくうち薄井はどんどん窮地に追い込まれていく。
なんともバカな男と冷静に読めて可笑しい。
男性が読めばまた違う感じ方かもしれないけどね~。
桐野さんが、愛おしい男性を描いたという意味もちょっとわかる。
自分の身内に居たら嫌だけど、確かに憎めないかんじ^m^
最初から最後まで面白かった♪
表紙の絵はちょっと嫌だけど・・・^^;
★★★★★
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発行年月:2016年5月
祖師谷で起きた一家惨殺事件。深い闇の中に、血の色の悪意が仄見えた。
捜査一課殺人班十一係姫川班。警部補に昇任した菊田が同じ班に入り、姫川を高く評価する林が統括主任として見守る。個性豊かな新班員たちとも、少しずつ打ち解けてきた。謎の多い凄惨な事件を前に、捜査は難航するが、闘志はみなぎっている。──そのはずだった。
日本で一番有名な女性刑事、姫川玲子。凶悪犯にも臆せず立ち向かう彼女は、やはり死に神なのか?
(光文社HPより)
「ノワール」に引き続き、こちらを・・・
やはり姫川が活躍するこちらの方が好き。
事件の凄惨さは相変わらずで、殺しのシーンはグロテスク(;O;)。
祖師谷2丁目で起きた一家3人強盗殺人事件を追いながら・・・
30年近く前の既に時効になっている昭島市一家殺人事件の犯人と共通するものを
掴んだ姫川がその真相を追う。
同一人物が犯人じゃなかったけれど、こういう展開になるとはね・・・・
日米地位協定はある限り、日本にいる米軍兵による被害者は、泣き寝入りしなきゃ
いけないのかな?と考えると本当に腹が立つ。
終わりに、まだまだ姫川の物語は続きますよというようなメッセージ?
次は日下の下で働く姫川の話ですか。
それも面白そう。
★★★
発行年月:2016年7月
裁判所職員採用試験に合格し、家裁調査官に採用された望月大地。
だが、採用されてから任官するまでの二年間――養成課程研修のあいだ、修習生は家庭調査官補・通称“カンポちゃん”と呼ばれる。
試験に合格した二人の同期とともに、九州の県庁所在地にある福森家裁に配属された大地は、当初は関係書類の記載や整理を主に行っていたが、今回、はじめて実際の少年事件を扱うことになっていた。
窃盗を犯した少女。ストーカー事案で逮捕された高校生。一見幸せそうに見えた夫婦。親権を争う父と母のどちらに着いていっていいのかわからない少年。
心を開かない相談者たちを相手に、彼は真実に辿り着き、手を差し伸べることができるのか――
彼らの未来のため、悩み、成長する「カンポちゃん」の物語。
(文藝春秋HPより)
家庭調査官・・・聞いたことはあるけれど、具体的な仕事の内容は今回、この
物語を読んで知りました。
法律を学んだ者、心理学を学んだ者、社会学を学んだ者たちが仕事をしているんだとか。
物語の主人公・望月大地は法学部出身。
九州の福森家庭裁判所の家裁調査官補佐・・・カンポちゃんとして調査官の補佐を
しながらの見習い中。
物語は5話に分かれていて、それぞれの話の中で出会う人たちに
いつもその人の立場に立って物を考える姿勢が好印象。
元々の性格も穏やかな人じゃないと務まらない仕事じゃないかなぁ~?
<第1話 背負う者 17歳 友里>
窃盗容疑の鈴川友里。
lineで知り合った男性をラブホテルに誘い、そこで10万近い現金を盗んだという。
父親は3年前に他界し、母親と妹で暮らしている。
高校には行かず、週6日、コンビニで働いている。
人様に迷惑をかけちゃいけない・・・友里の母親の口癖。
母親もずっとそう言われて育ってきた。
<第2話 抱かれる者 16歳 潤>
交際中の高校1年の女の子から交際を止めたいと言われ
その後ストーカー行為を繰り返し、カッターで脅した。
家裁調査官の面接時には、礼儀正しく、自らの罪を反省する言葉も言う
模範的なかんじ。
潤の母親も、すぐに被害者の元に謝罪に行き、息子のどこがダメだったのか
教えてほしいと迫る。
<第3話 縋る者 23歳 理沙>
正月休みに地元に行き学生時代の友人たちと久しぶりに会う大地。
そのなかの唯一の既婚者・理沙が実は離婚していると大地にだけ打ち明ける。
現在、息子の親権争い中という。
<第4話 責める者 35歳 可南子>
夫からの精神的虐待により苦痛を伴い精神科通院中の可南子。
離婚申し立てをするが、夫は反省し自分の行動を改めるので離婚には
応じられないという。
<第5話 迷う者 10歳 悠真>
離婚したら、親権をどちらにするかを決める場面。
悠真の実の父親は現在交際中の男性だという妻。
悠真の本音を聞きだす大地。
まだまだ未熟な家庭調査官補の大地が、これから成長していくだろう姿も
読みたいな~。
罪を犯した少年・少女の背景にある問題にも気づくことが出来たり
親の離婚で心を痛める少年の心の叫びを聞くことが出来た大地は
きっと良い調査官になっていくでしょう。
★★★★★
発行年月:2016年6月
探偵・杉村三郎シリーズ、待望の第4弾!
その部屋には、絶望が住んでいた――。
宮部ファン待望の14か月ぶりの現代ミステリー。特に人気の「杉村三郎シリーズ」の第4弾です。
本作品は、前作『ペテロの葬列』で、妻の不倫が原因で離婚をし、義父が経営する今多コンツェルンの仕事をも失った杉村三郎の「その後」を描きます。
失意の杉村は私立探偵としていく決意をし、探偵事務所を開業。ある日、亡き父・武藤寛二が生前に残した「昔、人を殺した」という告白の真偽を調査してほしいという依頼が舞い込む。依頼人の相沢幸司によれば、父は母の不倫による離婚後、息子と再会するまで30年の空白があった。果たして、武藤は人殺しだったのか。35年前の殺人事件の関係者を調べていくと、昨年に起きた女性殺人事件を解決するカギが……!?(表題作「希望荘」)
表題作の他に、「聖域」「砂男」「二重身(ドッペルゲンガー)」の4編を収録
(小学館HPより)
前作、「ペテロの葬列」読みそびれ・・・・^^;
でも楽しめました。
杉村三郎が探偵事務所で細々と依頼主に寄り添い、調査する姿は好感が持てます。
4つの話に分かれていて、どれも背景にある事柄には切なさがある。
<聖域>
アパートで慎ましい生活を送っていた老女が突然居なくなり、
その少し前に「死にたい」とも漏らしていたと、彼女のその後が気になるという
彼女の真下に住んでいた女性からの調査依頼。
<希望荘>
亡くなった父親が生前「人を殺したことがある」と入居していた介護職員などに
告白した事実を知りその真偽を調べて欲しいと息子からの依頼。
<砂男>
杉村が編集者の仕事をやめ、離婚し、実家に帰った時期に、ひょんなことから
探偵の真似事をするはめになり、その後の仕事になるキッカケとなった事件。
19年前の火災によるその家の主婦とその娘が焼死。
14歳の息子が当時、一時容疑者扱いされた事件の真相。
<二重身 ドッペルゲンガー>
3.11の後、行方が分からなくなっている母親の交際相手を探して欲しいと
いう高校2年生の明日香。
やはり一番印象に残ったのは表題作の<希望荘>。
自分の人生最後に人の為についた嘘。
それを聞いて考え方を変えて欲しいという願い。
そんな他人にも思いやりの気持ちを見せる祖父のことを孫の幹也くんは
理解している。
調査依頼した父親との関係も新に築いていけそう。
最後の二重身で調査依頼に来た少女に探偵事務所を教えたのは幹也くんという
繋がりもなんだか嬉しい。
このシリーズは、まだまだ続きそうですね。
「ペテロの葬列」も読まなきゃ^^;
★★★★
発行年月:2016年6月
|
ふいに思い知る、すぐそこにあることに。
時に静かに、時に声高に―― 「死」を巡って炙り出される人間の“ほんとう”。 直木賞作家が描く「死」を巡る10の物語。 (祥伝社HPより) |
||
どの話にも「死」が出てきて、それによって引き起こされる人の感情を
描いている。
平穏から不穏に移行するような、なんだか心がザワザワするような物語たち。
表題作の<赤へ>は
夫が病死した後、娘夫婦と一緒に暮らしたミチ。
が・・・娘は同居から3年目、浴室で自ら手首を切り自死。
ミチと娘婿の関係がギクシャクし、ミチは介護付のマンションに引っ越すことに。
娘婿との何とも気まずい空気感が読んでいて、ひしひし伝わって来た。
こんな老後嫌だなぁ~
他の話も実に暗くて気が滅入る話だった。
でも<死>は避けられないし、こんなこと実際に幾らでもある話なのかもね。
気は滅入るけれど、短編集なので、一応、気持ちを入れ替えて次の話に
夢中にはなれたけど。。。^^;
★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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