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読んだ本の感想あれこれ。
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WILL0_.jpeg発行年月:2009年10月


名作『MOMENT』から7年。待望の姉妹編。

29歳の森野は、11年前に亡くなった両親の跡を継ぎ、寂れた商店街の片隅で葬儀屋を営んでいる。そんな彼女のもとに、仕事で関わった「死者」を媒介した、数々の不思議な話が持ち込まれてくる・・・。


                    
(集英社HPより)

この作品に姉妹編にあたる物があるのは知らずに読みました。
何ら、困ることはなかったですが・・・。

高校生のときに両親を一度に亡くした主人公・森野。
両親の跡を継ぎ、昔から店にいた従業員・竹井と良い関係を保ちながら社長として働く。

言葉遣いがやや乱暴ですが、故人を悼む気持ちは優しい。
プロロ-グとエピロ-グを挟んで、3つの話にそれぞれ出てくる依頼人たちとの関わりも良かった。

第1話「空に描く」は、高校時代の同級生が葬儀の依頼人。姉の子どもが亡き父の幽霊をみたと言う。同級生のちょっと複雑な生い立ちを探り、亡き父の思いを汲む

第2話「爪跡」は、執り行った葬儀のやり直しをして欲しいと訪ねてくる故人の愛人を名乗る女性。調べると、名乗った名前の女性は既に亡くなっていた。

第3話「想い人」は、亡き夫の生まれ変わりだと言う15歳の少年が訪ねてくると老女から相談を受ける

故人を巡ったちょっと不可解な出来事を、故人の家族や親しかった人に話を聞きながら、真相を探るちょっとミステリ-の要素もあるお話たちだった。

謎が解明されると、そこには故人やその近い人の優しさが起した出来事とわかり、温かい気持ちになれました。

エピロ-グとプロロ-グでは、森野自身のことが綴られて
両親を亡くしてから、ずっと自分が良い娘だったか?今は良い娘か?と問い続けてきた彼女だったが最後は彼女を温かく見守り続けた人たちにより、迷いのようなものを吹っ切り、新たな気持ちで前に進んでいく姿が良かった!

森野の名前・・・気になっていたけど、最後の最後に明かされてました(^^)

表題「WILL」は、ピッタリだと読み終えて思います。


姉妹作だという「MOMENT」も是非、読まなくちゃ!


★★★★
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353518dc.jpeg   発行年月:2009年8月


   男はなぜ、ゴミ屋敷の主になったのか?

いまはひとりゴミ屋敷に暮らし、周囲の住人たちの非難の目にさらされている男。戦時中に少年時代をすごし、昭和期日本をただまっとうに生きてきたはずの男は、いつ、なぜ、家族も道も、失ったのか。誰もが目を逸らすような現在のありさまと、そこにいたるまでの遍歴を、鎮魂の光のなかに描きだす。
橋本治、初の純文学長編。


                                    
(新潮社HPより)

主人が図書館から借りて先に読み「なかなかおもしろい」というので、読んでみました。

物語は主人公・忠市が、ゴミ屋敷と化した家に住み、近隣住人たちに大迷惑をかけているところから始まり、テレビのリポ-タ-が住人たちにインタビュ-して周る。

昔、まだ忠市の住む家が荒物屋として存在していた時代を知る人はわずかだが、昔はあんな人じゃなかったんだけど・・・と。

人目を避けるような時間帯には外へも出る。
どこかに行くアテのある人を羨ましくも思う。

ちょっと前、実際にワイドショ-番組でもゴミ屋敷に暮らす女性を取り上げた番組を見ていたときもその人は「これはゴミじゃない」と言ってたっけ。
忠市も「これはゴミじゃないんだ」と。
到底、普通のひとには理解出来ないことば。

物語は、途中から、忠市の過去の話になる。
戦後まもなく荒物屋に住み込みで働きに出て、その後、家業の荒物屋「丸亀屋」に戻る。
見合いで結婚もした。子どもも出来た。
けれど・・・・父親が病に倒れた辺りから、バタバタと不幸が続く。

12歳年下の弟・修次も結婚し、その妻は家事の段取りもよく姑の扱いも上手でなとなく一家がまた明るい方に向かうのか?と思ったら・・・・
ある事を機に弟夫婦は家から出ていく。

店の仕事が減り、母親が亡くなって一人きりの忠市。
そのころから、ゴミが少しずつ溜まる。

なんとも切ない、胸が痛い。
忠市は、普通の人。家業を継いで真面目に働いていたのでしょう。
でも、戦後のめまぐるしい変化に取り残されてしまったかんじ。

近所に迷惑をかけている。片付けなきゃいけない。頭ではわかっている。
けれど・・・この環境を変えられない。

最後はどうなる?と思ったら・・・・
35年ぶりに弟がテレビで実家が凄いことになっているのを知り、兄の元に来る。
偉いぞ!弟!
そして、この弟が現れたことで、忠市の気持ちが大きく変わる。

表題の「巡礼」はどこに?と思っていたら最後、弟が、この先のことを四国88ヶ所をお遍路しながら、お大師さまに教えてもらおうと二人で旅に出るのです。

最後は、ちょっとホッとして、救われました。
ず~っと重たい気持ちで読んでいたので。

なかなか、読み甲斐のある物語でした。

★★★
d14d8f41.jpg発行年月:2009年4月



エネ研、ソ-ラ-カ-、大潟村 太陽の光に導かれて、
淡い恋が始まった------。
ソ-ラ-カ-レ-スにかける高専生たちの青春!



                                (講談社HPより)


毎回、いろいろな場面で青春を謳歌する学生たちの清々しい姿を描いてくれる濱野さんの作品。

今回は、高専生。さきたま高専の生徒たちの青春物語。
その高専生の部活動(エネルギ-研究会 ソ-ラ-カ-研究部)の話。

何人か生徒達が出てきますが、主人公は、澄川怜。
高専の3年。
頭も悪くないし、手先も器用。何でもあまり努力しないでそこそこ出来ちゃう。
羨ましいような気もするけど、本人はそれゆえ、何を将来したいのか?本当にやりたいものはナンなのか?わからないでいる。
彼の姉は、そんな彼を器用貧乏という。

そんな彼が、同級生(留年してるけど)に器用を見込まれて、手伝って欲しいと連れられた先でソ-ラ-カ-に出会う。
最初はただ友達の頼みだから・・・という受身的感覚だったのが段々、仲間と関わり、ソ-ラ-カ-のレ-ス出場に向かううちに自身も熱くなる。
そんな生活のなかで、自分の将来の道も少し見えてくるラストは、よかった。


太陽のエネルギ-で走るソ-ラ-カ-。名前は「レッドシャイン号」。

地球の環境問題、エコの話を彼らがするのも興味深かった。
悪い事じゃないし、考えることは必要だと思うけど、取り組んでいることには矛盾も結構あるよね?という話。
余裕のある人しか取り組めないようじゃ変だよね~みたいな箇所では
「そう!そう!」とうなずいちゃった。

高専って、あまり実態は知られてないかな?
わたしは、弟が、実は高専出身なので、学校内や寮生活の話を、たまに聞いていて少しだけ知っていたこともあり、その様子を垣間見られた感じが面白かった。

恋の話もちょっとあったりして、そちらも爽やかでいいかんじでした!

そういえば、弟が学生の頃は、ロボコンとか、ソ-ラ-ボ-トの大会の話も出たっけ。
ソ-ラ-カ-の大会の話はなかったけど、いろいろな大会があるんでしょうね。

今回は、主に男の子たちの青春を描いたものでしたが、女子でも楽しめるお話だと思います。



★★★★

8527fa6f.jpg   発行年月:2005年1月


   お姉ちゃん、僕たちもう
   帰れないかもしれない。

   中学生姉弟が突然迷い込んだ、もうひとつの
   不思議な日常。

                   (本の帯文より)


先日、テレビ放送されたのを録画で観て、なかなか面白かったので、その原作本にも興味が沸いて読んでみました。
映画を観たときの感想は・・・http://www.dhcblog.com/ykyoko/archive/988 ここでどうぞ。


本を読むと、映画がこの原作にとても忠実に作られたものだと思いました。
会話の細かいところまで同じなので、つい映画で見た多部未香子とその弟(名前知りません^^;)の顔が本を読みながらも浮かびました。

突然、別の世界に迷い込んだ姉(エリ子)と弟(ダイゴ)。
帰りたいといろいろその方法を探るのですが、帰れず・・・。
家の中は、さっきまで母親が料理していたシチュ-がまだ温かいままなのに、両親は帰宅しないまま。
一人じゃないから、まだなんとか気持ちの平静さを保っていられるかんじの二人。

家に居ても仕方ないからと、それぞれ中学(エリ子は女子校、ダイゴは男子校)にもいつもどおり登校する。

自分たちが居た世界とは、同級生もおなじ姿なのに、ちょっと違う。
死んだはずのダイゴの同級生の女の子も生きてるし・・・。
最近、あまり良い関係とは言い難かったエリ子の友達、大久保ちゃんも自然に接してくれる。
でも、マッチョ(太っていてマッチョとは程遠いブヨブヨけど、名前が松本だからこの呼び名)は、相変わらず本当にいい子。
そして、マッチョのお母さんも良い人。おやつをくれるだけに登場なんだけど、
これ、映画ではなかったので、頭の中で映像化しちゃって楽しんじゃった。

そして可笑しいのが、この迷い込んだ世界では弟が好きなプロ野球選手・高橋好伸がちょっと太ってるっていうこと。
それについての姉弟のやり取りも笑える。


元の世界に戻れないという緊迫した状況にも関わらず、どこか楽観的な二人。
ラストもそんな二人らしい終わり方。

ハッピ-エンドなのかどうかは、読み手の解釈でどうにでも変わりそう。

ちなみに、わたしは一応、ハッピ-エンドなのかな?と思いました。

本も映画と同様、面白かった!!


★★★★



bbe72cfe.jpg発行年月:2008年2月


中学2年の夏、少女たちは出会った。

ダブルダッチを通して、深まる友情。
成長する彼女たち。

スポ-ツを通した爽やかな青春スト-リ-!




ダブルダッチ=二本の縄を回し手(タ-ナ-)が内側にまわし、そのなかをジャンパ-が技を交えながら飛ぶスポ-ツ

物語の主人公は中学生の少女たち。
主人公の朋花はある日、高校教師の母親との会話でイライラし家を自転車に乗って逃げ出し校区から離れた公園で、偶然、ダブルダッチをする同じ中学の子たちに遭遇。
二人が縄を廻し、その中を見事な技で跳ぶ少女。
顔はみたことあるけど・・・話をした事もない子達。
まして、「あの子とあの子がなんで一緒に?仲良く?」と不思議がる朋花。

学校では優等生で同じクラスだけど、とても話しかける雰囲気ではない美咲。
茶髪で欠席、遅刻の常習者なこれまた近づき難い雰囲気の玲奈。
そして、皆は玲奈のパシリだと噂されている玖美。

通りがかりの「?」顔の朋花に「やってみる?」と気楽に声をかけてきた美咲。
やや挑発的な目で言われたが、玲奈が手本を見せる形で先に縄に入り挑戦することに有無を言わせぬ雰囲気。
なかなか縄に入るタイミングがつかめずいる朋花に的確な指示で誘導する玲奈。

何度か挑戦するうちに跳べるようになる朋花。

相変わらず、玲奈は乱暴な口の利き方だし、美咲はぶっきらぼう。愛想の良いのは玖美だけだけど、運動後の爽快感か?気分が良い。

そんなかんじが朋花と他3人の出会い。


朋花には、優等生だった兄がいるのだが、レベルの高い高校に進学した後、突然、行方不明になっている。
でも、時々、件名と写真が添付されただけのメ-ルが届くので、元気でいることは確かと思っている朋花。
だが、両親には告げるな!との約束を守っている。
朋花の両親って、そんなに子ども達から疎まれちゃう存在なの?と少々疑問でした。
同じ親として親の立場で考えちゃって・・・
どうしてそこまで、信用なくされちゃったんだろう?

多分、こういうことかな?という事は少し出てくるのですが・・・。

中学生なので、いろいろ多感な時期。
親以外にも学校の先生の言葉で傷つく場面も出てきます。

が、信用を寄せる大人も何人か。
同じ教師でも担任の渡部先生はなかなか良い先生。
生徒の言葉をよく聞き、信じてくれる。
子どもって、都合よく、ウソをつくこともあるけど、真剣に助けを求めているときには信じてあげないとダメなんだろうな。


ラストは、行方不明だった兄も、朋花の母親もなんとなくこの後は、歩み寄り、関係が少しずつ修復していくのかな?と希望が持てそうでホッとしました。
お兄ちゃんとその友達の関係もいいな。

人って、多くの人と接して、いろいろな経験をすることで大きく成長していくんだなぁ~。


濱野さんって若い人の心理がよくわかるのね。
若い人なのかな?と思ったら・・・・後ろのプロフィ-ルみて1956年生まれとか。
わたしより年上の人なんだ!?ちょっとビックリ!

うしろのあとがきにあったけど、実際に体育館に座り込んで現役の学生さんから取材したとか。

前回、長女に薦められて読んだ「その角を曲がれば」も楽しかったし、これも長女の後に読みましたが大人が読んでも楽しい話でした。

また、爽やかな青春小説、読ませてくれるかな?
新刊を楽しみにしています♪


★★★★

 



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