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読んだ本の感想あれこれ。
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51R1MQVV56L__SX230_.jpg   発行年月:2005年10月


   天才絵師の名をほしいままにした兄・尾形光琳が没して以来
   尾形乾山は陶工としての限界に悩む。在りし日の兄を思い、
   晩年の「花籠図」に苦悩を昇華させるまでを描いた歴史文学賞受賞の表題作など、
   珠玉5篇を収録


                            (BOOKデ-タベ-スより)



表題作「乾山晩秋」は一番最初の話。
画家の尾形光琳は有名ですが、ここではその弟・尾形乾山の話。
乾山は陶工の道に進んだ人だが、晩年は絵筆をとることも多く後の文人画の先駆けと言われているという。
光琳が赤穂浪士と関わりがあったかも?
へ~そうなんだぁ~!

その後の話は・・・日本画の世界では有名な狩野派の人々の話。
「永徳翔天」
幕府の御用絵師となった狩野永徳の物語。
狩野派は教科書でも習ったので興味深かった。
この時代の絵師って、特殊な立ち場だったんだなぁ~。

「等伯簿影」
狩野と争う絵師の長谷川等伯の物語。
御用絵師になるかどうかでこんなにも違うんだ・・・なんだかかわいそう。

「雪信花匂」
女流画家・清原雪信の話。
17歳で狩野探幽の直弟子となる。20歳で流行画家となり狩野の女絵師と言われていた。
その後の雪信の恋、そして狩野派のなかでの諍い。それぞれの絵師として特殊な立場にある者達ゆえの思いが切ない。
お手本の絵を書き写すだけの絵師の育成に力を注いだ狩野派の末弟・吉信。
力を受け継いでいくのは大変だったんでしょうね・・・・。

「一蝶幻影」
一時は狩野派で絵を学んだ絵師・英一蝶(はなぶさいっちょう)の物語。
知らない絵師ですが、大奥とか赤穂浪士とかの関わりが出てきて面白かった。


馴染みがない絵師という特殊な世界の話なので、読むのにやや難儀しましたが
物語としては面白かった。


ここに登場の絵師たちが書いた絵を探してみてみよう!


                                            ★★★

PR
51oK78ox2zL__SX230_.jpg   発行年月:2007年5月


   ----------御首の在所を知らず------------

   右大臣拝賀式の夜、甥の公暁によって殺された源実朝。
   血で血を洗う骨肉の惨劇。
   忽然と消えた実朝の首をめぐって繰り広げられる権謀術数。


                       (本の帯文より)


実朝は、父・頼朝の次男。
家督を継いだ兄・頼家が亡くなりその跡を継ぎ、右大臣拝賀の式典に向かい、その場で暗殺される。
斬りつけたのは、頼家の息子・公暁。親の仇と叫びながら・・・・・。
首を切り離し、奪って逃げるが、追っ手により討たれる。
そして、首は公暁の従者・弥源太に託され・・・・・。


はっきり言って、頼朝の死後の藤原摂関家とか北条家とか朝廷のその後の話は、よく知らない^^;
実朝の名前も・・・ああ、そんな人居たかな?くらいの知識でした(笑)。

けれど、面白かったです!!

正直、登場人物が多く、読むのに難儀はしましたが・・・。

物語の冒頭で、実朝は首を切り落とされてしまいます。
甥である公暁が何をそんなに恨んでいたのやら??と歴史に疎いわたしとしては疑問でしたが、ま、読んでいくにはその辺は置いておいて・・・


公暁は従者の弥源太とともに実朝の首を持って逃げます。
そして、一時は逃げ延びますが、やがて捕まり、公暁は討たれ弥源太が首を持って逃げていき、このままでは逃げ切れないと土の中に埋め、身を隠し、その後、掘り返してみると・・・・ない!
首は自分が掘り起こしてほかの所にあるから付いて来いと武常晴に言われ、付いて行った先には朝夷名三郎義秀がいた。
義秀の剛勇ぶりは広く知られていた。
そして屋敷には、義秀の甥であり、実朝の忠臣であった和田朝盛の姿もあった。
弥源太は実朝の首奪還に動き出す幕府側と対立する彼らと行動を共にする運命に。


実朝の首がいろいろな人たちを動かす。
朝廷と幕府の対立関係だけでなく、北条家と藤原家の関係などなど、この時代の人たちが心の中に持っていた憎しみやら欲望やら哀しみやら不安やらが入り混じって、それが亡き実朝の首を巡って現されていく。
凄い物語でした!

よく知っている人物は北条政子と後鳥羽上皇くらいでしたが、2人の周囲に居た人物達の方が物語を作っている。
しかし、やはり政子は凄い人だったんだ~!と改めて知った。
頼朝と作り上げた鎌倉幕府をたとえ身内に犠牲者が出ようと守りきらなければと思う気迫は
なるほど尼将軍と呼ばれた人だと納得。

そして、後半では、首を斬られ哀れな最期を迎えた実朝の本心が書かれていて、泣けた。
葉室作品には、必ず哀しく切ない主要人物の胸の内が描かれる。

京の文化に憧れ、和歌の素養を磨き、歌才を持っていた実朝は、政子が危惧していた通り、武門に生まれるべき人ではなかったのかもしれない。
そのことを本人も感じていたとしたら・・・・切ないなぁ~。


葉室作品のかなり初期の作品ですが、十分な読み応えでした!!
まだまだ未読のものを探して読んでいこう(^^)

★★★★

ecca7fba.jpeg発行年月;2012年7月

直木賞受賞の実力作家が描く感動作!
博多八景を背景に哀切な恋の行方と様々な事情で離ればなれになった男女の人生が交錯する。静謐な筆致で描く女絵師と狩野派の絵師との創作を通して交流する魂。
涙と感動を呼ぶラスト! 傑作時代小説!


                    (徳間書店HPより)


読む前から期待が高まる作家さんの新刊本!
期待を裏切らない作家さんとしては、わたしのなかでピカイチかも。

そして今回の作品も素晴らしいの一言です!!
泣けました。


主人公は26歳の女絵師・里緒(絵師としての号は春香)。
里緒には、忘れられない人が江戸に居て、いつか自分の居る博多に戻って来てくれると信じて生きている。

ある日、呉服屋の亀屋藤兵衛から呼び出され、<博多八景>を描いてほしいと言われる。
わけあって、師である衣笠春崖から破門されていた里緒だったが、藤兵衛に里緒を紹介したのは春崖だった。
そして、博多八景の創作が始まる。

八つの景色を描くため、それぞれの地を訪れ絵の構図を決める。
藤兵衛から、外歩きのお供として、お文が遣わされる。
お文は、父親がやくざ者を殺めた罪で島流し。
その母親は、父が殺めた男と密通していた罪を受けていた。

里緒の想い人との行く末も気になるところでしたが、それぞれの景色を描くに当たって出会う人々にもそれぞれの思いがあり、その思いの行方がひとつの物語として成り立っていた。

大切な人を想う気持ち。
大切な人を待ったり、失ったり・・・切なく苦しい恋模様も数々あった。


大抵の恋が切なく哀しい結末ですが・・・・
里緒の師である、春崖が思いを寄せ合いながら成就することなく離れて暮らしていた、お雪と再会することが出来たのはよかった!!
春崖は最期、幸せだったでしょうね~。


そして、里緒の想い人・杉岡外記との再会は・・・・・?
ラストは泣けました(;O;)

絵を描きながら、博多八景が完成したら、会える気がすると思っていた里緒だったのに・・・。
でも、外記の気持ちは、自分と同じだったことは、よくわかって救われたでしょう。

外記の妻・妙とその父・善右衛門を酷い人たちだと思っていたけど、本心を明かされ、憎めなくなってしまった。
葉室さんは優しい人だから、極悪人は書けないのかも?


哀しく切ない結末でしたが、不思議と清清しい読後感でいっぱいでした。
それが葉室作品の魅力でしょうか?


いや、しかし、本当に毎回、泣ける感動作を淡々と書いてくださいますね。
早くも次の作品が楽しみですが、まだ読んでいない過去作品があるので、そちらをまた読みつつ新刊を待ちたいと思います!



 
★★★★★




 
 
516ZdUMRZhL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年6月


恋愛も仕事も上手くできない妹に、どうして私は嫉妬しているんだろう?

三七歳の澪、二七歳の環、一七歳の杏。歳の離れた三姉妹だけどそれなりに仲良く暮らしている……はずだった。しかし次女、環の望まぬ妊娠をきっかけに、姉妹に転機が訪れる。やっと大切なものがわかりはじめた三人が選んだ、それぞれの道とは? 女子なら誰でも覚えのある悩みや迷いのあれこれを、暖かく包み込むガールズ長編。

                                           (新潮社HPより)



三姉妹、それぞれの日常が代わる代わる語られる。
3人の父親は、ふたりと行方をくらます。
3姉妹はそれぞれ母親が違う。
父親って何者??
と思っていたら、最後の方で登場しました。
ちょっと変わった家族だけれど、仲は良さそう。

姉妹の三女・杏が家族の食事をセッセと作る様子が楽しい。
橋本さんの本は前作の「今日のごちそう」から、おいしそうな食べ物が多く登場するなぁ~。

姉妹のそれぞれの恋の行方も楽しみながら読みました。
高校生の杏の恋が爽やかで良かったな。
坂本くん、良い子だし(^^)

大きな感動とか特にないけど、楽しく読めるお話でした♪


                                         ★★★

 
32662079.jpg   発行年月:2011年11月


   鳴く声は、いのちの燃える音に似て------
   幽閉先で家譜編纂と十年後の切腹を命じられた男。
   何を思い、その日に向かって生きるのか?
   心をふるわす傑作時代小説!

    第146回 直木賞受賞作


                                       (祥伝社HPより)


首を長くして待っていた直木賞受賞作の本書。
期待に胸を膨らませて読みました♪

そして、その期待を遥かに超えた感動作でした!!
泣けました・・・(/_;)

主人公は、戸田秋谷(とだしゅうごく)。
江戸で藩主の側室と不義密通を犯し人を一人斬ったという罪で幽閉の身。
幽閉先では、妻・織江 娘・薫 息子・郁太郎とともに住み、命じられた家譜編纂に励む。

そして、もう一人の男・檀野庄三郎が秋谷の監視役として幽閉先の地に向かう。
庄三郎は、城内で刃傷沙汰を起こした罪で死罪を免れる代わりに秋谷の家譜編纂の手伝いと監視を命じられていた。

監視役として秋谷の家族と共に暮らしながら、秋谷の人柄に魅せられていく。
そして切腹を命じられた罪そのものも、全く秋谷に非がないものであると知る。
なんとかして、切腹を赦される手立てはないものか?
読みながら、このまま切腹なんてことにならないでほしい!!と強く思いながら読みました。

けれど・・・・・・。

秋谷の思いが哀しく切ない。
そこまでいろいろなことを考えて自分が犠牲になることが一番、良いと考えたのか?

秋谷の息子・郁太郎は、そんな父の気高い武士魂を見て、きっと立派な大人に成長するだろう。
郁太郎の友・源吉も偉かった!
幼いのに、決死の覚悟で取り調べを受けて・・・・この場面が一番、辛かった!(;O;)


自分が生きると言うことよりも、自分がどう振舞ったら大事な人がこの後、生き易くなるのか?を考えている者たち。

庄三郎も一時はそんな思いで命賭けの行動に出た。
その行動に出る前のことばが印象的だった。

・・・・・・・・ひとは心の目指すところに生きているのだ。
心の向かうところが志であり、それが果たされるのであれば
命を絶たれることも恐ろしくはない
・・・・・・・・・・・・・


秋谷も同じ思いであったのか?と考えると少しは救われる。


葉室作品、やっぱり凄いな。


★★★★★ 
 
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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