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読んだ本の感想あれこれ。
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8d26bb1e.jpg発行年月:2009年12月

あいつの人生が終わり、僕たちの長い旅が始まった。

背負った重荷をどう受け止めればよいのだろう。
悩み、迷い、傷つきながら手探りで進んだ二十年間の物語。

中学二年でいじめを苦に自殺したあいつ。遺書には四人の同級生の名前が書かれていた。
遺書で<親友>と名指しをされた僕と、<ごめんなさい>と謝られた彼女。
進学して世界が広がり、新しい思い出が増えても、あいつの影が消え去ることはなかった。

大学を卒業して、就職をして、結婚をした。息子が生まれて、父親になった。
「どんなふうに、きみはおとなになったんだ。教えてくれ」
あいつの自殺から二十年、僕たちをけっしてゆるさず、ずっと遠いままだった、
“あのひと”との約束を僕はもうすぐ果たす-----。

著者が生んだ数多の感動作の集大成であり、大きな覚悟をもって書き切った最高傑作!

          
                              (講談社HPより)


今回の作品は、今の時代にわたしたち誰もが直面する可能性のある闇のような問題がリアルに描かれていました。
ここでは、中学2年の少年がいじめによる自殺をしたところから物語が始まります。

いじめていた張本人たちが悪いのは当たり前ですが、その様子を見ていながら、何の行動も起こさなかったクラスメイトたちの罪について、亡くなった少年の父親の怒り、無念さから、それがとても重たい罪だと痛感します。
自分がその傍観者の一人だとしたら・・・と思いながら物語を読んでしまいました。

この物語を語る僕は、自殺した少年の遺書に「親友」として名前を書かれて「ありがとう」と言われた真田裕。
小さい頃はよく遊んだけれど、中学になると特別避けていたわけでもないけどあまり口も利かなくなり、親友と呼べる関係ではなかったと思う。
けれど・・・自殺してしまった藤井俊介(フジシュン)は自分事を親友と思っていたのか?
戸惑いつつも、助けてあげられなった、何もしなかった自分に罪悪感を募らせていく裕。

同じように遺書に名前を書かれた中川小百合。
百合子に一方的に好意を寄せ、亡くなる前に電話して拒絶された事を「ごめんなさい」と謝りの言葉を残している。
あのときもっと優しい言葉で断ればよかったと裕と同じく罪悪感を抱く。

クラスメイトたちのなかにも罪悪感を感じた生徒はいると思うけど、この二人の比ではないだろうな。

罪悪感を抱きながら大人になり、これからもフジシュンの事を忘れないで生きていくんでしょう。
でもフジシュンや家族たちには、覚えていて貰えることが何より嬉しいことじゃないかな?

フジシュンが学校の図書室から頻繁に借りていた旅の本。
いつか行きたいと思っていただろうスウェ-デンの「森の墓地」。
それは裕のいつか行きたい場所にもなっている。


辛い重い物語だったけど、最後は少し温かい気持ちになれてよかった!

この本は学校の先生にも読んで欲しいな。
勘違いや思い込みによる指導が子どもをより一層の窮地に追い込む危険もあるという事を知って欲しい。

いろいろ考えさせられる内容でした。
多くの人に読んで欲しい書です!

★★★★
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8468c202.jpg発行年月:2009年10月


頑張っていない人なんて、誰もいない。でも、どうにもならないことはある------。

子供の頃、勇気はみんなから称えられ、努力は必ず報われた。だけど、大人になった今は?初恋の少女、好きだったマンガの登場人物、いつも笑わせてくれた酔っ払いのおじさん・・・・なつかしい人との再会は、あの頃の自分と出会うこと。こんなはずじゃなかった日々を必死に生きる人たちだけが手にする、ささやかな希望を描く感動作。


                                     
(新潮社HPより)

6つの短篇集。
最後の「ロング・ロング・アゴ-」は最初の「いいものあげる」から20年経った設定。
この二つがやはり印象的でした。

小学生時代のあるクラスの様子。
老舗の百貨店「ちどりや」を経営する父を持つ美智子ちゃん。
そこに東京から転校してきたわたしは、その百貨店のライバルとなる大型ショッピングセンタ-の建設と経営を軌道に乗せることを仕事にした父を持つ。

クラスの何人かは「ちどりや」内に店舗を構える家の子。
仲良くなったスズちゃんも和菓子屋の娘で「ちどりや」に恩義を感じている一人。

「いいものあげる」と何かとプレゼントをくれる美智子ちゃんに複雑な思いで接するわたし。
美智子ちゃんに対して卑屈なほど褒め称えるスズちゃんに対しても複雑な心境のわたし。

子どもの世界っていうのも結構、厳しいな~。

でも美智子ちゃんとの別れの場面は、ホロリ・・・・(/_;)
美智子ちゃん、すごく優しい子でした。

新しい環境で、頑張って!と思って読み終えたら、最後に後日談で知らされたことは少々、ショック。
でも、幸せじゃなかったとは言えないし・・・・

小学生時代、サッカ-好きで美智子ちゃんが好きだった瀬尾くんの20年後の姿もなかなか切ないものがあったけど、現場監督(班長)が言った言葉は良かったな。
「やり甲斐とか生き甲斐なんて、あとになってから初めてわかるっていうか、あとにならなきゃわからないんだよな」

仕事にイマひとつ一生権命になれない瀬尾君だけど、言われた言葉の意味をわかったみたいで良かった!

ラストは切ない場面だったけど、心が少し温かくもなって、重松さんらしいものでした。

他の作品もそれぞれよかった。

しみじみ沁みてくるようなお話たちでした。

★★★★
a5863f95.jpg発行年月:2009年3月


結婚三年目、妻が逝った。
のこされた僕らの、新しい生活--------。

泣いて笑って、少しずつ前へ。
一緒に成長する「パパと娘」を、季節のうつろいとともに描きます。

                     (本の帯文より)


30歳の若さで健一の妻・朋子は、まだ1歳半の娘・美紀を残して逝ってしまう。
そんな設定で始まる物語。
最初から泣けるかな?と思うと、意外と明るい二人の暮らしぶりにやや拍子抜け。
実際は、多くの苦労もあるわけですが・・・・。

美紀の保育園入園で担任になった「ケロ先生」は、とてもステキな人だった。
ちょっとドジだけど、子どもの気持ちがよ~く分かる人。
最初に美紀を託す他人がケロ先生みたいな人だったのは、ラッキ-だったなぁ~(^^)

美紀の成長を追うように、章が変わるとそこで新しい人間関係が生まれて、その人たちとの関わりもとてもステキな物でした。
読んでいて、心が温かくなる話ばかり。

イヤな人が出てこない物語って、いうのもいいなぁ~。

小学校での母の日やら、運動会など学校行事には、両親が揃っていない事に子ども自身が「うちは他所とは違う家庭」を思い知らされるような物もありますが、そういう事を乗り越えながら美紀が成長していく姿がよく描かれていて、ジ~ンとしちゃいました。

この本を読みながら何度、泣いただろうか?
重松さんの本は読むと涙腺が刺激されるので、困ります^^;


美紀はどんどん成長し、それに伴い健一も心の持ち方が変わっていくかんじでした。

妻の両親(義理の父と母)との関わり方。
妻の兄夫婦との関わり方。

最初の方と最後では、随分、変化したような印象で、その辺も良かった。

なんといっても、ラストに、みんなの明るい未来が見えるのが嬉しかった。


表紙のイラストも可愛い!
絵は、杉田比呂美さんですね♪
この方の絵、可愛くて好きです!
最後のペ-ジに成長した父と娘(だと思う)のイラストがあったのもすごく嬉しかった!


★★★★
013ecffc.jpg発行年月:2009年5月


親友をいじめた。誰からも助けてもらえなかったあいつは、自殺を図り、学校を去った。残された僕たちは、それぞれの罪を背負い、罰を受けて、一人の年老いた「かあちゃん」に出会った------。

母が子どもに教えてくれたこと、子どもが母に伝えたかったことを描く、感動の最新長編!

                     (講談社HPより)

重松さん、母と子の物語は初めてだlったんですね!?
まあ、そういわれれば、母親が亡くなって父子家庭の父と子の話とか、多かったかな?

この物語は連作の8つの物語。

一番最初に書かれていたのは、夫を交通事故で亡くした女性の話。
夫が運転する車には、同じ会社の上司も乗っていて、共に即死だった。
事故の原因は夫だけが責められるものではないのだが、女性は、同乗していて亡くなった上司の家庭に対して申し訳ない気持ちから事故後20年以上、笑顔を捨て、優しい母であることすら捨て、一人でお墓参りを続けていた。

その自分に厳しく罪を償う女性が後々、登場してくる中学生たちの気持ちを大きく動かす事になる。


第2章からは、ある中学で起きたイジメ問題に関わった生徒たち。その親。担任の先生や他の教師の物語が順番に綴られていきます。
イジメはやった方が悪い!
当たり前の事ですが、どうしてイジメなんてしてしまったのか?を考えてあげないとやった子も気の毒なんだな~なんて思いながら読みました。

いじめてしまっている子たちの大半はやりたくない。でもいじめてしまう。
なんて情けない!自分の気持ちが弱いからだ!と責めるばかりでは大人としてはダメなんでしょうね。
そんな大人の態度の下では子ども達も本音の部分を言えないでいる。



頼りにならない先生として登場の担任・水原先生も最初は好感度低かったけど、彼なりに一生懸命、生徒達の気持ちを知ろうと頑張っていた。
「心の対話」ノ-トは優秀な教師だった母からの勧めで始めたものだけど、つくりものの日記につくりもののコメントの関係じゃいけない!と気づいている。

いじめの張本人の松山くんも根っからの悪い子じゃなかった。

本文中にあった「謝る」ことと「償う」ことの違いを生徒たちが理解して、本当の意味で自分のしたことを反省し自分はいじめをしていたという事を認める。
その事をずっと覚えていること。忘れないでいることが大事だと気づく。

その過程をうまく物語の中で描いていて、ジ~ンと胸にきました。

ほかにも産休あけで職場に復帰した女性教師とその母親の関係なども読んでいて目頭が熱くなったり・・・・

重松さんの物語はどれも感動させてくれますが、母親が主のこの物語はダントツで好き!


★★★★★
 

 
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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