発行年月:2015年2月(単行本:2013年1月)
上総の貧しい農村に生まれたあいは、糸紡ぎの上手な愛らしい少女だった。十八歳になったあいは、運命に糸に導かれるようにして、ひとりの男と結ばれる。男の名は、関寛斎。苦労の末に医師となった寛斎は、戊辰戦争で多くの命を救い、栄達を約束される。しかし、彼は立身出世には目もくれず、患者の為に医療の堤となって生きたいと願う。あいはそんな夫を誰よりもよく理解し、寄り添い、支え抜く。やがて二人は一大決心のもと北海道開拓へと踏み出すが……。幕末から明治へと激動の時代を生きた夫婦の生涯を通じて、愛すること、生きることの意味を問う感動の物語。
(角川春樹事務所HPより)
関寛斎という名前は、本書で初めて知った。
医師としても立派に世の中のために働いたけれど、73歳でその全てを棄てて
北海道の開拓の道で歩み出すというのには驚いた。
最初は、妻・あいと離縁して、一人でいくつもりだった様子だけれど
妻は一緒に行かせてほしいと願い、ついていく。
結果、そのことで、結構な心労が重なり、あいは北海道の開拓地・トマムの地には
入らず、札幌の7男・又一の家で最期も迎えることになるのだが・・・・。
寛斎を手助けした濱口悟陵という醤油製造所を営む人物も今回、初めて知った。
この人も素晴らしい人物。
寛斎の志に感銘し、財政面での援助を厭わず自身の死後も息子にそれを
継続することを伝えていた。
この人物の存在がなかったら、寛斎はここまで多くのことを
成し遂げられなかったでしょう。
夫婦には、子どもが12人。
しかし、産まれてすぐ亡くなる者、幼児期に亡くなる者
ある程度、大きくなってから病気で亡くなる者と半分が亡くなっている。
けれど、残った子どもたちは、立派にそれぞれ成長し、開拓地では7男と甥っ子
が大いに手助けする。
あいもそんな様子を最期のときまで見守り、後悔はないでしょう。
凄い一生だな・・・・。
ただただ、感嘆!
大河ドラマを読んでいるような感覚。
高田さんの書はシリーズ「みをつくし料理帖」で知ったけれど、他にも
単発ものあるかな?
とても読みやすい。
★★★★★
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発行年月:2023年10月
小説と現実の境目が溶けはじめる、サスペンスフルな傑作
嘘だけど嘘じゃない、作家デビューの舞台裏!
「おいしいごはんが食べられますように」で芥川賞を受賞した高瀬隼子さんが挑む新たなテーマはなんと「作家デビュー」。
ゲームセンターで働く長井朝陽の日常は、「早見有日」のペンネームで書いた小説が文学賞を受賞し出版されてから軋みはじめる。兼業作家であることが職場にバレて周囲の朝陽への接し方が微妙に変化し、それとともに執筆中の小説と現実の境界があいまいになっていき……職場や友人関係における繊細な心の動きを描く筆致がさえわたるサスペンスフルな表題作に、早見有日が芥川賞を受賞してからの顛末を描く「明日、ここは静か」を併録。
(文藝春秋HPより)
芥川賞を受賞した高瀬さん自身の話なのかな?と思う。
バイトをしながら小説を書いている長井朝陽。
バイトは、駅そばの商業ビルの4階にあるゲームセンター(PAL)。
常に音が鳴っている職場。
今、書いている小説の主人公は、実に嫌なかんじの人。
その友達たちもなんだか最低なかんじで腹が立つ。
書いている小説と朝陽のバイト生活が交錯していて、途中
「あれ?これは小説のはなし?朝陽の現実のはなし?」と分からなく
なってくる。
まあ、これは著者が意図してやっていることみたいだけど・・・
しかし芥川賞みたいな賞を受賞すると作家さんは色々な苦労が出てくるんだなと
思った。
賞なんてとらず、誰も本人と気づかないペンネームで書いているくらいが
案外、居心地いいのかも。
誰でも知ってる賞をとれば、メディアにも取り上げられて、雑誌の
インタビューで過去のことなどを話したら
地元の人たちにも知られ、「あれは〇〇さんのことかも・・・・」なんて
妙な憶測が飛び交い、著者の思わぬところで傷つく人もいるとか。
実家の母親からもそんなことを聞かされ、恩師だと思っていた先生が訪ねてきて
苦情を言われちゃったり・・・・。
でも、そんなことを気にしているようじゃあ小説なんて書けないってことかな?
面白かったけど、ちょっと疲れた(精神的に)・・・(;^ω^)
★★★★
(文藝春秋HPより)
芥川賞を受賞した高瀬さん自身の話なのかな?と思う。
バイトをしながら小説を書いている長井朝陽。
バイトは、駅そばの商業ビルの4階にあるゲームセンター(PAL)。
常に音が鳴っている職場。
今、書いている小説の主人公は、実に嫌なかんじの人。
その友達たちもなんだか最低なかんじで腹が立つ。
書いている小説と朝陽のバイト生活が交錯していて、途中
「あれ?これは小説のはなし?朝陽の現実のはなし?」と分からなく
なってくる。
まあ、これは著者が意図してやっていることみたいだけど・・・
しかし芥川賞みたいな賞を受賞すると作家さんは色々な苦労が出てくるんだなと
思った。
賞なんてとらず、誰も本人と気づかないペンネームで書いているくらいが
案外、居心地いいのかも。
誰でも知ってる賞をとれば、メディアにも取り上げられて、雑誌の
インタビューで過去のことなどを話したら
地元の人たちにも知られ、「あれは〇〇さんのことかも・・・・」なんて
妙な憶測が飛び交い、著者の思わぬところで傷つく人もいるとか。
実家の母親からもそんなことを聞かされ、恩師だと思っていた先生が訪ねてきて
苦情を言われちゃったり・・・・。
でも、そんなことを気にしているようじゃあ小説なんて書けないってことかな?
面白かったけど、ちょっと疲れた(精神的に)・・・(;^ω^)
★★★★
発行年月:2007年8月
これが日本の恋愛小説の底力。
田辺聖子「最高傑作」3部作 復刊第3弾!
人は自分が愛したもののことは忘れても、自分を愛した人のことは忘れない。
結婚生活から「出所」して、ふたたび1人に。乃里子、ピッカピカの35歳。
(講談社HPより)
3部作というのは知らずに読んだけれど、面白かった。
主人公の乃里子(35歳)は離婚して一人暮らしを楽しんでいる。
女友達も、男友達もいて、元夫の中谷 剛も友達としてならいいかんじ。
なんやかんや言いながらも乃里子のことを心配してくれている。
イラストレーターの仕事も順調だし、乃里子には、この生活が合っている
様子。
でも、最後、親友の交通事故死は、辛かった。
突然、親友をなくすのは、ショックだよね~(/_;)。
そんなとき、元夫の剛がそばにいてくれたのは、感謝だな。
前作2つも機会があれば読んでみようかな~?
★★★
(講談社HPより)
3部作というのは知らずに読んだけれど、面白かった。
主人公の乃里子(35歳)は離婚して一人暮らしを楽しんでいる。
女友達も、男友達もいて、元夫の中谷 剛も友達としてならいいかんじ。
なんやかんや言いながらも乃里子のことを心配してくれている。
イラストレーターの仕事も順調だし、乃里子には、この生活が合っている
様子。
でも、最後、親友の交通事故死は、辛かった。
突然、親友をなくすのは、ショックだよね~(/_;)。
そんなとき、元夫の剛がそばにいてくれたのは、感謝だな。
前作2つも機会があれば読んでみようかな~?
★★★
発行年月:2018年11月
大ヒットシリーズ「響け! ユーフォニアム」の著者初の青春ミステリ
誰もが"あの時“経験したはずの(そして忘れてしまった)
とても静かで生々しい青春のざらつき。
どうでもいいことが、死ぬほど大切だった–—本当に?
最後一ページ。歪められた青春の真実が明らかになるスクールミステリ。
(幻冬舎HPより)
大ヒットシリーズは読んでいないけれど、知っている。
これも学園もので、登場するのは高校生たち。
一人の女子生徒・川崎朱音が、校舎の屋上から校舎裏に飛んだ。
屋上でそれを目撃した親友・高野純佳、校舎北側で目撃した近藤理央と
学年1位の成績を保っている夏川莉苑。
そのほか、数人の朱音の飛んだ日以降、行われたアンケートの回答用紙を元に
朱音とのことなどをそれぞれが語る形式で物語が進む。
なぜ、自らの命を絶ったのか?
その疑問が終盤、親友だった高野純佳の話、飛んだ朱音の話から
わかってくる。
それから最後に、ぞぞっとなんとも言えない恐怖を感じる。
この頃の学校での人間関係は、毎日が楽しいか、苦痛かを決めてしまうもの
だと言ってもいいかも。
今、振り返ると、無理するくらいなら友達なんて作らなくてもいいんじゃない?
って思えるんだけど・・・。
朱音は、純佳と幼稚園時代からずっと一緒だった。
親が知り合い同志で、最初は本当に一緒にいるのが楽しいからという
理由だけで付き合っていたが、どちらかが、そのことにしんどさを感じて
しまう。
この場合は、朱音が純佳に依存し過ぎている。
純佳の立場になれば、他の友達とも遊びたいと思うのは、仕方ないし
悪くない。
それで、こんな行動に出た朱音は、ひどいとも思う。
けれど朱音の立場になれば、ずっと親友だと思って来た純佳が自分から
離れていく寂しさ、不安を考えると気の毒とも思う。
う~ん。難しい。
でも、優等生の夏川莉苑の周りを冷静にみて、行動している様子は最初から
ちょっと不気味だった。
朱音が飛ぶことも何となくわかって、それを見届けようと校舎裏に行き
死の直前の朱音を傷つけたのには、恐怖。
恐ろしい子。
将来、どんな大人になるのやら・・・・(ノД`)・゜・。
良い話じゃないし、読後感も最悪だけれど、物語としてはおもしろかった。
★★★
(幻冬舎HPより)
大ヒットシリーズは読んでいないけれど、知っている。
これも学園もので、登場するのは高校生たち。
一人の女子生徒・川崎朱音が、校舎の屋上から校舎裏に飛んだ。
屋上でそれを目撃した親友・高野純佳、校舎北側で目撃した近藤理央と
学年1位の成績を保っている夏川莉苑。
そのほか、数人の朱音の飛んだ日以降、行われたアンケートの回答用紙を元に
朱音とのことなどをそれぞれが語る形式で物語が進む。
なぜ、自らの命を絶ったのか?
その疑問が終盤、親友だった高野純佳の話、飛んだ朱音の話から
わかってくる。
それから最後に、ぞぞっとなんとも言えない恐怖を感じる。
この頃の学校での人間関係は、毎日が楽しいか、苦痛かを決めてしまうもの
だと言ってもいいかも。
今、振り返ると、無理するくらいなら友達なんて作らなくてもいいんじゃない?
って思えるんだけど・・・。
朱音は、純佳と幼稚園時代からずっと一緒だった。
親が知り合い同志で、最初は本当に一緒にいるのが楽しいからという
理由だけで付き合っていたが、どちらかが、そのことにしんどさを感じて
しまう。
この場合は、朱音が純佳に依存し過ぎている。
純佳の立場になれば、他の友達とも遊びたいと思うのは、仕方ないし
悪くない。
それで、こんな行動に出た朱音は、ひどいとも思う。
けれど朱音の立場になれば、ずっと親友だと思って来た純佳が自分から
離れていく寂しさ、不安を考えると気の毒とも思う。
う~ん。難しい。
でも、優等生の夏川莉苑の周りを冷静にみて、行動している様子は最初から
ちょっと不気味だった。
朱音が飛ぶことも何となくわかって、それを見届けようと校舎裏に行き
死の直前の朱音を傷つけたのには、恐怖。
恐ろしい子。
将来、どんな大人になるのやら・・・・(ノД`)・゜・。
良い話じゃないし、読後感も最悪だけれど、物語としてはおもしろかった。
★★★
発行年月:2021年7月
第165回芥川賞候補作
ある日、夫が風呂に入らなくなったことに気づいた衣津実。夫は水が臭くて体につくと痒くなると言い、入浴を拒み続ける。彼女はペットボトルの水で体をすすぐように命じるが、そのうち夫は雨が降ると外に出て濡れて帰ってくるように。そんなとき、夫の体臭が職場で話題になっていると義母から聞かされ、「夫婦の問題」だと責められる。夫は退職し、これを機に二人は、夫がこのところ川を求めて足繁く通っていた彼女の郷里に移住する。川で水浴びをするのが夫の日課となった。豪雨の日、河川増水の警報を聞いた衣津実は、夫の姿を探すが――。
(集英社HPより)
描写がリアルで、風呂に入らないと言って、段々と臭くなっていく夫の描写で
本当に異臭がしてきそうだった(^^ゞ
衣津実は、夫の研志に対して、深く、気持ちを聞こうとしないけれど
なんでかな?
何があったのか、聞けばいいのに。
妻には、言えないと言うのなら、メンタルクリニックに連れていくことを考えて
みたらよかったのに・・・・
義母が会社から「様子がおかしい」と連絡を貰ったと心配で衣津実に電話して
きたのは、当然で「病院に連れていく」と言いながら、母親もそれは実行せず。
物語の終わり方は、なんとも・・・。
夫の生死はわからないけれど、衣津実がなんだか淡々としているようで
ちょっと妻も病んでいるのか??
ざわざわした気持ちが残る話だった。
★★★
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自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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