忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[9]  [10]  [11]  [12]  [13]  [14]  [15]  [16]  [17]  [18]  [19




発行年月:2013年12月


 幕末の木曽、薮原宿。才に溢れる父の背中を追いかけ、一人の少女が櫛挽職人を目指す。周囲の無理解や時代の荒波に翻弄されながらも、ひたむきに、まっすぐに生きる姿を描き出す、感動の長編時代小説。

                    (集英社HPより)


今は、長野県の伝統工芸品となっている、お六櫛。
それを作っていた父親の姿を小さい頃からみて、自分も作りたいと思っていた登瀬が
主人公。

この時代、女性が技を継ぐのは珍しい。
一家の跡継ぎと期待された弟の直助は突然亡くなってしまう。
生前は、櫛を挽くことより、草紙を描きそれで小遣い稼ぎをしていた。


やがて、短い期間、弟子として父・吾助の元に通っていた実幸が現れ
弟子入りを申し出る。
教えたことはすぐ覚え、元から持ち合わせた才能を吾助も認める。
が、登瀬は、自分が父親の技を継ぎたいと思っていた為、内心複雑な心境。
商売のことにも口を出す実幸だが、伝統を守るためにも実入りのある品も
同時に作らねばという考えは正しいのかも。


最初、やや胡散臭いものを感じていたけれど、実幸なりに、伝統を守ることを
考えての事だったと分かったときにはホッとした。


そして、余所の村に嫁入りした妹・喜和の気持ち。
亡くなった直助が残した草紙に描かれたものを読んで知ること。


口には出さないけれど、胸に秘めた想い・・・じ~んと切なく温かい気持ちに
なりました。


登瀬と実幸も最後は、本当の信頼し合える夫婦になれたんだな~と
思える描写でした。

伝統を作り、それを後世に残していくって大変なことですね。


    
時代背景も絡めながらだったので、どんな時代か想像し易かった。
間違いなく感動作です!!


                          ★★★★★
PR



発行年月:2013年11月


 社内不倫に疲れた30代OL、妻に先立たれた老人、子供に見捨てられた資産家老女、ある一部屋だけを掃除する汚部屋主婦……。片づけ屋・大庭十萬里、物を捨てられない、片づけられない住人たちの前に現れる。この本を読んだら、きっとあなたも部屋を片づけたくなる!

                   (双葉社HPより)



片づけ屋の大庭十萬里が4件の家庭を片づける話。

<ケース1 清算>
妻子ある上司と不倫関係を続けて5年のOL。
家に帰ると何もする気になれず、自堕落な生活。


<ケース2 木魚堂>
半年前、妻が突然、病死し独り暮らしをしている男性。
娘が毎日、家事をするために通ってくれているが、自身は何もしない。


<ケース3 豪商の館>
資産家の78歳の未亡人。
家の中は片づいているが、台所の棚のなかには大量の買い置きした食品。
冷蔵庫のなかには、作り置きされた食品の数々。


<ケース4 きれいすぎる部屋>
どの部屋も散らかっているのに、ただ1部屋だけきれいに片づけられた部屋がある。



訪ねる家の人たちの生活様式を判断し、何故、片づけられないのか?を十萬里が
判断する。
ただきれいに物を処分すればいいというわけではないというのが、おもしろい。

特に一番最後の話は、印象的だった。
長男を事故で亡くした喪失感が、主婦を何もする気になれない気持ちにさせて
それによって、その家の家族たちまで影響する。
子どもを突然、亡くした親の気持ちもよくわかる話でした。

少しずつ、悲しみを抱えながらも前に進もうと動き出したこの家族の姿が最後に
読めて良かった。


ケース3の話では、年をある程度取ったら、要らないものは、どんどん処分して
後で子どもたちが処分に困ることがないようにしておかなきゃいけないなぁ~と
思った。
いつか使うはず。捨てるほどでもないから取っておこう。
なんていう考え方は改めなきゃいけないな~とちょっと自身の持ち物のことも
考えてしまった。


                          ★★★★



発行年月:2013年10月


 あれは、誰の灯籠だろう――。
またひとつ、赤い灯籠が流された。灯籠を見送っている人に、希未は見覚えがあるような気がした。

「悼む」とは、ずっと忘れないで伝えていくということ。
中学1年生の希未は、昨年の灯籠流しの夜に、見知らぬ老婦人から年齢を問われる。
仏壇の前で涙を流す母。同じ風景ばかりを描く美術教師。
ひとりぼっちになってしまった女性。
そして、思いを寄せた相手を失った人――。
希未は、同級生の友だちとともに、よく知らなかった“あの日”のことを、周りの大人たちから聞かせてもらうことに……。

真夏の夜、元安川に、人々は色とりどりの灯籠を流す。光を揺らしながら、遠い海へと流れていく――。
1945年8月6日。広島上空で原子爆弾が炸裂した。そこに暮らしていた人々は、人類が経験したことのない光、熱線、爆風、そして放射能にさらされた。ひとりひとりの人生。ひとりひとりの物語。そのすべてが、一瞬にして消えてしまった。
研ぎ澄まされた筆致で原爆をテーマに描いた『八月の光』の朽木祥が、今回、長編で原爆を描ききる。
日本児童文学者協会新人賞をはじめ、産経児童出版文化賞大賞など多数の賞に輝く朽木祥が、渾身の力で、祈りをこめて描く代表作!

                  (講談社HPより)


主人公は、広島に暮らす中学1年生の望未。
美術部に所属していて、文化祭では「あのころの廣島とヒロシマ」をテーマに
各自の取材を元に、あの日のヒロシマを元にした絵を描くことに。
それぞれが、あの日のことを身近な人から聞いたり体験者に話を聞きに行ったりするなかで
当時の人々の抱えている思いを表現していく。


主人公の望未は、美術部顧問の吉岡先生自身のことを題材にする。
あの日、許婚の聡子さんとちょっとしたことで気まずい気持ちをそれぞれが
抱えながら別れた。その直後、聡子さんは被爆して亡くなった。
先生は、聡子さんを探して、入市被曝した。
先生があげた櫛が焼けた状態で見つかっただけ。


ヒロシマやナガサキの原爆投下のことは、知っているけれど、そこに暮らしていた
人たちのその後のこと。
そのとき、亡くなってしまった人が、亡くなる前まで普通に生活していた様子を
こうして知ると、それぞれの哀しみや痛みが伝わってくるよう。

原子爆弾の熱で一瞬のうちに姿を消した人たち。
そして、その後で放射線を浴びて被曝した人たち、

生き残った人たちの多くは、体内に残った放射線の恐怖に怯えながら生活しなくては
ならなくなった。

恐ろしい。
とても怖い。

やはり放射能は、怖いな。

ヒロシマ、ナガサキ、そしてフクシマのこと、忘れたらいけないな。

文化祭という行事を通して、望未たちがヒロシマのことを深く考え
作成した作品も素晴らしいものだったでしょう。


表紙の灯篭流しの絵も物語のイメージを膨らませてくれた。


                            ★★★★★



発行年月:2013年9月


 超ダメ男「電気ちゃん」に拾われた16歳の家出少女・鳥子(とりこ)。
乳がんの宣告をされた26歳OLの寿寿(じゅじゅ)。
凄腕の料理で男を次々と部屋に誘う38歳バツイチのきみ夜。
男性より女性を愛する超美人ホステス、紫(むらさき)。
「電気ちゃん」という奇妙な縁に引きよせられたのは、生きることがあまり上手ではない女たち。
ひとりぼっちの魂をそっと包み込む五つの物語。
気鋭のスト―リーテラーによる鮮烈な渾身作!

                    (毎日新聞社HPより)



最初の<電気ちゃん>を読んで次の<歯がた>に進んだら、
全く別の人たちの話になったので
「あれ?これは短編集なのか?」と思いつつ、
続けて読んで行くと
後半、登場人物たちが次々と繋がり始めた。

<電気ちゃん>だけ、何処かに行っちゃったままだけど・・・・
16歳で電気ちゃんに拾われた鳥子は、電気ちゃんの住むボロアパートで一人で
生活を続けている。
突然、耳の奥から響いてくる音は、治っていない様子だけど
今、周りにいる人たちの中では、逃げ出したくならないみたい。
両親も鳥子の居場所を知っていて、好きにさせてくれている。


同じアパートの住人・きみ夜や
電気ちゃんの知り合いで鳥子のことも気にかけてくれる紫。
それぞれ、抱えるものはあるけれど、鳥子は家族の元で生活していたときより
逞しくなったかんじがする。


でも鳥子がコンビニで出会った<ざらめ>は不思議な存在だったけど、何だったんだ?


奇妙な物語だけど、何とも言えない魅力がある物語だった。

初めて知った作家さんだけれど、他の作品も読んでみたいな~。


                          ★★★★





発行年月:2013年11月


 つらい時、いつも傍らにあった物語。もし、本当にその中で暮らせるなら――。

クリスマスイブの夜、最愛の娘が家出した。どこに? 六年前、父親が贈った童話の中に。娘を探すため、父は小説世界へと入り込む。しかしそこは、自らが作り上げた世界と何かが決定的に違っていた……。人は、どうして物語を読むのだろうか? その答えがほんの少し見えてくる、残酷で愛に満ちたファンタスティックな冒険譚。

                    (新潮社HPより)


クリスマスの季節に読みたかった!!
でも、十分にその雰囲気を楽しめました。

歴史小説家の男が読書家の娘が4歳のとき娘のために作った物語。
年に一度、贈り物を届けるために、金色配達員と銀色配達員は<外の世界>へ向かう。


そして、娘が10歳になったある日、天体観測に出かけると出かけたまま
戻って来ない事件発生。
娘は物語の世界へ・・・。
父親もその後を追うけれど・・・。

娘は銀色配達員の隠し子として、その世界で少しずつ馴染んでいくが
父親は、その世界では<影>として存在。
しかし、その姿を見られるものも。

不思議な雰囲気のあるファンタジーでした。

特別配達員のキツツキの子が、影と出会い歴史を学ぶ者同士だからと
意気投合する場面がユニーク。

女の子を<外の世界の子>と気付きながらも匿うように暮らす銀色配達員と
その手助けをする金色配達員の優しさ良かったなぁ~。

最後は、ハッキリ書かれていなかったけれど、元の世界に父と娘は戻ったのかな?
いろいろと想像するのも面白い。
こういう雰囲気、大好きなので、読んでいる間、とても楽しかった!


これがデビュー作で第25回ファンタジーノベル大賞受賞。
これからも、ステキな作品を読ませていただきたいです(^^)


                        ★★★★★
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
2 4 5
6 8 9 11 12
13 14 15 17 19
21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]