野球の才能に恵まれ、中学生で「怪物」と呼ばれた北澤宏太は家庭の事情で有力高校に進めず、甲子園出場を逃してしまう。一度は就職するものの夢を諦めきれず、独立リーグで野球を再開、実力を認められ、育成枠でプロ入りを果たす。やがてスター選手となった宏太だったが、女子アナとの結婚、不倫、離婚を経て、怪我からは復活できず、それでも再生を求めて新天地を目指す──。 本作品では、この北澤宏太のキャリアを通奏低音として、彼の人生にその時々で関わった故郷の元恋人や、妻となった女子アナ、愛人、ファンなど、すべて女性の視点から、彼女たちの夢や打算、愛憎の物語を描きます。夢を追った男にも、男に魅せられた女にも、人生は続いていく。
(講談社HPより)
主人公の北澤宏太以外のプロ野球選手、その妻や関わりのある女性たちも登場し、登場する人物が多く、相関図をメモしながら読まないとわけがわからなくなるかも?
ま、わたしの理解度が低いだけかもしれないけれど・・・^^;
登場する人たち、それぞれに結構な事が起きてくるので、もっと深くその人たちの事を知りたいと思った話もあったなぁ~。
例えば・・・東京オリオンズの高橋信之選手をずっと応援している女性・慶の話。
ミ-ハ-な気持ちでなく、本当に心から応援してる。
そんな慶がその後の話で再び登場し、新しい人生を歩み始めたのに、闘病生活を強いられている。
悲観的になっている彼女に勇気を与えたのは、引退を控えた高橋信之選手の雑誌でのインタビュ-記事。素敵だった!
面と向かって話したことなどないのに、お互いが勇気を与えあっている。
慶の話をもっと詳しく読みたかったなぁ~。
北澤宏太のプロになってからの女性関係は、なんだか最初に読んだ印象とかけ離れているかんじでしっくり来なかったな。
有名になると人と出会う機会も増えるから、実際にもあり得る話なんでしょうけどね・・・・。
あとがきの著者の言葉から
あ~柴田さんはプロ野球が大好きなのね(^^)とわかりました。
★★★
夏目清茂74歳、本日脳梗塞により昇天いたしました
74歳のある日、脳梗塞で亡くなったブリキ職人の夏目清茂。
葬儀に集う人々のさまざまな人生が、清茂の死を中心にして交錯する
74歳の清重の若い頃から亡くなるまでの人生を描く物語かと最初は、思いましたが、もっと沢山の人の人生が交錯しながら描かれていました。
清茂を中心にした家族の歴史のようなお話。
最初に清重の両親のこと。
清茂の父親は、再婚し、その再婚相手には、息子が二人。
連れ子の次男の政夫は、清茂と同年だった。
政夫の方が勉強もよく出来たので、跡取りは政夫という自然の流れに異存なく家を出て金物屋で働きやがて独立し「夏目ブリキ店」を営む。
その後、結婚し、娘・素子と息子・直が生まれる。
若い頃の清茂は、近所の学校に行きたがらない子ども達の面倒を見たり、その子達がやりたがった野球のチ-ムも作り、非常に面倒見が良い。
子どもたちにも慕われていた。
けれど・・・・妻との関係は、その後ギクシャクした様子で、別れる。
物語は、清茂が亡くなり、葬儀の支度をするあたりから、いろいろな人が登場してくる。
74歳で亡くなった清茂の息子・直も45歳。
喪主になり始めてづくしの葬儀にあたふたしながらも、父親の昔を思い出しながら物語が進む。
清茂の娘・素子は父親が亡くなったことを直からのメ-ルで不倫相手と夜を明かしたホテルで知る。
かつて父のほかに愛した男が出来た母親を嫌悪した自分だが、自分もまた同じ状況にいる。
葬儀の当日、清茂に関わりのあった人々いろいろな想いを持ちながら集う。
子ども、孫、故人に生前、世話になった者。
そして、別れた妻。
バラバラに暮らしていた人たちを集まらせるのは、故人の力でしょう。
夏目家の人たちが、この集まりを機会に、また違う繋がりでこの後も絡みあっていくのかな?
葬儀の段取りについても結構、勉強になりました。
★★★
発行年月:2010年10月
「それは、世界でたった1人の人にしか、聴けないオルゴールなんだ。」
隣にいる、大切な人の心の声が聴こえてくる物語-------
全国各地で大きな反響を得た、直木賞作家渾身の新聞連載、
待望の書籍化!
奇跡の、そして感動のクライマックス!
「実は前から、ハヤ坊に頼みたいことがあってなぁ」東京に住む小学生のハヤトは、トンダじいさんの“一生に一度のお願い”を預かり、旅に出る。福知山線の事故現場、父さんの再婚と新しい生命(いのち)、そして広島の原爆ドーム。見るものすべてに価値観を揺さぶられながら、トンダじいさんの想い出のオルゴールを届けるため、ハヤトは一路、鹿児島を目指す。
(講談社HPより)
この前に読んだ朱川さんの「鏡の偽乙女」とは、ガラッと違う物語。
今回のは、現代のお話でリアルな現実に向き合った物語でした。
主人公のハヤトは、もうすぐ小学5年生になる。
両親は離婚して、母親との二人暮らし。
ふざけあうような友達はいるけど、実際に気が合うのは、クラスでは、ちょっと浮いた存在のシンジロウ。
クラスの仲間の手前、シンジロウの存在を少し疎ましく思いながらも、本心はシンジロウと相通じるものを感じている。
ハヤトは優しくて人の気持ちがわかる子なんだろうな~と最初から思いました。
そして、近所の顔見知りのトンダじいさんから頼まれ事を引き受けてしまう。
おじいさんが亡くなり、その約束をいつかは果たさなければならないことに少し重責を感じ始める。
学校は、春休みに入り、その間、大阪の父親の元で過ごそうと決めたハヤト。
おじいさんから托されたオルゴ-ルも持っていく。
大阪の父親には、新しい家族が出来ていて、最初は戸惑うハヤトだが、そこから、いろんな人と接することになり、おじいさんとの約束を果たすため、鹿児島にも出かけることになる。
ハヤトが出会う人たちは、皆、過去に辛い経験がある。
阪神淡路大震災で家族を亡くしたもの、福知山線脱線事故で友人を亡くしたもの、
そして、鹿児島まで一緒に行く事になった、父親の新しい奥さんの友達・サエと一緒に訪ねる
広島、長崎。
それぞれが原爆による被害を受けた地。
原爆ド-ムや平和記念資料館を見てハヤトが感じること。
九州の鹿児島でも、知覧特攻隊のことが出て来て、戦争と平和についても多く考えさせてくれる。
ハヤトの旅を通じて、読み手もいろいろな事を考えさせられる内容でした。
そして、約束を果たす最後の場面も感動しました。
良い物語でした。
児童書として考えてもいいかもしれない内容。
大人も十分楽しめる内容ですが、子どもたちにも読んで欲しい本です!
いや~朱川さん、次々、いろんなジャンルで楽しませてくれますね~(^^)
★★★★★
画家志望の青年と謎の美青年の大正怪奇探偵譚
大正3年、画家を志して裕福な家を出た功次郎は、穂村江雪華と名乗る青年と出会い、不思議な出来事に遭遇するように。実在の事件を織り込みながら、怪奇で耽美な物語が展開する傑作連作短編集。
(集英社HPより)
絵で身を立てたいと、家出して下宿生活を始める主人公の青年・槇島功次郎。
不思議な青年・雪華と名乗ると出会い、彼の暮らす下宿で暮らすことに。
その下宿屋<蟋蟀館>もなんだか怪しい。
功次郎の住む部屋には、幽霊が居るし・・・^^;
怪しいものが出てきたりの奇妙な話が短編連作という形で続く。
お話は第一段「墓場の傘」
第二段「鏡の偽乙女」
第三段「奇談みれいじゃ」・・・ほんとは奇談の「奇」の左に「田」が付く漢字ですがパソコンで出ず^^;
第四段「壷中の稲妻」
題五段「夜の夢こそまこと」
この世では、もう死んでいる者たちが時々、登場。
普通に考えたら怖いんだけど、ユ-モアもあるので、怪奇話というより、大正という時代背景もあったりでどこかロマンチックなかんじもした。
出てくる人物たちが、この世に生ある人間なのか、この世に未練を残し仮の姿で存在する「みれいじゃ」なのか?混乱するけど、皆、魅力的。
話としては、表題作の「鏡の偽乙女」が好きだった。
大正初期の史実も少し登場し、その辺も「あ~歴史的に、そういう時代なんだ」と納得したり
なかなか面白かった。
続きも出るのかな?
あまりはっきり明かされなかった雪華の正体も、ちょっと気になるとことであるし・・・
続きは出たら読みたいけど、この余韻のまま終わるのもまた良いか?
★★★
きっと生涯忘れない、子供たちとカミサマの物語
「ヤドカミ様、僕の願いを叶えて」。
行き場のない思いを込めた他愛ない儀式がやがて……。
子供たちの切実な心が胸に迫る俊英の傑作!
舞台は鎌倉市にほど近い海辺の町。
小学5年生の慎一は、父親の会社倒産を機に両親と共に2年前、祖父の暮らすこの町に越してきた。
父親が亡くなり、今は祖父と母の3人暮らし。
祖父は、しらす漁をしていたが、海に投げ出される事故で片脚を切断している。
友達がなかなか出来ない慎一だが、唯一仲良くしているのはクラスメイトの春也。
春也も転校生。
酒癖の悪い父親の暴力に耐えている。
そして、クラスで最初に声を掛けてくれた鳴海。
鳴海の母親は、慎一の祖父の事故の際に、亡くなっている。
それぞれの子どもたちが抱えているものが重く暗い。
子ども同士の会話には、子どもらしいものはあるが、閉塞感が始終ある。
慎一と春也の二人の遊びは、ヤドカリを二人の秘密の場所で、神様に見立てて願いを叶えてもらう儀式めいたもの。
少々、残酷な方法だが、二人にとっては、それが抑圧されたものを解き放つ行為なのか?
仲良く一緒に居る二人だが、本音の部分では、お互いに抱く気持ちは、複雑。
途中からこの儀式のような遊びに鳴海が加わったことで、よりそれぞれの気持ちにザワザワしたような不穏な空気感が漂う。
子ども達の心理描写がすごく巧く表現されていた。
慎一たちの親たちの関わりもまた複雑に絡み合っていて、
それが更に慎一たちの心を乱す。
こんな環境に居なければ、きっと楽しい毎日を笑って暮らせていただろうに・・・・
なんだか苦しくなるような話でした。
ミステリ-の要素は、弱いし、道尾さんに期待する伏線が最後に見事に結びついて、アッと驚く結末はないけど、こういう作品も凄くいいな!
最近は、ラストに大どんでん返しのミステリ-から少し離れた作品が続いているけど、いろいろな作品をこれからも読ませて欲しい。
★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
