五十歳になった私は、ある日、訪れた美術館で
展示中の「受胎告知」の世界に迷い込んでしまう。
現実と絵の中がまじりあい、描かれたものたちの声が
立ちあがる、試みにみちた長編小説。
(中央公論新社HPより)
またまた不思議な物語でした。
でも、読み終えるのが惜しいと思える読んでいて心地よい物語でした。
大学で学生に芸術を論じる先生の私が体験する物語。
助手のイノウエくんを「アノウエくん」と呼ぶ。
先生の最初の不思議体験は、上野の美術館で「受胎告知」を見ているとき・・・
絵に吸い込まれるように・・・と思ったら次の瞬間には、絵の中に入り込んでしまった!
そして、自然と再び元の世界へ。
そして、次は、アノウエくんの家を訪ねて行き、そこでアノウエくんが一番大切にしているという絵画のポスタ-「クリスチ-ナの世界」の中へ。
次はビルの11階でひっそり営まれている美術館に足を運び、「風神雷神図」の中へ。
その後も銭湯の富士山の絵の中、坊主が屏風に上手に描いた絵の中へ・・・。
どうして絵の中に入ってしまうのか?なぜまた戻って来られるのか?
アノウエくんとあれこれ意見を交わす様子も可笑しい。
先生は50歳だから、ほぼ自分と同じ年代なんだけど、「50歳の男は世の中から疎外されている」と感じる気持ちはよくわからないけど、説明されれば、なるほど~と思わず唸ってしまった!
凄いところに気づくな・・・笑
エッセイのような書物が多いけど、長編も面白いので、また是非、長編を書いて欲しいなぁ~。
★★★★★
姉妹のルールは好きな人を<共有すること>
ブエノスアイレス近郊の日系コロニアで育った佐和子とミカエラの姉妹は、少女の頃からボーイフレンドををルールにしていた。留学のため来日した二人だったが、誰からも好かれる笑顔の男、達哉と知り合う。達哉は佐和子との交際を望み、彼女は初めて姉妹のルールを破り、日本で達哉と結婚する。同じく達哉に好意を抱いていたミカエラは父親がはっきりとしない命を宿してアルゼンチンに帰国する。20年後、佐和子は突然、達哉に離婚届を残して、語学学校の教え子であった田渕ともに故国に戻る。一方、ミカエラは成長した娘アジェレンと暮らしていたが、達哉が佐和子を追いかけてアルゼンチンにやってくると……。
(小学館HPより)
登場人物たちの考え方、行動、どれにも全く共感は出来なかったなぁ~。
でも、それぞれの行動に嫌悪感みたいなものは、なく淡々と恋の行方を傍観してるかんじで読んでいた。
姉・佐和子(カリ-ナ)は、達哉と結婚し、日本で暮らしていたが、ある日、一方的にアルゼンチンに帰国してしまう。
そして、ほかの男と暮らし始める。
妹・十和子(ミカエラ)は、娘のアジェレンと暮らしているが、アジェレンの父親が誰なのかは明らかにされない。
そして、かつては達哉に好意を抱いていた。
アジェレンは、母親(ミカエラ)の上司である男性(妻子あり)と恋愛中。
結婚したら、恋愛なんて・・・・と思ってる自分には全くもって自由奔放な登場人物たち。
ある意味、うらやましいかも(笑)。
似たもの同士だから、大して問題にもならず、成り行き任せのかんじで過ぎていく。
日本とアルゼンチンの両方が舞台で、ちょっと異国のかんじも味わえて面白かった。
江國さんのその場の情景が浮かぶような文章なので、楽しく読めた。
表紙の写真も雰囲気あって◎!
表題の「金米糖の降るところ」の意味も文中にあるけど、ロマンチックな発想で素敵だった!
★★★★
未曾有の大停電が東京を襲う。
8月24日午後4時、東都電力熊谷支社の鉄塔保守要員一名殺害。午後7時、信濃幹線の鉄塔爆破。午後9時、東北連系線の鉄塔にヘリが衝突、倒壊。さらに鹿島火力発電所・新佐原間の鉄塔倒壊――しかしこれは、真夏の東京が遭遇した悪夢の、まだ序章に過ぎなかった。最後の希望が砕かれたとき、未曾有の大停電が首都を襲う!
目的達成のため暗躍する犯人たち、そして深刻なトラブルに必死に立ち向かう市井の人々の姿を鮮やかに描破した渾身の雄編。大型新人が満を持して放つ超弩級のクライシス・ノヴェル!
(東京創元社HPより)
2008年に、こんな作品書いていたんですね~。
今読むと、イヤでも、今年の東日本大震災のことを思い浮かべてしまう。
ここでは東京が大停電に陥るという話。
それは自然災害でなく、ある者が故意に起こしたこと。
どうして、そんな事を?というのは、段々にわかってくるけど、犯人は一人じゃない。
それぞれの犯人たちが背負っている過去が哀しい。
犠牲者を出してまでも、自分たちの信念を貫こうとしたことは、正しいことじゃないんだけど、気持ち的には、理解出来る。
真夏の大都会での停電。
いろいろな場面で、停電に巻き込まれ右往左往する人々の様子がリアル。
警察内部、犯人がわのほかに、普通に生活していた人たちの場面。
事件を追う刑事・周防は、娘のあゆみが事故でICUで治療中という状況だった。
こちらの経過も気になっていたけど、エピロ-グを読んでホッとした。
★★★
人生最悪の罠も人生最高の喜びも、ここにある
胸に残る文章、ちくりと刺す毒、さりげないユーモア。
「人って愚かで滑稽で愛おしい!」と感じさせてくれる、
バラエティ豊かな短編集
(文藝春秋HPより)
10こ短編、全て面白く読めて楽しかった♪
楽しいだけでなく、ちょっと切ないものもあるのだけど、どこかホッとするような物語たち。
・藤巻さんの道
・夜の隙間を埋める
・クリスマス・イヴを三日後に控えた日曜の・・・・・・
・クジラ見
・竜宮
・思い出ぴろり
・ラストシ-ン
・桂川里香子、危機一髪
・母の北上
・異国のおじさんを伴う
こうして並べてみても、タイトルだけみても、話の内容を思い出してニヤリとしててしまいそう。
最初の「藤巻さんの道」もなかなか面白い話で、最後は、自分が頭で想像していた結末でないことに嬉しくなった♪
「クジラ見」と「桂川里香子、危機一髪」は、女性って強い!
と、思わず笑ってしまった!
「思い出ぴろり」は、ちょっと切なかったけど、良い話だったなぁ~。
ほかの話も全部、兎に角よかった!!
最後の表題作「異国のおじさんを伴う」は、タイトルからして、それってどういう状況?と興味を持ったけど・・・・なるほど、おじさんって、そういうことね・・・。
これもなかなか楽しかった!
読んで損はない!とお薦めできる短編集でした(^^)
★★★★★
もてすぎて困る。涙が止まらない。
そんなあなたはこの店へ
「あなたの能力を、
あなたにはない誰かの能力と交換します」。
「ばくりや」の交換移植手術で
新たな人生を手に入れた人々の悲喜劇
(文藝春秋HPより)
「ばくりや」って何だろ!?
と思ったら・・・・「ばくる」とは北海道の方言で「交換する」の意味だとか。
そして、この「ばくりや」は、不要な自分の能力を他者の能力と交換するという不思議なお店。
そんなお店に交換を依頼する人たちの話が短編連作の形で7つ。
最初の話「逃げて、逃げた先に」では、女性に異常に好かれる能力を持った男が、その煩わしさから開放されたいと交換を希望する。
そして代わりに得た能力は刃物研ぎの能力。
でも、依頼した男性は、その新たな能力を使って別の人生を歩む。
まあ、ハッピ-なかんじ。
こんな風に交換してよかったね~という話が多いんだけど、そんな能力得たところでどうする?というのもあるのが面白い。
そして逆に、え?そんな能力を交換として使ったら、それを貰う人はえらい目に遭うんじゃないのぉ~!?というのもあったなぁ~。
そして、最後の「きりの良いところで」は、このばくりやの仕組みがわかる。
ここで依頼に訪れた男は、キリ番にやたら当たる人。
彼が、この「ばくりや」を訪れたのは災難だったのか?
いや、案外楽しんでノルマを達成するかも?
ちょっとブラックなユ-モアもあって、楽しく読める本だった!
★★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
