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読んだ本の感想あれこれ。
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51oF8c5PlwL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2013年3月
 

舞台は江戸深川。主人公は、22歳の古橋笙之介。上総国搗根藩で小納戸役を仰せつかる古橋家の次男坊。大好きだった父が賄賂を受け取った疑いをかけられて自刃。兄が蟄居の身となったため、江戸へやって来た笙之介は、父の汚名をそそぎたい、という思いを胸に秘め、深川の富勘長屋に住み、写本の仕事で生計をたてながら事件の真相究明にあたる。父の自刃には搗根藩の御家騒動がからんでいた。

 ミステリアスな事件が次々と起きるなか、傷ついた笙之介は思いを遂げることができるのか。「家族は万能薬ではありません」と語る著者が用意した思いがけない結末とは。

 厳しい現実を心の奥底にしまい、貸本屋・治兵衛が持ってきたくれた仕事に目を開かれ、「桜の精」との淡い恋にやきもきする笙之介の姿が微笑ましく、思わず応援したくなる人も多いはず。

 人生の切なさ、ほろ苦さ、そして長屋の人々の温かさが心に沁みる物語。ストーリーテラー・宮部みゆきの新境地!


                                   (PHP研究所HPより)


宮部さんの時代物、良いですね~(^^)
長いですが・・・飽きませんでした!

主人公の笙之介は22歳。
父親は、冤罪で切腹。その介錯をしたのは2歳年上の兄・勝之助。

父親、母親の不仲。
母親は、気弱な父親を見下したところがあり、兄の勝之助も同様。
気は弱いが尊敬していた父を亡くした笙之介は、母と兄とは縁が薄くなる。
実の母や兄なのに、気持ちが通じないという哀しさ。
しかし、一人で生活すれば、新しい人間関係が生まれる。

暮らしていた長屋の近所の人たちは皆、気が良い人たち。

そして、世話になっている佐伯老師の遣いで、江戸に向かってからも素敵な出会いあり。
仕立て屋和田屋の娘・和香と段々と親しくなっていく様子が微笑ましかった。

江戸で生活しながら、父親の汚名をはらす真相を追う笙之介。
そして、やがて知る真実は、ちょっとショックなものでした。

けれど、笙之介のことを心配する人たちが居て、一緒に歩んで行きたいと思ってくれる和香の存在が
これからの笙之介を憎しみだけ抱える生き方から違う生き方に導いてくれそう。

表紙の絵や、途中の挿絵が物語りの雰囲気を明るく和やかにしてくれていました。


                                        ★★★★
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51ZgK-SLPqL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2013年4月


決して交わるはずのなかった、俺たち。喪失を超えるように、ただ走り続ける----。

命をかける覚悟? 誰かを傷つける恐怖? そんなもの呑み込んで、ただ俺は走りたいんだ。ひたすらに、自分自身と向き合うために。助けられなかったアイツのために――。一年間限定で自転車ロードレースに挑むことになった正樹。「サクリファイス」シリーズ4作目、新たな舞台は大学自転車部! ファン待望の最新長編小説。

                        (新潮社HPより)


『サクリファイス』『サヴァイヴ』『エデン』は、プロのロ-ドレ-サ-たちを描いた作品でした。
今回は、大学の自転車部。
そこに大学で始めて自転車部に入った新入生・岸田正樹を中心に自転車部の面々を描く。

自転車初心者の正樹は、フランス帰りでそれまでは、柔道を続けていた。
中学のとき、同じ柔道部員が顧問からのしごきにより後遺症を残す不運に見舞われた。
自分がそのしごきを途中で止められたかも?と思うことから責任を感じて苦しんでいる。

 
そして、自転車部のエ-ス・櫻井元紀は、喘息の持病持ち。
兄を自転車のレ-ス中の事故で亡くした過去を抱えている。


心の奥に、重い過去を抱えながらの二人が、最初は先輩、後輩の関係だったのに、次第に正樹が
才能を発揮し始めると、よきライバルになっていく。

彼らのその後を知りたくなった。
続編がまた出るのかなぁ~?

プロの世界より、初々しさがあって爽やかな青春物語という雰囲気で読みやすかった。




しかし、本のタイトルがなぜ「キアズマ」なんだろ???
一応、キアズマの解説が本の裏にありました。

キアズマ・・・・減数分裂の前期後半から中期にかけて、
相同染色体が互いに接着する際の数か所接着点のうち、染色体の交換が
起こった部位。X字形を示す(三省堂・大辞林)

岸田正樹と櫻井元紀を相同染色体に例えてか?
う~ん、もっとわかりやすい表題で良いんじゃなのぉ~?^^;

★★★★



 
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発行年月:2013年4月


この世界は「なおし屋」=男性と「こわし屋」=女性が共存している。世界は創造と破壊を繰り返す。我々は馬鹿げた争いの果てに我々を囲むすべてを失った。何度も「歴史」の中で繰り返してきた。つくるために失う。次のアレやコレやをつくるため、あえて争って破壊し尽くす。もしかして、わざとそうしてるのか――ときどきそう思う。そんな不思議な街の不思議な物語。
 
                                          (徳間書店HPより)


イッタイの部とゼンタイの部に分かれている。
イッタイの方では、いろいろな物を直すことを仕事にしている男達が次々に登場。
なので、そういう男達を描いた短編集かと途中までは思いました。

時計のなおし屋、水廻りのなおし屋、おもちゃの猿のなおし屋、バイオリンのなおし屋、洋服のなおし屋、
車のなおし屋、テレビのなおし屋、写真機のなおし屋、家具のなおし屋、靴のなおし屋



壊れているものがあると放っておかれない男達。
けれど、そんな男達を直そうとしている女達。

『イッタイ』では男性しか出てこなかったのに、『ゼンタイ』の部では女性が何人か登場。
そして、男達は、なおされていく?

なおされると言っても、女達は男達を幸せにしているような・・・・。

ちょっと理解し難い物語ではありましたが、言葉遣いが面白く、登場人物たちの名前もユニ-ク。
『イッタイ』の部のように、短編でいろいろな物を直す男達の物語だけの方が個人的には好み。

でも、変わった構成の物語でした(^^)


                                           ★★★



 
51dBsecoaPL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2013年1月
 


わたしは、まだやり直せるのだろうか? 幸せになって、いいのだろうか?

刑務所(ムショ)で知合った前科(マエ)持ちの芭子と綾香は、東京下町で肩を寄せ合うように暮らし始めたが――。健気に生きる彼女たちのサスペンスフルな日常は、やがて大震災によって激しく変化していく。二人は、新しい人生の扉を見つけられるのだろうか? NHKドラマ(「いつか陽のあたる場所で」2013年1月8日スタート)原作シリーズ、感動の完結篇!


                                          (新潮社HPより)


ドラマの原作だったんですね~。
ドラマは見逃してしまい、残念!

罪を犯して刑務所で知り合った二人の女性。

小森谷芭子・・・・男に貢ぐため強盗を犯した
江口綾香・・・・DV夫から息子を守るため夫を殺害してしまった


2人とも罪を犯したことで、両親や親戚とは縁を切り、東京で助け合いながら暮らしている。
芭子は、犬の洋服をデザインして製作し、販売。
綾香は、パン職人になることを目標にパン屋で働く。

2人で静かに接触する人は最低限に、過去のことがばれないように、びくびくしながらの生活。
お互いが罪を犯したことを悔いながら・・・。
罪を犯したことは、悪いけれど、元々の性格は、真面目で他人の気持ちを思いやれる2人。
必ず、最後は幸せになってくれるんじゃないかな?と思いながら読んでいました。

そして、起きたあの震災。
芭子は仙台に綾香の生んだ息子の消息を確かめるために行っていて、被災。
偶然、居合わせた男性・南とタクシ-を相乗りして何とか東京まで戻って来る。


震災後、綾香はやはり縁を切ったとはいえ、東北の実家周辺のことが気になり、ボランティア活動をしながら
東北に通い始める。
そして、息子を守るために夫を殺したことは仕方なかったと思っていた綾香が
人の命を奪ったことの重大さに初めて気付いたという告白は胸を打ちました。

震災がきっかけで、2人は今までと違う別々の人間関係を築いていく。
自分たちの罪を、ほかの人にちゃんと話した上で始めた関係。
相手もそれを受け入れてくれたのは、本当に良かった!

2人がこれから別々に幸せになってくれたらいいな。

あとがきを読んで、芭子が仙台で被災し、東京に苦労しながら帰ってきた話は、乃南さんが実際に体験したことだということに驚きました!!

ニュ-スでは福島の被災者のことが主に流れていましたが、周辺の地域でも電車が止まったり停電したり、あの日、寒い思いをしながら外で過ごした人が多かったことを改めて知りました。


いろいろなことを考えさせられた物語でした。


                                         ★★★★
f66cdaa8.jpeg    発行年月:2013年3月


   終わりも答えもない恋愛の真実


9歳年下の鯖崎と付き合う桃。母の和枝を急に亡くした桃の親友の響子。
桃がいながらも響子に接近していく鯖崎……。"
誰かを求める"思いに、あまりに素直な男女たち="はだかんぼうたち"のたどり着く地とは-----。


                                                     
(角川書店HPより)


登場人物が多い物語。
はだかんぼうたちがいっぱい(笑)。

歯科医の桃(30代半ば)は、恋人の石羽と別れて9歳年下の鯖崎と付き合っている。
桃の友人・響子は4人の子持ち。
桃は響子のことをヒビキと呼ぶ。
そして、鯖崎はなぜか、響子に惹かれていく。

響子の母親・和枝は妻子持ちの男・山口と暮らしていた。
が・・・和枝が突然、亡くなり山口は和枝と住んでいた家の二階を間借りさせていた
大学生の安寿美の要望もありそのまま母の持ち家に暫く留まる。

和枝が山口と出会ったのが、出会い系サイトというのにはビックリ!
60過ぎてそういう出会いがある時代なのかぁ~!?
和枝は亡くなってしまっているので、この辺は、物語のなかで薄いかんじだけれど
個人的には、和枝と山口の関係に一番、興味あったなぁ~^^;

歯科医の桃は、父親の医院を継いで働いている。
桃には姉の陽がいるけれど、母親・由紀と陽の関係は昔からギクシャクしている。
陽は母親が怖いと言うし・・・実際、2人で会っているときの母親の陽に対する口調は、攻撃的。
母親と娘の関係って、鬱陶しいところあるのは、大なり小なり女性なら誰も感じるところだけれど
ここまでギクシャクした要因がイマイチ、よくわからなかったな。

そして、響子とそのの娘・未来との関係も、ちょっと由紀と陽と似ていて、ギクシャク。
こちらは、母親である響子が未来のことを恐れていた。


気持ちのままに誰かを求めながら生きていく人たちのなかで、ちょっと気の毒だったのが
山口の妻。
戻って来てくれるかも?って思っていたんじゃないかなぁ~?



登場人物たちのそれぞれを次々、いろんな場面で描く物語。
こういう物語は、どうやって終わるのか?と思いながら読んでいましたが・・・・
なるほど・・・唐突に終わるのですね。

この数年後、この人たちがどうやって生きているのか、ちょっと知りたい気にもなりますが
みんなそれぞれ、幸せでありますように・・・・。


                                          ★★★★
 
 
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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