発行年月:2008年1月
4人の過剰な女たち。あなたは誰に共感?
努力で「できちゃった略奪婚」した里美。その結果、離婚の憂き目にあった佐智子。そんな彼女を心配し、探偵活動を始める伯母ミツエ。その娘で不妊に悩む奈都子。女たちは対立しながら奇妙な友情を育む。第31回すばる文学賞受賞作。
(集英社HPより)
面白かった!
すごく興味をそそる状況だった。
一組の夫婦の離婚。
夫は、不倫によって妊娠した女性・里美と離婚後結婚。
妻・佐智子は、ひとり暮らしを始める。
そして、そんな甥っ子の行動に怒りを覚えたミツエは、元妻・佐智子を見つけ
訪ねていく。
一方、新妻・里美は結婚式に伯父夫婦が出席しないかもと聞き、なんとか出席を
承諾させてほしいとミツエの娘・奈都子の元へ。
佐智子の趣味を偶然、目にしてしまったミツエは、あることを思いつき実行。
そこで奈都子と里美とも鉢合わせのラストのシーンはドキドキ。
この後、どうなったんだろ~?
読者それぞれが想像するしかない終わり方。
取っ組み合いの喧嘩?
嫌みの言い合い?
お互いの胸のうちを晒して友情が生まれる?
でもミツエが言うように、やっぱり元妻・佐智子が気の毒だよね~。
おまけに妙なクセがあるし・・・。
これから幸せつかんで欲しいけれど・・・。
★★★
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発行年月:2006年5月
さわやかに のびやかに きらめいて
小澤征良 初の青春小説
――なんて深くて、なんて大きな夜だろう。立ち止まった私は、そのまま夜空をあおいだ。気をつけないと、そのまま宇宙の果てに吸い込まれてしまいそうで目眩がした。深い夜空の中で自分という輪郭があやふやになってゆく感覚が心地よかった。わたしは完全な自由を思い切り抱きしめてみる。――<本文より>
(講談社HPより)
指揮者の小澤征爾さんの長女ですね。
それは知っていましたが、本を読むのは初めて。
ご本人の経歴からして、なかなかハイセンスなかんじ。
物語もどこか高尚な雰囲気でした。
ある一組の男女の友情物語?
レナには6歳の時からの幼馴染・草野冬彦(通称:フーちゃん)がいる。
今はお互い、仕事を熱心にしている社会人。
二人の関係がいいなぁ~。
こんな恋愛感情抜きの男友達がいたら心強いよなぁ~。
でも恋人出来たら、この関係はどうなるんだろ??
なんて思いながら読みました。
二人が行きつけにしているバー「Far Away」のマスター舟木さんが良かった!
終盤、語る言葉は沁みました。
物語としては、淡々としていて大した感動はないけれど
言葉の選び方や、風景描写みたいなものが巧い作家さんだなぁ~と思いました。
初の青春小説とあるから、他はもう少し違ったかんじなのかな?
別の書を今度、読んでみようかな?
★★★
発行年月:2013年12月
月光が射しこむベッドの上、流奈が思いを馳せるのは、「どうしても会わなければ」と願い続けた人々との4つの光景。──恋愛小説の名手が死への道程を妖しく鮮やかに描きだす。筆冴えわたる傑作長編。
(集英社HPより)
4つの話に分かれていますが、これは長編小説ですね。
主人公は、病で死に向き合っている女性・満留瀬流奈。
既にこの世の者ではない者に向き合うお話。
ちょっと不思議な世界観。
それぞれの章の表題がユニーク。
<霧雨に紅色吐息>
ネットで予約した旅館に向かっている流奈。
同行するのは、金魚。
旅の目的は、かつて愛した美しい男性・三条澄人に会うため。
愛していたけれど憎んでもいた男。
<カダケスの青い小箱>
家族の期待を一身に受けた姉・志図だったが、画家と出会いすべてを投げ出し
スペインの地中海に面したカダケスに移住してしまった。
その地は、ダリの愛した街。
姉のことを想い、姉の思い出が残る街を巡る流奈。
<猫に雪茸まろびつ濡れて>
流奈の息子・千は、妻との子・星子が生まれて3年で離婚。
千は以来、娘に会わずに暮らしていた。
流奈は、千と星子を引き合わせようと二人で千の元へ訪ねていく。
<桜ふぶきいのちの宵闇>
流奈の娘・百。
幼く死んだ可哀想な娘。
そして子どもの頃、近所だった級友・タミ。
動作が鈍いタミの面倒を見るのはいつも流奈の役目だった。
そしてタミはある日、川に落ち、その2週間後に亡くなった。
二人の幼くて死んだ者の死は、自分の責任?仕方のない事故?
今もそのことを考えあれこれ悩む流奈。
死に直面した者は、既にあの世に行った者を近くに感じるものなのかな?
ちょっとホラー色あったりと不思議な幻想的な場面があったりでしたが
なかなか面白かった。
最後の話は、終盤、急に(予測出来ない展開で・・・)官能的になってビックリ^^;
★★★
発行年月:2006年8月
「ぼくがまた、きみを見つけにきてくれるまで、ここで待っているから」
40年の時を経てよみがえる、引き裂かれた恋人への思い。
遥かな故郷のサフラン色の土、吹き渡る風の記憶---。
深い余韻を残す、イラン系英国人作家によるデビュー作。
(本の帯文より/新潮社)
これはいろいろな愛を描いている。
母と娘の愛。夫婦の愛。それから遠く離れた愛しい人への思い。
母・マリアムと娘・サラ。
物語はイギリスとイランが舞台。
母・マリアムはイランで生まれその後、イギリスに渡った。
そのきっかけになった事は、マリアムにとっては辛いこと。
イスラム社会ゆえのしきたりも絡む。
マリアムの父親は国王・シャーの軍隊の将軍。
マリアムが英語を教わっていたアリという青年との間に不適切な関係があったと
疑い、イギリスに送られる。
マリアムはイギリス人と結婚し、その後は幸せな家庭を築くが
娘サラの妊娠中の事故後、再びイランの地を訪れる。
イランに戻ったマリアムのことを夫のエドワードは、責めない。
もう戻って来ないとも考えている。
一方のイランのアリは、戻って来たマリアムを温かく迎えるけれど
自分のずっと秘めて来た思いをあからさまには伝えない。
エドワードもアリも紳士的過ぎるほど良い人。
マリアムが「どちらを選ぼうが自分の大事な人を傷つけてしまうとになる」という
言葉が切ない。
イランから母親を連れ戻そうとしたサラもアリに接するうちに
母親のことを託そうと思い直す。
エドワードの心中を思うと
なんだかハッピーエンドとは言えない最後だけれど
不思議な余韻を残したままの物語だったなぁ~。
サフランの香り、わたしも好き♪
お茶にしても美味しいとか?今度やってみようかな?
著者は、この物語のアリと同様、イラン人の母親とイギリス人の父親を持つとか。
イランの国の歴史も少し学べました。
海外文学を読むとその国の歴史を学べるのも良いです。
★★★★
発行年月:2002年4月
お母さん、わたしは生きていていいの?
家族をすべて失ってひとり残された12歳の少女、エレン。
30年近い時を経て彼女が見たあまりにも残酷な家族の謎----
それでもエレンは生きる。
運命がどんなに容赦ないものであっても。
(本の帯文より/新潮社)
重たい話。
辛い話。
物語は、ふつうの明るい一家の様子が先ずはつづく。
物語の語り部は一家の5人いる子どもの真ん中の子・エレン。
一家には、ビリー(女の子)、ケスター(男の子)、エレン、カルロス(男の子)が
居て、5番目の子どもが生まれる直前から物語が始まる。
何処にでもいる家族の風景。
時には喧嘩したり、男の子は女の子をからかったり、やんちゃな末っ子君に
皆が手を焼いたり・・・・
そんな一家に新しい命が誕生する。
喜ばしいことなのだが、それが一家の崩壊の始まり。
子ども達の父親・フリッツと母親・マルヒェの関係が微妙に変化する。
産後、マルヒェの様子がどこか不自然になっていく。
洞察力に優れるエレンは両親のそんな関係をなんとなく感じて不安になる。
けれど、まだ12歳のエレンにはどうしようもない。
大人になってから、母親は産後鬱病だったのだと理解するのだけど・・・・
物語は、過去と現在が入り交じり、読んでいると少々、混乱する。
エレン自身が、あの時の母親と同じように妊娠中という状況にあり
あの時、母親のおなかにいた子を呼んでいたように、自分のおなかの子を
呼んだりすることも混乱の要因になった^^;
ま、読んでいる途中で、「ああ、これは母親のことだったのか?」とか
逆に「ああ、エレンのことね」と気づくのだけど。
辛く重苦しい過去を抱えながら、なんとか当時の母親や父親の気持ちを
理解しようとするエレン。
そのために、一家が暮らしていた家を購入という行動までとる。
そして、ずっとエレンのことを心配し続けてくれた近所のバスの存在が
エレンには大きかった。
全てを知っていて、温かく接してくれるバスの優しさは救いでしょう。
いろいろなことが時間が経った今、わかってきて、それによって
自分は前を向いて歩いて行こうと思えたラストは感動的だった。
出来事とししては哀しいけれど、ある意味、仕方なかったんだと
割り切れたのかな?
最初から最後まで引き込まれるように読んだ。
著者はオランダの作家さん。
ほかの書も読んでみたいけれど、翻訳されている作品があるかな?
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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