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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2014年5月

母が殺された――その悲しみの葬儀の席で逮捕連行されたのは、弟だった。

大企業勤務のエリートサラリーマンの父、良妻賢母を絵にかいたような料理上手の母、幼いころから両親の期待を一身に背負い、溺愛されてきた弟、そして彼らのなかで、ひとり除けものであるかのように成長した主人公、葉山和弘。
遺棄死体となって発見された母親の被疑者が弟であったことで、父親は頑なにて弟の無実を信じ、反証を得ようとするのだが――。

                   (文藝春秋HPより)




主人公の葉山和弘(35歳)は、大学時代に知り合った妻と盆栽を栽培し

販売する仕事をしている。

ある日、突然の弟・秀弘が殺人容疑で逮捕される。
母・直子を殺害したという。
そんなはずはないと疑う和弘。
弟は母が大好きだったし、母も弟を溺愛していた。
そして、一流証券会社勤務だった父も子どもの頃から出来が良い弟を溺愛し
家族内で自分だけが、なんだか疎外されたように感じていた。

父は弟は冤罪だと信じ、弁護士を探し無実を勝ち取って欲しいと望む。

和弘も弟の無実は信じたいが、過去の出来事などを思い出し、もしかしたら
弟が殺したのは間違いないかもと思いはじめる。



子どもの頃からずっと感じていた疎外感が大人になっても消えないって辛いだろうな。
裁判が進むにつれ、わかってくる真実。
今まで知らなかった母のことや弟のこと。


そして、幼い頃から感じていた自分の疎外感は勘違いだったこと。

ワンマンな父親が和弘の妻・久美子の言葉がキッカケで態度を柔らかくしたとき
から少しホッとしました。

まだまだ裁判は続き、和弘たち家族には辛い戦いが待っていそうですが
和弘の気持ちが以前と変化したことは良かった。

妻の久美子の存在が大きい。
そして生まれてくる子供の存在もこれから大きな支えになりそう。

なかなか面白かった。


                          ★★★★
 
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発行年月:2014年12月

なして助がった? 流されちまえば良がったのに。3・11のあと、妻たちに突きつけられた現実に迫る長篇小説。

乳飲み子を抱える遠乃は舅と義兄と、夫と離婚できずにいた福子は命を助けた少年と、そして出戻りで息子と母の三人暮らしだった渚はひとり避難所へむかった。段ボールの仕切りすらない体育館で、絆を押しつけられ、残された者と環境に押しつぶされる三人の妻。東日本大震災後で露わになった家族の問題と真の再生を描く問題作。

                  (新潮社HPより)




3.11のとき、奇跡的に助かった人たちのその日とその後を追う。

主な人物
・椿原福子(55歳)・・・嫌悪感しか抱かない夫の存在に堪えながらの生活。
3.11の日は、勤務先の奥さんから頼まれた買い物をスーパーでしていた。
車で帰る途中、津波に飲みこまれるが運よく助かる。

そして、津波に流されてきた昌也を助ける。

・山野渚(40歳)・・・夫と離婚し息子の昌也(小5)との生活。
スナックのママとして家計をやりくり。
津波に巻き込まれたらしい息子の安否を心配していた。

・漆山遠乃(20代)・・・知り合いの女性と買い物に行く車中で津波に飲まれそうに
なる。まだ乳のみ児の智彦を抱えている。
舅と義兄との避難所生活を強いられる。


3人の女性たちが、やがて避難所で知り合い、お互いに励まし合う仲になる。
一番気の毒だったのは、若い遠乃。
夫が遺体で発見された後は、苦労の連続。
精神的に参る寸前で、福子に出会ったことが幸運!
あんな舅と義兄に一生つきまとわれたら辛すぎるでしょ!?

ラストは、なんとか皆、希望を持てる暮らしを始められた様子でホッとした。


実際、こういう風に前向きに新生活を始められる人ばかりじゃないんでしょうが・・・
理不尽に今までの生活を断ち切られてしまうのってやりきれない。


参考文献が後ろにずら~っと並んでいました。
いろいろ調べて書かれたんだろうな。


                            ★★★



発行年月:2014年11月

人生の「後悔」を生き直してみたら…

 33歳の医師・早坂ルミ子は末期のがん患者を診ているが、「患者の気持ちがわからない女医」というレッテルに悩んでいる。ある日、ルミ子は不思議な聴診器を拾う。その聴診器を胸に当てると、患者の”心の声”が聞こえてくるのだ。死を目前にした患者達は、さまざまな後悔を抱えていた。ルミ子は患者とともに彼らの”もうひとつの人生”を生き直すことになり――!?

この世の中の誰もが、「長生き」することを前提に生きている。
もしも、この歳で死ぬことを知っていたら…
 
●dream――千木良小都子(33歳) 
母は大女優の南條千鳥。母に反対された「芸能界デビュー」の夢を諦めきれなくて…

●family――日向慶一(37歳)
IT企業のサラリーマン。残業ばかりせずに、もっと家族と過ごせばよかった。

●marriage――雪村千登勢(76歳)
娘の幸せを奪ったのは私だ。若い頃、結婚に大反対したから46歳になった今も独り身で…

●friend――八重樫光司(45歳)
中3の時の、爽子をめぐるあの”事件”。僕が純生に代わって罪をかぶるべきだった。

女性から圧倒的支持を受ける著者が描くヒューマン・ドラマ!!

                       (小学館HPより



患者の心の声が聞こえる聴診器をある日、拾った主人公の女医・ルミ子。
患者の本音を知ってどうするのかな~?と思って居たら・・・
患者が心残りに思っていることを過去に戻って行き直す姿を一緒に
見るという予想外の展開でした~^^;

でも、なかなか面白かった。

ルミ子自身が生き別れていた父親と再会したラストの話が一番良かった。

不思議な聴診器は、新入りの女医・摩周湖に引き継がれて
これは続編あるのかな?と期待させる終わり方^m^



                        ★★★




2014年12月


 あらゆる世界に物語はある――思わずゾクッとするホラーテイストな話から、
ほろっとくる感動ストーリーまで、直木賞作家が綴る連作集。

               (PHP研究所HPより)




箱庭旅団シリーズ3作目です!

このシリーズ好きだなぁ~。
今回も楽しませて貰いました!


最初の話<マミオ、地球を去る>は、人間の世界で猫として生活している異世界から
来たマミオ。地球での潜伏調査を終える時が来た。

突然居なくなる猫は、異世界に戻っていくんだと考えると飼い猫が突然
居なくなった経験を持つ人は少し楽しい気分になれるかも^m^

不思議で少しクスッと笑えたのが
表題は恐ろしい<クリスマスの呪い>。
12月25日が誕生日の女の子の思い。
なるほど~言われてみればイベントの日と誕生日が重なるとちょっとつまらないかも。

<シュシュと空きカバンの住人><シュシュ、途方に暮れちゃって>も
なかなかユニークだった!


反対に切なかったのが<鬼の来る正月>
ほかの人には理解してもらえないものと戦うってしんどいだろうな~。


おぉ~!と感嘆したお話は<バルルの原理>。
表紙の絵はそれを表しているのかな?
動物たちが集まって<バルルの原理>をニンゲンにも教えるか否かを議論するという
お話。
動物たちが下した結論は正しいと思う。


このシリーズ、もうお終いなのかなぁ~?
続けられそうな気もするんだけど・・・
楽しいからまたこういう短編書いて欲しいな。


                         ★★★★★



発行年月:2014年11月

女の答えはすべて、ホトにございます。美しく艶めかしく、そして怖ろしい奇譚集。

成仏などするものか。ああ、口惜しい、恨めしい――妹のようにかわいがっていた娘の命令で、毒をもられた女の怨み。死してなお、毎夜毎夜、愛しい男の元を訪れる女の情念……。恋愛小説の名手が、四谷怪談、番町皿屋敷、牡丹燈籠、源氏物語などの古典に挑戦。溢れんばかりのエロスを注ぎ込み、ついに誕生した究極の官能小説!

                     (新潮社HPより)




・朱夏は濡れ行ゆく   牡丹燈籠

・蟲惑する指   番町皿屋敷
・陶酔の舌   蛇性の淫
・漆黒の闇は報いる   怪猫伝
・夢魔の甘き唇   ろくろ首
・無垢なる陰獣   四谷怪談
・真白き乳房   山姥
・白鷺は夜に狂う   六条御息所



怪猫伝以外は知っている怪談話でした。
唯川さんの独特なアレンジでどれも面白く読ませて貰いました。
映像になったら、凄く怖いんでしょうけれど、古典的な表現の為か
怖いけれど、それも含めて楽しめました。

恋に狂う女の念って、怖いな~。

飼い猫が飼い主の未練を感じて敵を討つ漆黒の闇は報いるが個人的には好き。
知らなかった話なので余計に面白かったのかも。

唯川さんのつけたそれぞれの話の表題も何だかいい!
怪しいかんじが漂ってるかんじです。


こういうアレンジ本も楽しくていいな。


                        ★★★

 
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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