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読んだ本の感想あれこれ。
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398fee6a.jpg発行年月:1971年


1969年1月2日、悦子の二十歳の誕生日。
この書はその日から立命館大学の三年生に進級し、学生運動に参加した同年6月22日までの学生生活を主に綴った彼女の日記。

最後の日記を記した二日後、6月24日鉄道自殺。




もうかれこれ20年以上前にこの書を読んだ記憶。
そのときは、彼女の年に近かったので、同じような年齢なのに、随分、大人びた考え方をする人だったんだと感心すると同時に、綴られる言葉が独特の雰囲気で、高貴な感じすら覚え、ちょっと憧れた覚えもありました。

今年になり、大学ノ-トの様な表紙の新装版が発行されたのを知り、図書館で既にあるこの書を借りて読んでみました。

20数年前に読んだ時の感想とやや違う感じを得たことに、気づきました。
年を取ったということでしょうけど・・・。

今回は、本人の気持ちに寄り添うよりも、第三者的、母親のような気持ちで読んでいる自分がいて
こういう時代に生まれたが為に抱えた苦悩だったのか?

あまりにも繊細な自意識が彼女を追い込んでしまっている哀しさを強く感じました。

1960年代は、全国各地で学生運動がさかんに行われていた時代。
まだ幼かったわたしでも、なんとなくニュ-スで見ていたので、ヘルメットを被り、何やら捧のような物を持ち、機動隊に向かう学生たちの姿を記憶しています。

著者もその学生運動に参加するのですが、その活動を支持する側、そうでない側、どちらに行くべきか悩んでいる。
しかし、結局は、はっきりした態度を取らなきダメなんだ!と思い、前以上に運動に積極的に関わる。
運動そのものを支持するからというよりは、周りとの調和を考えての行動だったのか?

アルバイト先の男性と恋愛関係になるが、男性には、ほかにも恋愛関係の女性がいて、失恋。
日記には、その後も未練が残っているような事が記されている。

学生運動をしながら、社会に対して、人間関係に対してどんどん孤独を感じる彼女。
痛々しい。
若い頃、読んだときは、その部分にやや寛容に共感できた部分が今は、痛々しいとしか言えない。

彼女の選んだ自殺は愛してくれた家族を深い哀しみに陥れてまでする我がままな行為とするのは酷すぎるかもしれないけれど、この年齢で読むと、そんな感情が強く沸いてきます。

自分が2人の娘を持つ、母親という立場にいることが大きいと思いますが。

最後に遺した詩は、胸に響きます。
これは、若い頃にも同様に響きました。

本の最初に載っている、明るい笑顔を読み終えた後、再び見ると、泣けてきました。

素晴らしい詩を書く彼女の感性。
生きたまま、その感性を生かして、もっと沢山、違う物を書いて欲しかった。

自ら、死を選んだことが残念でなりません。

★★★★★


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