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発行年月:2021年12月


たいせつなひとの死、癒えることのない喪失を抱えて、生きていく――。凍てつくヘルシンキの街で、歴史の重みをたたえた石畳のローマで、南国の緑濃く甘い風吹く台北で。今日もこうしてまわりつづける地球の上でめぐりゆく出会いと、ちいさな光に照らされた人生のよろこびにあたたかく包まれる全6編からなる短篇集。

                      (新潮社HPより)




6つのお話、それぞれ良かった。
親しい人を亡くした喪失感から再生していく過程が描かれている。


<夢の中>
この話は、親しかったというわけではないけれど、BFと30年前に訪れた
金沢での夜の話。
喧嘩別れした彼を置いてひとりで食事を摂っていたときに出会ったおじさん達
との思い出。


<SINSIN  AND  THE  MOUSE>
2人暮らししていた母が亡くなり落ち込んでいたら
新婚の友人夫婦が台北への旅行に誘ってくれて同行する。

旅先のちょっとしたことが良い再生のキッカケになって良かった



<ミトンとふびん>
お互いの母親に結婚を反対されていたけれど・・・
フィンランドの凍てつく寒さのなかでも旅行を楽しみながらそれぞれの
母親のことを思い出す。

レストランのクロークのおじさんからの話は、本当に二人には宝物の
ような思い出になるだろうな~。
天国ではそれぞれのお母さんも温かく見守っていてくれると思う。
ファッツェルのチョコ、食べてみたくなった!



<カロンテ>
イタリア留学中に交通事故死した親友で幼馴染の真理子。
その真理子の婚約者・マッテオに会うため、イタリアへ。
再会し、二人で真理子を思い出しては泣く。
マッテオの友人・ジャンルーカが偶然、通りかかり話に加わったことに
よって、悲しみから現実に戻される。

真理子が日本人の男性と親しくなっていた話を聞いていたが、その人・細田健一
にも偶然、会えて、彼はゲイで真理子とは友達として親しくしていたことを
知り、思いがけないプレゼントも貰い、それはマッテオにも渡される。

真理子って素敵な人だったんだろうな。



<珊瑚の指輪>
おばあちゃんの形見の珊瑚の指輪をリメイクして付けていた母。
その母が亡くなり、その指輪は自分がつけている。

遺品の整理について。
一挙に何もかも片付けてしまいたい人とじっくり時間をかけて
整理したい人がいるんだな。
自分は、どちらだろう。じっくり派かな?



<情け嶋>
夫に好きな人が出来て、子どもまで出来たと知り、離婚。
ゲイの友達・春夫がここに住めばいいよと。お言葉に甘える。
その後、春夫の恋人・義人も一緒に暮らすことに。


こんな暮らしも気楽そうで、ちょっといいな。


死がテーマだけれど、温かい気持ちになれるのはいい

                       ★★★★

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