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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2014年12月

なぜ私は、あの子と同じ名前になってしまったのだろう。篠田淳子は、中学時代の同級生、佐竹純子が伊豆連続不審死事件の容疑者となっていることをニュースで知る。同じ「ジュンコ」という名前の彼女は、淳子の人生を、そして淳子の家族を崩壊させた張本人だった。親友だった女、被害者の家族、事件を追うジャーナリストのアシスタント……。佐竹純子容疑者と同じ「ジュンコ」という名前だったがゆえに、事件に巻き込まれていく4人の女たちの運命は。

                   (徳間書店HPより)




5人のジュンコ。


佐竹純子・・・伊豆連続不審死事件の犯人
篠田淳子・・・佐竹純子と中学時代一緒に行動することが多かった
田辺絢子・・・佐竹純子の事件の真相を追う、人気ノンフィクション作家のアシスタント
守川諄子・・・息子は佐竹純子の被害者?自身は事故死する。
福留順子・・・逆恨みから息子を殺害されてしまう



まず思ったのは・・・ジュンコさんって、いろいろな漢字があるんだなぁ~ということ。
あまり本題には関係ないけれど・・・^^;


どのジュンコさんもあまり近づきたくないタイプの人たち。
大きな事件は2つ。
でも冒頭の熱海市で起きた連続不審死事件の犯人とされる佐竹純子が一番、気味が悪い。
こんな人関わらなかったら、篠田淳子は、違う幸せな道を歩めたんじゃないかな?と
思うと、淳子には同情する。

いろいろなジュンコさんが出てきて、それぞれ面白かったけれど(気持ちいい話じゃないけれど・・)、伊豆連続不審死事件の真相がもう少し知りたかったな。
気味が悪いけれど、佐竹純子の話がもっと深く知りたかったので、
彼女が関わったであろう不審死を遂げた5人の男性との経緯がもうちょっと
読みたかった。


もうひとつの八王子連続不審死事件の方はあまりインパクトなかったかも。
話が混乱しただけのような・・・。


                           ★★★
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発行年月:2014年4月



 大洋新聞に連載されている「よろず相談室」には老若男女から様々な相談が寄せられている――。

「居候に悩んでいます」――自分たちの家に居候が住んでいて、あるとき主従が逆転してしまった。このままでは居候たちに追い出されてしまう!
「しつこいお客に困っています」――同僚に生理的に嫌なお客を押しつけられて困っているのだけれど……。
「隣の人がうるさくて、ノイローゼになりそうです」――25年住んでいる賃貸の部屋。今までは何もなかったのに、隣から急に壁をたたかれるようになり、生活もままならなくなってきたのですが……。
「セクハラに時効はありますか?」――14年前、残業後、8歳年下の後輩に思わず抱きつき、そのまま最後まで……。部長への昇進にあたっての、審査で、この点だけ気になっています。
「大金を拾いました。どうしたらいいでしょうか」――家の裏の雑木林で見つけたゴミ袋。その中には札束が! 持ち帰って1年そのままなのですがどうしたらよいのでしょうか。
「西城秀樹が好きでたまりません」――「傷だらけのローラ」は私のことを歌っているんです! 秀樹が呼んでいる! どうしたら秀樹に会えますでしょうか。秀樹に会わせてください!
「口座からお金を勝手に引き出されました」――1500万円ほどの蓄えがあったのですが、どうやら夫が勝手に引き出したようです。これって窃盗にあたりますか?
「占いは当たりますか?」――来年、結婚する予定です。祖父母が心酔している占い師に、この結婚は不吉だと言われたと告げられて。そのうち、私も不安になってきたのですが。 

一見、なんの連関性もない人生相談の数々。
ところがこの相談の裏には衝撃の事件が隠されていた!

                        (講談社HPより)




最初は、新聞の「よろず相談」コーナーに寄せられた読者からの相談の手紙を基に
した話を並べた短編集かな?
と軽く読んでいたのですが・・・・
そういう単純なものじゃなかった!

読書は、メモを片手にしているので、途中から
「あれ?この名前、前の話にも出てきた?」と気づき、そうするうちに
次々にバラバラだった前の話の登場人物たちがリンクして来て
最終的には、大金にまつわる殺人事件の真相に行きついてしまうという
凄いトリックが散りばめられた短編小説のかたちに見せかけた
長編ミステリーだったわけですね!!

いやはや、初読みの作家さんでしたが、この構成力には参りましたぁ~m(__)m。


面白かったなぁ~。

時間があったら読み返してみよう。


                          ★★★★★




発行年月:1955年12月


 世界の「MISHIMA」、この時29歳。純潔無垢でパーフェクトな恋物語。

文明から孤絶した、海青い南の小島――潮騒と磯の香りと明るい太陽の下に、海神の恩寵あつい若くたくましい漁夫と、美しい乙女が奏でる清純で官能的な恋の牧歌。人間生活と自然の神秘的な美との完全な一致をたもちえていた古代ギリシア的人間像に対する憧れが、著者を新たな冒険へと駆りたて、裸の肉体と肉体がぶつかり合う端整な美しさに輝く名作が生れた。

                       (新潮文庫HPより)




山口百恵さんと三浦友和さんで演じられた映画「潮騒」は見ました。

読んでいると自然に二人の俳優さんの顔が浮かんで来ちゃいましたが・・・^^;
とても綺麗な純愛ストーリーでした。

やはり三島由紀夫の文章は美しいな~。
美しい海辺の風景も目に浮かぶようで、若い二人が惹かれあう様子も
なんだかドキドキしました。
恋愛小説は、いくつも読んでいますが、なんだろ?凄い新鮮なかんじ。


「金閣寺」をこの前読んで、あちらは暗く影のある主人公の行き場のない運命を
切なく描いていて、胸が苦しくなりましたが、こちらは180度違う作品。
明るく希望に満ちた若い命が惹かれあい、これからひとつになって進んでいくだろうという物語で、爽やかな読後感でした!

三島由紀夫という人は、本当に素晴らしい作家だったんだな・・・・。
まだ2作品しか読んでないけれど、違う作品も読みたい。
さて、次は何を読もうかなぁ~?


                       ★★★★★



発行年月:1968年7月


 少年は覗き穴から母の裸を凝視した――。
大人の世界を許せない少年たち。その心理を克明に描く問題作。


船乗り竜二の逞しい肉体と精神に憧れていた登は、母と竜二の抱擁を垣間見て愕然とする。矮小な世間とは無縁であった海の男が結婚を考え、陸の生活に馴染んでゆくとは……。それは登にとって赦しがたい屈辱であり、敵意にみちた現実の挑戦であった。登は仲間とともに「自分達の未来の姿」を死刑に処すことで大人の世界に反撃する――。少年の透徹した観念の眼がえぐる傑作。

                    (新潮社文庫HPより)



読む本が手元になくなり・・・自宅本棚にあった本を読んでみました。
「金閣寺」が面白かったので・・・。

とても薄い本で、頁数は168頁。
すぐに読み終えましたが。。。。面白かった!!
三島作品に今更ながらのめり込みそうな予感(笑)。


これは、13歳の少年たちの持つ残虐性も描いていて、大なり小なり
男の子にはこういう気持ちを秘めているものなのかも・・・なんて思った。

主人公の黒田登は、父親を亡くして、家には母と使用人が住む。
母は登が寝る時間には部屋の外から鍵をかける。
そんな彼はある日、母の寝室と通じる壁に穴を見つける。
その穴は普段は気づかない大抽斗の棚を引き出したところにある。
母親の裸体を偶然見て、その後、母が連れて来た二等航海士の塚崎竜二との
様子も覗き見る。

竜二の前では、子どもらしい屈託ない明るさを演じる登。

そして、物語の結末は・・・おぉ~そう来たか!?というかんじ。
読み終えてみると、この表題は、凄い!巧い!

 
 
ウキペディアで調べたら・・・これ日米英合作で映画化されているんですね!
ちょっと見てみたいなぁ~。

海が見える景色が、どんな風に映像では写っているのかな?
ラストシーンも気になるし・・・。
小説では舞台は横浜の港町でした。
日本の景色でも十分美しいものは出来たと思うのだけど、俳優陣を見ると
外国が舞台でしょうね。


                            ★★★★



発行年月:1960年9月

コンプレックス。挫折。美。23歳の男は、なぜ金閣を炎上させたか。

一九五〇年七月一日、「国宝・金閣寺焼失。放火犯人は寺の青年僧」という衝撃のニュースが世人の耳目を驚かせた。この事件の陰に潜められた若い学僧の悩み――ハンディを背負った宿命の子の、生への消しがたい呪いと、それゆえに金閣の美の魔力に魂を奪われ、ついには幻想と心中するにいたった悲劇……。31歳の鬼才三島が全青春の決算として告白体の名文に綴った不朽の金字塔。

                        (新潮文庫HPより)




先に読んだ次女が「読むべき!」と言ったので・・・
今まで恥ずかしながら三島由紀夫は読んだことがなかったのですが読んでみました!

そして・・・・その文章力に感動!!
日本語って、こんなに素晴らしいんだ!
人の気持ちとか、目に見えないものをこんな風に表現できる人だとは知らなかった!!



物語は、1950年7月2日に起きた金閣寺放火事件が基。
犯人の青年の告白文という形で描かれている物語です。

主人公・溝口がその美しさに魅了されていた金閣寺を焼失させようと決心する
までの心の変化が丁寧に描かれている。
大学で知り合った、柏木との関わりも物語の中では重要な転機となっていた。
柏木は強度の内飜足(内反足?)。
溝口は、彼の不具が私を安心させたと語り、声を掛けるが、そんな心のうちを見事に
言い当てられ逆に「吃音をそんなに大事に思っているのか」と侮蔑される。

柏木の鋭い物の捉え方は、読んでいて「おぉ~!」と感心することが多かった。
この考え方は、著者の物の考え方に通じるものがあるんじゃないかな?
なんて想像もした。



溝口は金閣寺をどうして焼いたのか?

魅了されてはいても、終戦間際には、空襲で焼けてなくなることを想像し喜々としていたり
どこか破滅願望的なものを感じた。
なくなってしまったことで、より強く残る、そのものに対する意識。
幼い頃、恋心を抱いた有為子の死。初めて自分に優しく接してくれた鶴川の死。
そして、父・・・・亡くなった後でも何度も溝口は思い出す。

 そして、見知らぬ人の言葉から老師の金銭感覚やその他のことでも違和感を感じる。
そして、柏木に借金して出奔したあとから老師との関係が冷え込むが
金閣寺の僧侶になることを期待している母親の父が死んでからの行動にも
何か自分勝手さを感じる。


幻想のなかの金閣寺をそのまま留めるには、現実の金閣寺は要らない?
金閣寺が存在するから、自分は不自由。


いろいろな考えがあっての結論が燃やす(ないものにする)ことだったんでしょうか?
なんとも切ない話です。
溝口が寺の子どもに生まれなかったら?
吃音じゃなかったら?別の生き方が出来たんでしょうね・・・・。



物語の最後、主人公は生きることを選んだかんじだったが、実際の犯人は
ウィキペディアで調べたら・・・自殺を図りながらも命は助かったんですね・・・。

同じ事件を扱った、水上勉の「五番町夕霧楼」「金閣炎上」も読んでみたくなった。


いや~しかし、衝撃的な話で、三島由紀夫の文章に魅了されました!!


                          ★★★★★
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