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読んだ本の感想あれこれ。
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     発行年月:2012年11月


     少し臆病な女性たちに贈るラブストーリー

     楓は冴えない中学校教師。
     思いがけず料理上手の恋人を居候させることになり、
     また学校では問題児を面倒みるハメに。
     等身大のファンタジ


                            (文芸春秋HPより)


凄く不思議な状況でしたが、主人公の楓を応援したくなる物語。
楓は、中学で社会科を教えている。
熱血教師とはほど遠く、授業中の生徒たちの様子にも特に関心がない。
けれど、そんな教師だからこそ、救える生徒もいる。

自身の元教師でもあった野崎が同じ学校にいる。
楓のことを「教師に向いていないはずなのに・・・」と思いながらも野崎は
ちょっと問題がある生徒を楓と関わらせる。

卓球が物凄く上手いのに部内でもめ事を起こし居場所のない市井くん。
クラスの雰囲気を変えてしまう張本人の高井さん。

楓は野崎先生に頼まれて、生徒たちと面談するけれど、説教めいたことは一切言わない。
自分がなんとか変えてみせようという気合もない。

教師らしくないけれど、生徒にも一人の人として対等に向き合う姿勢が、好感が持てる。
市井くんも高井さんも楓と接することで、少し心の持ち方が変わる。

こういう対応が自然に出来る人っていいな。
教師としては、らしくないけれど、結果的に生徒の気持ちを変えることが出来るのは素晴らしい。
こういう素質みたいなものを持った人が教師には本当はふさわしいんじゃないかな?
なんて思ってしまった。

楓の私生活もユニーク。
恋人は何者でしょ?
突然消えて、ふいにまた現れるって・・・・。

和歌教室の講師・田辺先生とも恋人だった時がある?

不思議なことがあれこれあったけど、ゆったりした温かいかんじの物語。
でも楓の境遇を考えるとちょっと切なくもある。
楓がこの先、幸せに誰かと暮らしてくれたらいいんだけどなぁ~。


                                   ★★★★★

 

 

                              


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41dXNChXF1L__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2010年3月


想いを貫いた江戸の人々の生きざま。<ハヤカワ・ミステルワ-ルド>からの入魂の歴史小説。

江戸参府のオランダ使節団が、自分たちの宿「長崎屋」に泊まるのを、るんと美鶴は誇りにしていた。文政五年、二人は碧眼の若者、丈吉と出逢い、両国の血をひき彼と交流を深めてゆく。まもなく、病人のために秘薬を探していたるんは、薬の納入先を聞きつけた丈吉と回船問屋を訪れる。が、店に赴いた彼らが発見したのは男の死体だった。さらに、数年後シ-ボルトをめぐる大事件が起こり、姉妹はその渦中に。


                                          (早川書房HPより)


少し前に、朝井まてかさんの「先生のお庭番」を読んでいたので、その同じ時代の話ということで
興味深く最初から最後まで読みました。

オランダからの商館長が代々、泊まる「長崎屋」という宿屋。
そこの姉妹・るんと美鶴。
器量よしの二人は世間でも評判。
そして、成長した二人の前に現れたのは、碧い眼の若者・丈吉と親しくなる。
丈吉は先のオランダ商館長・ヘンドリック・ドゥ-フと日本人の母(長崎の遊女だった)との子。

シ-ボルトにも日本人の女性との間に娘・イネがいるのを知っていますが、
この時代、そういう子どもは他にも居たんですね~。
丈吉は、その後、不幸な目に遭うのが切なかったなぁ~。

史実を交えての物語なので、教科書で見た名前が結構出てきます。

怪しい武士が間宮林蔵だったり・・・・。

シ-ボルトが来日し、やがて起きたシ-ボルト事件に、るんや美鶴の愛する人たちも巻き込まれていきます。
シ-ボルト事件でそれに関与した者の厳しい取調べがあったのは、「先生のお庭番」やほかのもので読んで知っていましたが、こうして物語のなかの人物の身近な人が苦しめられるのは、辛かった。

多くの人が犠牲になったシ-ボルト事件は暗い事件だけれど、たシ-ボルトは
日本で過ごした貴重な体験を大事に思い、自分を拘束することになった事件の密告者(間宮林蔵)の功績を称え世界に林蔵の名を広げたことは嬉しい。

密告者としての汚名がついた林蔵も格好よかった。

皆、それぞれ自分の信じる思いを貫いただけ。

シ-ボルトの娘・イネのその後のことがちょっと興味あるな・・・。
調べてみようかな?



どんどん、新刊を出される葉室さんですが、少し前の作品も良いです(^^)

★★★★

 
51edmNTsOmL__SX230_.jpg    発行年月:2012年3月


     人生のピークを過ぎてしまった女優とデイトレーダー。
    ふたりはやがて恋に落ちる。
    ひとがひとと出会い、生きていくことのすべてを描いた、
    真心の物語。


                            (ポプラ社HPより)



かつては可愛い女優として評判だった野滝繭美(芸名:滝沢マユ)と
かつてはディ・トレ-ダ-として巨万の富を得た松田健作。

二人の男女があるパ-ティで知り合い、やがて恋人同士に。
出会ったときには、仕事は過去の栄光。
そんなときに惹かれあったのが良かったのかも。

二人で古い洋館を買い、その庭にバラの苗を植えていく。
色とりどりのバラは、綺麗で逞しい。

そんな植物の生命力を見ながら、これからの人生も二人で生きていこう!と
心に決める。

松田が一文無しに近い状態に陥るのは、波乱に満ちた状況なんだろうけど、あまり危機感がない。
ホントの一文無しとは違うからか??
結局、過去の功績を買われて証券会社で、働いているから、二人の経済的な危機はない様子。

健作が夢で見るサラリ-マンの話とか、花の言葉を聞けるイヤフォンの話が、もっと
広がっていくのかと期待したけど、その辺はそのままで、なんだかよくわからなかったなぁ~。


二人の関係は、セレブぶってないかんじで好感が持てたけど
正直、あまり面白みを感じない小説だったな・・・・・^^;


★★★
510pvmI42FL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年7月


いまは恋愛よりも、部活が楽しい-----
すべての世代の胸を打つ、2012年最高の青春小説!

私たちは、演じつづけて何になるのだろう。
本当の喜びも、悲しみも、彼女たちはまだ知らない-----

北関東の高校に通うさおりは、演劇部最後の一年を迎えようとしていた。姫キャラのユッコ、黙っていれば可愛いガルル、天才・わび助らと共に、年にたった一度の大会に挑む。目指すは地区大会突破。そんな時、学校に新しい先生がやって来た。東京の大学で演劇をやっていたというスッゴイ美人。「何だ、小っちゃいな、目標。行こうよ、全国!」。え? すべてはその一言から始まった。
高校演劇は負けたら終わり。男子よりも、勉強よりも大切な日々が幕を開ける。

地方の高校演劇部を舞台に、少年少女たちの一途な思いがぶつかり、交差し、きらめく。
劇作家・平田オリザが満を持して送り出す初めての小説は、誰もが待っていた文化系青春小説の金字塔!


                                      (講談社HPより)



高校の演劇部の話。
演劇のことは、さっぱりわからないけれど、なるほど~劇ってこうして作られるんだぁ~と
勉強になりました。

主人公は演劇部では、演出を手掛ける高橋さおり。
先輩が引退し、部長として部内のまとめ役でもある。

3年生になったばかりのときは、5人しか居なかった部員が、1年生部員が増え12名に。
その後、演劇の強豪校から転校してきた中西悦子も加わる。

大学で演劇をしていて一時は女優の道も考えた吉岡先生も副顧問になり、演劇部の活動がドンドン
活気溢れる部活になっていく。

劇中劇の『銀河鉄道の夜』の雰囲気も楽しめて、良かった。
原作をすぐにまた読みたくなる。

夢中になれるものがあって、一緒にそれを楽しめる仲間が居て・・・・
素晴らしい高校生活だなぁ~。
こんな風に毎日を充実して送れるってうらやましい。

爽やかな青春小説でした!


著者の平田オリザさんは、実際に劇作家として有名な方なんですね。
その世界のことに疎くてお名前すら知りませんでしたが・・・・
機会があれば、実際に平田さんが演出した劇を見てみたいなぁ~。


★★★★★





41nhc4M0MeL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年9月

未来どころか過去の時間も奪われたような……
絶望感に向き合って、見えてくるものは。


平穏に暮らしていたはずの両親。その父が突然いなくなった。
思い出の詰まった実家も売却されていた。
何一つ身に覚えのない母は、
なぜと叫びながらも答えを手繰り寄せていく。
               
苦しみの量というのは、誰にも一定なのではないだろうか。
自分はその苦しみがこれまで少なかったのかもしれない。


だから今少し、その苦しみがやってきたような気がする。
幸せの量は一定ではないのだと確信している。
幸せは自分しだいで増やせるものだ。

                                    
(光文社HPより)


面白かった!!
話は深刻なんだけど・・・。

70歳目前の園原聡子の夫が突然、行方不明。
不倫相手と暮らすことになったという。
そして離婚届け、持ち家は売却されたという。
聡子の手元には自身の名義の預金通帳200万円。
引越しを余儀なくされる。

うわ~最初から凄い。
気が重くなるような深刻な状況。

物語は、冒頭、聡子の夫であった章が自宅で独りで亡くなっていたというところから始まる。
そして、そうなった経緯が時系列で語られる。

大変な状況を助けるのは、聡子の娘・香織と姪の優子。
娘は結婚し、夫と娘2人。
優子は母親を病気で亡くし、父親と暮らす。父親は聡子の弟。
聡子が母親の代わりという気持ちもあり親身になり聡子のことを気遣う。

法律事務所に理不尽な目に遭った母親の無念を相談し、不倫相手を訴えることも出来ると聞き、
章の不倫相手沼田和恵を相手に訴えるが
逆に沼田側からは名誉毀損の訴えが起き、裁判になる。


沼田和恵・・・ひどい女だな。
聡子の夫・章・・・・バカな男だな。

結末は?と気になり一気読みでした!
理不尽な目に遭っている聡子だけど、不幸だと嘆いている様子があまり見られない。
前向きと言うのか?
なんでもっと怒らないのか?と思ってしまう部分もあったが、
終盤、聡子の人柄がわかる言葉で、ああ、こういう考え方もあるんだなぁ~と思った。

自分自身に聡子が言い聞かせる言葉
不幸の量はみんな同じ、幸せの量はその人それぞれ

なるほど・・・・。深い言葉だ!


裁判の結末は、聡子が勝訴し、その後、和恵側は控訴するが、その後の調査で
和恵の証言は偽りが多いことが判明。

勝訴したことよりも、自分には、周りに気遣ってくれる身内が何人もいることに
幸せを感じる聡子。
ああ、こんな素敵な女性の元を去った章が、本当に大ばか者に思える。

ホイッスルの意味もよくわかった。
法律事務所の弁護士・芳川と事務員・涼子も良心的な人たちで
聡子の周りには頼もしい味方がいっぱい。
この先は平穏な日々が続くといいな。
聡子さん、がんばれ!!とエ-ルを贈りたい。

初読みの作家さんだったけど、すごく面白かった。
過去の話にも興味を覚えたので、それも読んでみたい!




 

★★★★★


 



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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
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