発行年月:2014年6月
京都の路地にたたずむ古びた町屋長屋。
「男子限定」の料理教室を舞台に繰り広げられる、滋味たっぷりのやさしい物語。
(ポプラ社HPより)
京都の古い町並みの残る住宅内にある「小石原愛子、料理教室」。
大正時代に建てられた町屋長屋の1階。
風情ある書き出しから、頭のなかに風景が浮かんでくるようでした。
でも時は現代。
表紙の絵もレトロな雰囲気でしたが、これは終章の若き頃の愛子先生なんですね~。
序章
第1話~4話
終章
とありますが、第1話~4話は、料理教室の様子のほかに、生徒さんたちの
料理教室以外の様子がわかる話でした。
生徒は・・・
真渕智久・・・・建築事務所勤務の独身青年。図書館司書の永遠子に好意を寄せている。
佐伯・・・・妻の勧めで教室に通い始めた初老の彫金職人。
ヴインセント・・・フランス人。パティシエ。自分のカフェを開きたいと思っている。
ミキ・・・心理学を学ぶ大学生。見た目は乙女。
それぞれの生徒がなぜ、料理教室に通っているのかや、教室の仲間と語り合いながら
自分のなかの気持ちも良い方向に変化し、万事丸く納まる感じが良かった。
終章での愛子先生の若いころのお話も少し切ないけれど、料理教室を開くキッカケの出来事がそこにあったんですね~。
初めて読んだ作家さんでしたが、ほかの作品にも興味が湧きました!
★★★★
発行年月:2014年4月
人妻の恋は罪でしょうか?
心極流の達人ながら、凡庸な勤めに留まる蔵太。
二人の子供とともに穏やかに暮らす、その妻・澪。
すれちがいの暮らしを送る澪の前に、一度だけ契りをかわした男・笙平があらわれる。
側用人にまで出世したかつての想い人との再会に、澪の心は揺れる。
今、ここで、心のままに生きられたなら――。
紫のにほへる妹(いも)を憎くあらば 人妻ゆゑに吾恋ひめやも
直木賞作家が描く、人妻の恋。
日本人の心が紡ぐ、美しく、哀しき恋。
時代小説の新たな代表作。全国17紙に掲載された大人気連載、ついに単行本化!
(講談社HPより)
今までの作品とちょっと違う感じでしたが、やはり良かった!
女性受けする作品かも^m^
結婚する前に、好きだった人。
その人が窮地に追いやられた状況で目の前に現れたら・・・・
主人公の澪のように行動しちゃうかなぁ~?
結婚した夫・蔵太は寡黙でかつて好きだった笙平に比べると凡庸に見えてしまう澪。
夫と元恋人の間で揺れる女心・・・・時代小説なのに三角関係の恋愛小説。
果たして澪はどちらを選ぶ?なんて野次馬根性で途中まで読みましたが・・・
しかし、寡黙で冴えないかんじの夫・蔵太が、どんどん秘めた男らしさを出して来ると
読みながら蔵太にどんどん惹かれて行きました。
それは澪も同様で、夫の本当の優しさや強さに気づかずいた自分を恥じる気持ちに
なっていく。
そうなると、かつてあんなに好きだった笙平に思いを告げられても、揺れない。
蔵太、恰好良いぃ~!!
こんな男に惚れない女は居ないでしょ!?
そんな様子を半分面白がって見ている芳光院も最後は、強い味方になってくれて
ハッピーエンド。
蔵太の両親も実に良い人たちで、娘の由喜と息子の小一郎も利発で澪は幸せ者だなぁ~。
これからは、益々家族仲良く暮らしていくんでしょうね~。
笙平のお咎めがどうなっていくのかさえ、もうあまり関心ないようで、
女心の変わり様がちょっと可笑しかった。
葉室さんは女心、よくわかっていらっしゃる!と妙なところに感嘆しました^m^
正しい者が幸せになる葉室さんの作品は安心して読めます(^^)
次回作も楽しみです♪
★★★★★
発行年月:2014年2月
東北の架空の国、リアス・エリア。漁業を手伝う少年カイのまわりで、原発誘致計画を巡り隠された巨大な陰謀が明らかになる。やがて国を大地震と津波が襲い、人々は復興に向けて新たに一歩を踏み出していく――。
(角川書店HPより)初めて読む作家さん。
読み応え十分の長編小説。
頁数481で2段書きなので、読み終えるまでの時間がかかりましたが
読みやすくてスイスイ読めました。
架空の土地・リアス・エリアに暮らす少年・港屋戒(13歳)を中心に物語が進む。
カイは両親を亡くし、姉・理央と二人暮らしだったが、姉は行方不明。
舟で沖に出た後、行方が分からなくなってしまい、地元では亡くなったと思われている。
が・・・理央はアメリカに渡り、キタヒロ教授の助手としてその元で生物資源研究をしている。
リアスエリアは、漁業で成り立っていたが、今はそれも衰退しつつあり新たに原発誘致により財を増やそうとする動きが水面下で起きている。
リアスエリアからの脱出を試みるカイの冒険話としても面白かったが後半は、
3.11を連想させる大地震により核のゴミの処理問題やら近海の環境問題などを
どうするか?
現代の日本が抱える問題そのままを物語のなかに盛り込み、この物語内で
決着がつくのか?と興味深く読んだ。
そして・・・・ああ、そういう解決策ですかぁ~?
やや拍子抜けしましたが、ま、物語なので、仕方ないか?
この物語のように、うまい具合に何か画期的な方法が見つかると良いのだけれど
どうかなぁ~?
読み応えは結構あったけれど、内容はイマイチ納得し兼ねるかな?というかんじ。
ちょっと惜しいかな?
★★★
発行年月:2013年2月
『永遠の0(ゼロ)』の百田尚樹、大暴走!!
最新書き下ろしは、出版界を舞台にした掟破りのブラック・コメディ!
◆あらすじ◆
敏腕編集者・牛河原勘治の働く丸栄社には、本の出版を夢見る人間が集まってくる。
自らの輝かしい人生の記録を残したい団塊世代の男、スティーブ・ジョブズのような大物になりたいフリーター、ベストセラー作家になってママ友たちを見返してやりたい主婦……。
牛河原が彼らに持ちかけるジョイント・プレス方式とは――。
現代人のふくれあがった自意識といびつな欲望を鋭く切り取った問題作。
「知っているか? 現代では、夢を見るには金がいるんだ」
(太田出版HPより)
面白かったぁ~!
出版業界の話も織り込まれていて、「へ~」 「なるほど~」などうなずきながら
読む箇所あり。
主人公の牛河原勘治(55歳)は、丸栄社の編集部長。
作家になることを夢見て送ってくる原稿の中から、これは!と思う人物に
コンタクトを取り、惜しくも賞は逃したけれど、このまま忘れられてしまうには
惜しい作品だと、著者の夢見る心をチクチク刺激し、出版社が後押しをするので
ぜひ、本にしませんか?と持ち掛ける。
中でも25歳の温井雄太郎(25歳)フリーターへの接触が面白かった。
将来は、ステーブ・ジョブズのようになると周りにも豪語している男。
その自信の根拠がわからない変な人。
しかし、牛河原にとっては、良いカモ。
温井の自尊心をくすぐるくすぐる・・・^m^
他にも周りのママ友のバカっぷりに嫌気がさしている主婦・大垣萌子は、自らを
賢いママとして「賢いママ、おばかなママ」という作品を応募してきた。
牛河原は、そんな人たちを騙して本人の夢(作家になれる)が現実のものになることを説く。
詐欺師の戦略が少しわかる。
面白いけれど、牛河原、悪い奴だな・・・と思いながらも、でもなぜか
憎めないと感じていたら・・・・あらあら、最後は「え?ホントは良い人?」
という展開になりました。
しかし、売れてる作家さんって、こうして考えると凄いなぁ~。
★★★★
発行年月:2014年2月
夢が現実を浸食してゆく
殺してもいいんですよ─── リセットすれば何度でも殺せます 快楽を追求する都市「エピキュロポリス」の夢を繰り返し見る充(みつる) これはただの悪夢か、それとも─── 早くも本年の衝撃度No.1! 夢と現実の狭間を揺れる著者の最高傑作! (祥伝社HPより) |
主人公の日夏充は、システムエンジニアとして働いている。
ある日、中学時代の同級生・高峰と久しぶりに会い、再会を約束する。
そして、その翌日、中学時代の恩師の訃報を聞き、通夜に出かけ、再び
同級生・高峰と会う。
通夜の帰り、電車に乗り、その途中で、不思議な体験をする。
知らない都市になぜか居て・・・次に気が付いたら、日付が変わった昼間の電車内だった。
それから慌てて会社に行くが、大事な仕事をすっぽかした状態になり
突如、解雇命令が下される。
が・・・すぐに次の就職先が決まる。
次世代総合開発という会社。
そこの総括部調査室室長という肩書での辞令。
会社に出向くと、一人の女性社員・大槻砂季がいて、仕事内容などを説明される。
二人だけの部署。
仕事は、電話対応業務とレポート作成業務のふたつ。
不思議な会社だけれど与えられた仕事を淡々とこなしていく日々に、
まあまあ満足していく主人公。
しかし、時々、夢なのか、現実なのか、電車のなかにいて突然、辿りついた
「エポキュポリス」という都市に自分が居る。
そして、その都市の住人になることを強く迫られる。
果たして夢なのか?現実なのか?
主人公の戸惑いがそのまま読み手にも伝わってきて、どうなる?と気になり
先へ先へと頁を捲りました。
結局のところ、謎の都市・エポキュポリスって何だったんだろ?
死後の世界????
よくわからないまま終わってしまった感じだけれど、よくわからないなりに
楽しめたかな?
平山さんの作品はこういうかんじ多いなぁ~^^;
でも平山さんの書くこういう話、嫌いじゃないな。
好みが分かれる話でしょうけれど。
★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;