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読んだ本の感想あれこれ。
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41dvXA12SLL__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2012年8月
 


何があっても、愛妻家を貫こう──波瀾万丈の国際結婚を描く、傑作長編!

イタリア人のファブリは、大阪生まれの和泉と出会い、恋に落ち結婚する。せっかちでドライな和泉と、どことなく要領が悪く、ロマンチストなファブリ。「大阪人vsイタリア人」とも言える二人は、惹かれ合ったり反発し合ったりしながら、日々を送り、やがて子供も生れる。爆笑の中で、夫婦、家族、日本を問う、新鮮な、書き下ろし長編。

                                        (新潮社HPより)


著者はスイス生まれ。
日本の大学に編入学して、卒業後はテレビ朝日初の外国籍社員となり記者兼ディデクタ-として働いた経歴の持ち主。
1996年に、すばる文学賞受賞、芥川賞候補になった「いちげんさん」は読みましたが、外国の方が書いた文章とは思えない素晴らしい作品だった!
それは、純文学の雰囲気だったのですが、こちらはそれに比べると軽いかんじで
なかなか面白かった。

イタリア人のファブリと日本人の和泉の物語。
二人は結婚前に偶然、飛行機のなかで出会っていて・・・・

その後、ファブリがロ-マ大学を卒業し、日本の大学に編入して経済を学び、大手飲料メ-カ-に就職後、うっかりビザの期限が切れていることに気づき、慌てて入国管理局に飛び込むところで二人は再会。

和泉は法務省 入国管理事務所で働いていた。

5日間の不法滞在のわけを説明するファブリとその面接相手の和泉の会話が面白い。

お役所仕事を淡々とこなす和泉の言葉は冷たい。
けれど、お互い一度、会っているとうことで何か通じるものをかんじ・・・
ファブリが和泉の仕事が終わるのを待ち伏せして、食事に誘う。
そのときの和泉の返事が可笑しかった!
「公務員を接待するということですか?収賄罪すれすれの危険なお誘いですよ」。

それでもめげないファブリが可愛い(^^)

なかば諦めていたところに和泉から連絡があり二人の初デイト♪

その後、結婚しするのだけど、二人の関係は和泉が主導権を握ってるかんじ。
ちょっと妻が強すぎるかんじなんだけど、まあ、なんとかうまくいく夫婦。
子どもも次々生まれて・・・・

ちょっとした危機も訪れるけれど、二人は乗り越えていく。

イタリア人と日本人カップルだけど、日本人同士のカップルと何ら変わらないかんじの日々。

内容としては、まあまあでした。
でも、前にも書いたけど、外国の人が日本語でこれを書いたというのは凄いなと思う。

「いちげんさん」後の著者のほかの作品も読んでみよう。


                                       ★★★




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51MvR2eK5ML__SX230_.jpg   発行年月:2009年7月

  キュートな「京都の恋」を描く青春恋愛長編

「たっくんて呼んでいい?」京都での学生生活も4年目を迎えた七夕の夜、主人公の花は友人のアリサから合コンに誘われ、たっくんと出会う。三条木屋町の店にひとり遅れてあらわれた彼は、その場にはそぐわない一風変わった雰囲気の持ち主だった。文系の学生で数学嫌いの花にとって、理学部数学科のたっくんは謎に満ちていて、彼の暮らす学生寮の友人たちもかなりキテレツな理系男子ばかり。食べ物にうるさい巨漢アンドウくんの研究対象はミクロの遺伝子、おかっぱ頭のヤマネくんは工業化学科で専攻テーマは爆薬。ゆかいな仲間たちに囲まれ、花はこれまで経験しなかった不可思議でにぎやかなキャンパスライフに巻き込まれていくが、いまどき携帯電話も持たないたっくんとの距離はゆるやかにしか縮まらない。バイト先の古着屋の店長・陽子さんらの助言を受けつつ、やがて花は恋のライバルが「数学」であることを知る――。寮でのたこ焼きパーティー、鴨川デルタでの花火、自転車デート、学園祭、卒業旅行……学生の街・京都を舞台に、かけがえのない時間と仲間たち、ほっこりと育まれる等身大の恋を描く。甘酸っぱい記憶を呼びさますたまらなくキュートな青春恋愛小説。

                                         (小学館HPより)


先日、この姉妹版に当たる「左京区恋月橋渡ル」を読んで、こちらをまだ読んでなかったかも?と
読んでみました。
長女が図書館から借りて読んで「おもしろかった」と前に言っていたのに、わたしは読みそびれて
そのまま返却した様子^^;

こちらのお話は「左京区恋月橋・・・」では、東京と京都の遠距離恋愛続行中の花と龍彦のまだ出会う前からの付き合い始め花が大学卒業し、実家のある東京に戻りそちらで就職のため京都を離れるまでの物語でした。

数学科の龍彦と文学部の花。
最初の話、ブル-ベリ-がキッカケで知り合う。
あのとき、・・・・・してなかったら会えなかった人と考えると人との出会いって本当に不思議な偶然だなぁ~。

学生寮で暮らす龍彦の仲間、山根くんと安藤くんも登場。
「恋月橋・・・・」では主人公の山根くん。爆発担当だけれど、平和のために役立つ爆発を開発することを目指している。
安藤くんは、バイオ野菜の研究。

ここに登場の学生たちは、やはり頭の良い子たちなんだなぁ~。
そして、みんな優しい気持ちを持っている。

龍彦は時間を忘れて研究にのめり込み栄養失調になって病院に運ばれたり・・・・・
こういう人を好きになったら、ある程度の覚悟が必要だろうな。
そして、花は覚悟をする。

友達の山根くんと安藤くんが、花の恋を応援する様子も微笑ましかった。

著者の学生生活の思い出話も混ざってるのかな?
京都大学卒業だから、ここに書いてあることはリアルな京大生の姿かな?

花ちゃんと龍彦くんの恋が長く続きますように・・・・


さて、安藤くんの恋バナもあるのかな?
読んでみたいなぁ~。
書いてくれないかなぁ~。



 

★★★★

 
   
a1b4637e.jpeg   発行年月:2012年2月


    新聞記者の千晶は父が遺した取材ノートから、
    名画『マルセル』盗難の謎にのめりこみ・・・・
    
    実在の未解決事件をモチーフにした芳醇かつ極上の絵画ミステリ!!


                       (毎日新聞社HPより)



実際にあった事件をモチ-フに描かれた物語。
1968年12月、京都国立近代美術館から何者かにより、ロ-トレックの描いた「マルセル」が盗まれた。
そして、7年後の時効成立後に名画は戻ってくる。

実際の事件では、犯人はわからず迷宮入り。
しかし、この物語では、その謎の事件の背景にあったことを物語として描いている。

主人公の瀬川千晶(36歳)は、父親と同じ新聞記者として働いている。
父が病で亡くなった後、遺品のなかにノ-トを発見。
過去の事件に取材メモ?
ロ-トレックの「マルセル」盗難事件についても記事を書いていた父。
そして、謎の絵はがき。
父親のことをデュ-クと呼びかける人物。

その絵はがきの届いた住所に何かヒントがありそうと訪ねていく千晶。
父が昔、住んでいたアパ-トは既になかったが、そこの所有者である人物と会う。
所有者は画廊経営者・真丘永。妻の葉子は喫茶店経営。
画廊に出入りする画家の佐木オリオと親しくなった千晶は、オリオと共に父の遺したノ-トを元に、事件の謎に迫っていく。
そして、盗難事件に父親が関わっていたこと。
物心ついたころから居なかった母親の存在も明かされていく。
謎の解明は、千晶の両親の実像を知ることにも繋がっていく。

謎がどんどん、深まりながら、最後にはいろいろなことがすっきり解明されて
なかなか面白い物語でした。

物語中に書かれていた、マルセルを描いたロ-トレックの生涯を描いた映画「赤い風車」も観てみたくなった。

ひとつの事件から、いろいろ構想を練って読み応え十分の物語を完成させた著者の努力に拍手!!


★★★★★
515x4AspB5L__SS400_.jpg発行年月:2012年1月


女を殴る父と、同じ目をした、俺。
川辺の町で暮らす17歳の少年。セックスの時に暴力を振るうという父親の習性を受け継いでいることを自覚し、懼れ、おののく…。逃げ場のない、濃密な血と性の物語。

第146回芥川賞受賞作。

                                           (集英社HPより)

 

芥川賞受賞作品である表題作「共喰い」と、もう1編「第三記層の魚」が収められている。

「共喰い」は・・・・なんとも気持ち悪い話でありました^^;
17歳の遠馬は、父親と、父の再婚相手・琴子との3人暮らし。
実の母親・仁子は、すぐ側で魚屋を営んでいる。

父親がどうしようもなくイヤなかんじ。
そんな父親と琴子の関係を日々、眺めながら自分も父親とおなじ習性が千種との関係のなかで現われることを恐れている遠馬。

実の母や琴子に暴力を振るう父。
母・仁子は少し離れた場所で、琴子のことも気にかけている。

仁子の行ったことは、良いことではないんだけど、なんだかスッキリした!



そしてもうひとつの話「第三記層の魚」
こちらの方が読んでいて、すんなり感動できた。
話としても受け入れ易い。


こちらは、小学生かな?少年・信道の語りで進む。
前の話も、海辺の町が舞台の雰囲気だったけど、こちらもそんな風景がよく出てきた。
釣りで捕れた魚を祖母の住む家に運ぶ。
祖母は、父方の祖母で、そこには96歳の曽祖父も居て、祖母は會祖父の介護をしながら生活している。
信道の父は彼が4歳のときに病死。
母親と二人暮らしの信道。
そして、祖父は元警察官だったが、信道の父が病死する2年前に自殺している。

夫と息子を亡くしている祖母の哀しみを想像すると辛いけれど、祖母は優しく信道に接し、曽祖父に語りかける口調も柔らかで献身的に介護をしている様子は頭が下がる。

そんな様子をみている信道も、介護を手伝ったりと実に良い子。
寝たきりなのに、口は達者な曽祖父の話も気長に聞いてあげる。

やがて転機となる出来事が起き、新しい環境で信道は暮らすんだろうな・・・というラスト。


二つの話に出てきた、遠馬と信道が、この話のあと、優しくて強い大人に成長して行って欲しいな。

「共喰い」は、ちょっと気持ち悪かったけど、文章は読みやすく話としては面白いので
ほかの作品もこれから読んでみたいなと思った!



 
★★★★

 
 
41vOkGcfd6L__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年9月

唯一の被爆国が、
なぜ原発大国に?

世界で唯一原爆を落とされた国が、なぜ原発大国になったのか? そのつながりを圧倒的な想像力で描き出す。歴史を振り返り、これからの「核」の話を始めるきっかけになる一冊。

                                           (筑摩書房HPより)


3.11後、いろいろなところで原発問題を耳にするようになったし、そんな書物も幾つか読んではみたけれど、
難しい話も多く、正直、よくわからなかった。

しかし、この本に書かれていることは全てスッと入ってくる。そして、胸に残る言葉が多かった。
何がわからないのかすらわからない原発の問題だったけど、なるほど!!と思うことばかりだったように思う。
田口さんの筋道立てた考え方に共感!


歴史的背景から考えた原発問題。
人間の心理から考えた原発に対するさまざまな意見。

副表題でもある「原始力を受け入れた日本」のことも、なるほど、そういう経緯があったからなのか?と納得。
勿論、これに対する反論を持っている識者もいるんだろうけど
わたしには、納得出来る言葉でした。


最後の章で書かれていた、今後の原発に対する日本の対応に感じる危惧。
原発反対と言うだけで、悪の象徴のように扱うだけではダメなんですね。
一度持ってしまったものは、簡単には無くせない。
それ相当の科学技術をもって管理し続ける体制がないと、再び危険なことが起きてしまう。
それに関わっていく人たちに対する我々、国民の意識も少し変えていかなくてはいけないのかも。


この書はわかりやすので、未来を担う子どもたちにも是非、読んでほしい。
中学生くらいならわかるだろうから・・・。

ランディさんの小説が好きだけど、ますます好きになれた。

★★★★★
 
 
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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