天使はものを食べない。あたしは病気でも拒食症でもない、ただ天使になっただけ。だから病院になんてやらないで。あたしの肩から生える羽がもうすぐみんなにも見えるはずだから。
(主婦の友社HPより)
主人公のマ-シ-は15歳。
父親は大学の先生。母親は環境問題を扱う弁護士。
両親はマ-シ-に大きな愛情を抱いているし、マ-シ-はすごく優しくて良い子。
でも、食事を食べなくなってしまう。
心配した両親は、何とか食事をしてもらおうといろいろ優しく説得するけれど・・・・自分は天使になる。羽も生えかけているから、食事なんて摂ったら天使になれなくなってしまうと言うマ-シ-。
結局、なんとかマ-シ-を摂食障害を治療する病院に入院させるのだけど上手く治療の成果が上がらない。
同じように治療を受ける女の子たちとの間では友情が育ち、よい友達関係を築くけど、ある事件をキッカケにマ-シ-は病院を抜け出す。
どうなるの?と思っていたら・・・・最後は偶然の奇跡がマ-シ-を救うという話。
図書館の棚にありなんとなく手に取った本ですが、意外と重い内容の出だしで戸惑いました。
同じ年頃の娘を持つ身なので、辛くて・・・
娘が摂食障害になったら?なんて想像しただけで、どうしたらいいのか?
マ-シ-の両親は、冷静に対処していたなぁ~感心!
とっても良い子なだけに、背負っていた物も大きかったんだと段々とわかります。
死産だった弟・ピ-タ-。
母親は仕事で心労、そこに息子の死という哀しみを抱えている。
母方の祖母は昔、ドイツの強制収容所で辛い目に遭っている。
周りの愛する人の苦悩をなんとかしてあげなくちゃ!と思う優しさが少女を追い詰めていた。
でも、その事にちゃんと周りの大人は気づく。
そして少女に語る言葉が素敵だった。
両親、おばあちゃん、病院から逃れて辿り着いた先のメアリ-とカ-ル。
ラストは、みんなが笑顔の様子が想像できてよかった!
いろいろと考えさせられる本でした。
娘にもいつか読んで欲しいな。
★★★★★
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ライラックの森にユニコ-ンが暮らしていた。
あるとき、自分は世界でただ一頭のユニコ-ンになってしまったのでは?の不安に駆られて森を抜け、仲間探しの旅に出る。
1968年発表の名作ファンタジ-「最後のユニコ-ン」に37年ぶりに続編「ふたつの心臓」を併せての完全版
文芸誌に紹介されていて、読んでみました。
結構、厚い本で、少し読むのに時間がかかりましたが、面白かった。
面白いと簡単に言えるものではなく・・・・物悲しいけれど美しい、最後は、ちょっと温かいものも感じるお話で、結構、好みの作品でした。
「最後のユニコ-ン」では、自分以外の仲間の存在が気になり、ずっと暮らしていた森から出て、仲間探しの旅に出るユニコ-ン。
自分は気高く美しい生き物と自負していたが、森を出て遭う人間たちには、ユニコ-ンをユニコ-ンとわからない。
そのことに戸惑うユニコ-ン。
まさに浦島太郎状態ですね・・・哀しいです(/_;)
けれど、旅の途中にユニコ-ンに気づいた者がいた。
それは魔術師のシュメンドリック。
もう一人・モリ-・グル-をお供の仲間に、ユニコ-ンの仲間探しの旅に同行する。
旅の最後に訪れたお城で、そこに住む、王と王子と4人の兵士に出会う。
王子とユニコ-ン(魔法で若い美しい姫に変えられて)の恋。
ユニコ-ンの敵、赤い雄牛との対決。
冒険のクライマックスは、ハラハラドキドキ。
魔法によって、人間の心を持ってしまったユニコ-ンの最後の決意は、哀しい。
魔術師に出会わなかった方が幸せだったんじゃないか?
でも、ユニコ-ンのままなら体験出来なかった恋を経験出来たのは良かったのか?
そして、その続編にあたる「ふたつの心臓」
「最後のユニコ-ン」から37年後に発表とあるが、物語自体もかなりの年月を経た様子。
ユニコ-ンが恋した王子は、王になっていたがかなりの高齢。
魔術師・シュメンドリックとモリ-は、その王を雄牛との闘い以来、初めて訪ねようとしていた。
その途中グリフィンにさらわれた友達を救い出してほしいと王様にお願いしに行こうと思っている9歳のス-ズと会い、一緒に王の元に。
リ-ア王は再会を喜び、そして、自らグリフィン退治の為、ス-ズの村に出向く。
王である事を隠し、王に仕える騎士の一人であるとして・・・・
再び、壮絶な闘い。
またまた、ハラハラドキドキ。
そして・・・・・
哀しい・・・・でも美しい・・・・最後に駆けつけたユニコ-ン。
再び出会えて良かった。
読み終えたあと、なんだか、ず~っと不思議な余韻が続いていました。
これ、続編も含めての映像化されないかな?
訳者の金原さんが「あとがき」で書いていますが、「指輪物語」「ゲド戦記」とは、ちょっと違った幻想的ファンタジ-だと思いました。
何度か読み返したい物語!
★★★★★
英国現女王エリザベス二世、読書にハマる。
おかげで公務はうわの空、
側近たちは大あわて。
(本の帯文より)
英国王室の話って、どうして面白いんでしょう。
ちょっと前に映画館でみた「クイ-ン」面白かったけど・・・・。
これは、エリザベス女王が読書にハマったら・・・・という仮定で書かれた物語。
でもフィリップ公爵や亡くなったダイアナ元皇太子妃の名前も登場してリアルな感じも。
物語の始まりから愉快。
ウィンザ-城で開かれた公式晩餐会の席で女王がフランス大統領に「ジャンジュネ」について訊ねる場面。
ジャン・ジュネって、読んだことないのですが・・・・フランスの作家で同性愛者で囚人だったとか。
女王が興味を持ったその著者の作品、わたしも読んでみたくなりました。
読書にハマったキッカケも面白い。
現実的にはありえない事なんでしょうけど。
そして、女王が読書にハマることで、困る事、あれこれ。
侍従たちは、いろいろな方法で女王の読書熱を妨害したり・・・
謁見者への質問内容が、「どんな本を読んでいるか?」に変わった事を予め招待者たちに教えておき、例えば・・・の作品名(著者名)まで伝えておいたり。
侍従たちにとっては、迷惑な女王の読書熱なのですが、女王自身は読書によって自身が変わっている事に気づく。
そして、ちょっと前と違った言動をするようになるのですが、そんな様子を「モウロクしたんじゃないか?」と囁かれたり・・・
女王ともなると大変だわね~。
でも、そんな女王がどこかチャ-ミングで人間味があっていいなぁ~なんて思いました。
80歳のパ-ティ-の場で自らの決意を語るところも好き。
現実には、これもないかなぁ?
イギリス人ならではの視点で書かれた物語であり、イギリスの王室(女王)だからこそ、こういう物語が成立するのかなぁ~?
映画「クイ-ン」のときも同様に思いましたが、日本に置き換えては、想像することすら無理なかんじですからね・・・・。
★★★
日本文学界を撃つ、イランからの新しい才能
イラン・イラク戦争下の恋を描き文學界新人賞を
非漢字圏から初めて受賞した作者。
留学生文学賞を受賞した「サラム」も注目作
(文藝春秋HPより)
著者のシリン・ネザマフィさんはイラン生まれで日本には10年余り住んでいるそう。
神戸大学、同大学院で情報知能工学を学び、現在は大手電気メ-カ-でシステム・エンジニアとして勤めているそうです。
文學界新人賞を受賞した「白い紙」では、イランで戦争が緊迫した日常を脅かすなか、淡い恋心を抱く高校生の男女の話。
戦争さえなければ・・・・・
優秀な成績のハサンは将来は医師になるんだと希望する通りの道を進めたでしょう。
日本のような、本人の努力でどうにでも道が開ける国に生まれている若者たちは、こういう現実もあることを知るべきだ!と思います。
表題の「白い紙」は、文字通り、白い紙のことで物語の所々に出てきました。
「サラム」では、アフガニスタンからおじさんを頼って逃れてきた少女・レイラの話。
母親は惨殺され、父親もタリバンに狙われている身。
日本で難民許可が得られなければ強制送還になるという。
その審査の為、弁護士の田中先生と通訳である主人公が少女に面会し、いろいろな質疑応答をする様子を描いていました。
先の「白い紙」でも、感じた、なんとも虚しい感じになりました。
どうする事も出来ないこの現実。
でも、知らなかった現実。
知っただけでも意味があるのか?
でもこれからは、内戦のニュ-スを見る目も変わりそう。
ただ漠然と見るのではなく、そこで暮らしている人々の事を心から案ずることが出来そう。
だから、沢山の人にこういう本は読まれるべきだと思う!
そんなに長い文章ではないし、これは子ども達にも読ませよう!
★★★★★
少年は、音をなくした少女と出逢った。
たどたどしい二人の想いは
どこにゆくのだろう?
(本の帯文より)
5歳のとき、事故により聴力に障害を持つことになった少女・エイプリル。
言葉も上手く発せられないので、村の多くは、彼女のことを知能が低い子という先入観でみている。
父親も早くに亡くなり、貧しい暮らしの中、懸命に働く母親と暮らす日々。
親友のジョニ-は昼間、学校に行ってしまうので、エイプリルは一人で遊ぶのが日課。
川岸を走り、釣りをしたり、ボ-トに乗ったり、泳いだり。
彼女を見かけても声をかける者は居ない。
しかし、エイプリルにとっては、それは逆に好都合。
放っておいて貰える方が有難いと考えている。
しかし、そんな彼女の家のすぐ近くに、トニ-が母親と共に越して来た。
トニ-は、上流階級の家に育ったが、父親がほかの女の人と家を出て行ってしまった為、母親と無一文に等しい状態で、この村に来たのだった。
二人は、その後、意気投合して仲良くなる。
トニ-の母、バ-バラも、貧しいから、耳が不自由だからという理由で疎んだりせず、家事を手伝ってくれるエイプリルに自然と「ありがとう」と感謝できる人であった。
人に感謝される経験のなかったエイプリルにとって、どんなに嬉しい事であったか。
エイプリルには、誰にも言えない困りごとがあった。
エイプリルが上手く話せない事を言いことに、彼女に酷い事を強いる男たち。
彼女に非はないのに、加害者である彼らは、彼女の方に原因があるからそうなるように言いふらす。
それをそのまま受け入れる村人たち。
なんて、酷い!(怒)
エイプリルが気の毒で、胸が痛くなる場面もありました。
そんな生活の中で、トニ-の存在は、エイプリルにとっては、救いだったでしょう。
そして、トニ-もまた悩んでいることがあり、エイプリルの存在は救いだった。
二人は、お互いを必要とし、やがて恋?という状態になりますが、そのまま上手く事を運べるほど、大人ではない。
まだまだ、周りのおとなたちによって運命を左右されてしまう哀しさ。
でもラストは、二人とも今の自分の置かれた状態の中で、一生懸命、生きていくのだろうな~という光りが見えるような気がしました。
実際には、困難もあるのでしょうが。
エイプリルの最後の手紙でそれを感じました。
物語は1925年を舞台にしているそう。
少し、現代とは違う雰囲気も楽しめて、昔の文学作品を読んでいるようなかんじでした。
著者自身は1954年生まれだそうだから、新しい作品もまだまだ楽しめるかな?
結構、わたしの好きな作風だったので、ほかの作品も読んでみよう!と思います。
★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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