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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2021年1月

僕の家には、僕の家族には、恥ずかしいことなんて何ひとつない。
長男の智晴(ちはる)を産んだ由紀子は、優しい夫と義理の両親に囲まれ幸せな家庭を築くはずだった。しかし、双子の次男・三男が産まれた辺りから、次第にひずみが生じていく。死別、喧嘩、離婚。壊れかけた家族を救ったのは、幼い頃から母の奮闘と苦労を見守ってきた智晴だった。智晴は一家の大黒柱として、母と弟たちを支えながら懸命に生きていく。直木賞候補作『じっと手を見る』の著者が描く、心温まる感動の家族小説。
ひとつの家族の一代記みたいなものを書きたいと思ったのが最初のきっかけです。それも「普通の家族」ではなく、シングルマザー、離婚家庭など、そのときどきによって有機的に形を変えていく家族を書きたいと思いました。世間から見たら歪なものであっても、それでも「家族」なんだよ、どんな形をしていても「家族」としてどれも間違ってない、ということを伝えたかったです――窪美澄
もくじ
ははのれんあい
目次
第一部  
第一章 かぞくのはじまり   
第二章 せかいのひろがり   
第三章 ちはる、あにになる  
第四章 かわっていくかぞく  
第二部 
第一章 ちはる、ははになる   
第二章 ちはる、こいをしる  
第三章 あたらしいかぞくのかたち 

                   (角川書店HPより)




最初の方を読んで、タイトルの「はは」って誰?と思った。
智晴が成長して、その母・由紀子のことだったんだと後半になってわかった。


父が外人の女の人に惹かれ、離婚した両親。
幼い3兄弟(した二人は双子)を懸命に働きながら育てていく由紀子。
由紀子も、別れた夫に対して、憎しみを子どもの前では出さないのも偉い。
目の前の生活を守るのに必死で、応援したくなる。


第二部では高校生になった智晴目線での話の進行。
幼馴染との関係、双子の弟のこと、父親の今の家族との関わり。

15歳で色々なことに悩む。
仕事に忙しい母親の手助けも率先としてやって、本当に健気。
優しい気持ちも十分ある。


こんなにいい子に育ったのは、すごい。


新しい家族を持った父親とのことを恨む気持ちと甘えたい気持ち、両方の気持ちに
モヤモヤしていたけど、幼馴染の彩菜とお互いに好意を持っていることを
確認してからは、色々なことを大きな気持ちで受け止められるようになって
恋の力は人を成長させるなぁ~と嬉しくなった。


父親の再婚相手・カンヤラットも良い人で、基本的に、物語の登場人物たちに
悪い人が出てこないのも読んでいて辛くならずに良かった。


由紀子にも幸せが来そうでなにより(^^)


                        ★★★
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発行年月:2020年9月


これは私の最後の恋、なのだろうか。
妻でもなく、母でもなく、娘でもなく、ひとりの女になりたい。
恋愛小説の名手があなたを揺さぶる。
赤澤奈美は47歳、美容皮膚科医。カメラマンだった夫とは別れ、シングルマザーとしてひとり息子を育て、老いた母の面倒を見ながら仕事一筋に生きてきた。ふとしたことから、元患者で14歳年下の業平公平と、事故に逢うように恋に落ちてしまう。心を閉ざすように生きてきた奈美の、モノクロームだった世界が、色と音を持ち始めた。
もう一度、軽やかな私へ
美しい人生讃歌小説

                 (講談社HPより)




奈美が公平に惹かれる理由がよくわからず・・・。
個人的に関西弁の男性が苦手なのもあるけど。
会話がイチイチ、気になり、どんどん公平と深い関係になっていくが
「まずいんじゃないか??」とドキドキ。
案の定、それはまずい状況になり・・・ヤレヤレというかんじ。


今までの窪さんの作品とは雰囲気違うので途中で「あれ?誰の本だっけ?」と
思ったほど。


それでも最後は、良い方向に落ち着いてホッとした。


主人公の奈美には全く、共感できるところはなかったけれど
私は女になりたい」って思えるエネルギーを持っていることは羨ましいかも。




                      ★★★


発行年月:2020年2月

家族に疲れた――性風俗に通う夫、不実を隠した父、危険な恋愛に耽る娘。
結婚二十年の主婦・絵里子の穏やかな人生は、大切な人の〈秘め事〉で一変した。
大きな虚無を抱えた絵里子に、再び命を吹き込むのは整形した親友、
乳癌を患う老女、美しい風俗嬢......?
人生の中盤、妻でも母でもない新たな道が輝き出す傑作長編

               (中央公論新社HPより)


52歳の絵理子。
夫と20歳の大学生の娘と暮らしている。
ある日、夫の物らしい風俗店のポイントカードを見つけてしまったことから
絵理子の考え方、行動が変わっていく。

夫婦の出会いの場面が素敵だったので、良い出会い方だなぁ~
これは、別れない方がいいと思うなぁ~と思いながら読んでいた。


絵理子の親友・詩織の存在も心強い。
的確なアドバイスと援助をしてくれて、こんな友達が居たら素敵だと思った。

絵理子の周りにいる人たちって、皆、良い人ばかりだと思った。
そのことに、気づくことも出来て、心に傷を負ったかもしれないけど
そのぶん、前とは違う考え方を得ることが出来たし、
より一層、魅力的な女性になったと思う。


物語のラストは、期待通りの素敵な終わり方で良かった。


                        ★★★




発行年月:2019年6月


いつかは欲しい、でもそれがいつなのか、わからない。

夫と二人の快適な生活に満足していた知佳(35歳)。しかし妹の出産を機に、彼の様子が変わってきて……「1DKとメロンパン」
妊活を始めて4カ月が過ぎた。時間がないとあせる妻に対し、夫の睦生(34歳)は……「無花果のレジデンス」
独身OLの茂斗子(36歳)は、単身者しか入居していないはずのマンションで子どもの泣き声を聞いて……「私は子どもが大嫌い」

子どもがいてもいなくても……毎日を懸命に生きるすべての人へ、
そっと手を差し伸べてくれる、5つの物語。


                   (角川書店HPより)




子どもがいるかいないか。
欲しくてもできないのは辛い。
夫婦が同じ考え方でないとどちらかが苦悩することになる。


ここに登場の5つの話は、状況としては厳しいものもあるけれど
うまく夫婦が意見交換して納得した自分たちの未来に向かって歩んでいく姿が
清々しく、読後感としては、どれも良かった。


話としては最後の<金木犀のベランダ>が好き。

パン屋を営む43歳の夫婦。
栄太郎と繭子。
今は、子どもが居ない。
夫は、二人で子育てをしてみたいと言い、妻は、今のままの生活で満足していると言う。

夫婦は自分の気持ちを素直に相手に伝え、今後のことを考える。


こういう夫婦は理想的。
子どもが居てもいなくても変わらぬ夫婦の信頼関係が保てていけそう。


子どもがいる、いないで、幸せの度合いが変わるわけではない。

今ある幸せをちゃんと見つめていける人でありたいと思った。



どの話もじ~んと温かいものを感じて良かった!



                        ★★★★★



発行年月:2019年3月


 どんなに強欲と謗(そし)られようと、三つとも手に入れたかった――。50年前、出版社で出会った三人の女たちが半生をかけ、何を代償にしても手に入れようとした〈トリニティ=かけがえのない三つのもの〉とは? かつてなく深くまで抉り出した、現代日本を生き抜く女たちの夢と祈り――。平成の掉尾を飾る傑作!

                  (新潮社HPより)





1960年代に出会った3人の女性の物語。


早川朔(藤田妙子)・・・・イラストレーターとして活躍する
登紀子・・・フリーライターの先駆け的存在
鈴子・・・妙子と登紀子が関わっていた出版社の雑用係で入社。


3人の女性のそれぞれの生い立ちなども語りながら
3人が一挙に距離を縮めたのは、学生運動が盛んで大規模なデモが行われる
という新宿へ見物に行ったとき。

女性差別的なうっぷんとか、デモ隊に混じって投石するシーンは
良かったなぁ~。

それは後で会社から大目玉を喰らうことになるのだけど、この夜がなかったら
後々まで3人の絆が繋がっていなかっただろう。


イラストレーターの妙子は、大橋歩さんがモデルだろうなぁ~と読みながら
想像。
平凡パンチの表紙を描いていたのは知らなかった!
どんな表紙か興味があって調べたら・・・ヤフオフに出てた^^;




ライターの方は誰だろう?
参考文献にある三宅艶子さん、菊子さんがそうなんだろうな~。


激動の昭和の時代、頑張って出版業界で働いていた女性たちのドラマ。
凄く読み応えありました!



表紙の宇野亜喜良氏の絵も、昭和を感じるものでいい。
内容に凄く合っていて、素敵!



                        ★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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