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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2014年11月
思い通りにならない毎日、
言葉にできない本音。
それでも、一緒に歩んでいく

『ふがいない僕は空を見た』の実力派が、ごく普通の家庭の生々しい現実を強烈にえぐり出した、珠玉の連作集。


                   (角川書店HPより)



5つの短編集。


<ちらめくポーチュラカ>
人から見たら絵に描いたような幸せな暮らしをしている。
けれど、中学時代、親友だと思っていた人がイジメの首謀者だと気づいた過去が
いまの幼稚園に通う息子のママ友との付き合いを臆病にさせている。


<サボテンの咆哮>
仕事が好きな妻は結婚後も仕事を続けていた。
けれど、息子を出産後、産後うつになり仕事を退職。実家の仕事を手伝う。
息子と妻は実家へ向かう日々。息子は自分にだけ懐かない気がする。


<ゲンノショウコ>
社宅で夫と幼稚園に通う娘と暮らしている。
妹が知的障害時だったため、自分が感じていた不安感。
娘は障害が今のところない様子だけど、本当にこのままふつうに育つのか?


<砂のないテラリウム>
妻と4歳の娘と暮らしている。
妻は子どもが生まれてからは、自分には全く興味がないよう。
なりゆきで参加した合コンで27歳の女性と知り合い、結婚していることを
秘密に付き合うが・・・


<かをけきサンカヨウ>
3歳のとき、母は家を出た。
高校生になったとき、父が再婚することに。
夫と死別し女の子がいる女性が家で一緒に暮らすことになる。



それぞれの家庭には、それぞれの事情があり、そんな生活のなかで
いろいろ思いを抱きながら誰にも言えない本音に苦しむ人たちの
リアルな日常が描かれていて胸が痛くなる部分も多かった。

 しかし、最後は前を向いて歩き出す希望のある結末で、
「ああ~よかった」とホッとしながら次のお話へと進むかんじで
最後まで楽しみました。


表題の「水やりはいつも深夜だけど」の意味もなんとなく理解できた。
表紙の女の子の思い詰めたような表情が印象的です。
が・・・彼女もきっと水をもらって元気になるでしょう。


                      ★★★★★
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発行年月:2014年2月


 その体温が、凍った心を溶かしていく。

29歳のみひろは、同じ商店街で育った幼なじみの圭祐と一緒に暮らして2年になる。もうずっと、セックスをしていない。焦燥感で開いた心の穴に、圭祐の弟の裕太が突然飛び込んできて……。『ふがいない僕は空を見た』の感動再び! オトナ思春期な三人の複雑な気持ちが行き違う、エンタメ界最注目の作家が贈る切ない恋愛長篇。

                      (新潮社HPより)




みひろの立場で考えると、非常にやきもきした気持ちになる。
一緒に暮らしている圭祐は、両方の家族も公認で、もう結婚するのも当たり前な状況。
しかし・・・気づいてしまった自分の本当の気持ち!!
本当に好きなのは、圭祐の弟・祐太だということに・・・・。


自分のなかの気持ちにどう向き合っていくのか?
みひろは、正直で気持ち良かった!
そうか!正直に気持ちを周りの人に言うことが大事なんだと気づかされた。
結果、圭祐も苦しんでいたことから最後は解放された様子だし
ああ、めでたしめでたしで良かったなぁ~。


こううまくいかない場合の物語もありだと思うけれど、これはこれでよし!

ところで表紙の写真は何を意味してるんだろ?


                        ★★★★




発行年月:2013年10月

妻の妊娠中、逃げるように浮気をする男。
パート先のアルバイト学生に焦がれる中年の主婦。
不釣り合いな美しい女と結婚したサラリーマン。
幼なじみの少女の死を引きずり続ける中学教師。
まだ小さな息子とふたりで生きることを決めた女。

――いつの間にか皆、慣れてしまったのだ。

                 (光文社HPより)


5つの話。どれも主人公たちの置かれた状況や、その状況でもがく様子が
なんとも哀れな感じ。

<雨のなまえ>
大学で知り合い結婚した妻が妊娠中。
生まれる子どもに対して幸福感が沸かず、ほかの女性と浮気を続ける。

なんだ?この男は?(怒)
なんでこれが表題作なんだろ?


<記録的短時間大雨情報>
スーパーでパート勤めのタミコ。
夫と中学3年の息子と3人暮らしだったが、そこに義母が加わる。
大変な日常のなかで、新しく入った学生アルバイトの柏木くんとの関わりが
息抜き。
あれこれ妄想もしてみる。

痛々しいなぁ~。
ちょっと気の毒な気もするけれど、こういうおばさんにはなりたくないなぁ~。


<雷放電>
ぶ男の自分には、不釣合いな美人妻。
同じ大学だった。

え?そういうオチ?
でも結構、面白かった!


<ゆきひら>
 中学で教師をしている臼井。
受け持ちクラスに転校してきた永坂みるくは、幼なじみで好意を持っていたユキに
似ている。
ユキは、イジメが原因で自殺した。
みるくに対して特別な感情を持つようになり・・・

なんだか、最初から予想出来た展開で、嫌な話だったなぁ~。


<あたたかい雨の降水過程>
夫とは別居中で小学1年の息子・晴文と二人暮らし。
息子は、近所のみつきちゃんと仲良しで、いつも一緒に遊んでいる。
けれど、みつきちゃんのことも、みつきちゃんのお母さんも好きじゃない。
けれど、震災を機に少し気持ちに変化が・・・

自分の価値観を中心に考えて、他者を受け入れられない人って、不幸かも。
みつきちゃんのお母さんの言うこと、ストレートだけれどいいな~。
5つの話のなかでは、一番良い話かな?



全体的に暗くて重たい。
妄想とか、偏った考え方をする人たちの、それゆえの不幸話?

話の内容は好きじゃないけれど、まあまあ楽しめた。


                          ★★★
51jq-peWK4L__SL500_AA300_.jpg 発行年月:2013年3月


子どもは育つ。こんな、終わりかけた世界でも。

七十代にして現役、マタニティスイミング教師の晶子。家族愛から遠ざかって育ち、望まぬ子を宿したカメラマンの真菜。全く違う人生が震災の夜に交差したなら、それは二人の記念日になる。食べる、働く、育てる、生きぬく----戦前から現代まで、女性たちの生きかたを丹念に追うことで、大切なものを教えてくれる感動長編。


                      (新潮社HPより)



二人の女性の生い立ちを描きながら、3.11を機に2人がより親密な関係になる。

吉川晶子は75才。
栄養士の資格を持ち、マタニティスイミングの指導員暦40年。
生徒たちとの昼食会では、食事指導もする。

平川真菜、カメラマン。
かつて、晶子の指導を受けていた。
母親は著名な料理研究家だが、子どもの頃から仕事が忙しい母親にあまり構って貰えず
母親の作り置きの食事を食べることにも途中から嫌悪感を抱いていた。
カメラに興味を持ち、指導を仰いだカメラマンだった男の子どもを妊娠。


晶子の生い立ちでは、戦争を体験し、物がなく特に食べ物がないことが辛かった時代のことを描く。
一方の真菜は、母親が料理研究家で美味しい食べ物はいつでも冷蔵庫にあるという生活。

対照的な二人の子ども時代。
晶子は食べるものがなかったけれど、家族たちや仲良しの友達と、
そのときあるものを分け合って食べた思い出がある。
そして、真菜は食べ物は沢山あるけれど、いつも一人という思い出。


食に関する人の記憶と言うのは、強烈なんだなぁ~。
晶子が勧めるタッパ-に入った食べ物を受けつけない意味が、
こんな風な生い立ちからだと知って、とても切ない気持ちになった。
子どもに食事を作る母親としては、その辺のことが一番、この物語から考えさせられた。
食べること=幸せ でない人間に育ててしまうことって怖い。


そんな2人が3.11の震災を機に再会し、晶子は、臨月近くの真菜のためにあれこれ世話を焼く。

真菜が晶子に出会えたのは、本当によかったと思った。
無事に子ども・絵莉奈も生まれて、ホッとした。
晶子が震災の日、心配になって家を訪ねなかったらどうなっていたんだろう?
それじゃあ物語は始まらないわけだけど・・・^^;


絵莉奈は、温かい人たちに囲まれて、美味しいものを沢山食べて、成長してくれるといいな~。

表紙の写真は、そんな未来を逞しく生きていく子どもを想像させてくれて良い写真だと思う。


                                            ★★★★


 

 
4171Wr3PN5L__SX230_.jpg    発行年月:2012年10月
 


    「輝くような人生の流れに乗るためのボートは、どこにあるんだろう」。
    誕生日を間近に控えた大晦日の朝、3年間一緒に暮らした彼が出て行った。
    その原因は……
    デビュー作で山本周五郎賞を受賞した実力派作家が「家族」を描く、
    待望の第3作。表題作書き下ろし。


                          (朝日新聞社出版HPより)



表題作ともう一編「キャッチアンドリリ-ス」が収められていました。

表題作のほうは、30歳目前で、一緒に住んでいた男性・向井くんが出て行かれた沙登子が主人公。
イラストを描く仕事をしているが生活は、ギリギリ。
向井くんは、高校時代の同級生で、3年前にバイト先のサンドイッチ屋さんに買い物に来て再会。
それから、沙登子の暮らしが経済的に苦しいのを見かねて一緒に住まわせてもらう形で同居生活がスタ-トした。
向井くんはサラリ-マンで、沙登子へ結婚をほのめかすが、沙登子自身は、その気持ちに
同意できないものがあり・・・・向井くんは出て行ってしまったというところかな?

それから、沙登子のちょっと複雑な家庭環境が語られる。
母親は沙登子が中学生になった頃、出て行った。
父親は浮気を繰り返していて・・・・母親が居なくなってからは父親の姉が母親代わりで育ててくれた。
しかし、伯母のことが煩わしく、20歳で沙登子は家を出て独立。
その後、伯母が亡くなり、弟も家を出た。

伯母の死後、母親の居場所がわかり、再会したのが3年前。
ちょうど、向井くんと暮らし始めた頃というわけですね・・・。

向井くんが家を出てから一人で母親とその再婚相手の暮らす家を訪ねていく沙登子。
母親の再婚相手の男性は気さくで良い感じ。
沙登子の訪問も歓迎してくれて。

母親の家に泊まり、翌日、母親の姉妹たちに一緒に会いに行き、楽しそうな会話のなかで
母親の妹・克子おばさんの言う言葉が印象的だった。
気象予報士の勉強中というおばさん。
クラウドクラスタ-とは、積乱雲のかたまりだそうです。
その下は、突風が吹いたり、豪雨が降ったり・・・・。
沙登子の母親のことを「お姉さんみたいだと思ったよ」と。

自分を捨てて出て行った母親だけど、沙登子は、これからも母親として慕い続けていけそうだな~。
再会出来てよかった。よかった。
向井くんとの関係がちょっと気になるけど・・・・


二編目は、両親が離婚した二人の小学生の話を交互に語る。
同じ塾に通い、マンションが向かい同士。
お互いの境遇が似ていることで、気持ちを共有したり・・・。
こどもって案外冷静な目で見てるものだな。
それぞれにこの先、楽しいことが沢山待っている人生を送れたらいいな・・・。


ササッと読めた作品二編でしたが
それぞれ、良かった!


                                       ★★★★
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