発行年月:2014年12月
正直に生きれば生きるほど、堕(お)ちていく――。
松下絵里子(28歳)。スポーツ用品メーカー勤務。結婚も決まり、公私ともに充実の日々が始まるも……「優等生の悪女」。
佐藤美鶴(34歳)。小さなサンドイッチ店で働く主婦。元デパートの店員。献身的な夫がいながら過去の男に……「懲りない悪女」。
加賀美さとみ(53歳)セレクトショップ「トップシークレット」社長。欲望にどこまでも忠実な女性起業家。多少の犠牲は……「華麗なる悪女」。
向井沙也香(21歳)。セレクトショップ「トップシークレット」社員。さとみの下で働く上昇志向の強い新入社員。職場には絵里子の婚約者がいて……「純情そうな悪女」。
――彼と同じ未来を見ていたはずなのに。
――彼女には僕の知らない別の顔がある。
人は星、人生は夜空。かかわり合う人々が点となり、ひとつの星座を形づくる。
ままならない男と女の関係を、それぞれの視点で描いためくるめく恋愛小説。
(PHP研究所HPより)
なかなか面白かった。
登場する女性たちも悪女ですが、その相手の男性陣もなかなかの悪だった。
ま、お互い様と考えればいいんでしょうが・・・・
こんな恋愛相手が狭い人間関係のなかでグルグルめぐるって実際にはないでしょう(笑)。
他人事と思って読めるのでなかなか面白かったかな?
★★★
発行年月:2011年11月
老舗百貨店「菊本屋」のニューヨーク店に勤務する柘植波奈子は、仕事で訪れた倉敷で陶芸作家の栄森徹司と出会う。じつはふたりは高校の同級生で四半世紀ぶりの再会だったが、波奈子にはその記憶が全くない。徹司の作品、それを生み出す指、そして海のような徹司自身の大きさに、波奈子は惹かれ、恋に落ちる。夫がいる身の波奈子はその恋に身をゆだねることにためらい、抗おうとするが、ふと徹司に伝えてしまう──「一年後のきょう、また会いたい」と。
(講談社HPより)
小手鞠さんの作品、結構読んでいるのに、これは読み忘れていたみたい。
いわゆる不倫物でしたが・・・
日本とニューヨークに離れた男女が年に1度だけ会うという設定が大人なかんじで
こういう恋愛の形もありかなぁ~?なんてちょこっと思ってしまった^^;
波奈子は偶然、日本に来た時に高校の同級生の作った陶芸作品に惹かれ彼・徹司とも再会。
しかし、徹司のことを全く覚えていない波奈子。
徹司は、憧れていたと屈託なく告げるのに・・・。
最初は、徹司に強引に引っ張られるように始まった関係が、やがて自分も
徹司に惹かれていくことに戸惑う波奈子。
夫の信成とは、見合いのような形で知り合い、穏やかな結婚生活をしてきた。
子どもを一度、流産してしまった辛い経験も二人で乗り越えて・・・。
波奈子は常識ある女性で、知的だし、夫の気持ちも思いやっている。
不倫は賛成できないけれど、気持ちの変化は、なんとなく理解できる。
最後は、どうなるのかなぁ~?
と思ったら・・・ちょっと韓国ドラマみたいな終わり方(?)だったので
興ざめしてしまったけれど、まあまあ面白かった。
★★★
発行年月:2014年5月
終戦直前、焼け跡から助け出された赤ん坊。
長じて彼女はアメリカに渡り、人間の愚行と光をその手で切り取っていく―
著者の新境地にして最高傑作。
(Bookデータベースより/ポプラ社)
今まで読んでいた小手鞠さんの作品とは全く違う。
ノンフィクションに近いフィクションというかんじで、読み応え十分!
物語の主人公は、鳥飼茉莉江。
冒頭登場の美和子が、茉莉江の生き様を追う形で、物語が進行。
茉莉江は1945年焼け跡から赤ん坊の時、14歳の鳥飼希久男によって
焼け跡から救い出され、希久男とともに彼の叔母宅で暮らす。
その後、実母が訪ねて来て、10歳で実母と共にアメリカに渡る。
16歳の時、母親が自殺し単身ニューヨークへ。
知人の手助けでホテルに住み込みでアルバイトをさせて貰いながら、絵の勉強をしようとしていたが、それを続けるにはお金がかかると悩んでいた時、
日本人のカメラマン・坂木真人と知り合う。
カメラなら独学で学べると知り、カメラマンになりたいと思う茉莉江。
最初は美しいものを撮り続けていたが、ふと目にした写真に衝撃を受ける。
それは悲惨な戦地での写真。
写真を撮ったのは、岩井連慈。
その後、クリスマスパーティの会場で偶然、連慈に会い、その日のうちに意気投合。
二人は恋人同士になり結婚も約束する仲になる。
が。。連慈には、日本に妻が居る。
茉莉江も報道カメラマンとなり、日本で1972年に起きた浅間山荘事件など
現地に向かい取材している。
他にも、三菱重工業東京本社ビル爆破事件、日本航空機墜落事故、ベルリンの壁崩壊
チェチェン紛争、そして9.11。
事件を追いながら、当時のことを生々しく描く。
知らなかったことも多々。
世界の紛争、戦争に、必ずアメリカが絡んでいることが9.11に繋がったのか?
社会派の小説とも言える本書。
主人公・茉莉江の言う、「世界は美しくないもので満たされている」の言葉が衝撃的!
茉莉江の報道カメラマンとしての潔い覚悟にも感動した。
今、平和な日本がこのまま平和で居られるのかな?
なんていう事も少し考えてしまった。
素晴らしい本でした!!
★★★★★
発行年月:2008年9月
生きるうえで、無傷ではいられなかった二人が出会って結婚。二
人は新居に一匹の猫を招き入れる。
子猫はおとなになり、やがて---- 夫婦と猫のせつない物語。
(ポプラ社HPより)
叔母の紹介で一時帰国していた未知男と見合いをした彩乃。
未知男はアメリカ国籍を有する。
出会って短時間のうちにお互いに惹かれ、数日で結婚を決めた二人。
そして、アメリカでの新婚生活がスタート。
二人とも離婚歴あり。
彩乃は、持病のため子どもが産めないからだ。
そんな二人は、猫を飼うことに決める。
動物愛護施設で、このままでは殺されてしまう猫を見て、そのなかの1匹を
連れ帰る。
名前はマキシモ。
猫の居る生活が、微笑ましく続き、いいなぁ~と羨ましく思った。
でもやがて来るマキシモの寿命。
動物病院に入院させるが、いつ亡くなってもおかしくない状態が続き
二人は家に引き取る決意をする。
マキシモは家に帰ることが出来て良かったなぁ~。
最期を二人に看取って貰えて幸せだったでしょう。
マキシモの最期に悲しみでうまく向き合えなかった未知男は優しい人なんだな~。
普段は前向き思考で、逞しいのに。
こういうギャップはいい。
暫くは喪失感の日々でしょう。
この後も二人揃って仲良く暮らして欲しいな。
★★★
発行年月:2013年9月
過去に愛した、今は会えないあなたへ――
『欲しいのは、あなただけ』『美しい心臓』……恋愛の真実を追い求め続ける著者による鎮魂歌。「未来から現在へ、現在から過去へと時の流れを遡り、立ち上がってくる記憶と声に身をゆだねながら、愛しい人の不在を、私は「存在」として書く――」職場の後輩だった女の子、はじめての仕事をくれた編集者、何通もの手紙をやりとりして別れた人、若くして旅だった詩人、亡き祖母、大好きな仕事のパートナー……亡くなってしまった、音信不通の、今はもう会うことのできない人々への思いを、記憶だけをたよりに綴る私小説的短編集。
「雪と炎の記憶」「赤いりんごと肩に置かれた手」「死に魅入られた詩人」「菜の花畑に立っている人」「まるで活字のような文字」「死は美しい」「私につながる戦争の記憶」「四羽めの小鳥たち」「約束は生きている」「一九八八年の別れ」「心におりてきた闇」「私の家の鍵」「誕生日」「たまご八個の玉子焼き」「ふたつの時計」「空席」の16編を収録。
(実業之日本社HPより)
これは、著者自身の近い人のことを想って書いているのかなぁ~?
どの話も、良かった。
今は会うことが出来なくなった人たちとの思い出を語る話が多かった。
そんな16編の話のなかで、ちょっと違っていた「四羽めの小鳥たち」は
なかなか衝撃的だったなぁ~。
自然界で生きる動物たちの生命を描いたお話でした。
りすが小鳥を・・・・・の描写は残酷だったけれど、他者の命を奪わなければ
自分が生きていけないのは、人間も考えてみれば同じかも。
スーパーで買う食材だって、元は命があったものなんですよね?
そんなことをふと考えてしまいました。
「たまご八個の玉子焼き」でのおばあさんとの思い出話が好きだった♪
あとは、「死は美しい」。
これは12歳で投身自殺した少年が遺した『ぼくは12歳』の詩集をいくつか
紹介しながらの話。
わたしもこの詩集は10代の頃に買って読んで衝撃を受けたので、
今、この年齢で読んだら、どう感じるのか?再び詩集を手に取りたくなった。
読みながら、いろいろと考えることができる短編集だったなぁ~。
★★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;