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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年5月

人生の季節は冬に向かっているけれど、何度でも再生し、何度でもやり直せる。見えないもの、聴こえないものを大切に紡いできた、優しい物語の名手による待望の長編小説。 都会のヘリの窪んだところにあるガケ下の町。僕はその町で、〈流星新聞〉を発行するアルフレッドの手伝いをしている。深夜営業の〈オキナワ・ステーキ〉を営むゴー君、メアリー・ポピンズをこよなく愛するミユキさん、「ねむりうた」の歌い手にしてピアノ弾きのバジ君、ロシアン・コーヒーとカレーが名物の喫茶店〈バイカル〉を営む椋本さん、ガケ上の洋館で、〈ひともしどき〉という名の詩集屋を営むカナさん――。個性的で魅力的な人々が織りなす、静かであたたかな物語。

                    (角川春樹事務所HPより)


鯨塚と呼ばれるガケ下の町での物語。

登場人物は、皆、個性的。
でも、素敵。

流星新聞を刊行しているアルフレッド、その手伝いをしている僕(羽深太郎)。
アルフレッドが故郷のアメリカに帰ることになり、その意思を継いで
太郎は一人、流星新聞をつくることに。

町には昔、鯨が迷い込んだことがあるという。
それを裏づけるように鯨の骨が発見される。200年前の鯨の骨が
大雨による土砂崩れで見つかった。

アルフレッドが昔、8ミリで撮影したフィルムをカナさんが編集しなおした。

解散してしまった鯨オーケストラのヴァイオリン奏者の丹後さんは今でも工場で夜、一人
練習している。

町のチョコレート工場が廃業し、今は使われていない。



最後は、みんなで協力して、工場内を有効活用。

楽しい物語。

吉田さんのこういう長編小説、いいな~。
温かい人と人とのつながりが感じられて、ほっこり癒された。



                          ★★★★★


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発行年月:2019年2月


 これは、忘れられたものと、世の中の隅の方にいる人たちのお話。
喫茶店〈ゴーゴリ〉の甘くないケーキ。世界の果てのコインランドリーに通うトカゲ男。映写技師にサンドイッチを届ける夜の配達人。トランプから抜け出してきたジョーカー。赤い林檎に囲まれて青いインクをつくる青年。三人の年老いた泥棒。空から落ちてきた天使。終わりの風景が見える眼鏡──。
人気作家が腕によりをかけて紡いだ、とっておきの24篇。

                      (徳間書店HPより)



短篇集なので、ひとつの話がすぐ読み終えられる。
なかには「え?おしまい?続き気になるんですけど~」と言うものも。

そんななか<青いインク>は、<青いインクの話のつづき><ヒイラギの青空>と
色々な短編を挟みながら続き、最後は、ほっこりする感じで
登場する寡黙な男女が、知り合って結婚して、年老いてもそのまま変わらず
青いインクを大切にしている様子がステキだった。
この三部作をもっと詳しくひとつの長編として読みたいくらい。


あと、印象に残ったのは
<隣のごちそう>
アパートの隣に越してきた、大学の食堂で働いているという人が作る料理の
良い香りが部屋まで届き、その香りで料理を想像し、自分も翌日に作るという話。
カレーライスは、一人暮らしで作るとそうなるな・・・笑


<バナナ会議>
サルたちがバナナについて語る様子。
1匹が人間の家のテレビを外から眺め、聞いたバナナについてのウンチクを
仲間に語る様子がユニーク。
でも野生のサルってバナナ以外も食べるよね?


吉田さんは、寝る前に少しずつ読めるお話を書いたと、あとがきで
書いていたけど、楽しくて昼間、一気読みしちゃました^^;


                          ★★★★



発行年月:2019年5月

フィルムは消失、主演女優は失踪、そして原作の行方は……。
成瀬巳喜男幻の映画を周る探偵行。
連続ノンフィクション活劇、今宵開幕!

               (平凡社HPより)



これはほぼフィッションですね。
吉田さんが物語のなかで幻の映画『チョコレート・ガール』を求めてあちらこちらを
彷徨い得る情報の数々を記したもの?


1932年(昭和7年)の映画。
監督は成瀬巳喜男。主演は水久保澄子。
明治製菓とのタイアップ。

キャンディーストアの売り子の恋模様などを描いたもの。


昔、買ったコレクションのひとつ、映画のパンフレットがある日、目の前に。
買ったのは覚えているけれど『チョコレート・ガール』という字面には全く
覚えがない。
でも、なんだか今は気になる。


色々な情報を求めて奮闘する著者。
しかし、フィルムは不明。
それならばと主演女優の水久保澄子について調べる。
40本近い映画に出演したが、私生活は波乱万丈で、映画『緑の地平線』を
撮影中に失踪し、自殺未遂。


そして本人の手記を見つける。
フイリピン人と知り合い、妊娠。夫は医学生として日本で勉強していたが
彼の帰国に合せ、自分も付いて行くと、明家の子息と思いきや、とんでもない
質素な家で医師の資格試験に落第し、出産した澄子には何の手助けもせず
澄子は絶望し日本へ戻ったらしい。


全然、知らない女優さんだけど、何だかすごく興味が沸いてきて
吉田さんと一緒に探険探険を楽しんでいた。


わからないまま終わることもあっていいんじゃないかな?と思える話。


ほぼフィクションなのに、なんだか不思議な物語。



                         ★★★
 



発行年月:2018年9月


 もうほとんど何もかも終えてしまったんじゃないかと僕は思う。間違っていたらごめんなさい。

僕は「こうもり」と呼ばれ、崖っぷちの家にひとりで暮らしながら、石炭を選り分ける仕事をしている。高級な石炭である〈貴婦人〉を見つけ出す天才だった祖父が亡くなり、家と仕事を引き継いだのだ。机と電話機しか置いていない〈でぶのパン屋〉の固いパンを、毎日食べるようになったある日、公園のベンチで居合わせた体格のいい男のひとに英語で話しかけられた。が、意味はさっぱり理解できない。長い話の最後に、彼はひと言「おるもすと」と云った。

世田谷文学館開館20周年記念企画として限定販売され完売した幻の作品に、書き下ろしエッセイを加えた特別版!

                     (講談社HPより)




吉田さんの魅力が詰まった1冊でした!


物語と共にその物語がこの世に出て来るまでの経緯。
吉田さんと同年なので、特に子ども時代の話になると共感する部分も
多く、懐かしい感情がワ~ッと蘇る。
駄菓子の数々・・・全部、覚えてます!


本を読んで「?」
一番最初にあった、凄く短いお話に気づく。
なんだか得した気分だった!


物語の主人公・僕の淡々とした日常生活の描写がステキ。
祖父が亡くなり一人で崖の上に住み、崖下の墓地をみて
墓のひとつひとつは、しるしだと言う。
なるほどね・・・・。

死んだらお墓なんか要らないって思っていたけれど・・・これ読んだら
しるしを残しておくのも悪くないかも?と考え方が少し変わった。


また読み返したくなる1冊。



                        ★★★★★



発行年月:2018年5月

世界を繙く事典、探偵譚、他の惑星から来た友人、
思い出深い食堂や音盤、長い置き手紙──虚実の出会う場所を描く美しい物語の数々。

                  (平凡社HPより)



あとがきで著者が書いている。
エッセイでもフィクションでもなく、そのどちらであっても、どちらでもない本。

子供のころ、一人で壁新聞をつくっていたのです。
ひとりでニュース記事を書き、雑文を書いて、コラムを書いて、連載小説を
書きました。


ああ、そういうことをこの本でもやったんだなぁ~と納得した。
そうか、そうか、壁新聞!


話があれこれ飛んで、それでもまた戻ったりして・・・・
付いて行くのがやや大変で、時間を掛けて読みました^^;
でも楽しい~(^^)


一週間がそれぞれ語る話が好きだった!
紅一点は水曜日であとは男性。土曜日はやや女性化・・・・^m^

百科事典の執筆者が綴る、あれこれ。
実際の辞典にはないだろうなぁ~と思いつつ・・・・

特に気に入ったのが<大煎餅>
休憩時間内に食べ切れなかった大煎餅。
意味は・・・時間内に予定していたことが終わらない時に用いる言葉。
例文として・・・「なんという大煎餅なんだ」「まったく大煎餅を食わされている」



あとがきの後に紹介されていた<虹を見なかった日>は、
以前書いた<彼女の冬の読書>の続編として書いたと言われていたけれど
それを読んだ記憶がない。

調べたら・・・<空ばかり見ていた>という本の12編納められた
短篇のひとつらしい。
是非、読んでみたい!φ(..)メモメモ


吉田さんの本は感想が書きにくい^^;
でも、読んでいるとなんとも心地よく楽しい!


                        ★★★★★




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