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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年5月


あのトンデモ精神科医・伊良部が17年ぶりに復活!
直木賞受賞、累計290万部の人気シリーズ17年ぶりに復活!
低視聴率にあえぐワイドショーのスタッフの圭介は、母校のつてで美人精神科医をコメンテーターとしてスカウトしようとする。が、行き違いから伊良部とマユミが出演することに。案の定、ふたりは放送事故寸前のコメントを連発するが、それは暴言か、はたまた金言か!?
目次
コメンテーター
ラジオ体操第2
うっかり億万長者
ピアノ・レッスン
パレード


                    (文藝春秋HPより)





今回もハチャメチャな精神科医・伊良部一郎。

看護師のマユミとともに診察に来る患者をビビらせつつ、ちゃんと治療する。

<コメンテーター>はコロナ禍におけるメンタルヘルスについてのコメントをという
ワイドショーの担当者からの依頼に乗った伊良部。
最初は、モニター出演。
言っていることもやっていることも放送事故じゃないか?というレベルなのに
視聴率は上昇。
看護師のマユミがやっているロックバンド、ブラックヴァンパイアのマユミちゃん
推しがその原因。


ハチャメチャだけど、時々、「なるほど~そうかもね」と思わせる言葉を
発する伊良部。


<ピアノレッスン>のピアニストがマユミのバンドのライヴで発散する場面は
爽快だった。


神経が疲れて、なんらかの不具合が生じた人たちには、伊良部の荒療法は
いい治療になっている。
今回も楽しかった。

このシリーズ、まだまだ続くかな?



                      ★★★
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発行年月:2022年6月


【第168回直木賞受賞作】
【第13回山田風太郎賞受賞作】
「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」
日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野……。奉天の東にある〈李家鎮〉へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。
ひとつの都市が現われ、そして消えた。
日露戦争前夜から第2次大戦までの半世紀、満洲の名もない都市で繰り広げられる知略と殺戮。日本SF界の新星が放つ、歴史×空想小説。

                    (集英社HPより)


満州の歴史を背景に繰り広げられる物語。

1899年、21歳の大学生・細川が志那語とロシア語が話せる通訳として軍人の高木と共に
船に乗りハルビンへ。
支配しているロシアの懐に潜入調査に入るのが目的。


その後、舞台は満州へ。
満州の理想郷と呼ばれる『季家鎮』に集まる人々。
ロシア人宣教師・クラスニコフは、ロシアから入植してくる者たちのため教会が
造られ、布教活動。

貧しく過酷な暮らしから逃げ出し、『季家鎮』にたどり着いた孫悟空は独自の考えを
説いて人々を魅了し、権力を得る。
沢山の女性と関係を持ち、子どもも多かったが、妊娠中の女性との関係で
生まれた丞琳は、父親のことを恨み、いつかこの手で殺したいと思っていた。

そして、そのために孫悟空が関わっている日本人の炭鉱を潰すことを計画。


軍人の高木はロシア軍との戦いで命を落とす。
最期は持っていた軍刀で部隊の頭の喉をついて 自らの命も落としてしまう。
日本にいる妻-・慶子は細川が引き合わせた須野(東京帝大で気象学を研究)と再婚。
高木との子・正男(5歳)のあとに須野との子・明男が生まれる。

正男と明男は、成長し、それぞれ軍のために働く。
明男は、満州に初めて行ったとき、孫悟空の、娘・丞琳に会い言葉を交わす。
それは、丞琳が日本の炭鉱を潰す計画を実行しようとして失敗した日。
一部の爆破事故だけで終わり、すぐに修繕される。

時代は、日中戦争、日露戦争、世界大戦へと向かっていく時代。

日本が満州にいたロシアを追いやり、理想郷を造り支配しようとしていたが
アメリカ相手に戦争が始まると、満州に築いてきたものも無用の長物と化すことに。



そんな情勢を冷静にみていた、細川はさすがだ。
戦争後の日本のことをちゃんと考えて満州の建材を日本の戦後の復興に使える
手筈を整えていた。
明男も復興の都市計画に関わっているという終盤の結びがいい。

1955年、再び、満州の地を訪れ、当時、整備に関わった季家鎮の公園広場で
丞琳に再会する場面もよかった。
二人でクラスニコフが描いた地図を広げながていく。


存在しない青龍島が、なぜ描かれていたのか?の理由も。


登場する人物たちが魅力的。
架空の話というけれど、史実もまじっているのでリアル。

映像化されたら面白そうだな~。

こんなに長い話なのに、全く飽きずに読めた。
この著者、すごいな。
他の作品もぜひ、読まなきゃ!!



                      ★★★★★



発行年月:2023年2月


たった一つのどら焼きが、海を越え、時代も越える。
少女の切実な願いが胸を打つ感動巨編!
製菓学校を卒業した樋口和子(わこ)は、浅草にある奥山堂の門を叩く。
祖父が亡くなる前に作ってくれた特別などら焼きを再現すべく、和菓子職人への第一歩を踏み出すために。
だが、待っていたのは男ばかりの職人世界の逆風、なかなか工房に立たせてもらえない年功序列の社会。
荒波の中でもひたむきに努力を続ける和子は、やがて一人前の職人になっていく。
一方、調べていくうちに、祖父が太平洋戦争に出征していたころ、ある船に乗っていたことを知る。
「お菓子の船」と呼ばれていたその船にこそ、どら焼きの秘密があるかもしれない。
当時の乗員に会って話を聞いていくうちに、和子は祖父の知らなかった一面を見つけていく。
ふんわりと溶ける皮、口の中でほどける餡子と、ひとつまみの“秘密”。
誰にでも、一生ものの忘れられない味がある。
「お菓子には不思議な力があるんだよ」

                    (講談社HPより)


幼いころに食べた祖父が作ったどらやきの味が忘れられず、いつか自分もと
和菓子職人になる。
祖父のどらやきを食べたとき、春と海の景色が見えた。
お菓子を食べて景色が見えることが驚きで、祖父に話すと凄く喜んでくれた。


和菓子職人になってからも苦労続き。
でも、懸命に努力して技術を身につけていく。

女性が居ない職場というなかで最初は、好奇な目で見られたり
いじわるをされたり・・・でも次第に他の職人に認められていく。

一方、祖父のことをもっと知りたいと、祖父を知る人を探し話を聞きにいく。
そんななかで、祖父が戦時中は食糧艦<間宮>のなかで菓子を作っていたと
言うことを知る。
当時の祖父を知る人の話を聞きに福島まで行き、戦地でのことを聞く。

菓子を作るための船なので戦闘に備えた装備はなく、最後は敵に撃たれて
沈没したという。
270名ほどの乗員のなか、助かったのは6名のみ。
祖父はそのなかの一人。

知らない史実だった。


和菓子職人として成長していく、女性とその祖父の話、
すごく読み応えあった。

初読みの作家さんだったけれど、読みやすいし、また他の作品も
是非、読んでみたい!




                     ★★★★★



発行年月:2021年8月


うまくて、泣ける。
子ども食堂を取り巻くひとたちの生きづらさと希望を描く、老若男女群像劇。
午後5時開店、午後8時閉店。
亡き夫との思い出をきっかけに松井波子が開いた「クロード子ども食堂」。
スタッフは、夫とうまくいかない近所の主婦や、就活のアピール目的の大学生。
お客さんは、デートに向かうお母さんに置いていかれる小学生や、
娘と絶縁し孤独に暮らすおじいさん。
みんないろいろあるけれど、あたたかいごはんを食べれば、きっと元気になれるはず。
やさしくって、おいしくって、心にしみる。
子どもも大人もお年寄りも、みんなまとめていらっしゃい。

                  (講談社HPより)


子ども食堂を始めた波子さんが素敵。
事故死したご主人が亡くなる前に気にかけていた公園で夕方ひとりで
パンを食べている少年の話が、心に残っていて始めた。

良いことをやっていると思わないこと・・・なかなか深い言葉。

そこに来る子どもたち、その親、一人で食べに来た大人。
そこで働く人たち。

みんなが救われる場になっていく。

最後のお話には、ご主人が気にかけていた少年・ケイシンくんが
登場~!!
もう泣けた・・・(;O;)
ちゃんと成長した姿、ご主人にも見せてあげたかった!


実際のこども食堂は、こんなにうまくいくことばかりではないだろうけれど
こういう場所がもっと増えたらいいなと思う。
近くにあったら是非、お手伝いに行きたい。


この著者、男の人なんだ~と読んだ後で気づいた(^^ゞ

他にはどんなのを書いてるのかな?
他の書も読んでみたい。


素敵なお話でした。



                  ★★★★

              



発行年月:2022年8月


1996年、横浜市内で塾の経営者が殺害された。早々に被害者の元教え子が被疑者として捜査線上に浮かぶが、事件発生から2年経った今も足取りはつかめていない。殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受け、半地下で暮らす殺人犯から小さな窓越しに食糧をもらって生き延びる少年。それぞれに守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を見せていく――。『火のないところに煙は』『汚れた手をそこで拭かない』の著者による、慟哭の長篇ミステリー。

                    (中央公論新社HPより)




凄い考えさせられた内容。

重たくもあるけれど、最後は、少し希望も見えたのかな?


最初、登場人物たちが次々、出て来て、それらが繋がっていく。

橋本波留は小学6年生。父子家庭。
父親に当たりやを強制的にやらされ、その示談金で生活。
波留のケガがある程度、回復したところで引っ越し、再び同じことを
繰り返してきた。
父親は波留を置いて数日、外出することも多く、その間、波留は
食べものを確保することに苦労。

そんな波留の親友・桜介は、波留のことを常に心配している。


殺人事件の被疑者・阿久津 弦は、精神薄弱児だった。
母親が頼りにしていた塾の教師(殺害された戸川勝弘)のすすめもあり、
阿久津は強制的に旧優生保護法により避妊手術を受けさせられていた。


殺害された塾教師の戸川は、ダウン症や落ち着きのない子などに真摯に向き合い
その子ども一人一人にあった学習法で学ばせていた。
保護者たちには頼りにされていた教師。



物語のなかで阿久津と波留が偶然、出会い
空腹の波留に食べ物を与え、波留の頼みを聞き、父親が反対したため
参加できなかった修学旅行先の日光まで車で連れていく。
自分が被疑者になっていることより波留の望みを叶えようとする姿が
哀しい。

警察が阿久津が運転する車を包囲したときは、ドキドキが止まらなかった。
もしかして最悪のことが起きる?なんて想像もしてしまったけれど
それは外れてホッとした。


阿久津は事件の1か月ほど前に、離婚した元妻から再婚&妊娠の
報告を受けていた。


阿久津は本当に、戸川を殺害したんだろか?

例えそうだとしても戸川への憎しみはもしかしたら
なかったのではないか?


戸川が自分が母親にすすめたせいで、阿久津が手術を受けてこどもを
もてなくしたことに後悔があり懺悔の言葉を述べ、罰することを
望んだとしたら??
なんて、想像もした。
その辺りの真相は、謎だけれど、最後まで、いろいろと考えさせられた。

やはり旧優性保護法は、間違った法律だったと思う。
阿久津と波留の別れのまえの会話は泣けた。

阿久津は、いいお父さんにも十分、なれたと思う。


読み終えたあとも、余韻が残る作品。



                   ★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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