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読んだ本の感想あれこれ。
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bf85488a.jpg発行年月:2009年3月


開業医として働く月川夏子は、大手出版社社長の智之と結婚して7年。
夫の前では、愛されるしっかり者の妻を、智之と亡き先妻との娘・りえの前ではおおらかな継母として頑張ってきた。
しかし、ある日、りえの親友の兄という青年・旬に出会い、自らの心の中を見つめ直すことになる。
読売新聞掲載小説



結構、厚い本でしたが、読み始めたら一気に読み終えました。
主人公の夏子は45歳。
先妻との娘・りえは大学院生で、婚約者がいる。

娘が婚約者と、最近仲良くなった女友だちとその兄を連れて家で家族が集まる場面からスタ-トする物語。
たわいもない楽しい会食のなかで、ちょっと変わった雰囲気を漂わせる娘の親友の兄・旬。
美しい容姿だが、どこか寂しげな影のようなものを感じる。

予想どおり、この物語はやがて、旬と夏子の関係に焦点が置かれて行くわけだけど、その周りの家族にもやや不穏な展開が・・・・。

旬という青年の育った生い立ちには、切ないものがあり、自分の中にどこか空虚感を抱いている。
夏子は、当初、そんな旬の様子に警戒感を持つが、言葉を交わすうち、自分のなかにある封じ込めていたような思いに気づかされた様子。

夫の亡くなった先妻と、その娘の存在。
自分の家庭でありながら、どこか自分の本当の居場所とは違うような違和感を時々、感じること。
そんな気持ちを旬には見透かされているような恐れ。

旬の起こす行動は、途中から異常なものになるけど、それも本人にとっては、切実な対処方法だったのか?と考えると、ちょっと母性本能を刺激されちゃう面もあったり・・・。

夏子と同年代のわたしには、彼女の行動などが理解出来るものであったので、最初から最後まで感情移入しちゃいました^^;

でも、今回のお話は、新聞の連載小説だったせいか、性描写はとても控えめ。
それもかえって良かった!


★★★★
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4e1398ae.jpg発行年月:2008年2月


地方都市の映画館でアルバイトを始めた恵介。そこで出会った映写技師の杉本ルカは、外に一歩も出ることなく映写室で生活しているらしい。バイト採用の条件は不可解な三つの約束を守ることだった。
一、ルカの過去について質問してはいけない。
二、ルカは月曜日になると神経質になるから、そっとしておくこと。
三、ルカとの恋愛は禁止。

         
             (本の帯文より)

先日読んだ、「空をつかむまで」が良かったので、同じ著者のほかの作品も読みたくて、図書館の棚にあったのを借りてきました。

主人公の恵介は、教師になる夢を持つ、大学生だが、学費が払えなくなる事情により一時休学として学費を稼ぐためアルバイトを始める。
時給1500円という魅力的な金額で決めたアルバイトは、映画館の映写技師の手伝いをするものだった。
その映写技師は、自分と同じ年齢21歳のルカ。
他の従業員の話では、3年間、外に出ず、映写室で生活をしているのだとか。
彼女の過去には何が?疑問に思いつつも最初の約束項目にあるので、聞けず・・・。

映写技術を少しずつ学ぶ恵介。
ルカとの関係は、いろいろ指導してくれるルカに対しては「技師長」と呼び好意を持ちつつも節度ある態度の恵介。
その真面目で、人を思いやる気持ちの良さが心地よく、ルカも仕事面でも人間としても信頼をおくようになる。
そして、ルカも恵介に対して好意を抱く。

でも・・・そんな良い感じのところで、ルカを傷つけたウルシダレイジが登場。
この男が、嫌な人で・・・・
外見はモデル並で頭も悪くないそうですが・・・最低な人なのです。
思い出しても怒れる!

ちょっとワケ分からないうちに存在が薄くなったのは、嬉しいけど
「あれ?」って少々思いました。
執念深い奴なら、今後また現れるんじゃないかとドキドキしていたのに・・・。
ま、いいか?出てこられると腹立つし(笑)


ルカが最後、劇的な嬉しい変化を見せてくれたところは、感動でした!

恵介が言ったように
この人とだけはわかり合いたいと思って、必死に手を伸ばしたからこその行動なんでしょう。

ハッピ-エンドでよかった♪

★★★

f6a9ca17.jpg発行年月:2006年6月

東京でカメラマンとして活躍する弟。
実家に残り、家業と父親の世話に明け暮れる兄。
対照的な兄弟、だが二人じゃ互いを尊敬していた、あの事件が起きるまでは・・・。

著者、監督による同名映画『ゆれる』を自ら小説化した作品

                        (本の帯文より)


少し前に映画を先に観ています。
この本の表紙写真を観るだけで、映画でみたこの橋の上での情景が浮かんで来るよう。

小説は、映画とほぼ同じでしたが、真反対のような性格で、周囲にも子どもの頃の評価も
兄は細かい気遣いの出来る優しい人間。
弟はいたづらばかりしているヤンチャで乱暴者。

稼業のガソリンスタンドを継いだ兄とやりたい事を求めて東京に飛びだした弟。

何年も実家に戻らなかった弟だが、母親が亡くなり、法事で帰り、久しぶりに兄弟は顔を合わす。
兄弟それぞれに対する想いは昔と変わらず、お互いの今を、それぞれが認め尊敬もしている。

が・・・そこに第三者である幼なじみでもある智恵子が加わることにより、兄弟がそれぞれに抱く心の奥深くにあった物が動き出す。

兄がずっと自分の気持ちを押し殺して、いつも穏やかにいたのかと思うと、人って怖いな~なんて思ってしまう。
こういう人間に、気がある素振りの欠片でも見せるのは、危険だ。
そう思うと、美智子には気の毒だが、ちょっと非はあったのかも。

映画を見た時にも感じたけど、ラストは、一見明るいけど、なんとなく胸の奥がモヤモヤした読後感でした。
そういうラストもこの物語のラストとしては、ピッタリで、
映画もすごく良かったけど、小説も良いなと思わせてくれました。


★★★★



6d72b2c9.jpg発行年月:1998年6月


少年は、音をなくした少女と出逢った。
たどたどしい二人の想いは
どこにゆくのだろう?


                    (本の帯文より)


5歳のとき、事故により聴力に障害を持つことになった少女・エイプリル。
言葉も上手く発せられないので、村の多くは、彼女のことを知能が低い子という先入観でみている。
父親も早くに亡くなり、貧しい暮らしの中、懸命に働く母親と暮らす日々。

親友のジョニ-は昼間、学校に行ってしまうので、エイプリルは一人で遊ぶのが日課。
川岸を走り、釣りをしたり、ボ-トに乗ったり、泳いだり。
彼女を見かけても声をかける者は居ない。
しかし、エイプリルにとっては、それは逆に好都合。
放っておいて貰える方が有難いと考えている。

しかし、そんな彼女の家のすぐ近くに、トニ-が母親と共に越して来た。

トニ-は、上流階級の家に育ったが、父親がほかの女の人と家を出て行ってしまった為、母親と無一文に等しい状態で、この村に来たのだった。

二人は、その後、意気投合して仲良くなる。
トニ-の母、バ-バラも、貧しいから、耳が不自由だからという理由で疎んだりせず、家事を手伝ってくれるエイプリルに自然と「ありがとう」と感謝できる人であった。

人に感謝される経験のなかったエイプリルにとって、どんなに嬉しい事であったか。

エイプリルには、誰にも言えない困りごとがあった。
エイプリルが上手く話せない事を言いことに、彼女に酷い事を強いる男たち。
彼女に非はないのに、加害者である彼らは、彼女の方に原因があるからそうなるように言いふらす。
それをそのまま受け入れる村人たち。
なんて、酷い!(怒)
エイプリルが気の毒で、胸が痛くなる場面もありました。

そんな生活の中で、トニ-の存在は、エイプリルにとっては、救いだったでしょう。
そして、トニ-もまた悩んでいることがあり、エイプリルの存在は救いだった。

二人は、お互いを必要とし、やがて恋?という状態になりますが、そのまま上手く事を運べるほど、大人ではない。
まだまだ、周りのおとなたちによって運命を左右されてしまう哀しさ。

でもラストは、二人とも今の自分の置かれた状態の中で、一生懸命、生きていくのだろうな~という光りが見えるような気がしました。
実際には、困難もあるのでしょうが。


エイプリルの最後の手紙でそれを感じました。


物語は1925年を舞台にしているそう。
少し、現代とは違う雰囲気も楽しめて、昔の文学作品を読んでいるようなかんじでした。

著者自身は1954年生まれだそうだから、新しい作品もまだまだ楽しめるかな?

結構、わたしの好きな作風だったので、ほかの作品も読んでみよう!と思います。


★★★★

a5863f95.jpg発行年月:2009年3月


結婚三年目、妻が逝った。
のこされた僕らの、新しい生活--------。

泣いて笑って、少しずつ前へ。
一緒に成長する「パパと娘」を、季節のうつろいとともに描きます。

                     (本の帯文より)


30歳の若さで健一の妻・朋子は、まだ1歳半の娘・美紀を残して逝ってしまう。
そんな設定で始まる物語。
最初から泣けるかな?と思うと、意外と明るい二人の暮らしぶりにやや拍子抜け。
実際は、多くの苦労もあるわけですが・・・・。

美紀の保育園入園で担任になった「ケロ先生」は、とてもステキな人だった。
ちょっとドジだけど、子どもの気持ちがよ~く分かる人。
最初に美紀を託す他人がケロ先生みたいな人だったのは、ラッキ-だったなぁ~(^^)

美紀の成長を追うように、章が変わるとそこで新しい人間関係が生まれて、その人たちとの関わりもとてもステキな物でした。
読んでいて、心が温かくなる話ばかり。

イヤな人が出てこない物語って、いうのもいいなぁ~。

小学校での母の日やら、運動会など学校行事には、両親が揃っていない事に子ども自身が「うちは他所とは違う家庭」を思い知らされるような物もありますが、そういう事を乗り越えながら美紀が成長していく姿がよく描かれていて、ジ~ンとしちゃいました。

この本を読みながら何度、泣いただろうか?
重松さんの本は読むと涙腺が刺激されるので、困ります^^;


美紀はどんどん成長し、それに伴い健一も心の持ち方が変わっていくかんじでした。

妻の両親(義理の父と母)との関わり方。
妻の兄夫婦との関わり方。

最初の方と最後では、随分、変化したような印象で、その辺も良かった。

なんといっても、ラストに、みんなの明るい未来が見えるのが嬉しかった。


表紙のイラストも可愛い!
絵は、杉田比呂美さんですね♪
この方の絵、可愛くて好きです!
最後のペ-ジに成長した父と娘(だと思う)のイラストがあったのもすごく嬉しかった!


★★★★
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