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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2011年7月


日本人にとって信仰とは何か。著者渾身の大作
★著者の到達点たる圧巻の傑作!
絵を学びたい一心で
明治の世にロシアへ
芸術と信仰の狭間でもがき
辿り着いた境地――
日本初のイコン画家、山下りん
激動の生涯を力強く描いた渾身の大作
【あらすじ】
「絵師になります」
明治5年、そう宣言して故郷の笠間(茨城県)を飛び出した山下りん。
画業への一途さゆえに、たびたび周囲の人々と衝突するりんだったが、
やがて己に西洋画の素質があることを知る。
工部美術学校に入学を果たし、
西洋画をさらに究めんとするりんは
導かれるように神田駿河台のロシヤ正教の教会を訪れ、
宣教師ニコライと出会う――

                (文藝春秋HPより)




幕末に生まれて、16歳でそろそろ結婚をと周囲が思うなか

絵を学びたいと茨城から東京を徒歩で。
たどり着いたのも凄い!
でも兄に連れ戻され、自分の思いを説いて何とか兄と母親(父は病死している)を
説得して、今度は兄と一緒に東京へ。

弟子にしてほしいと頼んだ4人目の中丸精十郎の元で絵を学び始めたのが最初。

その後、中丸が後部美術学校の女性徒を今度募集するから応募したら?と
そこに入学。
そこで意気投合した山室政子、神中糸子とは、ずっと親交が続く。
政子がキリシタンだったことで教会に出向くようになったのも聖像画家になる
キッカケだった。
そしてそこのロシア人ニコライ師に出会えたことも重要。
りんにとって生涯、大切な存在になる。
ニコライ師の話す温かみのある日本語がすてき。
そしてニコライの勧めでロシアのサンクトペテブルクで本格的な絵の勉強を
することに。
ロシアに渡ることも勇気が要ることだと思うけれど、絵を学べるのなら
と突き進む。
この決断力は凄い。
けれど、ここでの生活はりんの思っていたのとは違って戸惑い悩み
挙句に体調を崩し帰国。
再びニコライ主教の元へ。
ニコライ主教が優しい。
りんのわがままに思える行動にも文句を言わずに静観してくれている。

本当に、りんにとっては大きな支えだったと思う。


明治から昭和のロシアと日本の史実も交えながら
最初から最後まで一気読みの面白さだった。


また知らなかった偉人を一人、まかてさんに教えて貰ったかんじ。


                    ★★★★★
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発行年月:2021年10月


辛かった哀しかった寂しかった。痛みを理由にするのって、楽だった。でも……。千鶴が夫から逃げるために向かった「さざめきハイツ」には、自分を捨てた母・聖子がいた。他の同居人は、娘に捨てられた彩子と、聖子を「母」と呼び慕う恵真。「普通」の母娘の関係を築けなかった四人の共同生活は、思わぬ気づきと変化を迎え――。町田そのこ 2021年本屋大賞受賞後第1作目は、すれ違う母と娘の物語。

               (中央公論新社HPより)


主人公・千鶴の冒頭の暮らしぶりが壮絶でびっくり!
離婚した夫から金の無心と暴力を受けながら、その日に食べるものもないくらい
の困窮ぶり。

ラジオで募集していた「夏休みの思い出」を賞金欲しさに応募すると
準優勝の報せ。
その思い出とは小学生に上がってすぐの夏休みに母と二人だけで旅行した1か月のこと。
その旅行中に母が自分を捨てたということ。


千鶴は、ずっと母親を恨んでいたけれど、1か月も娘と楽しく旅行した人が
娘を捨てるには、きっと何か事情があったのだろうと思いながら読んだ。


成り行きで、母が住む「さざめきハイツ」で暮らすことになる千鶴。
母・聖子はまだ50代だったが若年性認知症を患っているということで
時に記憶が飛んでしまうことも。
千鶴のことを娘とわかっているようなわかっていないような・・・・。

さざめきハイツには、聖子に高校生の頃から親代わりして貰っているという
芹沢恵真と家事全般をしてくれる九十九彩子が住んでいる。

芹沢恵真は幼い時に両親を交通事故で亡くし、親戚宅で育ったがそこの姉妹に
虐められた過去がある。
九十九彩子は結婚し、娘がいたが、姑と母親が何かにつけて育児に干渉し
夫に3人で暮らしたいというが拒否され離婚して一人で家を出た。
娘・美保は姑に可愛がられ、懐いていて自分の元には来たがらなかった。

みんなそれぞれ家族のことでうまくいかず、さざめきハイツのなかで
寄り添っているかんじ。
その暮らしは平穏そうだったけど、彩子の娘・美保が来たり、
千鶴の居場所を美保のあげたインスタからばれて、終盤は修羅場に・・・( ゚Д゚)


どうなることかと思ったけれど、無事に色々なことが落ち着いたラストが
ホッとした。

これからは、それぞれが少し前を向いていけそう。

聖子が娘のことをホントは凄く考えていたとわかって良かった。

自分は施設に入りたいいう考え方も共感できる。


家族仲良く平凡に暮らせることが本当にありがたいことだと
つくづく思う内容だったな・・・・。



                     ★★★★



発行年月:2003年2月

禁断の恋に悩む兄妹、他人の男ばかり好きになる末娘、居場所を探す団塊の兄、
そして父は戦争の傷を抱いて……心震える家族の物語

                   (文藝春秋HPより)



複雑な事情を抱えた家族の物語。


工務店経営の水島重之は、妻が病死し、家事手伝いをしていた女性・志津子と
再婚した。

重之と先妻との子ども・・・貢(当時大学生)と暁(当時2歳)
志津子の連れ子・・・沙恵(暁と同年くらい?)
重之と志津子の子・・・美希


5人家族はふつうの家族として暮らしていたけれど、暁と沙恵は互いに好意を持ち
男女の関係になってから、沙恵は重之と志津子の子どもだとわかり
家族がバラバラに。

暁は家を出て、実家には15年間帰らず、志津子が亡くなり、葬儀に出席するため
に実家へ。
結婚し、子どもも生まれているが、なんとなく家庭は破綻しているかんじ。


沙恵も家を出たが、こちらはずっと独身で、幼馴染が好意を寄せてくれて
プロポーズもされるが断る。

長男の貢は市役所勤務で平凡なりに幸せかと思いきや同じ職場の若い女性と
浮気していて、他人からは十分、幸せじゃない?と思えるのに心が満たされて
いないかんじ。

末っ子の美希も妻子ある男性と不倫していて、その関係も終わりにしようと
思案中。

そしてもっと重たいのが、貢の娘・聡美(高校3年生)が受けている虐め。
こんな執着されたら、どうしたらいいんだろ?
ただただ辛い。

それからこの家族の発端、重之自身の過去が壮絶。
戦争体験の話は、本当に胸が痛む。
こんな体験したら人格も壊されそうで同情する気持ちもある。
けれど、志津子を妻にする前に、何かしていたら、この家族のこの不の連鎖
みたいなものは起こらなかったかもしれないのに・・・・


辛く重たい物語だったけれど、惹き込まれて読んだ。



                   ★★★★



発行年月:2022年2月


舞台はテレビ局。旬を過ぎたうえに社内不倫の“前科”で腫れ物扱いの四十代独身女性アナウンサー(「資料室の幽霊」)、娘とは冷戦状態、同期の早期退職に悩む五十代の報道デスク(「泥舟のモラトリアム」)、好きになった人がゲイで望みゼロなのに同居している二十代タイムキーパー(「嵐のランデブー」)、向上心ゼロ、非正規の現状にぬるく絶望している三十代AD(「眠れぬ夜のあなた」)……。それぞれの世代に、それぞれの悩みや壁がある。
つらかったら頑張らなくてもいい。でも、つらくったって頑張ってみてもいい。続いていく人生は、自分のものなのだから。世代も性別もバラバラな4人を驚愕の解像度で描く、連作短編集。

                  (幻冬舎HPより)


大阪のテレビ局内に勤める人たちの物語を春夏秋冬で4つの話を連作で綴る。
同じ職場内なので、前の話で出て来た人が出てきたりして楽しく読んだ。

職場での立場は色々だけど、皆、それぞれに悩みがあったり・・・

特に最後の<眠れぬ夜のあなた>は、印象に残る話だった。

下請け社員の堤晴一は、脱力系で自分の能力のなさに自身が辟易していて
そんなんだから振られるんじゃん!とつこっみを入れたくなるような人。

取材でエリート社員から芸人に転身した並木広道を密着取材することになる。
気さくで明るい並木広道に、励まされる堤。
でも彼が抱えていることに気づく。

阪神淡路大震災を子どもの頃に体験していた並木みたいに、ショックな出来事を
抱えて生きている人は多いんだろう。と今更ながら思い知ったかんじ。



                      ★★★★


発行年月:2021年1月

大手広告代理店を早期退職したキョウコは、貯金を切り崩し、古いアパート「れんげ荘」で相変わらずつつましく暮らしている。元住人で、旅人だったコナツさんの新しい彼とその子どもとのことを心配したり、折合いが悪かった母親が倒れたり……と、いろいろあるものの、時にはお隣さんたちとゆっくりお茶を飲みながら、自由に穏やかに過ごしている。そんなキョウコの一番の楽しみは、心の恋人・猫のぶっちゃんと散歩途中で出会うことだ。お隣さんと助け合いながら、毎日を生きる。月10万円で「れんげ荘」にひとり暮らすキョウコ。必要なものは最小限。ささやかな幸せをかみしめる日々。大ロングセラー「れんげ荘物語」シリーズ、待望の第5弾!

                 (角川春樹事務所HPより)




このシリーズも5作目か~。
図書館棚を見ていたら、これがあって「え?出てたの?」と思って借りてきた。
でも、この後にも既にれんげ荘物語、刊行されてるみたい!!


相変わらずのおひとり様生活をしているキョウコだけど、
クマガイさんともう一人の隣人・チユキさんには変化が!
結婚することになったと知ったときは、おめでたいけど、引っ越しちゃうの?
寂しくなっちゃうなぁ~と少々、残念な気持ちになってしまった。
でも、相手の男性は山にこもって自給自足の生活をしながら、木で仏像を
彫っている人らしく、事実婚で、生活は暫くは今まで通りと。
変わった人みたいだけど、チユキさんにはお似合いのかんじ。
2人とも長身で美形というから、田舎の住人たちには、異色の存在だと
思うけれど・・・旦那さんは既に近隣の人たちから好かれている様子で
安心。

元住人だったコナツさんのことも気になっていたけど、
旦那さんの連れ子(奥さんが子どもを放棄)のヨシヒロくんとちゃんと
家族として暮らしていくことになって安心。

キョウコは、お母さんが亡くなり、兄夫婦から一緒に暮らすことを
提案されるけれど、一応、お断り。

お兄さんの子どもたちも良い子達で、キョウコは一人で暮らしていても
ちゃんと見守られているかんじで幸せだな。
隣のクマガイさんも頼りになる存在だし・・・。

ただ、もっと年を取ったときのことは、考えちゃうかもね~。

取り敢えず、次の話も読まなきゃ!



                     ★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

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