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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2022年10月


カフェの若き店長・原田清瀬は、ある日、恋人の松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。松木の部屋を訪れた清瀬は、彼が隠していたノートを見つけたことで、恋人が自分に隠していた秘密を少しずつ知ることに――。「当たり前」に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。

                 (双葉社HPより)



人の本当の姿を知るのには、時間がかかるのかもなぁ~と思った。
長く付き合っても本質を理解できない人もいるけれど・・・


原田清瀬が、恋人の松木圭太が意識不明で病院に搬送されたと聞き、動揺。
持っていた圭太の部屋の鍵で室内に入り、1冊のノートや女性宛ての
手紙を見つける。

圭太と一緒に同じような状態で病院に搬送された岩井樹は、親友で二人は
喧嘩して怪我をしたと現場を見ていたという女性・菅井天音(まお)が言う。
二人は小学校時代からの親友同士。
いったい何があったのか???


真相は段々、わかる。
圭太も樹も優しい人。

圭太が両親から大事にされていないというのは何で?と疑問。
清瀬が連絡しても母親は「あのことはもう関係ない」と冷たく突き放すのは
理解できなかった。
そういう人もいるのかな?
自分の思い通りに育たない子は排除?
圭太の本当の姿を親が全く理解していないのは、ショック。

樹もただ「頭のわるいこ」と親に思われているし・・・

でも、圭太と樹は、お互いの本質をよく理解している。
こういう理解者がそばにいてくれるのは心強いだろうな。

二人は、何があっても変わらず良き理解者であり続けるだろう。
二人が意識を取り戻し、日常生活に戻れて本当に良かった!!

物語のなかに出てくる物語の一文
『川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない。』
は心に残る言葉だな。


ADHDとか識字障害とかも出て来て、色々考えさせられることもあった。
良い物語を読んだ。


                    ★★★★★
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発行年月:2022年1月


一穂ミチ、最新長篇にして文句なしの最高傑作
第168回直木賞候補作&2023年本屋大賞第3位
刊行以来、続々重版。大反響、感動、感涙の声、続々!
令和で最も美しい、愛と運命の物語
――ほんの数回会った彼女が、人生の全部だった――
古びた団地の片隅で、彼女と出会った。彼女と私は、なにもかもが違った。着るものも食べるものも住む世界も。でもなぜか、彼女が笑うと、私も笑顔になれた。彼女が泣くと、私も悲しくなった。
彼女に惹かれたその日から、残酷な現実も平気だと思えた。ずっと一緒にはいられないと分かっていながら、一瞬の幸せが、永遠となることを祈った。
どうして彼女しかダメなんだろう。どうして彼女とじゃないと、私は幸せじゃないんだろう……。
――二人が出会った、たった一つの運命
  切なくも美しい、四半世紀の物語――

                   (文藝春秋HPより)


3つの章に分かれていて結珠(ゆづ)と果遠(かのん)が小学2年生で
知り合ったのが最初。
その後、第二章は高校生となり同じクラスになり、再び突然の別れがあり
最後の章で29歳になった二人が再び、出会った地で再会する。


途中まで、特殊な環境のなかで育った二人が精神的に強い絆で結ばれているという
話なのかと思っていたが、それ以上に強いものが二人を繋いでいたと知り
最後の二人の決断には、ちょっと待ってよ、勝手過ぎないか?と
軽い怒りさえ覚えてしまった。

でも世間の評価は、感動の物語としての位置。

う~~ん。


そんなに大切に思っている存在がいるのに、家庭を持って子どもまで生まれて
(ゆづは流産したけれど、子どもを持とうとしたんだよね?)
なぜ、その家族を手放し、二人で光のなかにいこうとるんだろう。


果遠の娘・瀬々ちゃんのことが心配で仕方ない。
子どもまで産んだのなら、その子の幸せを守ってあげてよ!
ゆづもかのんも母親のことで散々、悩んで辛い思いもしたのに、
それじゃあ、瀬々ちゃんも同じことになってしまうかもしれない。


ゆづの夫・藤田も良い人過ぎるほど、出来た人で、こんな決断をした、ゆづを
それでも許すんだろうか???
まあ、こちらは大人だから、なんとか折り合いを付けて生きていくしかないけど・・・。


この物語のなかで瀬々ちゃんという存在がなければ、まあ、こういうことも
あるのかな?で済んだけどね。

世間の評価が高いだけにちょっとガッカリだったなぁ~。



                      ★★☆



発行年月:2023年1月


第21回『このミステリーがすごい!』大賞 大賞受賞作
 
「認知症の老人」が「名探偵」たりうるのか? 孫娘の持ち込む様々な「謎」に挑む老人。日々の出来事の果てにある真相とは――? 認知症の祖父が安楽椅子探偵となり、不可能犯罪に対する名推理を披露する連作ミステリー!
 
<最終選考委員選評>
●レビー小体型認知症を患う老人が安楽椅子探偵をつとめる“日常の謎”系の本格ミステリー連作で、ラストがきれいに決まっている。(大森望/翻訳家・書評家)
 
●マニア心をそそられる趣向が凝らされており、古典作品へのオマージュも好印象。ディーヴァーのリンカーン・ライムのヴァリエーションのようだ。(香山二三郎/コラムニスト)
 
●キャラクターが非常に魅力的。彼らの会話がとっても楽しい! 全体を通しての空気感、安定感が秀逸でした。魅力的な物語を書き続けていける方だと確信しました。(瀧井朝世/ライター)
 
<あらすじ>
かつて小学校の校長だった切れ者の祖父は、71歳となった現在、幻視や記憶障害といった症状の現れるレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた。
しかし、小学校教師である孫娘の楓が、身の回りで生じた謎について話して聞かせると、祖父の知性は生き生きと働きを取り戻すのだった!
そんななか、やがて楓の人生に関わる重大な事件が……。

                     (宝島社HPより)



レビー小体型認知症の71歳、元校長先生という設定が面白い!
疾患特有の幻視をうまく物語に活かしていたのは、良いアイデアと思った。


短篇ミステリーの形で、孫娘の楓(小学校の教師)が持ち込む謎を
認知症の祖父が解いていく。
謎解きの部分は楽しかった。
軽いものもあったけれど、殺人も起きたり、楓自身に起きるストーカー問題は
物語の終盤で盛り上がった。


ミステリーより興味深っかったのは、楓とその同僚教師・岩田。
岩田が高校時代、野球部でバッテリーを組んでいた後輩・四季。
四季は劇団に所属していて、とても風変り。
それでもこの3人の関係がいい。
男性はそれぞれ楓に好意を抱いていて、その想いも楓は知っている。
どちらかを恋人に選ぶのか?
たとえ、どちらかと恋人になっても3人の関係は持続していきそう。

ミステリー抜きでも面白そうだけどな。
続編があれば、読んでみたい。


                       ★★★



発行年月:2023年1月

村山由佳 デビュー30年記念作品

原点回帰にして到達点。
猫、犬、馬、人形など、異質な存在との交歓によって導かれるカタルシス、
圧倒的な熱量をはらんだ作品集です。


                  (文藝春秋HPより)


<晴れた空の下>
記憶が長続きしなくなり、人の顔なども忘れてしまい初対面の人に会う感覚。

イギリスで知り合った4つ年下の美大生と結婚した。
自分の分身のように大事にしていたカエルのぬいぐるみエルと
彼も自分と同様に最初から接してくれた。


大好きだった彼の顔は忘れてもエルとの彼を含めた思い出は
鮮明に覚えている。素敵な思い出があれば幸せに生きられると思う。


<同じ夢>
ベーシストの年下の彼が音楽仲間の死後、引き取った犬・ジョン。
彼の元に週1~2回行っているが、ジョンに会うのを目的とするようになり
ジョンと過ごす時間に喜びを感じる。
心がお互いに通じあっていると実感できる存在が出来た喜び。

動物の方が素直だし、愛情表現もストレートだもんね。


<世界を取り戻す>
動物病院に置き去りにされた死期が迫っている猫を自宅に連れ帰る。
小学生の頃、飼っていた猫の最期に間に合わなかった後悔が
ずっとあって。
1週間後、猫は亡くなる。
猫は一生に一度、人間の言葉を話すと動物学者の父が言っていた。
その猫は最期の時「じゃあ、いってくらぁ」と。

なんだか、いいな。
そんな風な別れなら哀しみも半減するでしょう。


<グレイ・レディ>
アメリカの東海岸から更に南の沖合に浮かぶナンタケットは人口1万チョットの
小さな島。そこで作られるナンタケットバスケットは
かご界のエルメスと言われるほど希少。
そのかごが、盗まれ、かごの価値を知らないものが安く値を付け売っていた。
その価値を知る者が手に入れずっと大切に手元に置くはなし。

知らなかったなぁ~、ナンタケットバスケット。
覚えておこう!


<乗る女>
幼い頃、乗馬を習っていた。
北海道にある会社に就職し、先輩に連れられ行った牧場で
人を信じだれなくなっていた馬・レラに出会う。
調教師の黒澤から、もう一度人を信じることを思い出させてくれないかと
頼まれレラとの付き合いが始まり、お互いに信頼関係が芽生えた。
が、乗馬中、レラは脳溢血により亡くなり、レラの下敷きになった
自分も骨盤の骨が砕ける大怪我を追い、東京に戻る。
父は黒澤と会うことも禁じ、やがて結婚。
二十数年ぶりに再び北海道を訪ね、黒澤とも再会。

この後、どうなるのかなぁ~?


<訪れ>
自分史を作る手伝いをしている。
今回の依頼者は90代半ばの男性を父に持つ娘から父の自分史を書いてほしいと
いう依頼。
戦争が始まり、ソ連と満州の境にある地で過ごす。
ケガをして横たわり苦痛と闘う日々のなか、看護してくれたマリアのことが
印象的な思い出。

最期の時に思い出のマリアが訪ねて来てくれたのなら、よかった。
娘としても、それは嬉しいことだと思う。



色々な愛のお話、どれも素敵だったなぁ~



                    ★★★★




発行年月:2023年2月

恋人に紹介できない家族、会社でのいじめによる対人恐怖、人間関係をリセットしたくなる衝動、わきまえていたはずだった不倫、ずっと側にいると思っていた幼馴染との別れ――いまは人生の迷子になってしまったけれど、あなたの道しるべは、ほら、ここに。もつれた心を解きほぐす、ぬくもりに満ちた全五篇。
目次
おつやのよる
ばばあのマーチ
入道雲が生まれるころ
くろい穴
先を生くひと

                   (新潮社HPより)




5つの短編集。

どのお話も大切な誰かとの別れがある。

最初の話から良かった。
<おつやのよる>
94歳の元気だった祖母の訃報を知り慌てて大阪から九州の実家に帰る清陽(きよい)。
恋人の章吾が一緒に行くというのに振り切って。。。

おばあちゃんは、きっと章吾が追いかけて来てくれて喜んでいるだろうな。


<ばあばのマーチ>
庭先でいっぱい並んだ食器たちを叩きながら一人オーケストラをしている
通称・オーケストラばばあ。

香子は恋人の浩明がもっとちゃんとした仕事にとバイトで菓子工場に勤めて
いることをよく思っていない様子。
結婚したら子どもは3人で夫婦共働きで十分な教育を受けさせたい・・・云々。

うん、別れていいよ


<入道雲が生まれるころ>
萌子は恋人の浩斗に別れましょうとメモを残し帰る途中、実家の母から
親戚のおばあさんが亡くなったと報せが入り、実家へ。

親戚だと思っていた藤江さんは、実はなんら関係ない他人だったとわかる。
死亡届を役所に提出しに行って、その人物には行方不明の末に
亡くなったことになっていると。

藤江さんを巡る謎をあれこれ推察する面々。
萌子の妹・芽衣子は、そんな藤江さんを慕っていたのだと萌子に話す。
遺品の処分も芽衣子は頼まれていたという。


藤江さんにどんなことが実際あって北海道から九州まで来たんだろ?
謎は残るけれど、ここでは穏やかに暮らせていたんだろうな。

萌子の気持ちにも少し変化が見られたのも嬉しい。


<くろい穴>
不倫相手の奥さんが食べたがっていると彼が言うので栗の渋皮煮を作る。
作ったことが何度かあるので、その工程の面倒くささがわかって
面白かった。
わざと虫喰いのような穴のある栗を残して彼に渡す。

奥さんが癌で亡くなり亡くなる前、虫喰いの栗を彼がつまんで穴に気づいたら
「自分で責任もって食べて」と言われたと。
奥さんはお見通しだったんだな。
それを聞いて彼と別れることにしたのも偉い!


<先を生く人>
加代は幼馴染のあおいが、最近、冷たいと感じている。
その真相は、老女の澪が偶然会ったあおいを見て初恋の人・正臣にそっくりだと驚き
その人の名前で呼びたいと。
快諾し、度々、家を訪ねていた、あおい。
加代も正臣の妹という設定で一緒に澪さんの元へ行くようになる。


澪さん、少女みたいでかわいいな。

そして、いい子だなぁ~あおいくん。
加代ともずっと仲良しで居られたらいいね~


ほっこりする短編集でした♪



                   ★★★★

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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

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