父親が被害者で母親が加害者--。
高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。
遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。
その家族と向かいに住む家族の視点から、
事件の動機と真相が明らかになる。
『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。
(双葉社HPより)
今回のお話は、二つの家族のお話を交互に語りながら進む。
ともに高級住宅地として知られる「ひばりヶ丘」に住居を構える家族。
遠藤家は、ひばりヶ丘で一番小さな家。
その家の娘・彩花は中学受験に失敗し、地元の公立中学に通う中学2年生。
度々、癇癪を起こす娘に両親は辟易としながらも時には笑いもある家族。
高橋家は、父親が大学病院の勤務医。その子ども達3人も皆、優秀で長男は医大生。
長女は有名私立女子校の高校に在学中。次男も難関私立中学生というエリ-ト家族。
けれど、ある日、高橋家で殺人事件が起きる。
そして、その事件の後、高橋家の次男・慎司が姿を消す。
事件の真相を追いながら、二つの家族の背景を鋭く描く。
心理描写は、やはり上手いですね!
そして、二つの家族を常に観察している近所の老婦人・小島さと子の存在が不気味でした。
ある意味、一番、怖かった人。
事件の真相が明かされ、今後、二つの家族はどうしていくのか?が気になったけど、今までの湊さんの作品に比べると、結構、明るいものが見えるラストだったような気がする。
しかし、次々といろんな話を書ける人だなぁ~。
次の作品も今から楽しみ♪
★★★
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かのこちゃんは小学1年生の元気な女の子。
マドレ-ヌ夫人は外国語を話す優雅な猫。
その毎日は、思いがけない出来事の連続で、
不思議や驚きに充ち満ちている。
(筑摩書房HPより)
「鴨川ホルモ-」 「鹿男あをによし」 「プリンセス・トヨトミ」と今までの万城目さんの独特の世界観をここでも残しながら、でもとても心温まるお話でした。
話が一番、わかりやすい。
小学生の中学年くらいでも楽しめるお話じゃないかな?
猫のマドレ-ヌを中心に、その周りに居る、人間、ほかの猫との関係。
一番、素敵なのは、マドレ-ヌの旦那さんは犬の玄三郎で、この2匹のお互いを思いやる気持ちが素晴らしい!
マドレ-ヌと玄三郎の出会いも良かった!
老犬の玄三郎が実に格好いい!
ラストは泣けました(/_;)
人間の方の話も愉快で、小学1年生のかのこちゃんとお友達のすずちゃんの出会いも面白い。
二人に共通する感性ってユニ-ク(^^)お茶会で大人の会話をマネ(?)しながら話す様子は、可愛かったなぁ~。
二人はずっと「刎頚(ふんけい)の友」なんでしょうね(^^)
かのこちゃんの名前の由来を話すお父さんは、「鹿男」?
なんて思ってしまいました。こういう遊びいいな。
マドレ-ヌの集会仲間、猫の和三盆やミケランジェロとの会話も楽しい。
猫好きには、思わずニンマリの場面。
兎に角、不思議だけど楽しくて、ちょっと切なくて、心が最後は温かくなる素敵なお話でした♪
次回作も大いに期待してます(^^)
★★★★
母親から異父兄がいることを大人になって知らされた榛名(はるな)。
第1章で、母の死をきっかけに、兄が住むプラハへ向かい出会います。
第2章以降は母、父、そして兄と視点を変えて、
それぞれの人生が綴られます。
角度を変えることで全く違う景色が見える万華鏡。
そんな不思議な魅力を持った長編小説なのです。
(文藝春秋HPより)
美しい物語でした。
母親から父親違いの1つ年上の兄がいると聞かされていた榛名が母親の死後、その兄に会うため単身プラハに向かう。
自分たちの関係は明かさず、ただ会えればそれだけで良いと思いながら・・・・。
アルバイトで外国人旅行者のガイドを勤める兄・聡と共にプラハの街を観光する様子が素敵でした。
二人はこのまま別れてしまうのかな?それは寂しいな~なんて思いながらの第1章でした。
第2章では、病で亡くなった榛名の母・奈緒子のことを第三者が語るかたち。
母・奈緒子の若い頃、聡の父親・芹沢喬との出会いから別れ、榛名の父親・後藤信彦との関係が描かれ、そこにある奈緒子の哀しみは切ない。
二番目の夫・信彦は奈緒子にとって大きな存在であったことがよくわかった。
第3章は、奈緒子が勤めていた介護福祉施設で共に働いたことのある青年・芳雄との関わりを通じて描かれる奈緒子のこと。
奈緒子の明るい人柄や青年が奈緒子に抱いていた温かい気持ちが心地良かった。
第4章は、信彦(榛名の父親)と同じ会社に勤める部下・知沙とのことが描かれている。
知沙は榛名と同い年。会社以外の場でもお互いのことを部下と上司の関係を超えて話せる信頼関係を築くが、節度あるところでおさまり、ホッ。
信彦の人柄も滲み出ていて、素敵な男性だなと思った。
第5章と6章は芹沢が奈緒子と別れたあと、再婚した妻・史恵と二人の娘・恵理のことが描かれる。
芹沢と史恵との出会い、史恵の過去。そして恵理の恋のこと。
みんなそれぞれ、抱えているものがあることに驚いた。
第7章は再び、榛名と聡のこと。
第1章でこの兄と妹は、何も本当のことを語らずまた離れるのか?それは寂し過ぎるだろ!?と思っていたので、この展開は嬉しかった!
父親が違っても、兄と妹であることは変わりない。
二人は今後、兄妹として離れていても繋がって生きていけるんだな~と思うと感動した。
いろんな人の背景にあるものを読ませて貰い、誰もが存在しているなかで多少の哀しみを抱えているんだと思った。
生きていればいろいろあるのは当然で、哀しいことがあってもその後の人生にそれは喜びに変わる元になるかも。
なんて思ったりしました。
トルコにちょっと行ってみたくなった!
★★★★★
自由で、おいしくて、謎に満ちています。
デパ地下食品売り場の、優しくて不思議な魅力をご案内します。
少し臆病。太るのは嫌い。でも、食べるのは得意。謎解きも、わりと得意。
やりたいことがわからず、進路を決めないまま高校を卒業した
梅本杏子(うめもときょうこ)は、「このままじゃニートだ!」と一念発起。
デパ地下の和菓子屋で働きはじめた。
プロフェッショナルだけど個性的な同僚と、歴史と遊び心に満ちた
和菓子に囲まれ、お客さんの謎めいた言動に振り回される、忙しくも心温まる日々。
あなたも、しぶ~い日本茶と一緒にいかがですか?
(光文社HPより)
この本の装丁がかわいい♪
デパ地下の和菓子屋「みつ屋」で起きる、お客さんを介してのちょっとした謎を解き明かしてゆくミステリ-。
本の帯文にもあったけど、和菓子×ミステリ-の絶妙の味わいを楽しみました!!
登場人物たちがいい!
主人公の梅本杏子:通称アンちゃん。ぽっちゃり体型でほっぺがぷくぷくしている可愛い18歳の女の子。高校を卒業しこの先、どうしよう?と思いながら働く場所を探してある日、来たデパ地下で和菓子屋「みつ屋」を見つけ面接を受けてめでたく採用。
店長の椿はるかさんは、面倒見の良い女性だけど、時々、おっさんに豹変。
社員の立花さんはイケメンで職人志望。和菓子の知識もあり頼りになるけど、乙女系男子。
そしてアンちゃんと同じくバイトの大学生・桜井さんは元ヤンキ-。
個性豊か過ぎるメンバ-だけど、職場のム-ドは始終和やかで楽しそう。
そこに訪れるお客さん。
季節の上生菓子を求めてくる品の良い常連さん、会社の上司のお使いでくるOLさん。
季節ごとの和菓子の説明は、目に浮かんでくるようで、和菓子屋さんに行きたくなります(笑)。
そんなお客さんとのやり取りから、ふと疑問に思うあれこれを、みつ屋のメンバ-で推理。
店長の洞察力には脱帽でした!
坂木さんのミステリ-は、日常のどこにでもありそうな謎。
印象的だったのは、お盆に供えるお菓子を買いに来た常連の杉山さんの話。
上生菓子の「松風」を注文の杉山さんに店長の椿さんが「・・・・・松風は必要でしょうか?」と訊ねる。
「松風」というお菓子には、そういう意味があったんですね~。
他にもお菓子の名前に込められた意味が幾つかあって、なるほど、なるほどと感心。
「半ごろし」は、知ってたけど・・・。
ほかに登場のお菓子の名前
「おとし文」 「星合」 「七夕」 「嵯峨野」 など・・・
こういうお菓子の名前は日本の古い書物(源氏物語など)にも登場するらしい。
なんだか、和菓子って歴史にも通じる食べものなんだなぁ~って思ったら、より好きになった!
兎に角、最高に楽しいミステリ-でした♪
★★★★★
戦争に翻弄された作家・林芙美子の秘められた時を桐野夏生が炙り出す衝撃長篇!

女は、本当に罪深い----。今この一瞬、あなたと抱き合えれば、愛さえあれば、私は構わない。昭和十七年、南方への命懸けの渡航、束の間の逢瀬、張りつく嫌疑、そして修羅の夜。見たい、書きたい、この目に灼き付けておきたい! 波瀾の運命に逆らい、書くことに、愛することに必死で生きた一人の女を、渾身の筆で描く傑作小説。
(新潮社HPより)
最初から最後まで面白かった!
さすが、桐野さん!!
物語は、桐野さん流の創作で語る作家・林芙美子の知られざる過去。
芙美子の姪に当たる房江が、芙美子の死後、夫であった画家の手塚緑敏が保管していた芙美子の日記や記録物の数々を見つけ、資料館の資料として公開するべきか否かを緑敏の友でもあった黒川なる人物に預け意見を聞きたいという手紙から始まる。
作家・林芙美子の名前は知っていても、作品は読んだ事ないし、そこに繋がる人間関係に対する知識も皆無ですが・・・知識がなくても楽しめた。
芙美子の夫・緑敏と手紙を書いている房江の関係もビックリする物がありましたが、主人公の芙美子もまた、夫以外の男性をずっと愛し続けていた設定のこの物語。
時代は昭和17年~18年のこと。
昭和16年に日本が真珠湾攻撃で勝利し、ちょっと浮かれてる時代?
日本は、強い敵無し!という風潮のなか、芙美子は現実の日本の情勢を日本を出たところで見ていて何か恐ろしいものを感じている。
ジャ-ナリストの恋人・謙太郎も世界中を危ない思いをしながら駆け回り、日本の危機を感じている。
が・・・戦争というなかでは、自分の思った事を自由に書くことすら非国民扱いになってしまう。
そうなったら、物書きとして生きることすら出来なくなってしまう。
戦争中、作家は利用されていたという事実は、衝撃的でした。
戦争の本質を見ながら、書き記したものも都合の良い箇所だけの要約が行き交い人々はそれを信じる。
どんな気持ちだったんだろうか?
日本を離れ従軍活動で、ジャワに行き、そこでも恋人の謙太郎と危ない逢瀬を重ねる芙美子って人の力強さみたいなものに打たれました。
その時代の女性にしては、かなり破天荒で本当にパワフル!
ここに書かれたことの全てが事実ではないと思いながらも、こんな人生を歩んだ芙美子という作家の書き残したものを是非とも読みたい!と強く思いました。
巻末にある参考文献の数は膨大!
林芙美子について書かれた書物も多いんですね!これまたビックリ!
それらも今度、手に取ってみたい!
いや~凄い小説でした!
時間を置いて、必ず、また読み返したい!
★★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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