ヴィヴァルディはピエタ慈善院で〈合奏・合唱の娘たち〉を指導していた。
ある日、教え子のもとに恩師の訃報が届く。
一枚の楽譜の謎に導かれ物語の扉が開かれる
(ポプラ社HPより)
ヴィヴァルディと言えば・・・「四季」を作曲した人。くらいの知識しかないわたし。
まだ20代のころ、慈善院で音楽指導をしていて、そこの司祭までになっていたとは、凄い人だったんですね~。
そして、その当時、そこで学んだ少女たちが実際、名のなる音楽家に成長していく。
物語の主人公・エミ-リア自身も、かつてはヴィヴァルディの下で音楽を学んだけれど今はピエタ慈善院の運営を手助けする役目を負う立場になっている。
ヴィバルディが、ヴェネチアを去り、ウィ-ンに渡り、その後死去したと知らせを受けたエミ-リアたち。その経緯もきになるところだけど、貴族の娘・ヴェロニカが「先生が自分のために書いてくれた楽譜を探してほしい」と頼まれる。
その楽譜の在り処をつきとめる為、奔走するエミ-リアが次々、ヴィヴァルディと接触のあった女性たちを訪ねながら、幼いころには知りえなかったことを知っていく。
読みながら、なるほどそういう人間関係があったのかぁ~と私自身も興味津々で楽譜の在り処よりヴィヴァルディの交友関係の方に惹かれて行った。
高級娼婦のクラウディア。
クラウディアの元に通うのに利用していたゴンドラの舵取り・ロドヴィ-ゴ。
ヴィヴァルディの妹・ザネ-タ。
いろいろな年齢、いろいろな生い立ち。
この時代を生きた人々の暮らしぶり。
そして、ヴィヴァルディという一人の人を軸に繋がっていく人たちに絆が生まれる。
本の最後には、参考文献が多々並べられていました。
かなり史実を参考にされた物語なのかな?
とても面白かった!
奇妙な味とやわらかな幸福感の恋愛小説集
☆「一実ちゃんのこと」一実ちゃんは、「私、クローンだから」と言う。父がクローン研究に携わっていて、19年前亡くなった母を「母株」にして一実ちゃんは誕生したらしい。
☆「ユモレスク」17歳のハナのイイダアユムに対するコイゴコロは見事に破れた。「私、玉砕?」。
☆「エイコちゃんのしっぽ」「しっぽがあるんだ」とエイコちゃんは言った。エイコちゃんは女だけのガソリンスタンド、あたしは市場調査の会社で働いている。
☆「壁を登る」母はときどき「妙なもの」を連れてくる。最初はおばさんとその息子。次におじいさん。三番目に五朗が来た。「何者?」と聞いたら「わたしの弟」と母は言う。
☆「金と銀」治樹さんは泣き虫でのんびりしていた。彼とばったり出くわしたのは大学生のときだ。治樹さんは絵描きになっていた。
☆「夜のドライブ」40歳のわたしは、ある日、母を誘って車で温泉に出かけた。旅館に泊り、真夜中、母がわたしを呼んだ。「ねえ、夜のドライブに行きたいの」。
☆「天頂より少し下って」45歳の今まで、真琴は何人かの男と恋をした。今つきあっている10歳年下の涼は柔らかげな子だ。涼は真琴のことを「猛々しい」と言う。
(小学館HPより)
7つの短編集。
過去に発表されているものをまとめた1冊みたいだけど、幸いまだ読んでいないものばかりだったので嬉しかった♪
最初の「一実ちゃんのこと」は、驚きの設定。
ちょっとSFチックなかんじで可笑しかった。
将来、クロ-ン人間も誕生しちゃうのかなぁ~?
好きだったのは、最後の2作。
「夜のドライブ」と表題作の「天頂より少し下って」。
「夜のドライブ」は、母親と娘の話。
「天頂より・・・」は母親と息子が出てくる話。
わたしには娘が二人なので、「夜のドライブ」の話の方が感情移入しやすかった。
将来、娘とこんな風にドライブ出来る関係になれたらいいな。
娘に老いた自分を見て涙して欲しくはないけれど・・・・そういう優しさはいいものかも。
「天頂より・・・」の母親は、自分より11歳年下の恋人が居るという設定だし、息子に感じる気持ちもちょっと理解できない部分ではあったけど、45歳でこんな風に楽しく生きていられるのは、ちょっと羨ましいかも。
でも二つの話とも旦那は他界してるのよね。
そのあたりは、ちょっと寂しいかな~?
ササッと読めて面白い短編集でありました。
次は長編小説を読みたいな。
★★★
甲坂礼司、釜ヶ崎で働く青年。二谷結子を主人公に小説を書いてくれと頼まれる。二谷結子、二谷啓太の妻。神戸・三宮のホテルに一人で住み、つかみ所がない女。二谷啓太、チープ・ルネッサンスを標榜するホテルチェーンのオーナー。小説の依頼主。大輔、甲坂礼司に小説書きのバイト話を持ってきた大学生。礼司に神戸の住まいを提供。松ちゃん、釜ヶ崎の名物男。礼司が頼りにし、なにかと相談するおっちゃん。敦、二谷結子の弟。興信所経営。結子のためなら何でもする直情型の気のいい男。震災前夜、神戸と大阪を舞台に繰り広げられる冒険恋愛小説。
3年ぶり、著者の新境地を開く渾身の長篇書き下ろし。
(筑摩書房HPより)
物語の最初に語られること。
「この女」という小説を書いた主人公の男性は、15年前の震災で行方不明らしい。
15年前の震災というと、阪神大震災だろう。
そして、すぐにこの小説「この女」を書いた男性・甲坂礼司の物語が始まる。
どうして小説を書くようになったか?
それはすぐわかるけど、この偶然の頼まれごとが、礼司の生き方も変えていく。
「この女」と言われる女性・二谷結子の生い立ちは、重い。
けれど、そんなものに負けていない力強さがある。
礼司の生い立ちも結子と似ているものがあって、二人がお互いを支えにしていく様子は自然なかんじ。
大阪の釜ヶ崎地区が舞台になっていて、小説を読みながら、実際はどうなのかな?なんてちょっと考えてしまった。
著者は、実際、そこで野宿者支援活動をしている方に協力をいただいたと最後に述べていた。
過去に苦労した二人の男女が、新たな地で二人でがんばろうと決意したところで物語は終わる。
読み終えて・・・もう一度、最初に戻って読み返してみた。
震災後、行方不明というけれど・・・・どこかで幸せに二人で暮らしていてくれたらいいな~。
なんて思った。
★★★
発行年月:2011年5月
「もしかしたら、きみが二百年まえの風景を見たいんじゃないかと思ったんだ。」
21世紀に生きるぼくが図書室で見つけた金箔押し革装の古書《デカルコマニア》には、亀甲文字で23世紀の不可思議な物語が綴られていた。いったい何故、どうやって!? 書物の電子化が進んだ時代、本はどう読み継がれるのか――。時空を超えて展開される壮大かつ豊饒な物語世界を構築した著者の新境地。
(新潮社HPより)
いや~面白かったけど、頭を使いました(苦笑)。
時間の流れが一定方向でないのです。
デカルコという時間旅行をする装置の研究により、それをある時代では、囚人の刑罰として利用したり、またある時代では、何か目的を果たすために使われたり・・・。
登場人物たちも、それぞれの年代により沢山登場してきて、メモを取っていたので、「あ、この人、前に出てきた〇〇だ!」と気づく楽しさがありました。
そして・・・・この人とこの人が結婚して・・・・つまりこの人は、××××年で・・・・・・だった人ね。
と、まるで本を読みながらある一族の系図を解いていくようなかんじ。
そして、たびたび出てくる、鳥、リング、レモンド-ナツ。
ファンタジ-だけど、SFの要素もあり、そしてお洒落!
長野さんらしい雰囲気はありました。
ちょっと苦労したけど、楽しませてもらいました。
次回は、もうちょい楽して読めるもの、お願いします(笑)
★★★
サンドイッチ屋「トロワ」で働くことになったぼくは、オリジナルのスープを考案することに……。個性あふれる登場人物とのほのぼのとした交流、往年のわき役映画女優“あおいさん”へのほのかな憧れと出会い。みんなの心の中にある“なつかしい町”を舞台に繰り広げられる、心優しい物語。
(暮らしの手帖社HPより)
先に読んだ「つむじ風食堂の夜」が、素敵で、続けて読んでみました。
同じ月舟町が舞台になっていて、けれどここには、映画館とサンドイッチ屋さんが主に登場。
主人公のオオリ(大里)は、仕事を辞め、月舟町に越してきた。
そして、アパ-トを借りて住む。
前の「つむじ風・・・」の主人公と似てるけど、また別のアパ-トかな?
大家さんはその名も「オ-ヤ」だと言い、オオリのことを「オ-リィ」とおしゃれに呼ぶ。
なので、オオリも密かに大家さんのことを「マダム」と呼ぶことにする。
近所にある商店街のサンドイッチ屋さんが人気らしい。
多くの人がお店の袋「3」と書かれた袋を抱えて通り過ぎる。
なぜ「3」?と思ったら、お店の名前が「トロワ」だという。
なるほど、フランス語の「3」=トロワね・・・。
そして店主は日本人男性で「安藤」。
なぜ「トロワ」と付けたのかの理由を聞いて・・・・・・すごい!!なるほど~!!
このセンスには脱帽です♪
そして、そのサンドイッチ屋さんの息子・リツ君が可愛い。
小学4年生にしては、お利口で話口調が丁寧。礼儀正しい子。
そして、隣の駅にある映画館に通い同じ古い映画を何度も鑑賞するオオリ。
そして映画館内で出会う、緑色の帽子をいつも被っているご婦人。
出会う人たちと次々、素敵な縁を作っていくオオリの日常が楽しい。
文章も綺麗で、本当に癒される。
吉田さんの書く物語は素敵だ!
イラストの佃 二葉さんの絵もとっても素敵で、ぺ-ジを捲って、イラストがあると嬉しかった♪
これはお薦め度100%の本!!
中学生の次女も「読みやすくてすごく良かったよ!」と申してました。
★★★★★
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;