発行年月:2010年11月
この男、いったい、何者か。
錨を上げよ-----疾風怒涛の2400枚。圧倒的青春小説。
昭和30年大阪下町生まれ。その名は作田又三。
下品で、ずるがしこくて、しずとくて、ルール無視でもお構いなし。
人生の至る所で敗北を喫しながらも、絶対にへこたれない不屈の男。
戦争が終わってちょうど10年目、いまだ空襲の跡が残る大阪下町に生まれた作田又三。
高度経済成長、60年安保闘争、東京オリンピック、大阪万博、よど号ハイジャック事件、
日本列島改造論、石油ショック-----激動の昭和時代、生まれながらの野生児、
作田又三は、人生という荒海を渡っていく。
いざ、海図なき嵐の海へ。さあ錨を上げよ!
(講談社HPより)
長い!
上巻終わって、591頁読み終えました。
でも、面白いから、退屈はしない。
凄い話だなぁ~。
主人公・作田又三は、とんでもない男。
小さいときから、近所で有名な悪がきで、大人たちからは「こんな憎たらしいガキは
見たことない」と口を揃えて罵られていた。
幼少期~中学~高校~大学までの物語。
どこでも破天荒な行いばかり。
大学入学前は、猛勉強をしていて、同志社大学に合格したのは、凄い!!と感心。
高校までハチャメチャから・・・。
大学に入って錨を上げるのか?と思われたけれど・・・
さて、これが下巻でどういう人生展開を見せてくれるのか?
楽しみに続きを読みたいと思う。
ハチャメチャだけど、憎めない魅力を持ってる男なんだよね~。
★★★
発行年月:2013年8月
あさのあつこが、初めて「太平洋戦争」を描いた、心ゆさぶる“戦時下”青春小説。
戦時色濃くなる昭和18年、ある温泉街の一室で、女学生4人は闇物資の美しい洋服生地でブラウスを縫いはじめます。美しいものへの渇望を抑えきれない少女たち。しかし、学徒勤労令が発令、4人はそれぞれの運命をたどることになります。戦争という抗うことのできない時代のなかで、夢と憧れを胸に生きようとする少女たちの青春を丁寧に紡ぎだした、まったくあたらしい戦争文学の誕生です。
(実業之日本社HPより)
昭和18年から昭和20年の終戦のときまでの物語。
4人の仲良し少女たちの物語。
主人公は、室生三芙美。母ひとりで何もかも取り仕切る、旅館『山風荘』の長女。
そしてその友達たち。
高崎和美・・・山風荘より大店の旅館の娘。女優になれそうなくらいの美人。
三島則子・・・大らかで優しい呉服屋の娘。
川満詠子・・・走るのが得意。髪が癖毛のため度々、電髪の疑いをかけられる。
4人は、山風荘に集まり、楽しいお喋りを繰り返す。
戦況が厳しくなって、世の中が変わって行くけれど、4人でいれば
お洒落の話をしたり、将来の夢を語り合ったり・・・・
ずっと一緒に仲良く居られると思っていたのに・・・・
戦争は、酷い。
激しい銃撃戦の話とかじゃないけれど、普通に笑って食事して過ごしていた日々が
普通に出来なくなって、大切な命まで失うことになるなんて。
少女たちの明るい日常が、突如崩れてしまう終盤は、ただただ辛い。
戦争に勝つために、贅沢はしてはいけない。
大声で笑うことも許されない。
何かおかしいと心のなかで思っても、それをおかしいと訴えることも許されない。
戦争って怖い。
とても読みやすい文章なので、多くの子どもたちにも読んで欲しい本だと思った。
二度とこんなおかしな世の中にしない為に・・・・
★★★★★
発行年月:2013年7月
あなたの会社やマンションは大丈夫? 誰もボタンを押していないのに、必ず三階で止まるエレベーター。住民が見たものとは……?
奇妙な表題作はじめ、思わず背筋の凍るミステリー短編集。
(河出書房新社HPより)
表題作を含む8つの短編集。
<宙の鳥篭>
<転校>
<壁の穴>
<院長室>
<ご自由にお使いください>
<心中少女>
<黒い方程式>
<三階に止まる>
ちょっと怖いけれど、ホラー苦手のわたしでも大丈夫な程度の怖さです。
背筋が凍るは大げさでしょう^^;
どれも、まあまあでした。
そのなかで本当に怖かったのは二番目の<転校>かな?
エリートばかりを集めた学校。
昼夜を問わず、管理されたなかで生活する生徒達。
成績が振るわないものは退学。
そして、これ以上、能力向上が望めないと判断された生徒は転校という厳しい規則。
そして学校一の秀才が突然、転校。
能力の向上が望めないからか?
彼の友人だった男子生徒がその謎を追求し、
わかった真実が恐ろしかったぁ~\(◎o◎)/!
後ろ2つも怖いけれど、面白かった。
<黒い方程式>と<三階に止まる>
ちょっと似たような登場人物たち・・・夫婦のやり取りがあるからか?
<黒い方程式>は、トイレ。
<三階に止まる>はエレベーター。
その場面を想像しながら読むと怖い。
特にエレベーターは夜だったら不気味度倍増かも~。
長女が図書館に予約して、その順番が来る前に夏休み終了で下宿先に帰りましたが
ちょうど、今週末、帰省するので、読めるでしょう(^^)
わたしは初読みの作家さんでした。
先に読ませて貰いましたが、なかなか面白かった。
★★★
発行年月:2011年4月
人気映画監督の新作を若手新鋭作家がノベライズ
一番列車がすれ違うとき奇跡が起こる。九州新幹線開通に沸く街で噂を耳にした兄弟は、家族の再生のため奇跡を目撃すべく出発した
(文藝春秋HPより)
大阪で暮らしていた兄弟・航一と龍太郎は、両親の離婚で、離れ離れに。
兄の航一は、母と鹿児島へ。
弟の龍太郎は、父と福岡へ。
別々に暮らしているが、2人ともまたいつか4人で暮らせる日が来ると信じている。
兄弟同士が仲が良く、電話で連絡し合い・・・・
そして、ある日、奇跡を起こす方法を聞いた航一は、弟にそのことを話す。
鹿児島からの『さくら』と博多からの『つばめ』。
2つの一番列車がすれ違うとき、願いを言うと奇跡が起きる。
2人の兄弟は、それぞれの友達と一緒に合流して、その奇跡を起こす現場に向かう。
すごく良い話でした。
大阪弁の兄弟の会話が可愛い♪
勝手に読みながらイメージでちびっ子お笑いコンビの前田兄弟を頭に浮かべていたら・・・
実際の映画で2人が出演していたのには、ビックリ\(◎o◎)/!
ドンピシャな配役だと思う!
映画が見たくなりました。
★★★★
発行年月:2013年8月
命を賭して、ただ1人を想う男女の物語
仇討ちに出た男の帰りを待つ遊女、夫に自害された妻の選ぶ道…身分や武士の矜持、制約の強い時代だからこその一途な愛の物語5篇。
(文藝春秋HPより)
<甚三郎始末記>
<女、ふたり>
<花散らせる風に>
<風を待つ>
<もう一枝あれかし>
5つの話。
どれも切なくて、哀しいかんじ。
印象に残ったのは最初の話<甚三郎始末記>と
最後の<もう一枝あれかし>
<甚三郎始末記>
醜男の尾上甚三郎の密かな想い人・乙江が嫁ぎ、女郎部屋通いで知り合ったお里。
お里から「祭りが見たい」と頼まれ、一時預かり人となり、祭り見物へ。
しかし、途中ではぐれてしまい、気づくと武士たちに連れ去られる姿が遠目に見え
跡を追うが見失う。
お里は祭りの翌朝、変わり果てた姿で見つかる。
お里をそんな姿にした男の顔に覚えがあった。
それは想い人であった乙江の夫だった。
甚三郎の最期が哀しい。
覚悟の死。
<もう一枝あれかし>
花を活けるのが不得手な藤江に夫の笠井紋次郎が言った言葉。
「もう一枝あれかし・・・そういう活け方でよい。おまえのは一分の隙もなく
活けようとするから、花そのものを損なうのだ」
師範代を務めたほどの剣士だった紋次郎。
夫婦で恩人と思い付き合いのあった宗形が切腹したと聞き、驚く。
藩の金二百両が消えた。その責任を取ったと聞き、紋次郎はその本当の罪人を討つ。
紋次郎の最期もまた辛い。
これまた最初の話と同じように自分以外の人の為に覚悟を持って命を賭けた男の姿。
でも、この話は、この後、希望があったのが幸い。
全部、辛いだけの終りじゃなくてホッとした。
★★★★
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;