発行年月:2013年12月
幕末の木曽、薮原宿。才に溢れる父の背中を追いかけ、一人の少女が櫛挽職人を目指す。周囲の無理解や時代の荒波に翻弄されながらも、ひたむきに、まっすぐに生きる姿を描き出す、感動の長編時代小説。
(集英社HPより)
今は、長野県の伝統工芸品となっている、お六櫛。
それを作っていた父親の姿を小さい頃からみて、自分も作りたいと思っていた登瀬が
主人公。
この時代、女性が技を継ぐのは珍しい。
一家の跡継ぎと期待された弟の直助は突然亡くなってしまう。
生前は、櫛を挽くことより、草紙を描きそれで小遣い稼ぎをしていた。
やがて、短い期間、弟子として父・吾助の元に通っていた実幸が現れ
弟子入りを申し出る。
教えたことはすぐ覚え、元から持ち合わせた才能を吾助も認める。
が、登瀬は、自分が父親の技を継ぎたいと思っていた為、内心複雑な心境。
商売のことにも口を出す実幸だが、伝統を守るためにも実入りのある品も
同時に作らねばという考えは正しいのかも。
最初、やや胡散臭いものを感じていたけれど、実幸なりに、伝統を守ることを
考えての事だったと分かったときにはホッとした。
そして、余所の村に嫁入りした妹・喜和の気持ち。
亡くなった直助が残した草紙に描かれたものを読んで知ること。
口には出さないけれど、胸に秘めた想い・・・じ~んと切なく温かい気持ちに
なりました。
登瀬と実幸も最後は、本当の信頼し合える夫婦になれたんだな~と
思える描写でした。
伝統を作り、それを後世に残していくって大変なことですね。
時代背景も絡めながらだったので、どんな時代か想像し易かった。
間違いなく感動作です!!
★★★★★
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発行年月:2013年11月
社内不倫に疲れた30代OL、妻に先立たれた老人、子供に見捨てられた資産家老女、ある一部屋だけを掃除する汚部屋主婦……。片づけ屋・大庭十萬里、物を捨てられない、片づけられない住人たちの前に現れる。この本を読んだら、きっとあなたも部屋を片づけたくなる!
(双葉社HPより)
片づけ屋の大庭十萬里が4件の家庭を片づける話。
<ケース1 清算>
妻子ある上司と不倫関係を続けて5年のOL。
家に帰ると何もする気になれず、自堕落な生活。
<ケース2 木魚堂>
半年前、妻が突然、病死し独り暮らしをしている男性。
娘が毎日、家事をするために通ってくれているが、自身は何もしない。
<ケース3 豪商の館>
資産家の78歳の未亡人。
家の中は片づいているが、台所の棚のなかには大量の買い置きした食品。
冷蔵庫のなかには、作り置きされた食品の数々。
<ケース4 きれいすぎる部屋>
どの部屋も散らかっているのに、ただ1部屋だけきれいに片づけられた部屋がある。
訪ねる家の人たちの生活様式を判断し、何故、片づけられないのか?を十萬里が
判断する。
ただきれいに物を処分すればいいというわけではないというのが、おもしろい。
特に一番最後の話は、印象的だった。
長男を事故で亡くした喪失感が、主婦を何もする気になれない気持ちにさせて
それによって、その家の家族たちまで影響する。
子どもを突然、亡くした親の気持ちもよくわかる話でした。
少しずつ、悲しみを抱えながらも前に進もうと動き出したこの家族の姿が最後に
読めて良かった。
ケース3の話では、年をある程度取ったら、要らないものは、どんどん処分して
後で子どもたちが処分に困ることがないようにしておかなきゃいけないなぁ~と
思った。
いつか使うはず。捨てるほどでもないから取っておこう。
なんていう考え方は改めなきゃいけないな~とちょっと自身の持ち物のことも
考えてしまった。
★★★★
発行年月:2013年10月
横浜・馬車道にある喫茶店「ペガサス」で働く毅志は、二階に探偵事務所を開いた皆藤と山南の仕事を手伝うことに。しかし、付き合いを重ねるうちに、毅志は皆藤と山南に対してある疑問を抱いていく……。
(角川書店HPより)
今までの貫井さんの作品とはちょっと違うかんじ。
事件は起きても殺人とかじゃなくて、人間関係のもつれ?みたいなものが主。
どんな事件も犯人は許せないし、罰されて当然と思います。
探偵2人、皆藤晋と山南涼平コンビもなかなか良い感じ。
毅志が二人に憧れを抱くのもなんとなく理解できました。
探偵の最初の最初は、婦女暴行犯の男に復讐を企てる。
その犯人の男に接触する一番最初の仕事を任された毅志。
どんな風に復讐を?と思ったら・・・・なるほどこういう方法でしたか。
そして、次は、姪を自分が見込んだ男に引き合わせてほしいという依頼。
でも、この姪が実は・・・
そして最初の犯人も皆藤と山南自身が憎む相手だったとは・・・・
探偵二人と親しい女性・淑子は、二人の親友だった今は亡き男の妻だとか。
そして、その娘・芽衣香(小学校入学間近)のことも凄く可愛がっている。
亡き親友との友情の絆を描いた物語ということだったのかな?
いつも暗い事件の背景で重たい話が多かったけれど、こういう少し
カラッと明るい要素もある話もいいかも。
表題の意味も読んだ後なら理解出来ました♪
★★★★
発行年月:2013年11月
少年犯罪の過去を持つ“悪辣弁護士”御子柴礼司が甦った!
岬検事との法廷対決の行方は!?
『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』の続編!!
前作を凌ぐリーガル・サスペンス!
豪腕ながらも、依頼人に高額報酬を要求する“悪辣弁護士”御子柴礼司は、夫殺しの容疑で、懲役十六年の判決を受けた主婦の弁護を突如、希望する。
対する検事は因縁の相手、岬恭平。御子柴は、なぜ主婦の弁護をしたのか? そして第二審の行方は?
(講談社HPより)
御子柴シリーズ第二弾ですね。
少年時代大きな罪を犯した御子柴礼司。
弁護しても何らメリットはないはずの主婦の夫殺しを弁護する。
なぜだろ?最初から疑問でした。
そして、最後にわかった被告人・津田亜季子との関係。
法廷の様子も面白かった。
検事の岬恭平との対決場面がいい!
真相を追うとわかってきた事件の背景にある重苦しい津田家の闇。
ああ、イヤだ。
こういう話、一番キライだ~(;O;)
でも弁護は見事でした!!
しかし、御子柴の過去も晒されてしまった。
弁護士として活躍する姿をまた読みたいのだけど、もうこれが最後なのかなぁ~?
★★★
発行年月:2013年11月
オレゴンの片田舎で出会った老婦人が、禁断の愛を語る「リズ・イェセンスカのゆるされざる新鮮な出会い」。
暮らしている部屋まで知っている彼に、恋人が出来た。ほろ苦い思いを描いた「ラフレシアナ」。
先に逝った妻がレシピ帳に残した言葉が、夫婦の記憶の扉を開く「妻が椎茸だったころ」。
卒業旅行で訪れた温泉宿で出会った奇妙な男「蔵篠猿宿パラサイト」。
一人暮らしで亡くなった叔母の家を訪ねてきた、甥みたいなものだという男が語る意外な話「ハクビシンを飼う」。
「人」への執着、「花」への妄想、「石」への煩悩……
ちょっと怖くて愛おしい五つの『偏愛』短篇集。
(講談社HPより)
5つの短篇。
どれも良かったぁ~。
特に面白く思ったのは
<ラフレシアナ>と表題作の<妻が椎茸だったころ>
<ラフレシアナ>
友人に紹介された立原一郎は、変人。
その立原に恋人が出来たと聞き、驚く主人公。
大して親しくもないのに、家が近所だからか、知り合いがほかに居ないからか
2週間留守にする間、部屋のなかの植物「ラフレシアナ」の水遣りを毎日お願いしたいと言われ
世話をしたことがある。
食虫植物で、なんとも奇妙な容姿のその植物。
主人公の女性、優しいな。断りきれずに、大した手間でもないと頼みを引き受けてあげて・・・。
でも同じような状況なら、興味本位で留守中なら水遣りくらいならやってもいいかな。
立原の恋人・・・え?なんだか怖い。
<妻が椎茸だったころ>
55歳で突然、亡くなった妻。
退職後2日のことだった。
妻が予約していたなかなか予約が取れない料理教室に代わりに行ってと
娘に言われ、仕方なく行くことにするが・・・
持ち物は、甘辛く煮た椎茸。困惑し、妻のレシピ集を探す夫。
そして見つけた「椎茸」の文字。
なるほどね・・・。
代わった表題だと思ったら、こういうことでしたかぁ~。
食材のルーツを頭に浮かべながら調理をしたことはなかったなぁ~。
この奥さん、凄くお料理作るの楽しんでいたんでしょうね~。
そして、そんな奥さんの気持ちを理解できる、ご主人も良いな~。
なんだか温かい気持ちになれました。
ほかの3編も変わった話で、SFぽかったり、ミステリーぽかったり
どれも面白い物語でした!!
★★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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