忍者ブログ
読んだ本の感想あれこれ。
[312]  [313]  [314]  [315]  [316]  [317]  [318]  [319]  [320]  [321]  [322



発行年月:2014年4月


 17歳の少女が自ら警察に保護を求めてきた。その背景を探る刑事に鑑識から報告が入る。少女が生活していたマンションの浴室から、大量の血痕が見つかったのだった。やがて、同じ部屋で暮らしていた女も警察に保護される。2人は事情聴取に応じるが、その内容は食い違う。――圧倒的な描写力で描く事件は、小説でしか説明する術をもたない。著者の新しいステージを告げる衝撃作!

                       (双葉社HPより)




実際に北九州で起きた監禁殺人事件を基に書かれた物語だそうです。
監禁した人間を虐待するシーンは気持ち悪くて飛ばし読みしました^^;

物語の最初は、ごく普通の同棲中の男女の描写。
横内辰吾29歳と小倉聖子24歳のカップルの元に聖子の実父という男がやってきて
居候生活が続く。
謎なかんじのその男・中本三郎。

辰吾と聖子と三郎の生活と並行して語られる、事件が監禁事件。
監禁先から脱出して警察に助けを求めた17歳の少女・香田麻耶。
監禁事件の真相が明かされていく。

中本三郎とその事件の関わりは後半、徐々に明かされる。

が・・・事件の本当の張本人とされる梅木ヨシオ(タケイ?)は最後まで登場せず
なんだかよくわからないままに終わった感じ。


ただただグロテスクなお話だったなぁ~。
こんな事件が実際に起きたのだとしたら・・・なんて恐ろしい!

一気読みしたので、面白くないわけじゃないけれど・・・
う~ん。正直、好きじゃないな。


                       ★★★
PR



発行年月:2014年9月


 仕事に生きてきた洋美と専業主婦のリラは、乳児の予防接種会場で再会した。同級生だった彼女がまさか自分と同じ時期に同学年の男の子を産んでいたなんて。頼もしいママ友ができたと好ましく思っていたが、こども同士の諍いをきっかけに、悩み苦しみ傷つき葛藤する。やられるばかりの息子が歯がゆい、乱暴な息子を愛せない。女たちの心の叫びを描く、著者会心の書下ろし長編。

                     (光文社HPより)




2008年の初夏、中高で同級生だったリラと洋美は、子どもの予防接種会場で
偶然、再会する。
子どもが同学年で同じ男の子ということもあり、子ども連れで会うことが多くなるが
子どもが成長すると、その関わりにお互いが悩む。
体が大きくて乱暴な洋美の子ども・敏光と
体が小柄で優しい性格の光鳥(らいと)。
やがて同じ幼稚園に入園し、光鳥が敏光から怪我をさせられる。
子ども同士のことだからと大事にしなかったリラだが、ほかの保護者たちからも
敏光は乱暴で困っていると言うことを聞き、我慢していた気持ちが一挙に
敏光を園から追放する動きに加担することになり・・・・



子ども絡みのこういう問題は大なり小なり何処にもあること。
特に男の子の場合は、多いかも。
そんな子育て時代を大きなトラブルなく過ぎてきた、わたしは幸運だった!と
この物語を読んで思った。
自分の子どもが敏光のようだったら・・・・
想像しただけで苦しくなる。
洋美はよく耐えたなぁ~。
読みながら、敏光に対して虐待なんて展開だけは嫌だ!と思っていたが
そうならなかったことにホッとした。
時々見せる子どもらしい表情やしぐさにも気づいていたから
良い母親なんでしょう。

段々と子どもたちが大きくなっていく過程で、少しずつ落ち着いていく様子も
見られたのは、同じような子どもを持つ親が読んでも救われたかな?

一旦はこじれた洋美とリラの関係も、最後は少し修復のかんじなのも
読後感としては良く、ホッとした。


                           ★★★



発行年月:1960年9月

コンプレックス。挫折。美。23歳の男は、なぜ金閣を炎上させたか。

一九五〇年七月一日、「国宝・金閣寺焼失。放火犯人は寺の青年僧」という衝撃のニュースが世人の耳目を驚かせた。この事件の陰に潜められた若い学僧の悩み――ハンディを背負った宿命の子の、生への消しがたい呪いと、それゆえに金閣の美の魔力に魂を奪われ、ついには幻想と心中するにいたった悲劇……。31歳の鬼才三島が全青春の決算として告白体の名文に綴った不朽の金字塔。

                        (新潮文庫HPより)




先に読んだ次女が「読むべき!」と言ったので・・・
今まで恥ずかしながら三島由紀夫は読んだことがなかったのですが読んでみました!

そして・・・・その文章力に感動!!
日本語って、こんなに素晴らしいんだ!
人の気持ちとか、目に見えないものをこんな風に表現できる人だとは知らなかった!!



物語は、1950年7月2日に起きた金閣寺放火事件が基。
犯人の青年の告白文という形で描かれている物語です。

主人公・溝口がその美しさに魅了されていた金閣寺を焼失させようと決心する
までの心の変化が丁寧に描かれている。
大学で知り合った、柏木との関わりも物語の中では重要な転機となっていた。
柏木は強度の内飜足(内反足?)。
溝口は、彼の不具が私を安心させたと語り、声を掛けるが、そんな心のうちを見事に
言い当てられ逆に「吃音をそんなに大事に思っているのか」と侮蔑される。

柏木の鋭い物の捉え方は、読んでいて「おぉ~!」と感心することが多かった。
この考え方は、著者の物の考え方に通じるものがあるんじゃないかな?
なんて想像もした。



溝口は金閣寺をどうして焼いたのか?

魅了されてはいても、終戦間際には、空襲で焼けてなくなることを想像し喜々としていたり
どこか破滅願望的なものを感じた。
なくなってしまったことで、より強く残る、そのものに対する意識。
幼い頃、恋心を抱いた有為子の死。初めて自分に優しく接してくれた鶴川の死。
そして、父・・・・亡くなった後でも何度も溝口は思い出す。

 そして、見知らぬ人の言葉から老師の金銭感覚やその他のことでも違和感を感じる。
そして、柏木に借金して出奔したあとから老師との関係が冷え込むが
金閣寺の僧侶になることを期待している母親の父が死んでからの行動にも
何か自分勝手さを感じる。


幻想のなかの金閣寺をそのまま留めるには、現実の金閣寺は要らない?
金閣寺が存在するから、自分は不自由。


いろいろな考えがあっての結論が燃やす(ないものにする)ことだったんでしょうか?
なんとも切ない話です。
溝口が寺の子どもに生まれなかったら?
吃音じゃなかったら?別の生き方が出来たんでしょうね・・・・。



物語の最後、主人公は生きることを選んだかんじだったが、実際の犯人は
ウィキペディアで調べたら・・・自殺を図りながらも命は助かったんですね・・・。

同じ事件を扱った、水上勉の「五番町夕霧楼」「金閣炎上」も読んでみたくなった。


いや~しかし、衝撃的な話で、三島由紀夫の文章に魅了されました!!


                          ★★★★★



発行年月:2011年3月


 猫と暮らし始めたことで、会社や同僚に対する感情に変化が訪れたOL。
雑種を飼うことにしたブランド至上主義の出戻り女性――
しっぽを持つ生き物と出会い、向き合うことで見えてくる日常を描いた短編小説集。

                     (角川書店HPより)




しっぽを持つ動物たちとの関わりを描いた短編集。

わたしは猫派なので、やはり猫が出てくるお話は読んでいるだけで癒された♪

最初の「ネコのトラタロウくん」からニヤニヤ。
拾った仔猫を飼ってくれる人を探すけれど、見つからず・・・・
自分で飼おう!と決めたOLのサエコ。
猫が家で待っていると思うだけで、ウキウキ気分で帰宅する毎日に
変わるんだろうなぁ~。
愚痴を言っても、何も返事するわけじゃないけれど、
ただ居てくれるだけで、癒されちゃう猫の存在。
サエコの今後はきっと明るいでしょう♪



可哀想だったのが、「しっぽちゃんがほしい」。
動物が大好きなのに、奥さんが動物嫌いで、犬や猫を飼いたいのに
その夢が叶う日は訪れないでしょうという男性の話。
でも運よく、動物好きの後輩家庭に遊びに行けるようになって
良かった良かった(^^)


どの話も良かった♪

群さんの本は動物が出てくる物が多いけれど、群さん自身は猫派かな?
他の猫が出てくる本ももっと読んでみよう!


                             ★★★




発行年月:2014年1月

東京での過酷な仕事を辞め、故郷の新潟で深夜バスの運転手をしている利一。
ある夜、彼が運転するバスに乗ってきたのは、十六年前に別れた妻だった――。

父親と同じく、東京での仕事を辞めて実家に戻ってきた長男の怜司。
実現しそうな夢と、結婚の間で揺れる長女の彩菜。
そして、再婚した夫の浮気と身体の不調に悩む元妻、美雪。

突然の離婚で一度ばらばらになった家族は、
今、それぞれが問題を抱えて故郷に集まってくる。
全員がもう一度前に進むために、利一はどうすればいいのか。

家族の再生と再出発をおだやかな筆致で描く、伊吹有喜の新たな代表作!

                    (文藝春秋HPより)




離婚して16年の夫婦。

妻・美雪は、新たな家庭を持ち、子どももいる。

夫の利一は、東京と新潟を結ぶ定期高速バスの運転手。
夜間走行のときもあり、東京まで走ったときには、古井志穂の営む居酒屋へ行き
そこで休養するのが常。

そして、16年ぶりにバスに乗って来た美雪と会う。
実家の父が入院していて、家が空き家になっているため、時々、帰って
家の手入れやら父親の様子を見に言っているという。
思言わぬ再会から、ちょくちょく会うことになる。
美雪と利一は、高校の先輩後輩の関係だった。


それから東京で就職していた長男の怜司が何やら問題を抱えたふうで実家に戻ってくる。
何か精神的にも追い詰められている風だが、細かいことを聞き出せない利一。

長女の彩菜は東京でほかの友達2人と何やらイベントのようなものを催して
人気を得ているという。

それぞれの思いを抱えて一か所に集まった者たちが、自分のなかに抱えているものを
掃出し、また別々の場所で生きていくために進む・・・・そんなお話。

利一と志穂の関係が美雪の登場によって、壊れたのは、残念だった。
誤解があったとちゃんと説明するべきなのに・・・
利一のなんか、優柔不断な態度は女性としては、許せないな~。

ラスト、こちらの関係は、修復の余地ありかな?というかんじでしたが
志穂がこのままじゃ可哀想ですからね~



話がややグチャグチャしたけれど、まあまあ面白かったかな?


                        


                          ★★★
 
カレンダー
05 2025/06 07
S M T W T F S
1 2 3 5 6 7
8 10 13 14
15 16 17 20 21
22 24 26 27 28
29 30
メ-タ-
kyokoさんの読書メーター
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[09/20 kyoko]
[05/23 のぶ]
[09/15 kyoko]
[09/14 ひろ]
[03/06 kyoko]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
kyoko
HP:
性別:
女性
自己紹介:
台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;

バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター
フリーエリア

Copyright (c)本を片手に・・・ All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog  image by Night on the Planet  Template by tsukika

忍者ブログ [PR]