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読んだ本の感想あれこれ。
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20010009784569804309_1.jpg   発行年月:2012年5月


   
天領である豊後日田(大分県日田市)で、私塾・咸宜園を主宰する広瀬淡窓(儒学者・詩人)と家業を継いだ弟・久兵衛の物語。入門にあたり年齢・学歴・身分を問わない淡窓の教育方針は当時としては画期的。全国から入門希望者が集まったが、お上にとっては危険な存在で、西国郡代からのいやがらせが続く。一方、掛屋を営む弟の久兵衛も、公共工事を請け負わされ、民の反発をかって苦境に陥っていた。

 そんな折、大塩平八郎の乱に加わった元塾生が淡窓のもとに逃げてくる。お上に叛旗を翻した乱に加わった弟子に対し、淡窓はどんな決断を下すのか。また久兵衛は難局を乗り切ることができるのか。

 本書は、直木賞作家である著者がデビュー以来、温めてきた題材。手を携えて困難に立ち向かいながらも清冽な生き方を貫こうとする広瀬兄弟の姿を通し、「長い雨が降り続いて心が折れそうになっても決して諦めてはいけない」というメッセージが切々と胸に迫る歴史小説。


                                          (PHP研究所HPより)


今回の物語も感動しました!!
葉室さんの物語の主人公達って、人として、正しく生きるとはこういう事なんだ!と思わせてくれる人物ばかり。

広瀬淡窓と久兵衛、兄弟のそれぞれが、自分の与えられた場所で、常に正しいと思うことを己の信念に基づいて行っている姿に感動する。

淡窓は、私塾<咸宜園>を主宰して、門下生たちに慕われている。
塾の評判は高く、それを己の功績としたい郡代の塩谷大四郎から何かと干渉されている。

そして久兵衛は兄の淡窓に代わり、家業の博多屋(日田代官所出入りの御用達商人として財をなしてきた)を継いでいる。そしてやはり塩谷大四郎からは、何かと無理難題を言いつけられ、筑前海岸の神殿開発には莫大な費用とに人夫を投じてやり遂げた。成功すれば自分の手柄とし、失敗すれば責任を押し付けるやり方に、兄弟そろって悩まされている。

兄弟が、それぞれに尊敬し合いよき理解者となり、窮地を乗り越えている様子がいい。

次々に悩みの種が舞い込むが、次はどう切り抜ける?と楽しみになるほどだった。

淡窓の妻・ななと久兵衛の妻・りょうも奥ゆかしいかんじでよかった。
久兵衛の思い出の人に似ている、千世とのことでは、本心では心穏やかでいられないような時もあっただろうけど、騒がず静かに成り行きを見守ってるかんじには、いじらしさを感じた。


昔、社会科で習った、天保の大飢饉と大塩平八郎の乱なども物語に登場し、こういう時代背景での物語りだったんだ~と思い、昔、習ったことを改めて学習したかんじ。

大塩平八郎も淡窓と同じ儒学者で、飢饉に苦しむ民の暮らしを何とかしなくてはと思う気持ちは同じだった。
けれど、大塩は、過激な手段を使ったことにより自滅したかたちになってしまった。

二人の対照的な顛末もなかなか興味深かった。


表題の「霖雨」とは、何日も降り続く雨の意味らしい。
兄弟の会話のなかで印象的だった言葉を記しておこう。


たとえ霖雨の中にあろうとも進むべき道を誤ってはならない

ひとを潤す慈雨となる生き方をしなければならない




葉室さんの物語を読んでいると心が綺麗になる気がします。


★★★★★
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ひろさんへ
講演会の様子を詳しく教えてくださり、ありがとうございますm(__)m。
葉室さんは、写真でしか拝見したことがないのですが・・・想像しているかんじと違う部分があるようですね~。
お堅い感じの方を想像していたのですが、なんともチャ-ミング♪
AKBの「たかみな」が好きなんて^m^
そして大学ではフランス語専攻だったんですね~!
サルトルとボ-ヴォワ-ルに憧れていた?
すごく意外ですが、そのうち二人の物語なんて書いて欲しいですね~
まだまだ書きたい題材はたくさん、ありそうですね。
本当に今後の作品も楽しみです
kyoko 2012/07/02(Mon)13:50:05 編集
葉室麟 講演会
無理やり用事を作って博多行きを決行、真の目的は葉室さんの講演を聴くためで早々に用を済ますと西南学院大学へタクシーを飛ばす。運転手さんから地元の名門校でOBには元チューリップの歌手財津和夫や歌手のミーシャがいるなど強制的に教わりました。下車するとキャンパスは松の巨木が林立しており会場のチャペルはすぐに分かった。一歩足を踏み入れると正面に巨大なパイプオルガン(さすがミッションスクール)が鎮座し今話題の直木賞作家をひと目みようと若人より中高年(特に婦人)で溢れていました。葉室さんも母校での講演とあって終始リラクッスした様子で出版での裏話や学生時代の思い出など話されました。学生時代は俳句部に所属されていたそうで、どうりで作品の中に「俳句」「短歌」「漢詩」などが多用されているわけでこの事について「日本文化の中心に俳句や短歌があり先人の生の証言がある。自分の作品にこれらを引用するのは彼らの思いを伝えたいから」と話され、現役学生の後輩に対しては「初めから成功ということは思わない方がいい。失敗も織り込んだ人生で、自分自身を保ち人生を歩んで欲しい」とエール送り、日本社会は現在いろんな危機に遭遇しているがこのような時こそ日本人はしなやかに生きる力を持っているとも語られました。
葉室さんには驚かされます。5年ほど前「銀漢の賦」が出た頃に「時代小説 期待の新星 葉室麟」という紹介記事を見てさぞや着物姿の小粋なお姐さんを想像したら人の良さそうなオジさん登場にビックリ。大学は国文科ではなく時代小説とは全く無縁と思えるフランス語専攻でサルトルやボーヴォワールに憧れていたと聞いてビックリ。最近ではAKB48の「たかみな」が好きとニックネームで名指しされまたまたビックリ。
近々、「博多」を舞台にした新刊が出版されるそうで、秋、年末、来年早々と出版計画があるそうです。歴史を掘り起こし、勝者でなくとも誇り高く生き抜いた人を描く「葉室麟」なる人物には驚きの「感動」が埋蔵されているようです。楽しみです。以上報告終わります。
ひろ 2012/07/02(Mon)11:27:41 編集
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