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読んだ本の感想あれこれ。
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8a13edc8.jpg   発行年月:2007年9月


   オール讀物新人賞受賞。異彩を放つ6つの短篇!

   哲彦が疎開先で出会った喬史の顔の左半分を覆う黒痣。
   村人たちはスナメリの祟りと忌み嫌うが、
   喬史の左目にはそれ以上の秘密が……

                            (文藝春秋HPより)


最近、気になる作家さんの一人、乾さんのデビュ-作を読んでみました。
6編からなる短編集。

表題作の「夏光」は、一番最初。
時代は戦争末期の昭和20年。
伯母の家に疎開している哲彦が顔に痣のある喬史との友情を結ぶ物語。
皆と違うものを排除しようとする人間の無情な言葉や態度がとても嫌なかんじでしたが
二人の少年のお互いを思いやる気持ちには温かいものを感じ、ラストは
この先にある希望のようなものを感じた。


「夜鷹の朝」は、誰からも気づかれず孤独に耐えるように屋敷で暮らす少女が哀れだった。
一時でも少女に気づいて接した青年の存在が少女には、きっと救いだったでしょう。

「百焔」は美しく優しい妹に嫉妬する姉の企て。
でも、そんな姉さえも最後まで慕う妹の気持ちに姉も心を動かされる。
姉妹が今後は支え合って生きていくのかな?

「は」は、完全にホラ-です!
ちょっとこの6編のなかでは異色的。
怖い展開になっていくぞと思いつつも先が知りたくて、予測がつくけどそれが予測どおりだと驚いて・・・。金魚飼ってる人は怖いかも~。

「Out of This World」は、切ない話でした。
マジシャンの父を持つタクは東京から転校してきた。
そしてマコトと仲良しになる。
タクの体には無数の傷があるが、父と新しいマジックを練習しているから出来るというタク。
他人から見たら逃げてもいいんじゃない?という状況なのに、こどもにとっては側にいるのが当然の父親なんだ。なんだか切なくなった(/_;)

「風、檸檬、冬の終わり」はタイトルからすると綺麗だけど・・・・
話は重たくて暗くて嫌な話でした。
でもそんななかにも少し希望があるのが、この著者の作品の良さかな?
暗くジメジメした話のなかでの「檸檬の香り」がすごく活きている!!


どの短編も読み終えると余韻が残るかんじで、これが「夏光」で賞を取り最初の単行本かと思うと
その質の高さに驚く!
いや~参った!


表紙写真のインパクトも凄いけど、内容は負けてないインパクトでした!

★★★★★
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