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発行年月:2021年2月


大学の同級生の二人の女性は一緒に住み、そして、一緒に飛び降りた――。
いま、「三面記事」から「物語」がはじまる。
きっかけは「私」が小説家としてデビューした頃に遡る。それは、ごくごく短い記事だった。
一緒に暮らしていた女性二人が橋から飛び降りて、自殺をしたというものである。
様々な「なぜ」が「私」の脳裏を駆け巡る。しかし当時、「私」は記事を切り取っておかなかった。そしてその記事は、「私」の中でずっと「棘」として刺さったままとなっていた。
ある日「私」は、担当編集者から一枚のプリントを渡される。「見つかりました」――彼が差し出してきたのは、一九九四年九月二十五日(朝刊)の新聞記事のコピー。ずっと記憶の中にだけあった記事……記号の二人。
次第に「私の日常」は、二人の女性の「人生」に侵食されていく。
新たなる恩田陸ワールド、開幕!

                 (河出書房新社HPより)




小説家のわたしは、20代後半でまだ小説家になりたての頃、女性二人が
投身自殺をしたという記事読みを、それがずっと体のどこかに刺さった棘のように
忘れられなかった。


物語は、小説家の「私」が、この記事の二人のことを頭に置いて書いた小説の
舞台化が決まり、その主役のオーディション見学、そして出来合った舞台の
鑑賞までの時間を描き、その途中に、亡くなった二人の女性の暮らしぶり
小説家の「私」の日常などを交えながら進む。



この小説家は恩田さん自身?こういう風に事実からヒントを得て
物語を作っていくのかな?など、なかなか興味深かった。



亡くなった2人は、大学の同級生で、亡くなったとき44歳と45歳。
Mは独身でTは、結婚して離婚。子どもはなし。
離婚後、かなり長い間、会っていなかったが、離婚した方が連絡をして
再会し、一緒に住むことになった。


女性2人の暮らしは、なかなか楽しそうだけれど、段々と年を経ていくなかで
色々な感情が沸いてくる。
ある日、在宅の仕事をしているTが揚げ物を夕飯のおかずに作り、
固めるテンプルがないことに絶望し帰ってきたMに「疲れた」と言う。


この場面は、女性でないとわからない。
Tの絶望が理解できてしまった。
きっと男性だったり、若い人だったら、わからないと思う。



こういうことをちゃんと物語に出来る恩田さんは、やはり凄いなと
改めて思った。



                       ★★★★★
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