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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2019年11月


ハリウッド俳優Bの泊まった部屋からは決まって1冊本が抜き去られていた――。
客室係の「私」だけが秘密を知る表題作など、
著者ならではの静謐で豊かな物語世界が広がる、珠玉の短篇6本。

               (河出書房新社HPより)


表題作<約束された移動>は1番目。
今は、映画界から姿を消した、ハリウッド俳優だったBについて。
彼の生い立ちが語られ・・・
彼がまだ若手俳優の時からホテル滞在中に客室係で働いていた「私」。
彼が1冊づつ本を持って行くのに気づくが、ほかに知られないように
取り繕う。そして、次は何を持って行くか、予想したりして楽しむ。

彼が持ち去る本に共通しているのは、誰かがどこかに移動してゆくお話。


<ダイアナとバーバラ>
ダイアナ妃が着ていた服を忠実に再現しているバーバラ。
以前は、市民病院の1Fロビーで案内係をしていた。
口癖は「わかります、わかりますよ」。

孫娘がダイアナ仕様の服の着付けを手伝い、一緒にショッピングモールまで
外出。そこのフードコートで休憩がお決まり。
バーバラの恰好は奇妙で、通り過ぎる人は、見て見ぬふり。

これ、最後のオチがいい。
少年と孫娘、友達になれそう・・・^m^



<元迷子係の黒目>
ママの大叔父さんのお嫁さんの弟が養子に行った先の末の妹(通称・末の妹)
と「私」。
末の妹は、退職まで勤めていたデパートの迷子係として能力を発揮していた。

遠い親戚として「私」の家の隣に住む彼女。
グッピーの産卵の時に大仕事をやってのけた末の妹。
でも、その後、熱帯魚を全て死なせてしまった「私」。

デパートで迷子の体験をする「私」。迎えに来る役は末の妹。


二人の関係がなんだか、ほのぼのしていて良かった。



<寄生>
彼女にプロポーズをすると決めて目的のレストランに向かう途中に
見知らぬ老女につかまってしまう。
どうしても離れてくれないので交番へ。


寄生というタイトルから、もっと不穏なものを想像してしまったけど
おばあさんを迎えにきてくれる人が見つかってホッとした。
そしてポロポーズはたぶん、成功ですね。
素敵なカップルのなれそめも面白く、微笑ましい話。



<黒子羊はどこへ>
貿易船が座礁し、多くの漂流物が流れ着き、そのなかに白い2匹の羊。
以前は、家畜を飼っていたが夫が亡くなりすべて処分した女性がその2匹を
連れ帰り、育てる。
春、毛を刈ろうとしたら、赤ちゃんが生まれていた。
なぜか黒い羊。
村人たちは、不吉の予兆と噂するが、子どもたちには人気で、羊を見にやってくる。
やがて、そこは託児所になり、村人たちは「子羊の園」と呼ぶ。

女性(園長)の話す、黒羊の死に方の物語は、少し残酷だけど子どもたちには
一番人気。


これは、最後、ちょっと哀しかったなぁ~。


最後は<巨人の接待>
巨人と言っても言葉通りの巨人じゃなかった。
なぜ、巨人と呼ばれているのか??
世界的に有名な作家だけど、生まれ育った地域語しか話さず、その通訳係に
呼ばれた「私」。

ほかの誰もが二人の会話を知れないって、なんだかおもしろい。
巨人と「私」の意気投合ぶりが愉快だった。



どの話も、それぞれ面白い!
言葉のセンスはやはりさすが。

懐かしいと思ったり、哀しく感じたり、切なくなったり、可笑しかったり
ほんわかしたり、いろいろな感情を読み手に届けてくれる。

本の装丁も、毎回、素敵です!!
いうことなしの短編集!!


                    ★★★★★




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