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読んだ本の感想あれこれ。
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51JH6vN8VWL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2012年2月

20歳の大学生・若松麻紀は、眠れない時や寂しい時、兄さんのベッドに潜り込む。婚約者の話を聞いたのも、ベッドの中だった。兄と妹。夫と妻。親と子。固く結ばれた絆の裏には、淫靡で怖い秘密がある……。


                     (幻冬舎HPより)



若松家の家族の物語。
父親は和菓子店を営み、母親と、父の知り合いの女性が手伝う。
若松家の子どもは長男・和俊(25歳)と長女・麻紀(20歳)。
長男が結婚の約束をした人を家に連れてくるというところから、物語が始まる。


4人家族のそれぞれが、語り手となって4つの章から構成されている。

最初は、「大福御殿」長女・麻紀の話
兄のことが大好きで、結婚を決めたことに動揺する。
二人は、本当に仲良しの兄妹で、眠れないときには兄のベッドにもぐりこんで眠るほど。
麻紀には、2つ年下の高校生の彼がいる。

二番目の話は長男・和俊の語る「愛が生まれた日」
婚約者の富子との出会い。結婚を決めるまでのこと。
家族に富子を紹介したが、驚く両親。
そして妹の麻紀は、婚約者の富子を受け入れられないと言う。

三番目の話「お父さんの星」は家族の主・宏治郎が語る。
店の手伝いをしている弓子との関係が明かされる。

四番目の話「旧花嫁」では、宏治郎の妻・さおりの語り。
宏治郎と知り合う前のさおりの話。
洋菓子屋を営む家に生まれたお嬢様育ちのさおり。
親がお膳立てしたお見合いで知り合った男のこと。
ビックリな真実があれこれ。


普通の仲良し家族だと思ったら・・・・結構、いろいろな暴露話が飛び出して・・・・
この後の若松家は、どうなる??
先が気になってしまうお話でした。

最後のはなしは、嫁にあたる富子に対してさおりが告げることば。
いろいろ過去はあっても、家族は段々に成立していくということだろうか?

なかなか面白く読みました。



 

★★★★

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516A-H-R9pL__SL500_AA300_.jpg発行年月:2011年11月

たったひとつの家族だからこそ、打ち明けられない「秘密」がある----
少女から大人へと移ろう三姉妹それぞれの恋と運命を描いた最新長篇。

読売新聞好評連載、待望の書籍化


                        (中央公論新社HPより)



長女の灯子、次女の悠、三女の花映、それぞれの日常を描きつつでしたが、長女・灯子が主になっていたかな?
祖父の代から続く、湖畔のおみやげ物屋<風弓亭>をほかで仕事務めをする父親に代わって管理している灯子。
しっかり者だけど、心に抱えた重たいものがあり、女優志望で恋人と共に東京に出て行く悠や将来は美容師になるため、早くここから他の地に行きたいのだという花映を表面上は応援しつつも、心の中では、自分はここから逃れないのだと鬱々としているかんじ。

そんな灯子にどうにかして恋人をと、あれこれ世話を焼く友人・清の思いは実らず・・・・。

灯子のそんなウジウジしたような性格は、何か原因があるのかな?と思いながら読んでいたので、それがわかるような過去の話には、ビックリ!
そんなショッキングなことがあったのですね・・・・。

そして突如現われた、東京から来た青年・橋本辰生。
この場所が気に入ったと、風弓亭近くのホテル従業員として働くことになり、この青年は何者!?と思っていたら、なんと三姉妹に深い関係がある人だった!


終盤は、急展開で、読むスピ-ドが更に早くなり、最初から最後まで一気読みでした!

灯子の抱えていた重いものが、少し放たれたようなラストは、明るい終わり方で良かった。



 
★★★★

 
9baae11d.jpg発行年月:2011年3月


恋は理不尽。恋は不条理。
鮎太朗(主人公)には気の毒だけど、美男な彼の女難は最高に面白くって、恋愛文学の“型破り”な傑作が生まれました。

大学2年の繊細美男子、鮎太朗。美人で怖い姉3人。女たちはみな彼に恋をする。けれどいつも鮎太朗が振られてしまう。何もしていないのに包丁で刺されたり、貢がされたりする。彼を慕い続ける可愛い同級生には、どうしても心が惹かれない----。
恋は理不尽。恋は不条理。
だけど、ひなたを走りたくなるくらいあったかい気持ちになるのは、何故なのだ?


                                          (講談社HPより)

結構、悲惨な目に遭う鮎太朗なのに、なぜか笑える。
鮎太朗自身に悲壮感が全くないからかなぁ~。
美男で優しくて・・・3人の姉の末っ子として生まれたせいなのか?
男らしさは全くない。
そして・・・呆れるくらいのお人好し。
付き合う女性がたまたま良くなかっただけか?

3人のお姉さんたちも個性的で愉快でした!

唯一、まともそうな女の子・テンテンが鮎太朗を好きなのに、なかなか想いは通じずで
テンテンがんばれ~!!と応援しながら読んでました。
この後、どうなるかなぁ~?なんて気になるところで物語は終わったけれど、鮎太朗にどうか楽しい恋愛を体験させてあげて~(笑)。

付き合った女性陣は、それぞれちょっと鮎太朗には酷いことをしちゃうんだけど、なんだか憎めない。
鮎太朗自身も恨んでないけど、みんなそれぞれ悪い人ではないんでしょう。
別れたあとも、鮎太朗の幸せは願っていたようだから・・・・。
それが救いかな?

なかなか面白い恋愛小説でした!

★★★
 
8fabb4cc.jpg発行年月:2005年11月


大学を辞め、時に取り残されたような喫茶店で働く私。向かいの部屋の窓の中を覗くことが日課の私は、やがて夜の街を徘徊するようになり……。
ゆるやかな官能を奏でる第42回文藝賞受賞作。


                       (河出書房新社HPより)


好きな作家さんの一人、青山七恵さん。
図書館の棚を見ていて、ふと目に留まり、借りました。

この作品は大学在籍中に書かれ、文藝賞受賞し、作家デビュ-となったそう。

プロになれるかどうか?というときに書かれた作品なわけですが・・・
もうプロの作家さんの文章だと、わたしは思いました!

主人公の小森まりもは、飲み屋街にある店の二階に住み込みで働いている。
オ-ナ-は美しい女性・ミカド姉さん。
ミカド姉さんも店の二階、まりもの隣の部屋で寝起きしている。

まりもは自分の部屋から見える向かいのアパ-トの住人の様子を覗き見する習慣がある。
レ-スのカ-テンごしに見えるシルエットだけだったり・・・。
そして、夜の散歩でも窓ごしに見える人たちの暮らしを凝視する。
変わっている習慣だけど、犯罪に及ぶほどのものでもない。
覗き見る人々の様子は、その様子が頭に情景として浮かんでくるような描き方で、まりもと一緒に並んで見ている様な不思議な感覚でした。


物語の内容としては、大したものではないのですが、不思議な魅力がありました。
センスある人にしか書けない物語でしょう。

青山さんは、この文藝賞のあと作家活動に入り
2007年「ひとり日和」で第136回芥川賞
2009年「かけら」では最年少で川端康成賞を受賞。

まだまだ、今後も良い作品を沢山、提供してくれそうで、楽しみです♪
読んでいない作品も順番に読んでいこう!

★★★★
 
31b8f197.jpg   発行年月:2010年9月


   いつもと同じ日々の中、忘れたくない光がある

   美しかったり、謎めいていたりする、私の隣の人々。
   芥川賞作家にして史上最年少の川端賞作家による
   「これぞ小説」な味わいの6篇

                                                    (文藝春秋HPより)


どの話にも別れがあるけど、恋人や家族とかの大袈裟な別れではない。
主人公たちが日常のなかで、ちょっと接点を持った人たちとの話でした。

こういうなんでもない日常の一こまのようなものをちゃんと文章にして読ませる事が出来る作家さんは好きだ!

6つの話どれもよかった。

「新しいビルディング」
入社して3ヶ月のマミコ。同じ部屋で毎日一緒に働くフジワラさんが妊娠し近く退職するという。
毎日近い距離で過ごしているフジワラさんとは殆ど話しをしないで過ごしている。


「お上手」
靴が壊れてしまい、思い出した地下広場の一角にある靴の修理屋に寄る万梨子。
後輩が買ったばかりの靴のヒ-ルに傷が付いたというので、その修理屋のことを話す。
早速行った後輩からその店員のことを「万梨子さんの好きそうな人」という。


「うちの娘」
大学の学食で働く雪子。
毎日同じような時間に来て、必ずわかめうどんを注文する女子学生が気になる。
結婚前妄想好きだった雪子は、女子学生を追いながらあれこれ妄想して楽しむ。


「ニカウさんの近況」
突然、届いた二飼という男性からの退職を知らせるメ-ル。
全然、心当たりのない二飼という人物だが、あえて返信することはせずにいる。
その後は転職先が決まったという報告メ-ル。


「役立たず」
配送ドライバ-の阿久津。
数々の女性と交際したが、途中でその女性といることに苦痛を感じてしまう。
結婚まで考えた理沙も荷物をまとめて部屋を出て行く。
そして、学生時代ちょっと気になっていた弥生から久しぶりに連絡が来る。


「ファビアンの家の思い出」
15年前の夏、イギリスに留学中の友人・卓郎からスイスに住む友人宅に行くが一緒に行かないか?と誘われジュネ-ブの空港で待ち合わせる。
卓郎の友人はナディア。彼女が連れて行ってくれた家はファビアンという知り合いの家を仮住まいさせてもらっているという。
卓郎の友人宅で2泊させて貰うが、その間、食事に出たチ-ズでお腹を壊してしまう。
吐き気と腹痛が時々、襲うが家の居心地はよく友人宅の人たちにも良くしてもらう。
今もスイスで知り合ったナディアとは文通を続けている。



一番面白いなと思ったのは
「うちの娘」かな?
勝手に一人の女子学生を自分の娘だと仮定してあれこれ思う女性。
付き合ってる男性が気に入らなくてヤキモキしたり・・・
着ている服が似合ってないなぁ~と思ったり・・・
でもある日、とうとう付き合ってる男性に言ってしまった!
ま、その後どうなったかは語られてないんだけど。


ほかの話もそれぞれ楽しめました。
すぐ忘れてしまいそうな些細なことを書いているのだけど、読んでいるときは楽しい。

この表題もよく考えたものだと思う。
別れじゃなくて「お別れの・・」っていう響きがいいなぁ~。

★★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪

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