自分でも理解できない感情に突き動かされ、平凡な主婦・小夜子は若い美容師に執着する。やがて彼女のグロテスクな行為は家族も巻き込んでいく……。息苦しいまでに痛切な長篇小説。
(幻冬舎HPより)
物語は、主婦・親海小夜子、その夫・光太郎。
そして、小夜子の行きつけの美容院の美容師・山田海斗の3人が代わる代わる語るかたちで進行していく。
小夜子は、40歳台の専業主婦。
高校生の娘と夫と最近、新しい家に引っ越した。
夫婦仲は悪くなさそう。
そして、近所のヘアサロン・MINTへ行き、そこの美容師・山田海斗からメ-ルを受ける。
ただの営業メ-ルなのに、小夜子は返信する。
まあ、そこまでは別に変というほどの行動ではない。
けれど・・・・その後、小夜子はなぜか海斗に固執していく。
彼のアパ-トを探し当てたり、行きつけだと言っていた飲み屋を見つけたり・・・・
留守中に買い物したものをドアノブにかけて来たり・・・・・
ちょっと変わったおばさんくらいの認識だった海斗と、その恋人・唯も、段々、小夜子の行動に気味悪さを覚えてくる。
読んでいながらも・・・・なんだかイヤな人だな・・・と思いました。
特に、海斗のことが好きだとか、海斗とどううこうなりたいとか思っている様子は、ないのに
行動が意味不明で怖い。
夫の光太郎は、そんなちょっと「?」とは思いながらも短絡的に解釈してるのみ。
光太郎の物の考え方もちょっと可笑しい。
海斗の恋人・唯がついに小夜子の行動の異常さを暴露しに小夜子の元に乗り込んで行ったが、光太郎の発言に怯む。
ああ、この夫婦は、お互い、お似合いだ・・・と変な安心感を覚えてしまった^^;
ずっと嫌なかんじの雰囲気だったけど、なんだか最後のこの場面で、スッと解消。
なかなか面白かった。
スト-カ-行為って、こんな風にも生まれてしまうんだと、ちょっとショックだったけど、
気づかないうちに他人から見たら、行き過ぎた変な行動って、誰にも起こす可能性あるってことだな。
この表題の意味を考えると、なかなか深いと思う。
物語のなかに特に「木琴」が出てくるわけではないので
自分なりに想像するしかないけれど・・・。
★★★★
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直木賞作家の珠玉の7篇
長年共に暮らす男の秘密を知らせる一本の電話、中学の同窓生たちの関係を一変させた401号室での出来事…誰かのささやかな行為に突然、日常を切り裂かれる人々の物語。名手の手腕に酔う一冊。
(集英社HPより)
題名の「そこへ行くな」の意味が読んでいるうちにわかる。
読む前から、なんとなく想像は出来たど・・・・・。
7つの短編の題がいろいろな場所。
・遊園地
・ガラスの学校
・ベルモンドハイツ401
・サ-クル
・団地
・野球場
・病院
それぞれの場所でいろいろな事が起き、何ら変哲のないような情景のなかで登場人物たちの心の有り様が変化していく様子が描かれている。
最初の「遊園地」は法律上では結婚はしていない夫婦の話。
妻はある日、夫は別の場所でまた違う家庭生活を営んでいると知る話。
そして、遊園地に子どもと3人で出かけ「結婚」の二文字を口にする・・・。
その後の展開は読者の想像に任せるというかんじで、唐突に終わるけど、こういう感じは嫌いじゃない。
続く話もそれぞれに面白かったけど、最後の
「病院」が話としては好き。
中学生のリュウがその後、どう行動するのか、クラスの皆の反応は?
気になるけれど、これも読者の想像任せというところで終わる。
表紙の赤は警告の色か?
表題は「そこへ行くな」だけれど、行ったから良くないことに事が運んだという話ばかりではなかったような・・・。
楽しみながら読めました♪
★★★
直木賞作家・井上荒野氏の短編小説集。アラフォー世代を迎えた、大学時代の同級生である4人の女性たちの微妙な人間関係を描く書き下ろし短編「ハニーズ」をはじめ、思いを寄せる同僚の既婚男性が住んでいる島を訪ねていく、惣菜工場で働く女性の淡い恋心と、やはり同僚のブラジル人との友情を描いた「他人の島」、ゲイカップルの別れを描く「きっとね。」、幼稚園時代の父への回想を描き、著者の父・井上光晴氏との思い出が重なる私小説的短編「泣かなくなった物語」など著者がこれまでに発表した作品のなかから選りすぐった全9篇。
(小学館HPより)
スラスラと読める短編集。
どこにでもありそうな話ですが、そこに現れる女性たちの心理描写は、同じ年代の自分のなかで
「うん、うん、わかるぅ~!!」と言うものが多く面白かった。
面白かったのは5作目の「犬と椎茸」。
この題からして、どういう話よ?って興味あったけど、犬も椎茸も出てくる。
そしてその二つはこの物語の重要アイテム(?)。
30年ぶりにかかってきた電話の主は、かつての恋人と結婚した友人。
出来れば会いたくない友だけど、誘われて再会。
次に自宅の招かれ出かけると、友人の旦那である元恋人もいる。
複雑な胸のうちが巧く描写されていた。
けれど、友人の余命が短いことを知る。
そしてまた考えるあれこれ。
自身には、夫もいる。娘も同棲している恋人が居て、娘の住むマンションに出向いて、最近は夫が飼いたがっている犬、(自分は苦手な犬)に慣れるため、密かに娘の恋人が飼う犬に触れる訓練をしている。
元恋人とその妻である余命短い友人の事を思い悩んでも自宅に戻れば、全く異世界のような日常がある。
家族にはあえて言わないけど・・・っていう事、このくらいの年代にはあっても不思議じゃない。
ほかの短編も、少し秘めた想いみたいなものを抱えている人の話だった。
大きな出来事じゃなく、どこにでもある物語をこうして、書ける作家さんは凄い!と思う。
井上さんもそんな作家さんの一人です。
★★★★
結婚5年目。私たちの店は、郊外の古いビルの地下にある
「coffee NADA」のマスター夫婦をめぐる不穏な日常
----共有される時間と不在の時間の記憶。
現在と過去、変わらぬ日常と秘密の外出
(文藝春秋HPより)
NADAってなんだ??と思ったら、物語の夫婦が営む喫茶店の名前だった。
夫婦は結婚と同時に喫茶店を開いた。
そこには、近所の常連客が集う。
物語は連作形式で、時々、夫婦の過去の元恋人の話だったり、ずっと昔の小さい頃の思い出だったりが語られる。
夫婦仲は悪くもなく良くもなく?
お互い、恋人が出来たりしてそれをお互い気づいている。
でも、夫婦は特にお互いのことは干渉せず、夫婦の変なル-ルを作ってゲ-ム感覚で楽しんでいたり・・・
他人から見たら変わっているかも。
わたしは絶対出来ない(笑)
でも、二人が似たもの同士だから、こういう状況でも暮らしていけるんだろうなぁ~。
常連客のメンバ-も似たようなかんじで、古本屋の夫婦もなかなか面白かった。
夫婦でラブホテルに行った話は愉快でした。
取り立てて、珍しい出来事が起きるわけでもないけど、こういう雰囲気の話は好き。
次回作も期待してます(^^)
★★★
気づかないふりをしていた。
もう愛していないこと。
もう愛されていないこと。
直木賞作家が美しくも儚い恋の終わりを描いた傑作
(祥伝社HPより)
10この短編集。
ひとつひとつのお話は短いのですが、そこにある人間関係は濃厚。
結婚してるのに、夫以外の男性を気になったり・・・
または男性側の視点で描かれる話があったり、様々な人間模様の中にある「恋」?
なんて事無い話のなかにある心理描写の上手さは、井上さんらしい。
どれもそれぞれ面白かったけど、結構すきなのは「犬」かな?
夫の会社の同僚男性に少し惹かれている妻の気持ちの表現がよかった。
この夫の鈍感なところに、苛立つかんじもちょっと微笑ましいものを感じました。
暫くしたら「どんな話だっけ?」と思うような話なんですが、読んでる間は楽しめました♪
この表題の短編はない。
ということは、この表題は全てを含めた言葉ということ?
う~ん、そう思うと、この題、結構、深いかも~。なんて一人で思ってます(^^)
★★★
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台所、居間、パソコン室、一日中、本を片手にあちこち移動しながら、読書しています♪
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;
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