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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2023年3月


初めて、もっと勉強したいって思った。
女子ゆえに進学に苦労した曾祖母つる子は、ひ孫のわかばと樹に奨学金をだすという。
ただし、そのためにはひとつ条件があって……。
高校受験とバレー部の両立、応援し心配する親からのプレッシャーに悩みながらも、わかばは挑戦するおもしろさを感じていく。
::::::::::::::::::::::::
つる子はこほんと一つ咳払いをして言った。
「奨学金をだすことにしたよ。」
奨学金?
わかばはきいたばかりの単語を心の中でくりかえした。(略)
座敷の空気は一気になごんだ。というか、軽々しいばかりにはずんだ。
だが、次の一言でまたピンと張りつめた。
「ただし、それにはひとつ条件があるよ。」
つる子がぴしゃりと告げたからだ。
(本文より)


                    (偕成社HPより)


99歳のつる子さんから呼ばれた中学2年生のわかばと、樹家族。

「高校の学費を出すけれど、今の学力よりもひとつ上の学校を目指すこと」


わかばと樹は、それぞれの目標に向かって努力する。

樹は、成績優秀でレベルの高い高校にも進学できる実力。
わかばは、バレー部の練習と勉強の二つを頑張る。

主にわかばの頑張りが物語の軸になっている。
勉強をするうちに成績が上がり、志望校のレベルも上がる。

樹は将来、やりたい仕事のために高校を選ぶ。

学力に見合った学校を選ぶというより、将来のための勉強ができる学校を
選ぶ樹のような子もいいと思う。

わかばの最後の選択も、長いこの先の人生を考えたら、ありだと思う。

何より、自分で選んだ道なら、一層の努力をしていけると思う。


つる子さんは、二人にとって、素敵な大おばあちゃんだなぁ~。



                       ★★★
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発行年月:2020年2月


単調でストレスフルな日々をキュートな妄想で脚色して何が悪い!
さまざまな世界との対峙の仕方を描く、衝撃の短編集!
村田沙耶香ワールドの神髄を堪能できる4篇を収録。
■「丸の内魔法少女ミラクリーナ」
OLの茅ヶ崎リナは、日々降りかかってくる無理難題も、魔法のコンパクトでミラクリーナに“変身”し、妄想力を駆使して乗り切っている。そんなある日、元魔法少女仲間のレイコが、恋人の正志と喧嘩。よりを戻すためには「レイコの代わりに魔法少女になること」を条件に出すと、意外にも彼は魔法少女活動にのめり込んでいくが……。
■「秘密の花園」
「見ているだけでいいから」と同じ大学の早川君を1週間監禁することにした千佳。3食昼寝付きという千佳の提案に、彼は上から目線で渋々合意した。だが、千佳の真意は、小学3年生からの早川君への初恋に終止符を打つため、「生身の早川君がいかにくだらない男か」を目の当たりにし、自分の中の「幻想」を打ち砕くことにあった――。
■「無性教室」
髪はショートカット、化粧は禁止、一人称は「僕」でなければならない――。「性別」禁止の高校へ通うユートは、性別不明の同級生・セナに惹かれている。しかし女子であろう(と推測される)ユキから、近い将来、性別は「廃止」されると聞かされ、混乱する。どうしてもセナの性別が知りたくなるが、セナは詮索されるのを嫌がり……。
■「変容」
母親の介護が一段落し、40歳になって再び、近所のファミレスで働きはじめた真琴は、世の中から「怒り」という感情がなくなってきていること、また周囲の人々が当たり前のように使う「なもむ」という言葉も、その感情も知らないことに衝撃を受ける。その矢先、大学時代の親友から「精神のステージをあげていく交流会」に誘われるが……。


                     (角川書店HPより)


表題作が一番、好き。
こういうごっこ遊びは、子どもの頃(小学校低学年くらいまで)

よくやっていたから懐かしい感じ。
でも、大人(36歳)になるまで、ずっと一人で密かに続けているのは
ある意味、尊敬。
それが、良いように生活のなかに活かされているうちは良かったけけれど・・・。


あとのも面白いけれど、ちょっと気持ち悪いかなぁ~?
それでも、独特の雰囲気は楽しめた。

村田さんって、こういうシュールな話、ほんと、巧いなぁ~。



                       ★★★



発行年月:1963年5月



「贅沢貧乏」「紅い空の朝から…」「黒猫ジュリエットの話」「マリアはマリア」など、
森茉莉のゆるぎない個の精神が反映した連作小説集。

                  (発行/新潮社)


初版が60年前の本。
買ったのは、いつだったっけ?

森鴎外の娘で晩年まで文筆活動をしていたらしい。
ほかの小説は読んだことがないけれど、この本が何となく好きで
今回、また何年かぶりに読んでみた。


安アパートで一人暮らしをしながら、貧乏だけど空想の世界では贅沢品に
囲まれて生活していると空想する生活。
短篇集だけど、この本の中の牟礼摩利(マリア)の日常が描かれている。

特に二番目の<紅い空の朝から・・・>がすき。
硝子窓を通して入ってくる朝の光の色の表現が綺麗。

オリイヴ色(実際は難しい漢字)、鈍く透き通った紅、黄薔薇色
薄れた黄金などと光を表現している。

<黒猫ジュリエット>では、自身のことを愛猫の目線でやや自虐的に
書いているのも可笑しい。


最後の<青い栗>は、結婚していて息子たちや女中さんたちと賑やかに
奥様として暮らしていたころのことを書いていて、ああこういう暮らしも
していたのか・・・・と


森茉莉さん、最期は安アパートで死後2日ほど経過しているのを見つけられた
そうだけど、若い頃は、そういうのは寂しいなとか思ったけれど
今は、そういうのある意味、理想的かもと思ってしまう。



さて次に手に取るのはいつかな?


                    ★★★★★


発行年月:2022年3月


『恍惚の人』から半世紀。現役医師作家による衝撃のメディカル・サスペンス!
高齢者だけが身を寄せ合って暮らす山間の村。そこは楽園か、遺棄の地か。
夫の暴力から逃れ、幼い娘を連れて家を出た主婦・明日香。
迷い込んだ山奥の村で暮らし始めた明日香は、一見平和な村に隠された大きな秘密に気付き始める。
住民はどこから? 村の目的は?
老老介護、ヤングケアラー、介護破綻……世界一の認知症大国、日本。
人生を否定される患者。生活を破壊される家族。
認知症の「いま」に斬り込む衝撃作!

                 (講談社HPより)


最初から衝撃的で、どうなる?とハラハラドキドキ。
夫のDVから7歳の娘を連れて逃げて、たどり着いたのが、アルツ村。
認知症患者ばかりが暮らす村。
そこの老夫婦宅の孫ということで自然に受け入れられた明日香とその娘・リサ。

村人のなかでも会話が成立する人から情報を得て、なんとなくこの村の
様子がわかってきた明日香。

中盤以降、どんどん村の存在する意義がわかってきて、
それを悪とは言い切れないと思いながら読んだ。


最後、明日香自身もレビー小体型認知症というのには驚いた。
夫のDVも、娘のリサの存在も病気が生み出した妄想?幻覚?


認知症にならないには、長生きしないこと・・・・なんだか切ない。
でも現実・・・。



                     ★★★★



発行年月:2020年7月


医大の解剖学実習で組まれたのは、異例ともいえる女性4人だけの班だった。
城之内泰子教授の指導の下、優秀な成績で卒業した彼女たちは、真摯に医療の道を歩む。
長谷川仁美・高いオペ技術を持つ眼科医。けれど医局での出世すらできない現実に突き当たる。
坂東早紀・循環器内科医だったが、認知症の父親のためにフリーランスの健診医となる。
椎名涼子・救命救急医。夫との不仲に悩む折、エスコート・ドクターの依頼が舞い込む。
安蘭恵子・新生児科医であり、一児の母。勤務中、突然身体に異変が生じて……。
それぞれが直面する現実との闘いは、いつから始まっていたのだろう。
やがて明らかになる城之内教授が秘め続けた衝撃の真実とは――。

                     (光文社HPより)


医大時代、同じ解剖学実習の班だった4人は、大人になった今も連絡を取り合う
仲間。


女性医師って独身時代はいいけれど、結婚して子どもを持ってとなると途端に
自分のやりたいことを考えなおさないとならない時が来る。
それって、すごく不公平。
出産は仕方ないことだけど、その他は、女性ばかりが担うことでもないのに・・・


4人の女性医師も、それぞれ立ち止まって、この先のことを考える時期が来る。
それでも、医師であり続けるために努力する姿は本当に凄い!

社会問題になった大学医学部の入学試験での女子受験生に対する不正操作。
合格ラインに達していたにも関わらず女子が不合格になりその分、
男子受験生を合格としていたという事実。


今はどうなんだろう?

優秀な女性の医師が、医師して望む分野で活躍できるようになってほしい。


                       ★★★
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