甲坂礼司、釜ヶ崎で働く青年。二谷結子を主人公に小説を書いてくれと頼まれる。二谷結子、二谷啓太の妻。神戸・三宮のホテルに一人で住み、つかみ所がない女。二谷啓太、チープ・ルネッサンスを標榜するホテルチェーンのオーナー。小説の依頼主。大輔、甲坂礼司に小説書きのバイト話を持ってきた大学生。礼司に神戸の住まいを提供。松ちゃん、釜ヶ崎の名物男。礼司が頼りにし、なにかと相談するおっちゃん。敦、二谷結子の弟。興信所経営。結子のためなら何でもする直情型の気のいい男。震災前夜、神戸と大阪を舞台に繰り広げられる冒険恋愛小説。
3年ぶり、著者の新境地を開く渾身の長篇書き下ろし。
(筑摩書房HPより)
物語の最初に語られること。
「この女」という小説を書いた主人公の男性は、15年前の震災で行方不明らしい。
15年前の震災というと、阪神大震災だろう。
そして、すぐにこの小説「この女」を書いた男性・甲坂礼司の物語が始まる。
どうして小説を書くようになったか?
それはすぐわかるけど、この偶然の頼まれごとが、礼司の生き方も変えていく。
「この女」と言われる女性・二谷結子の生い立ちは、重い。
けれど、そんなものに負けていない力強さがある。
礼司の生い立ちも結子と似ているものがあって、二人がお互いを支えにしていく様子は自然なかんじ。
大阪の釜ヶ崎地区が舞台になっていて、小説を読みながら、実際はどうなのかな?なんてちょっと考えてしまった。
著者は、実際、そこで野宿者支援活動をしている方に協力をいただいたと最後に述べていた。
過去に苦労した二人の男女が、新たな地で二人でがんばろうと決意したところで物語は終わる。
読み終えて・・・もう一度、最初に戻って読み返してみた。
震災後、行方不明というけれど・・・・どこかで幸せに二人で暮らしていてくれたらいいな~。
なんて思った。
★★★
そこは世界にただひとつの完結した場所だった。どこまでも孤立しながら、孤独に染まることのない場所だった。

「1Q84」の世界に、もし愛があるなら、それは完璧な愛かもしれない----。刊行以来、日本で、世界で、空前の話題を呼んでやまない長編小説
(新潮社HPより)
BOOK3では、青豆と天吾に加えて、牛河の章が加わり、三者それぞれを中心にした物語が進んで行きました。
牛河は「さきがけ」のリ-ダ-の死の真相を独自に追っている。
そして、「セ-フハウス」のリ-ダ-である老婦人の存在、青豆というスポ-ツクラブのインストラクタ-、「空気さなぎ」のゴ-ストライタ-・川奈天吾、この三人が何らかの結びつきがあると判断し、天吾の居場所を突き止め、その行動を執拗に探る。
牛河の存在が不気味でした。
かなり良い線の推理をし、単独行動している。
この存在は、脅威だ!と思いながら、天吾、青豆の章に加わっても邪魔にならず読み進められた。
そして、アッとびっくりな牛河の最期。
安心したけど、なんか、もうちょいと青豆や天吾たちに絡んでいく様子をハラハラドキドキしながら追いたかったので「え?」と思ってしまった。
そして、BOOK3は、ハッピ-エンドというかんじで終わったのだけど・・・・
う~ん。このままじゃないよね?
ハッピ-エンドは勿論、嬉しいけれど、これでお終いは、なんとなく物足りないと思ってしまう。
村上春樹なら、もうちょい仕掛けてくれるんじゃないか?と期待してるから。
でもBOOK3は10月~12月の物語。
1984年は12月でお終い。
あっ!でも1Q84年なら12月でお終いじゃないかもしれない。
なんて、あれこれ考えている(笑)
でもコレだけ長い物語なのに、全く飽きずに読ませるのは、流石!!
BOOK4があることを期待してます。
心から一歩も外に出ないものごとは、この世界にはない。心から外に出ないものごとは、そこに別の世界を作り上げていく。

「1Q84」の世界に、もし愛があるなら、それは完璧な愛かもしれない----。刊行以来、日本で、世界で、空前の話題を呼んでやまない長編小説。〈毎日出版文化賞受賞〉
(新潮社HPより)
BOOK1に続いて、持続する面白さ。
1984年ではない1Q84年の世界。
スポ-ツクラブのインストラクタ-であり、殺し屋の青豆と
予備校で数学を教えながら作家活動も続ける天吾の話が交互に語られるかたちはそのままに物語は平行に進む。
けれど。。。後半、二人に接点があったことがわかる。
小学生の頃、ある一時期だけ一緒だった二人がその後は別々に成長しながらもいつも大切な存在として忘れることがなかった。
そして、1Q84の世界で、お互いを求める。
まだ二人は再会していないけど、青豆は天吾を見つけた!
見つけたけれど、声をかけず・・・
ラスト、児童公園で月を見上げる天吾を見つけた青豆が、そばにいこうか迷いつつ結局は静かにその場を去る場面の描写が良かったなぁ~。
ある大物を始末した青豆は、どうなる?
ノンフィッションを書いたと思った「空気さなぎ」を現実のものと理解した天吾はどうなる?
二人は出会うのか?
気になることが増して、それを早く知りたい!!
本当に面白い小説だ!!
村上春樹って、凄いなぁ~
「こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、「そうではなかったかもしれない」現在の姿だ。

「1Q84」の世界に、もし愛があるなら、それは完璧な愛かもしれない----。刊行以来、日本で、世界で、空前の話題を呼んでやまない長編小説。〈毎日出版文化賞受賞〉
(新潮社HPより)
今更ですが・・・話題になった本なので、読んでみました。
先に読んだ旦那が「面白いよ」と言ったので、期待しながら・・・・
読むまで全くどんな話なのか知らずでしたが、それが良かった。
おぉ~こういう話なんだぁ~!と変な感動があった。
以下ネタばれありなので、これから読む人は、ここで止めた方が良いかも。。。
物語は、二人の話が交互に進む。
一つの話の主人公は、青豆という30歳の女性。
本職はあるのだけど・・・・・殺し屋。
自然死にみせかけた完璧な殺しを見事にこなす。
そして、もう一つの話の主人公は、天吾という29歳の男性。
作家志望であり、予備校で数学の講師として勤務している。
この二人の話が1章ごとに語られ、終盤あたりで、なんとなく共通するものが出てきた。
・宗教法人「さきがけ」
・リトルピ-プル
以前、村上氏は、オウム真理教が起した地下鉄サリン事件を扱った、「アンダ-グラウンド」を書いていたけど、この物語に出てくる宗教法人「さきがけ」は、その教団を意識させるものがある。
BOOK2で、この続きがどうなるのか?
とても気になる。
早く読みたい!!
兎に角、先をどんどん読みたくなる物語。
売れている理由がわかった!
★★★★★
喪失、絶望、再生----もう一人の“私”が紡いでゆく、滑稽で哀しくて、少しだけ切ない九つの物語。『失われた町』『刻まれない明日』に連なる“町”を、気鋭の写真家との奇跡的なコラボレーションで描く連作短編集。午前4時8分で時間が止まり、住民たちは年もとらず永遠に眠り続ける町が舞台の「四時八分」など、喪失感溢れる不条理な三崎ワールド、全開!
(朝日新聞出版HPより)不思議な町を扱った、お話9つ。
どれも面白かった。
非現実的な世界だけど、写真が添えられていることで、リアルな世界が頭のなかに浮かぶという不思議な楽しさがありました。
表題作の「海に沈んだ町」は、切ないかんじ。
次の「団地船」も同じような、なんともいえない哀愁があったなぁ~。
7番目に登場の「橋」は、そこに住む住人の気持ちで読むと、ゾッとした。
ある日、突然、町にある橋を別の物に架けかえると言う話。
市役所から委託されて1件ずつその主旨を説明に廻る女性の言葉は、なにもかもが納得出来ないものですが、納得出来ないと言い返すと、また信じられない言葉が返って来て・・・・・
そして写真の橋には絶句でした!!
ヤダ、こんな橋を渡らないと他に行けないなんて~!と思ってしまった(笑)
読み手によって捕え方はいろいろでしょうけど、こういう類の話は好き。
三崎さんの物語は、いつも不思議。
でもそこがたまらない魅力。
記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;