人生最悪の罠も人生最高の喜びも、ここにある
胸に残る文章、ちくりと刺す毒、さりげないユーモア。
「人って愚かで滑稽で愛おしい!」と感じさせてくれる、
バラエティ豊かな短編集
(文藝春秋HPより)
10こ短編、全て面白く読めて楽しかった♪
楽しいだけでなく、ちょっと切ないものもあるのだけど、どこかホッとするような物語たち。
・藤巻さんの道
・夜の隙間を埋める
・クリスマス・イヴを三日後に控えた日曜の・・・・・・
・クジラ見
・竜宮
・思い出ぴろり
・ラストシ-ン
・桂川里香子、危機一髪
・母の北上
・異国のおじさんを伴う
こうして並べてみても、タイトルだけみても、話の内容を思い出してニヤリとしててしまいそう。
最初の「藤巻さんの道」もなかなか面白い話で、最後は、自分が頭で想像していた結末でないことに嬉しくなった♪
「クジラ見」と「桂川里香子、危機一髪」は、女性って強い!
と、思わず笑ってしまった!
「思い出ぴろり」は、ちょっと切なかったけど、良い話だったなぁ~。
ほかの話も全部、兎に角よかった!!
最後の表題作「異国のおじさんを伴う」は、タイトルからして、それってどういう状況?と興味を持ったけど・・・・なるほど、おじさんって、そういうことね・・・。
これもなかなか楽しかった!
読んで損はない!とお薦めできる短編集でした(^^)
★★★★★
運動会の朝、マサルは学校で薬のパッケージを見つける。殺人の証拠だと考え、それを隠しておくことに。一方、父親はドラッグが出回っていることを嗅ぎつける。プログラムが進行するにつれ、明らかになる大人の思惑と、膨らんでゆく子供たちの想像。そして意外な真実!
(双葉社HPより)
小学校の運動会の一日が過ぎていく中でのミステリ-。
6年生のマサルは、母親が病死し父親と暮らす。
運動会の朝、父はお弁当が間に合わず、後で届けるから・・・と。
そして、運動会の準備中に同級生のイッキと何やら不思議なものを発見する。
キラキラ光るビ-ズの飾りがついたケ-スに薬の空フィルム。
何か事件に関係あるものじゃないか?とそれをそのまま保管しておくことに決める。
そして、別のところでは、PTAの母親たちが何やらビ-ズの付いたケ-スを回収している。
そのことに気づいたのは、マサルの父親・真樹夫。
真樹夫は薬剤師で、PTAの母親たちの間にドラッグが出回っているのでは?と予測する。
マサルたち子どもたちの推理と父親の真樹夫の推理が別々に進行。
運動会の競技もプログラムに則って進行。
運動会直前に急死した、一人の児童の母親の死の真相も終盤にわかり、母親たちの間でやり取りしていた薬の正体もわかる。
こんなこと、都会の小学校なら実際ありえるのかも。
小学校の運動会が舞台なのに、そこで展開される話は、不健康なもの。
嫌な話だったけど、子ども達がいろいろ考えて行動する様子は、面白かった。
初めて読む作家さんだったけど、結構、読みやすかったので、ほかの作品もいずれ読んでみようかな?
ここまで美しく、1人の女性を愛することができたなら
香奈子が死んだ――。男女の間に交わされたメールの文面から紐解かれる、至上の愛の軌跡。著者が全身全霊でとりくんだ恋愛小説!
(文藝春秋HPより)
久しぶりの村上龍の作品だったので、楽しみだったけど・・・・これは好きじゃない。
読みやすいけど・・・・同じような会話だったり描写が多くて飽きました。
物語は、離婚暦もあるが現在は妻と娘がいる50台の投資会社社長・西崎健児と
やはり離婚暦があり、今は独身で風俗業界で働く四条香奈子(サクラ)が出会い、恋愛関係になるところから、二人のメ-ルのやり取りを交えた恋愛小説。
香奈子は、20代半ばでⅠ型糖尿病を発症。
一般社会では認知度が低いけど、先天的な異常により体内でインスリンを生産できない為、慎重なインスリンの投与が必要な病気。
けれど、上手にコントロ-ルできれば、日常生活を送るには支障はない。
物語では、香奈子はそれによって、いろいろな重篤な症状を起こし、命を落としてしまうという哀しい結果になるのですが、物語の冒頭ですぐに亡くなったことが知らされ、過去の思い出を振り返る形で物語が進んでいく。
風俗で知り合った二人なので、そういう描写も多く、それはまあ、いいんだけど、
ちょっと何度も同じようなかんじの場面が出てきたり、あまり読んでいても楽しくなかったので
正直、飛ばし飛ばしでなんとか読み切ったかんじです(苦笑)。
そして、ちょっとがっかりしたのは、あとがき。
知り合いに香奈子と同じ病気で若くして亡くなった方がいて、この病気のことを知ってほしいこともあったとか。
え?知り合いにこの病気の方がいたのにこの内容ですか!?
あまりにも哀し過ぎる香奈子の最期。
もうちょっと希望がある内容でも良かったんじゃないかなぁ~?
個人的には、嫌いな話でした。
甲坂礼司、釜ヶ崎で働く青年。二谷結子を主人公に小説を書いてくれと頼まれる。二谷結子、二谷啓太の妻。神戸・三宮のホテルに一人で住み、つかみ所がない女。二谷啓太、チープ・ルネッサンスを標榜するホテルチェーンのオーナー。小説の依頼主。大輔、甲坂礼司に小説書きのバイト話を持ってきた大学生。礼司に神戸の住まいを提供。松ちゃん、釜ヶ崎の名物男。礼司が頼りにし、なにかと相談するおっちゃん。敦、二谷結子の弟。興信所経営。結子のためなら何でもする直情型の気のいい男。震災前夜、神戸と大阪を舞台に繰り広げられる冒険恋愛小説。
3年ぶり、著者の新境地を開く渾身の長篇書き下ろし。
(筑摩書房HPより)
物語の最初に語られること。
「この女」という小説を書いた主人公の男性は、15年前の震災で行方不明らしい。
15年前の震災というと、阪神大震災だろう。
そして、すぐにこの小説「この女」を書いた男性・甲坂礼司の物語が始まる。
どうして小説を書くようになったか?
それはすぐわかるけど、この偶然の頼まれごとが、礼司の生き方も変えていく。
「この女」と言われる女性・二谷結子の生い立ちは、重い。
けれど、そんなものに負けていない力強さがある。
礼司の生い立ちも結子と似ているものがあって、二人がお互いを支えにしていく様子は自然なかんじ。
大阪の釜ヶ崎地区が舞台になっていて、小説を読みながら、実際はどうなのかな?なんてちょっと考えてしまった。
著者は、実際、そこで野宿者支援活動をしている方に協力をいただいたと最後に述べていた。
過去に苦労した二人の男女が、新たな地で二人でがんばろうと決意したところで物語は終わる。
読み終えて・・・もう一度、最初に戻って読み返してみた。
震災後、行方不明というけれど・・・・どこかで幸せに二人で暮らしていてくれたらいいな~。
なんて思った。
★★★
そこは世界にただひとつの完結した場所だった。どこまでも孤立しながら、孤独に染まることのない場所だった。

「1Q84」の世界に、もし愛があるなら、それは完璧な愛かもしれない----。刊行以来、日本で、世界で、空前の話題を呼んでやまない長編小説
(新潮社HPより)
BOOK3では、青豆と天吾に加えて、牛河の章が加わり、三者それぞれを中心にした物語が進んで行きました。
牛河は「さきがけ」のリ-ダ-の死の真相を独自に追っている。
そして、「セ-フハウス」のリ-ダ-である老婦人の存在、青豆というスポ-ツクラブのインストラクタ-、「空気さなぎ」のゴ-ストライタ-・川奈天吾、この三人が何らかの結びつきがあると判断し、天吾の居場所を突き止め、その行動を執拗に探る。
牛河の存在が不気味でした。
かなり良い線の推理をし、単独行動している。
この存在は、脅威だ!と思いながら、天吾、青豆の章に加わっても邪魔にならず読み進められた。
そして、アッとびっくりな牛河の最期。
安心したけど、なんか、もうちょいと青豆や天吾たちに絡んでいく様子をハラハラドキドキしながら追いたかったので「え?」と思ってしまった。
そして、BOOK3は、ハッピ-エンドというかんじで終わったのだけど・・・・
う~ん。このままじゃないよね?
ハッピ-エンドは勿論、嬉しいけれど、これでお終いは、なんとなく物足りないと思ってしまう。
村上春樹なら、もうちょい仕掛けてくれるんじゃないか?と期待してるから。
でもBOOK3は10月~12月の物語。
1984年は12月でお終い。
あっ!でも1Q84年なら12月でお終いじゃないかもしれない。
なんて、あれこれ考えている(笑)
でもコレだけ長い物語なのに、全く飽きずに読ませるのは、流石!!
BOOK4があることを期待してます。
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記事最後の★についての基準は
★★★★★ぜったい再読したい!!
★★★★すごく良かった!
★★★最後まで楽しめた
★★☆最後まで読んだが好みじゃなかった
★★飛ばしつつ一応最後まで目を通した
★途中放棄^^;