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読んだ本の感想あれこれ。
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発行年月:2020年1月

戦後日本を象徴する大ヒットドラマ「鐘の鳴る丘」をモチーフに、
突如ラジオドラマに出演することになった子供たちと、
自分たちが起こした戦争への後悔に苛まれた大人たちが、
力を合わせ生きていく姿を描く感動の物語。


             (小峰書店HPより)



児童書なんだ~。

でも、大人が読んでも十分、楽しめた。

戦後わずかの日本。
東京練馬区小峰町が舞台。

物語の冒頭は、劇作家の菊井一夫の訃報が、当時、菊井氏の書いた
ラジオ放送劇に参加した良仁の元に届くところから始まる。

そして、ラジオ放送劇に参加した時の話に・・・


戦争で、家と父親を亡くした将太の言動が印象的だった。
途中から放送劇に加わることになるんだけど、せりふ覚えも、演技力も
素晴らしい。
凄く頭が良い証拠だろうけど、将太は、過酷な生活のなかで
逞しく生き抜く要領の良さも持っていて、それがなんだかとても切ない。


放送劇「鐘の鳴る丘」は、戦災孤児たちが主人公。
慰問として孤児たちが保護されている施設に出向いたときのことが衝撃的。

施設にいた少年・光彦の「鐘の鳴る丘は嘘ばっかりだ」という言葉。

そんな光彦に彼が欲しいものとして挙げた万年筆を手渡す菊井の優しさに感動。
「それで、君は自分の物語を書きなさい」

大人になった彼は、その後、作家になったという。

放送劇に参加したメンバーが、大人になり菊井氏の葬儀の場で再会。
大人になった彼らのその後がわかる。

一番、気になった将太は、やはり彼らしい行動を起こしていた。
戦争さえなければ、将太のような賢くリーダーシップもとれる者は
違った活躍をしたでしょうに・・・


実際の放送劇を探して聞いてみたいと思った。


                     ★★★★★

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発行年月:2019年8月

兄弟姉妹に一度でも仄暗い感情を抱いたことのあるあなたへ。
花言葉をモチーフにした感泣と戦慄の連作短編集。

                 (キノブックスHPより)


色々なきょうだいの話。

<アネモネの姉妹>
アネモネの花言葉:嫉妬のための無実の犠牲

優等生で器量よしの姉と劣等生で不器量な妹。
姉はいつも平均以上でいなければと思って努力してきたが、そんなことは
お構いなしの妹に猛烈な嫉妬心を抱く瞬間がある。

幸せそうなのは、断然、妹だな。


<ヒエンソウの兄弟>
ヒエンソウの花言葉:私の心を読んでください

中堅の出版社ににゅしゃ6年目で念願の文芸部で働く弟。
自分より優秀で有名私立大卒の兄は、リーマンショックのあおりで内定取り消しに
あってから放浪の旅に出て行方しれず。
新人賞の応募作品のなかに、自分の幼いころのことが書かれた小説が!

これは、また新たな兄弟関係が出来そうでいいかんじ(^^)


<マツムシソウの兄妹>
マツムシソウの花言葉:あなたは私を置き去りにする

恋人の元に妹が転がり込んできて、恋人との関係を邪魔されることに苛立つ。
自分の兄はカメラマンで海外に取材に行くことが多い。
兄を心から慕っている。恋人より実は好きなくらい。
恋人の妹から、兄を束縛していると言われ腹が立つが、自分も同じことを
兄の恋人に対してしていたと気づく。

素敵なお兄さんがいるとこういうことありそう。


<リコリスの兄弟>
リコリス(彼岸花)の花言葉:悲しい思い出

一卵性双生児の兄弟。
二人で競い合いながら水泳を続けてきたが、事故で兄は足にマヒが残り
リハビリ中。
兄が居なくなった途端、うまくタイムが伸びなくなった弟。
そんな弟に兄がかける言葉で再び奮起する。

いいお兄さんだな~(/_;)


<ツリフネソウの姉弟>
ツルフネソウの花言葉:私に触らないでください

弟が10歳のとき、父親に恋人が出来て両親が離婚し、
母親と姉は家を出て別々に暮らす。弟は、継母と3人での生活。

久しぶりに会った姉から「あんたにとって家族なんてただの世間的義務でしかない」
の指摘され、都内のお嬢様学校に通う15歳の娘が自分の目の前で高いところから
飛び降り大怪我。
妻にも夫でも父親でもなかったと。


やり直せるかなぁ~。
ちょっと辛い話だった。


<アルフォリニアポピーの義妹>
父が亡くなり、フローラル・テラ(生花を扱う会社)の社長を引き継いだ姉。
しかし、社内の風当たりは強く、自分をよくおもわない営業部長から嫌がらせを
受ける日々。
そんなとき、ラノベ作家の弟が婚約者を紹介するため実家に連れて来る。
見た目は日本人だが両親がアメリカ人というヤンキーっぽい物言いのキャロラインが、
自分の義妹になることに納得がいかない。
が、彼女の言葉や行動に勇気をもらう。

明るい話が、最後でよかった!
スッキリした!

前の話で出てきた15歳の少女の話も少し出て来て、みんなの
未来が明るい方向に行くといいなぁ~と思った。



いろいろなきょうだいの話。
面白く読みました♪


                      ★★★★


発行年月:2019年9月


仕事じゃなくても輝ける、いつもの景色が違って見える――
人生後半戦を迎える男たちの、まさかの新しいステージは、
おじさんたちだけの社交ダンス! 
中年世代を熱くする、出会いと躍動の物語。

                 (中央公論新社HPより)


表紙のおじさんたちの物語。

社交ダンスの講師は、米山信也。
妻(ダンスのパートナーでもあった)を半年前に亡くし、何事にもやる気が沸かない。

生徒の面々。

田中武士・・・60歳で定年退職。何となく体調が優れず、妻に勧められ
受診し、医師から社交ダンスを勧められる。

川端諒一・・・51歳。商事会社の部長。子どもはいない。
妻も働いていて、自分より会社の地位は高い、

大塚正彦・・・町工場の社長。IT会社を辞めた息子(25歳)が一緒に働くが
何となく息子とはうまくかない。


おじさんたち、それぞれが社交ダンスを通じて、新しい人間関係を築き、
そういう生活の変化がそれぞれの生活でも良い変化を起こすというかんじ。


読んでいて楽しかった!


                       ★★★


発行年月:2018年9月


1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4ヵ国統治下におかれたベルリン。
ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が、
ソ連領域で米国製の歯磨き粉に含まれた毒により不審な死を遂げる。
米国の兵員食堂で働くアウグステは疑いの目を向けられつつ、彼の甥に訃報を伝えるべく旅立つ。
しかしなぜか陽気な泥棒を道連れにする羽目になり――
ふたりはそれぞれの思惑を胸に、荒廃した街を歩きはじめる。

                 (筑摩書房HPより)



ヒットラーが自殺したあとのドイツって、こういうかんじだったんだ~。
と物語を読んで初めて知ることに驚く。

今まで虐げられていた人たちが、今度は虐げていたもの同じように虐げる。
そういうことがとても哀しい。


物語は17歳のアウグステの現在と幼い頃の家族とのことを交互に書く。

アウグステの両親は、打倒政府を叫ぶ共産主義者。
特に父親はその活動に積極的。
それゆえ、政府によって死に追いやられる。


現在のアウグステは、かつて自分を匿ってくれた恩人でもあるチェロ演奏家の
クルストフの死をその甥であるエーリヒに知らせるため、見知らぬ地まで
向かう。
途中、そのあたりの地理に詳しいユダヤ人のカフカと知り合い一緒に
目的地まで向かう。



読みながら、甥に死を知らせる目的のためにこんな苦労をなぜする?と
疑問に思ったが・・・なるほど!
そういうことか!

それは知らせてあげるべきことでしょうね。


アウグステの勇敢さ、優しさが、つらい時代背景のなかで輝いていた。

参考文献の多さにびっくり!
日本人の作家がこの物語を完成させるのはさぞ、大変だったでしょうね~。

文句なしにこれは最高の1冊です!!


                    ★★★★★



発行年月:2018年11月


 最期を見据えた生き様から光を得る人生賛歌
 舞台は、美しくもありときに恐ろしい顔を見せる海と島。3人のおじいさん=ジイの生き抜く姿と,そのジイから思いを受け取る人々の心模様をときに温かくときに激しくときに静かな筆致で描ききります。全3編の物語。
〇海神~わだつみ
いじめが原因で不登校になってしまった小学四年生の優生。ある日、父の依頼で瀬戸内の島に暮らす曾祖父を訪ねることになる。死期が近いはずの曾祖父・清次は、病人とは思えないほど元気に優生らを案内し、饒舌に振る舞う。その後入院となった曾祖父と優生が交わした二人だけの約束とは……。
〇夕凪~ゆうなぎ
70代後半の老医師とそのクリニックに20年以上勤め、支え続けてきた48歳看護師の女性。ある日、クリニックを閉院すると宣言した後老医師が失踪する。必死で探す看護師の女性が行き着いたのは瀬戸内の島。もう戻らない、と告げる老医師の覚悟とは。静謐でほのかに温もる大人の慕情。
〇波光~はこう
すべてを陸上競技に捧げて生きてきたが、怪我により人生どん底になってしまった澪二。センター試験を前に逃げるように子供の頃訪れていた島にある祖父の家へ。石の博物館のリニューアルオープンの準備を手伝ううちに、今まで知り得なかった祖父の青春時代、親友、そして唯一の後悔を聞き……。

                      (小学館HPより)



瀬戸内の島が舞台の3つの話。
それぞれが、ジ~ンと来る。

共通しているのは、高齢になった男性の恰好よさ。
言葉のひとつひとつがステキ。


別々の話だけど、少しずつリンクしていて、嬉しくなった♪

藤岡さんは、看護師をしながら小説を書かれているそうだけど
きっと人の心の痛みも和らげる素敵な看護師なんだろうなぁ~。


                      ★★★★★
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